endometrioid carcinomaから

-10 years after- 卵巣ガン&人生のサバイバル?

卵巣欠落症

ようこそ!
シングル・キャンサーサバイバー&シングル介護&シングル・サバイバルライフのブログです。いつ死ぬかもしれない・・・と思いつつ生きてきた10年が過ぎて、完治?宣告を頂きました。こんなサバイバーもいるってことで、掲載を続けることに。余命が長くなったように、文章も長~いブログです^^

卵巣欠落症の発生機転とうつ病・・・・・卵巣がんとホルモン補充療法

 「卵巣欠落症状」は、両方の卵巣を摘出した後に発症する。
片方の卵巣のかけらでも残しておくと、ホルモンバランスの急激な変化が比較的少ないので、これらの症状は出にくいと言われる。

 一般女性の場合には、閉経に向かって、卵巣から放出されるエストロゲンとプロゲストロンという女性ホルモンがおだやかに減少してゆくのだけど、閉経期を迎えていない女性の体内から人工的に卵巣が摘出された場合には、突然これらのホルモンの放出が停止する。
 生体には恒常性を保つ偉大な能力が備わっているので、これらのホルモンの血中濃度が突然消滅したり、激減した場合、視床下部ではゴナントロピンという卵巣ホルモンの分泌を促すホルモンの分泌が強烈に分泌される。
 視床下部は、自律神経の調節中枢でもある。
故に、視床下部内でホルモンの霍乱状態が生じると、交感神経と副交感神経の働きも霍乱されるから、様々な心身症状が発症する。
 概略すると、卵巣や内分泌系の機能が老化していない状態の生体が、卵巣を失うと以上のような機転で、更年期症状様でそれ以上のコントロールしにくい卵巣欠落症状といわれる各種症状が発症するということになる。

 考えてみたら、自然な状態で卵巣が突然欠落するなんてことは、生物の進化の歴史の中では決して起こり得ない摩訶不思議な状態なんだから、元々心身が健康であって、ホルモン分泌における恒常性機能が高ければ高いほど、この欠落によって生じるホルモンバランスの霍乱状態は激しくなって当然なのだと思う。
 このあたりの機序を考えると、ホルモン系の恒常性の維持機能が衰弱するか、麻痺状態になって、卵巣ホルモンがなくなったことを生体が気にしない状態であれば、卵巣欠落症状の発生は無い訳で、先の記事の中でちょっと触れたように、心身全体の老化が進んでこれらのホルモンの恒常性の維持機能もより老化すれば、卵巣欠落の諸症状も消失するということになる。

 現在の私は、時折僅かにエストロゲンを補いながら、自分のこの生物的な老化?か新たなホルモン環境への適応を待っているという状況にある。


 さて、今回は、卵巣欠落に伴って発症するうつ病についても考察してみたい。
うつ病は、更年期障害の女性の25%に合併すると言われているから、卵巣欠落の場合のうつの合併はより多いと推測される。

 うつ病では、セロトニンやノルエビネフリンが不足していると報告されていて、臨床で用いられる抗うつ薬は、これたの神経伝達物質を調整する作用を持つ。
 エストロゲンは、シナップス後部の反応性やセロトニンレセプターの数を増加させ、中枢のセロトニン活性化を調節して、セロトニンアゴニストとして作用すると言われている。
つまり、エストロゲンはこのセロトニンや、他にはノルエビネフリンを介して、情緒や行動の面にも影響を与えていると考えられる。
 更年期障害の女性のうつ病の場合は、エストロゲン補充療法が功を奏する場合が多く、更に抗うつ薬との併用によってよりその効果は増すと報告されている。

 私自身の精神症状に関して言えば、薬理的には、卵巣ホルモンの欠落に加えてステロイドホルモンの大量投与や抗がん剤の影響の副作用や後遺症も相当に強く影響したように考えられる。
 また、心理的要因として、ガン患者の自殺者が一般人の1.5倍であることを鑑みても、ガンを罹患したという心理的ストレス、更には、それまで殊の外愛していた仕事を失なったこと、予後の各種体調不良と体力と気力の低下、その上に老母の介護の問題、将来的不安などなど、うつになるには充分以上のストレスが山積していたし、現在も更に心理的ストレスは増加傾向を辿っている。

 振り返れば、確かに私もうつ病に罹患していたし、現在もそれはあると思う。
病中にも発症したし、病後半年間は真面目にうつ病だったと思うし、昨年の冬までこの傾向は強かったと思う。また、今年の冬もさながら季節性うつ病のように、この傾向が発症したし、現在も、うつ状態は私の気分のベースにあると思う。

