ベーシスト安ヵ川大樹さんとのデュオアルバム第2弾「Down By The Salley Gardens」、完成品が自宅に届きました。(発売は28日)
長く演奏している曲も書き下ろしの曲もありますが、一番時間をかけて、思い入れのある曲は、1曲目のPescadores(ペスカドーレ)です。
この曲は、去年のトリオCD「Sympathy」リリースツアー最終日の、ファツィオリショールームでのコンサートのアンコールで演奏した曲です。すごくシンプルな曲なのですが、ツアーの間中(GWから7月まで)ずっとこの曲のことを考えていました。
もっと難しい複雑な曲で、大きな編成で演奏する曲ならそれぐらいの期間は当然なのですが、どうやってこの歌を絶対にこのメロディー以外にないというところまで持っていくか、もう本当に正解がこれしかないというところまで突き詰めて考えようと思って、時間をかけて考えていました。
結果的に、ツアー最終日に間に合って、恒例の「コンサートのアンコール曲」(その日だけ演奏するスペシャルな曲として、その後、次の録音が出るまで演奏しない)として披露できたのですが、手前味噌ですが、この時の演奏がとても良かった。後日Music Birdの番組で放送して頂きましたが、私のiPodにはこの時の録音が残っていて、今聴いても、曲も、トリオとしても、良い演奏だと思います。その時の手応えが良くて、今回はコンサート後も、あちこちで演奏していました。
この曲を作って、自分自身がどこかもの凄くスッキリした部分がありました。
ほんと、Astrolabeに比べたら、考えた結果楽譜に書いたことなんて、ほんのちょっとです。演奏技術だって、弾くのにそんなに必要ないです。
常々、作曲も演奏も「(自分の中に)ある物しか出ない」と思っていますが、この曲に関しては、自分の今持っている「ある物」総動員してこのシンプルな曲に至った実感があって、技術とか音符のストックではない「ある物」が、以前よりも増えたのかな、と、ちょっとだけ思えるようになりました。
しかし、最初の演奏の時が、ミュージシャンも良かったのですがお客様の作る空気ももの凄く良くて、とにかく初演の時の印象が良かったんですよね。初演の時に、曲を最後に後押しして下さった皆様に感謝です。トリオでもまた演奏します。
タイトル「Pescadores」はパスタの名前ではなく、老人と海の映画版から、漁師という意味でつけています。