2008年01月

2008年01月06日

久生十蘭の仕事部屋から(46)

766a07e1.JPG遅ればせながら、明けましておめでとうございます。「従軍日記」の出版で一息ついたまま、年を越してしまいました。昨年は『新青年』研究会トークショー「久生十蘭を語る―没後50年・全集刊行に向けて―」の後、江口雄輔さんによる函館市文学館講演会「再読、賛嘆、久生十蘭」」が開催され、そこでもファンの皆様にご挨拶させていただくことができました。それまで作家・十蘭についてそれほどご存知ない方もいらしたようですが、少しは関心を持っていただくキッカケにはなったようです。お忙しい中ご出席くださった皆様にお礼を申し上げます。

さて、いよいよ今年は国書刊行会から「久生十蘭全集」が出版されます。目処は6月とのことですが、江口さんからは「どうなることでしょう」と自信なさそうなご返事。十蘭は作品を発表した後も何度も手を入れているため、「これが定本」と断定することができず、編集担当の先生方には本当にご苦労をおかけしています。

十蘭没後50年が過ぎ、十蘭の著作権保護期間は終了しました。NPO日本文藝著作権センター(三田誠広理事長)から送られてくる「文藝著作権通信」の最新号(第9号:平成19年10月発行)の特集は「保護期間延長に関する諸問題」で、「欧米ではすでに保護期間70年が標準となっている」として、日本が50年としていることに対して強く異議を申し立てています。

とはいえ日本はまだ「著作権50年」ですから、無料でインターネットに公開されている「青空文庫」には早速、十蘭の作品が並んでいます。熱心なファンがこつこつと入力されていたもののようです。著作権継承者としては抵抗がないわけではありませんが、十蘭の小説を面白さを知っていただくキッカケになればと納得しています。興味を持たれたら、次には是非、本物の本でその醍醐味を堪能していただければと思います。

今回は、フランス時代の最後の一枚の写真(1930年=昭和5年撮影)を添付して、皆さんのささやかな“お年玉”とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。(つづく)



hisaojuran at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)久生十蘭の仕事部屋から