2005年10月

2005年10月11日

久生十蘭の仕事部屋から(11)

十蘭ゆかりの品々の中には、「軽井沢の土地」というのもありました。阿部正雄(久生十蘭の本名)宛ての固定資産税の請求書が、鎌倉の家に2年前まで届いていたので調べてみると、叔母の幸子が名義を変更せずに、税金を払い続けていたのです。

叔母が亡くなって1年が過ぎた昨年のこと、土地の名義をきちんとしておこうということになりました。手続きが済んだら、「軽井沢に十蘭文学館を建てるのもいいかも」「管理は誰にしようか」などと、茶のみ話が盛り上がりました。

そのころ、十蘭の長編小説「魔都」(社会思想社「現代教養文庫」)の解説で、土岐雄三が十蘭の軽井沢の“別荘”について書いているのを見つけました。

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hisaojuran at 07:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0)久生十蘭の仕事部屋から 

2005年10月02日

久生十蘭を探して(9)

講演会を聞きに函館に行ってきました。函館は20年以上ぶりでした。著作権管理人の本籍地はかつて函館にあり、ある程度の土地勘もあるようなのですが、私はただの旅行者としての関わりしかありません。しかし、わざわざ、足を運んだだけのことはありました。

一番の収穫は空港から北村さんの車に乗せていただいて久生十蘭が少年時代を過ごした家と周辺の関連を実感できたことです。久生十蘭、長谷川海太郎(牧逸馬、林不忘、谷譲次)一家、亀井勝一郎の生家が極めて近い範囲にあったことは文献で知っていましたが、実際に四辻に立って北村さんから「ここが長谷川家、あちらが久生十蘭の家で、隣が亀井勝一郎の家」と説明してもらうと、まさしく目と鼻の先で、少し大きな声を出せば聞こえるほどの距離でした。

もう一つ、彼らの住居からすぐ近くに、今はただの地味な十字路にしか見えないところに「十字街」と言う地名があることを知ったことです。以前は繁華を極めた一帯だったそうです。辞書で引くと「十字街」は「十字路」とほぼ同義ですが、一般的には「十字路」は頻用されるものの「十字街」はそれほど良く見ることはないように思います。久生十蘭の代表作の一つである「十字街」はこの地名が刷り込まれて命名されたのかなと思いました。続きを読む

hisaojuran at 03:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)久生十蘭を探して