法科大学院の設置により,弁護士の数が増えたものの,弁護士の質も低下したという記事は,特に目新しいものでもなくなりました。

当職の意見を申し上げれば,私より期が上である弁護士であっても,訴訟法の知識に乏しいものと言わざるを得ない書面を作成する者は存在致しますので,必ずしも,法科大学院を卒業した弁護士の質が低いということではないはずです。

単に,合格者の数を増員したことにより,能力の幅が目立つようになったということなのだと思慮致しますが,受験者の数が減少しているにも拘らず,合格者の数を増員したままの現状では,能力の幅は拡大する一方なのかもしれません。

そして,当職は現在,比較的期浅の弁護士に対して裁判所が「宿題」と記した求釈明を行った訴訟手続の代理人に就任しておりますが,裁判所は司法研修所の教官ではない旨を指摘したいところです。

また,インターネット上では,堂々と記名の上,明らかに間違いの回答をしている弁護士の意見も,珍しくない有様です。

さらに,予備試験に合格して四大法律事務所に入所の上,パートナー弁護士になるまで残ることのできる精鋭を目指す方々は格別として,弁護士の経済的な基盤に関する見通しが暗い現状では,優れた能力を有する人材が司法試験を受験することなど期待できないというべきです。

当職も,司法試験の合格当時は優秀であったものと自負しておりますが,現

もっとも,国民には幸いなことに(大半の弁護士には残念なことに),検索エンジンの精度の向上及びAIの進化により,弁護士の意見を求めなくとも,正確な法律の解釈に接することができるようになる未来は,ものすごく近くまで来ているものと感じています。

もとより,地方裁判所の訴訟代理人及び弁護人には弁護士しか就任することができませんので,弁護士が不要であることには(当面は)ならないはずですが,弁護士に対する需要が大きく減少することは避けられない模様です。

天法律事務所
弁護士 人見 勝行
http://tenlawfirm.net