CUBIUM

「CUBIUM / Hitomi Nishiyama Trio」
 キュービウム / 西山瞳トリオ

税込定価: 2,640円
品番: SOL JP-0003
レーベル: Spice of Life (アミューズ)
発売日: 2006年9月20日


西山 瞳 ピアノ Hitomi Nishiyama : piano
ハンス・バッケンロス ベース Hans Backenroth : bass
アンダーシュ・シェルベリ ドラムス Anders Kjellberg : drums

収録曲
01. Cubium
02. Call
03. All Of You
04. You're Not Alone
05. In The Night Watch
06. All The Things You Are
07. Simurgh
08. Bye For Now
09. Giraffe's Dance
10. My Own Secrets


2006年5月26、27日スウェディッシュレディオ、ストックホルム、スウェーデンにて録音


2005年横浜ジャズプロムナード・ジャズ・コンペティション優勝
比類の無い美しいメロディーと叙情味あふれるピアノの世界
大型新人西山瞳いよいよ待望のデビュー!


■「Cubium」 ライナーノーツ抜粋
日本人でエンリコからの影響を表明したり、演奏からそれを感じさせるピアニストは皆無であることを踏まえると、エンリコにインスパイアされて自身のピアノ・スタイルを築き、作曲のスキルもアップさせている西山のオリジナリティは、他の新世代日本人女性ピアニストには認められないものであることは明らかである。
20〜30代の日本人女性ピアニストが多数活躍するジャズ・シーンにあって、西山瞳は他の誰とも異なるオリジナリティを持っている。「人生で大きな影響を受けた音楽家に黒人アーティストはいないので、無理にアメリカのジャズをやろうとは全く思っていません」と語る西山は、これまでにはいなかった新しいタイプのピアニストだ。新たな門出となる本作の完成を、リスナーのみなさんと共に喜びたいと思う。
(杉田宏樹ライナーノーツより抜粋)


■HMVニュース記事 2006年8月14日付
「女エンリコ・西山瞳、イイ曲だらけで登場!」2006年8月14日 (月)
関西から横浜を席捲し、全国へ!“女エンリコ”西山瞳の新作『キュービウム』が「Spice Of Life」から登場。北欧の名手アンデシュ・シェルベリ(ds)、Sweet Jazz Trioのハンス・バッケンロス(b)が参加した怜悧なトリオ!美しすぎるメロディは聴くものを釘付けにする!
自主制作盤『I'm Missing You』が一部のファンの間で話題を呼んだ西山瞳。“女エンリコ”と欧州ピアノファンたちの間で隠れファンが多い。そんな西山が2005年「横浜ジャズ・プロムナード・ジャズ・コンペティション」で優勝し、一気に一般ジャズファンの前に姿を現すと共に、東京地区にライヴで凱旋を果たしたのは記憶に新しい。そうした知る人ぞ知るピアニスト、西山瞳が経験・キャリアを積んで、満を持しての登場作が本作となる。
今回は北欧の優れたミュージシャンを次々と紹介する「Spice of Life」からの登場。バックには、すでにピアノ・トリオ・ファンならお馴染みの北欧の名手、アンダシュ・シュルベリ(ds)が加わり、さらにSweetJazz Trioのメンバーとしても御なじみのHans Backenroth ハンス・バッケンロスのサポートを得た。総じて言えば、クール・ビューティの趣を湛えた西山にピッタリの人選となった。
今回は10曲中8曲がオリジナルといううれしい選曲で、「コンポーザーズ型ピアニスト」としての西山らしい展開を見せてくれた。2曲だけ収録された“All Of You”“All The Things You Are”という、作曲型ピアニストなら敬遠したくなるスタンダード2曲も見事に自家薬籠中のものに変身させてくれる。
しかし、なんと言っても西山の魅力は、その清楚な雰囲気を地で行ったオリジナル作品の「出来栄えだろう。本作でも冒頭のアルバム・タイトル曲の美し過ぎるメロディに続いて推薦するのは、ベースのバッケンロスが、バッキングでの貢献に加えて、抜群のセンスの冴えとベース本来の音色の素晴らしさを認識させてくれる#4。ハンスのソロに続いて出る西山のソロラインの美しさは聴く者に、時として涙を強要するだろう。#4こそは本作最高の「泣かせ曲」だ。自主制作盤を含めベスト・プレイは多言を要しないだろう。美しい!
そのほかのオリジナル曲も御大・エンリコを凌ぐ素晴らしい曲ばかりだ。今回の作品によって、西山は全国的な人気を得ると共に、彼女に続くピアニストたちによって「ピアノ・トリオ新時代」が築かれるだろう。


