必ず儲かる外国為替証拠金取引(FX)の自動売買プログラムを提供するという商材があるようですが,そもそも,法人を設立すれば当国の業者と取引をしても高いレバレッジを利かせることができるわけですから、本当に儲かるプログラムであるならば自分だけで使うことで多大な利益を生じることができるはずであり,他人に提供するなど考えられない話というべきです。

そもそも,自動売買プログラムの運用には,カーブフィッティングとドローダウンの危険が常に生じています。

最初に,カーブフィッティングとは,自動売買プログラムを製作する過程において,過去の相場に合わせて良い成績が得られるように過剰な最適化をすることです。当然,過去の相場のデータを用いてカーブフィッティングの生じた自動売買プログラムをテストすれば,期待値の高い結果が得られることになります。

もとより,自動売買プログラムの作成は,過去の相場に合わせて最適なロジックを構成して,将来的に有効なシステムとする作業なのですが,仮に,過去の相場に合わせて良い成績が得られたとしても,将来的に良い成績が得られるとは限りません。
また,ある時期までは高い利益を生じていたとしても,何時,ロジックの優位性が失われるかは不透明です。

そこで,「カーブフィッティングが生じている可能性があるので,自分ではプログラムを使わないで他人に提供しよう」と,要は自らの危険を回避して他人に危険を押し付ける発想が生じることになるのです。

さらに,悪質な者は,「カーブフィッティングで最適化してあるので,過去の相場に当てはめれば莫大な利益を上げたように見えるから,必ず儲かるはずであると騙されてくれるだろう」と,最初から騙す意図で自動売買プログラムの提供を持ち掛けてきます。

次に,ドローダウンとは,下落幅のことです。ドローダウンの危険は,資産の総額と期待できる利益との関連で負う必要があるのですが,例えば,「マーチン型」と言われる自動売買プラグラムは,ナンピン取引を繰り返しながら薄利の利確をしているだけなので,相場が急変したときにドローダウンにより資産の全部を失う危険が大なのです。なお,「マーチン型」の自動売買プラグラムに関しても,相場が大きく動いていない過去の相場のデータに基づいてテストをすることにより,安定して利益が積み重なる外観を作出することが容易です。

確かに,当職の知人である個人投資家の中には,自動売買プログラムを用いて利益を積み重ねている者もおりますが,彼等は単に自動売買プログラムを動かしているだけではなく,相場を注視して分析し,プログラムで設定したパラメーターを変更したり裁量で決済注文を行うなど,素人が容易にできるわけではない作業を併せて行っているのです。もちろん,質問しても手法の詳細を教えてくれることはありません。

他人に儲かる話を教える馬鹿者はいない,大事なことなので重ねて申し上げます。

天法律事務所
弁護士 人見 勝行
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