2008年12月03日

久生十蘭を探して(13)キャスタナリー街再訪

P1250829掲載用P1250832掲載用P1250841掲載用            ************************十一月十一日から十八日までパリに滞在しました。相変わらずこの時期のパリは天気が悪く、あまり動き回ることが出来ませんでした。今回は阿部鑑の住所が判明したのでもう一度キャスタナリー街を踏査することと、植物園と思しき場所で特徴的な建物が遠景に写り込んでいる写真がどこで撮られたのかを特定できればと言う課題を持って行きました。

十三日の午後にキャスタナリー街を訪ねました。その前に十蘭の師であった岸田国士が投宿していたファギエール小路(行き止まりの路地)を確認しました。パスツール研究所のそばの長さ十五メートルほどの狭い路地でした。岸田国士がいた十四番地はちょうど路地の突き当たりで、ここ数十年の間に建ったらしい集合住宅がありました。当時の面影のようなものはほとんど残っていません。一棟だけ、二階に擦りガラスの大きな窓があるアトリエのアパートのような建物がありました。当時はこのような建物がたくさん建っていたようです。

ファギエール小路からキャスタナリー街三十番地まではゆっくり歩いて十五分ほど指呼の間でした。前回は番地の表示板をメモするために雑な撮影をしたのですが、今回は三十番地の現況と周辺に残る一九三〇年以前に建てられた建物をじっくり観察しました。前回は気付かなかったのですがキャスタナリー街三十番地は現在では二つに分かれています。一つは前回の三枚ある画像のうちの真ん中の白い集合住宅です。今ひとつはその隣の不自然な空地です。集合住宅の空地側の壁と、空地を囲う鉄柵のそれぞれに三十番地の表示板が貼ってありました。さらに三十二番地も空地になっています。



白い集合住宅は、空地を取り囲むように「凹」字型をして三十四番地の建物と一体化しているように見えます。空地は「凹」の凹んだ部分で駐車場にもなっていません。建物の前庭のようになっています。フランスの建築基準は分りませんがこんな不思議な前庭は他ではお目にかかったことがありません。

今回は、キャスタナリー街の偶数番地側の裏の道も歩いてみました。三十番地の辺りは道に挟まれている部分にあまり幅が無いため建物は一つで、裏と表といった感じになっています。本当に古そうな建物はほとんど残っていません。裏の道の偶数番地側、つまりキャスタナリー街とは接していない側には巨大な集合住宅、日本の多摩ニュータウンとかにありそうなそれが建っていました。地域としては再開発が積極的に行われたようで、古い建物で残っているのはキャスタナリー街の奇数番地側のSNCFの線路を背にした側の数軒だけでした。仮に十蘭がバルコニーでポーズを取っている写真が阿部鑑の(そしてもしかしたら十蘭の)住居で撮影されたとしてもそれを検証することは不可能でした。

三十番地の近隣の建物で阿部鑑がおそらく久生十蘭も目にしたものをいくつかセピア色で撮影してきました。

技術の進歩は恐ろしいものでなんと居ながらにしてキャスタナリー街を見ることができます。お楽しみください。三十番地に設定してありますが、スモールウィンドーの「N」の欄に番地を入れるとそこに行けます。

http://photos.pagesjaunes.fr/h/ad?type=f;ville=75199056;nomvoie=Rue+Castagnary;numero=30;templ=pjphoto_frame;templ_photo=pjphoto_photo;fwdto=/1/f/;interactif=1

そして、新事実の発見は項を改めて。

hisaojuran at 06:32│Comments(0)TrackBack(0) 久生十蘭を探して 

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