2006年10月08日

蔵の生命のバトン

8e95e5fa.JPG閉めて、生命を失っていた蔵が、近所のお醤油屋によって息吹を吹き返しています。
私にとって嬉しくもあり、深く考えさせられる出来事。

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2,3年ほど前、小豆島の中で一番古く、そして大きなお醤油屋さん「山吉醤油」が閉めました。
理由は作り手である老夫婦が亡くなったからです。
どっちの料理ショーで紹介されたりと、大変人気のある蔵でした。

私は毎日のようにこの蔵に遊びに行っていたので、寂れていく様子はたまらなくつらいものでした。

「山吉醤油」の側には「正金醤油」があります。
正金醤油」は今も小豆島の中で一番古い蔵で、白髪のご主人を中心に質の高い醤油を作っています。
昔から苦しい時も一緒だった信頼ある仲。

醤油の蔵は、1度作るのをやめたら醤油造りの命である菌がいなくなってしまいます。
菌がいなくなれば醤油を造れない蔵になってしまいます。
そこで、「山吉醤油」のご主人が亡くなった後は、「正金醤油」のご主人が足を運び、醤油を作り続けていました。

今、新たに「旧山吉醤油蔵」が生きだしました。
今まではもろみ蔵だけを「正金醤油」のご主人が育てていましたが、その他の場所(圧搾や濾過の場など全て)は死んでいました。
しかし、使われていなかった場に新しくもろみ蔵が増設されました!
上の写真が新しい蔵です。
今は菌を育てるために一部の樽だけもろみを仕込んでいました。
樽は小豆島の中で使われていない樽を集めてきました。

私の親しんだ「山吉醤油」ではなくなったものの、信頼ある正金醤油のご主人によって新たな生命を生み出したのは嬉しいことです。

一部では、「古い蔵なんだし、つぶしてしまえばいい」という声もあったものです。
本当にどうなるんだろうと気になってしまっていました。

「旧山吉醤油蔵」を紹介した私の大学での友達は皆蔵の素晴らしさに驚き、主人がいないことに一緒に悲しみました。中には模型まで作って素晴らしい蔵の再生方法を考えだした友達もいるほどです。

直接的な跡継ぎはいなかった「山吉醤油」。
偉大であった故に、自然とたくさんの人たちが動きました。
人の中で生きる蔵。
生命のバトン。

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