2006年05月21日

久生十蘭の仕事部屋から(28)

前のブログからかなり間が空いてしまいました。朝日新聞5月11日付夕刊記事「久生十蘭とブログ」を読んで、このブログにアクセスしてくださった読者もいらっしゃるようですね。コメントを残していただきありがとうございます。

これまで私は性別不明、年齢不詳ということでブログを書いてきました。記事を読んで名前も性別も年齢も分かって、「な〜んだ」とがっかりされた方もいらっしゃるようです。

ここで重要なのは私の正体ではなく、このブログを通じて、十蘭のファンにより多くの情報をお伝えすることだと思っています。これに懲りずに(?)、今後ともよろしくお願いいたします。また、内容の誤りや誤字など気付かれたことがございましたら、これまでどおりご指摘いただければ幸いです。

朝日の記事で全集の刊行を知られた方も多いようです。出版は著作権が切れる来年12月末日以降になります。楽しみにしてくださっている読者のために、私が聞いている範囲の内容をお伝えします。

基本的には編年体で大まかな卷立てと内容は次のとおりです。

1巻:「ノンシャラン道中記」「金狼」「魔都」など
2巻:「顎十郎」「キャラコさん」など
3巻:「海豹島」「地底獣国」「平賀源内」など
4巻:「女性の力」「紀ノ上一族」など
5巻:「内地へよろしく」「要務飛行」など
6巻:「ハムレット」「だいこん」「ココニ泉あり」など
7巻:「春雪」「黄昏日記」「ノア」など
8巻:「無月物語」「十字街」「うすゆき抄」など
9巻:「真説・鉄仮面」「母子像」「肌色の月」など
 10巻:エッセー、座談会、従軍日記、最初期作品など
 11巻:翻訳、年譜、書誌

当初は10巻の予定でしたが、1巻増えました。1冊のボリュームは400字詰め原稿用紙で2千枚ほど。最終巻は2千5百枚以上になるようです。ちなみに1970年に発行された三一書房の全集(全7巻)は、2段組で350〜400ページあります。(つづく)

hisaojuran at 21:27│Comments(9)TrackBack(0)久生十蘭の仕事部屋から 

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この記事へのコメント

1. Posted by pumpkin   2006年05月22日 21:34
著作権継承者というのはどのようなものかよくわからないのですが、ご苦労もあろうかと思います。
十蘭の今後の評価という点で、今度の全集は大変重要だと思いますので、よろしくお願いします。

私の好みから言うと、戦前戦中の作品が好きです。今まで読むことの難しい作品が多かったので、戦後まもなくの作品も含めて、期待大です。
2. Posted by pumpkin   2006年05月22日 23:57
ちょっと舌足らずな言い方になったので。

著作権継承者の意味はわかるのですが、いろいろ面倒なこともあるのかななどと思ったものですから。
3. Posted by 著作権管理人   2006年05月24日 23:45
著作権管理人です。
pumpkin さん、早々のコメントありがとうございます。

現在、編集が進められている全集の出版時期は、十蘭の著作権が満了となる2007年12月31日以降の予定です。
それ以前に出版される書籍は私の許可が必要なのですが、
2008年1月1日以降は誰がどんな形で商品化しようと、
私がかかわる権利はありません。

とはいえ、十蘭が身を削るようにして生み出した作品の集大成が全集という形になるわけですから、
できるだけいいものができるよう、私は資料や情報の提供をしています。

また、このブログは江口先生をはじめ編集担当の方々も読んでくださっていますので、
皆さんもどしどしお書きください。
ご意見、ご提案をお待ちしています。

4. Posted by 閑人亭   2006年05月25日 09:46
こんにちは。時折訪問しています。全集の全容が明らかになって、期待が膨らみます。
ところで、清原啓子という銅版画家(1955〜1987)のエッチング作品には「久生十蘭に捧ぐ」1982年ほか、彼を題材にした作品があります。全集の口絵に使われたたらいいなあ、と思っています。彼女のコメントから。
「久生十蘭は、私にとって長い間浄化の特効薬でしたが、その純白な透明感と天上界からの雪崩を完璧にしかも豊かな許容量をもって受け止めた、今更届かぬ遙かな精神の地の、敬愛する一人の作家に捧げる意味で、この作品を制作しました。」
どなたか書き込んでいたかな?
5. Posted by ゲノム   2006年05月26日 12:39
こんにちは。
私も先日の朝日新聞で知りまして、全集刊行、大変喜んでいる一人です。
以前知り合いに貸してもらって大ファンになったのですが、なかなか本を手に入れることができませんでした。神田の古書店で見かけた全集をその場で購入しなかったことをずっと悔やんでいたのです。

「ノンシャラン道中記」をゆっくり読めると思うと胸が高鳴ります。

ちなみに私が一ファンであるキリンジの堀込高樹氏は、久生十蘭のファンであることを公言されていて、アルバム「47'45"」の中の「V.I.P.」という曲は「魔都」をイメージして作られたそうです。

いろいろご苦労もあるかと思いますが、どうぞ素晴らしいものを、世に出されることを期待しております。
6. Posted by 著作権管理人   2006年05月27日 12:47
著作権管理人です。
閑人亭さん、ゲノムさん、コメントありがとうございます。

久生十蘭の妻(=私の叔母)が亡くなり、最初に著作権の管理を担当したのは従兄でした。
1年ほどしてその仕事が私に回ってきたのですが、
「十蘭のファンといっても、もう昔の人だし、どのくらいいるんでしょか」などと、
従兄とメールでやりとりしていたものです。

でも、このブログを通して“隠れファン”があちこちにいてくださることを実感することができ、
とても嬉しく思っています。(つづく)
7. Posted by 著作権管理人   2006年05月27日 12:49
閑人亭さんが全集の口絵としてご紹介してくださった清原啓子のエッチングは、
朝日文芸文庫から出版されている本の表紙に使われています。

顎十郎捕物帳には「久生十蘭に捧ぐ」、十字街は「魔都霧譚」、魔都は「領土」、
平賀源内捕物帳は「海の男」です。ただ、いずれも作品の一部しか使用されていないので、
全集では全部を使用して、十蘭ファンにも銅板画の素晴らしさを見ていただくのもいいですね。

ゲノムさんが書かれた「キリンジ」というアーティストについては、全く知りませんでした。
是非、聞いてみたいものです。貴重な情報、ありがとうございました。
8. Posted by 閑人亭   2006年05月28日 09:44
拝復
そうでしたね、朝日文庫は持っているのですが、いけねえ忘れてました。昨夜、若い男性(25歳)が訪ねてきたのですが、彼は久生十蘭の名前を知っていました。清原啓子の画集を観て感嘆していました。
9. Posted by narihara   2006年07月09日 15:34
先日、田辺聖子の『ゆめはるか吉屋信子』を読んでいたところ、下巻113ページから118ページまで、久生十蘭の、吉屋信子探訪インタビューが紹介されていました。
が、このインタビューの“筆者は男性らしいが不詳”と書かれており、大変残念な思いをしました。
三一書房版全集の月報に収録されていたので知っているのですが、いつもの文体、吉屋信子の描き方も実に久生らしい名文です。

こういったものもすべて含めていくと大変かとも思いますが、編集に川崎賢子さんの名前も見えるので、新しい全集には期待しています。
いいものになりますよう、強く強くお祈りしております。

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