■レビュー

【Swing Journal 2006年10月号】
「欧州の香りが漂う新鋭女性ピアニストがデビュー」
2004年に自主制作した『アイム・ミッシング・ユー』が密かな人気を呼び、自己のトリオは翌年の横浜ジャズ・プロムナード・コンペティションでグランプリを獲得、その後もさまざまなクラブでファンを増やしてきた西山瞳が、今度はスウェーデンのトップ・ミュージシャンふたりを従えたトリオ作品を世に問うた。鮮やかなメジャー・デビューということになる。これまでの活動を通じて、彼女は”女エンリコ”と呼ばれるようになってきた。確かにそのピアノからは、エンリコ・ピエラヌンツィに似たメロディック・ラインやハーモニック・センスが感じられる。しかし、そればかりではなく、美しいタッチには欧州の香りが漂っているし、時折見せる力強いフレイズは迫力満点。それでいて、近頃では珍しいと言って良いと思うが、きわめて女性らしくもある。”女性らしい”などという言い方をしてしまうと、ご本人には失礼かもしれないけれど、本作全体に横溢する美しいメロディや繊細なハーモニーは、やはりそのように形容するしかないもののような気がする。全10曲中8曲が彼女自身のオリジナル。最初に聴いたときには、哀感の滲む美しいメロディが並んでいるだけだという印象を覚えるかもしれないが、和声構造や編曲はなかなか凝っていて、よく初対面のふたりが彼女についていけたと感心してしまう。ワルツ・タイムの4が美の極致。だがリズミックな9の迫力も捨てがたい。(大村幸則)

「横濱ジャズ・プロムナード・コンペティションの優勝ピアニスト」
関西を拠点に活動するピアニスト、西山瞳の本格的デビュー作。西山は、2004年に自主制作アルバム『アイム・ミッシング・ユー』を発表し、美しいメロディ・ラインに富んだオリジナル曲の演奏が、ヨーロッパ・ジャズのファンを中心に話題を呼んでいた。さらに、昨年の横濱ジャズ・プロムナード・コンペティションに自己のトリオで出場し、優勝の座を射止めるなど、今後の活躍が注目されていたミュージシャンの一人だ。
大学時代からプロ活動をしていたという西山は、エンリコ・ピエラヌンツィやビル・エバンスに系統し、彼らのスタイルからの影響が色濃く反映された演奏活動を展開してきた。全編をスウェーデンで録音したこの作品は、ヨーロッパ・ジャズの洗礼を受けた西山が、水を得た魚のように生き生きと演奏していることに、まず耳を弾かれる。タイトル曲の1から、透明感のあるメロディと、それをジャズとして昇華させる熱っぽさがブレンドされて響き、その実力のほどを思い知らされた。ベースとドラムスはスウェーデンのミュージシャンを排したが、そのコンビネーションも初顔合わせとは思えないほど。スタンダードの6も、定型にはまらない新鮮な響きだ。透き通るようなメロディが心地よいが、もちろん全てを見透かせるほど、西山の音楽性は浅はかではない。透明感の奥に、どんなソウルを秘めているのか。もっともっと、演奏を聴きたくなった。(佐藤大介)

【ジャズライフ 2006年10月号】
2005年横濱ジャズプロムナード・ジャズ・コンペティションで優勝した注目の若手ピアニスト西山瞳のデビュー作は、北欧の名手シェルベリとバッケンロスを迎えてのスウェーデン録音。エンリコ・ピエラヌンツィ(p)の影響を強く受けたと自ら言うように、ヨーロピアン・ジャズ・ピアノの流れを汲むスタイル。女性ピアニストはとかく「男勝り」なゴリゴリ感を売りにするタイプが多い中、西山はクールなタッチで美しいフレイズを積み重ねて独特のうねりを生み出す。そのプレイからは西山の「内に秘めた熱さ」を感じ取ることができる。3,6を除きすべてオリジナルで勝負しており、特に4の美しいメロディは格別である。

【ジャズ批評 2006年9月号「ピアノ・トリオvol.3」】
1stアルバムはミムラのベストセラーになった。お客様の自宅でもトリオで演奏をしてもらった。一同、瞳さんの世界にどっぷり。皆が待ちに待った2ndアルバム。すでに予約もたくさん頂いている。瞳さんのファンは多い。スウェーデンから帰国した翌日「ムチャムチャ愉しかったですよー。人柄はええしー。食べもんは美味しかったしー。」と寄ってきてくれた。前作よりジャズ色が強くなっている。一級のリズム隊がバックアップ、凄い勢いで迫ってくる。だが決して慌てることなく、いつもの瞳節で伸び伸びと演奏を楽しんでいる。ピアノがビシッと決まっている。たいしたもんだよ。4のエバンスに捧げられたオリジナル、いい曲だなあ。9月20日発売。(三村晃夫)