 ところが、以前、これらのうつ・所謂ブルーに関する記事を書いたように、私は、ずっとそのウツ病に嵌りきれずに嘯いている。

 この状態は、ガンの療養中という生活中でかなりのぐうたら生活を送っているから、抗うつ薬を常用しなければならない程の不便は感じていないと言えるのかもしれないし、何種類かの向精神薬を時と場合に応じて服用してコントロールしているのだけど、これらの薬を常用することで、薬にコントロールされるようになることを避けたいという、私自身の我が侭な気分があると思う。
 それに、私の場合は、向精神薬よりも、エストロゲンを1~2週間充分に補充すると、卵巣がんの治療以来の悩ましい多くの後遺症状が軽減することで、私が持つ一症状のうつ的気分は、本質的にうつ病としては捕らえがたいという自身の偏見がある。

 エストロゲンを充分に補充してみると卵巣欠落に関わる多くの症状が軽減することを経験している。
だから、QOLを最優先に考えれば、常にエストロゲンを補充する選択肢もありだと思う。

 しかし、卵巣がんを既往歴に持つヒトへのエストロゲン補充療法の問題は、万が一、どこかに目に見えない状態で卵巣がんの微細な転移があったとしたら、卵巣がん細胞の殆どがエストロゲンの受容体を持つことから、エストロゲンを補充することによってその成長が促される。おまけに、卵巣がんの再発には、何年経ったら大丈夫という期限がないことを鑑みると、どこかで生き残った卵巣がん細胞があるとしたら、それらは、他のがん細胞に比べて、より根強く長い年月を生き続ける能力を持っているようだ。
 もしも、万が一、卵巣がん細胞がどこかに残っていたなら、その成長が早くなる・・・つまり、現在私が維持している完解状態が短くなるし、進行が爆発的に早くなる。エストロゲンが補充されないことで、おとなしく眠り続けるか、干からびて死ぬはず?の僅かな卵巣がん細胞を元気付けてしまうかもしれないという問題が度外視できない。
また、エストロゲンの補充療法は、乳がんの発生率を高めることも知られている。
 反面で、エストロゲンの減少状態は、骨粗しょう症を発生させたり、大腸がんや認知症の発症を増加させる。

 卵巣がんの再発予防という視点からは、使わない方がよいという冷静な判断が先行する。
しかし、日々の体調管理という現実問題からは、使った方が断然楽だ。

 これらの観点から、卵巣がん既往歴のある私にとっては、エストロゲンの補充をどの程度行うかという点が、大変悩ましい。
 主治医に相談しながら、また、様々な論文や文献を参照しながら、葛藤を重ねた結果の私自身の選択としては、外出や重要な仕事や何らかの必要不可欠時には充分なエストロゲンを補充するのだけど、常用するのは不安なので、普段はできるだけ控えるようにしている。

 気がつけば、あと1年程で病後5年という年月に至る。
卵巣がんの再発リスクには5年という区切りはないのだけど、5年を契機として、そろそろ卵巣欠落症状には区切りをつけたいと思う。
この悩みには正解がないので余り深く考えない方がいいのだろうと思う。
 真剣に考えると、もしかしたら、この選択肢を選ぶのは、うつ病独特の稀死願望が働いているのかもしれなくも思えてきたりもする。

 過日、『笑う介護』という文庫本を読んだ。
「人は、その軽さと浅さで生きていける」という言葉を思い出した。
人生には物事を深く真剣に考えることが必要ではあるけど、余り真面目に考えすぎるとうつに嵌るような気がしてきた。



 
  

卵巣欠落症の一例・・・睡眠障害・睡眠時間の後退と昼夜逆転

 最近、ふと、「ホメオスターシス」という言葉を思い出した。
生体に備わっている恒常性の維持機能を言う。

 卵巣欠落症状とは、所謂更年期障害を何倍(何十倍?)かしたような不定愁訴に悩まされる症状であることを経験してきた。その中で、私が最も社会的に困難を感じたのは、頻発するホットフラッシュであったことは既に記述した。
 他の困難はつらつらと挙げるときりがないので割愛したいのだけど、私が経験している卵巣欠落症のもう一つの大きな困難を挙げるとすれば、睡眠障害だと思う。

 睡眠障害の発症は、最初、ホットフラッシュと相まって、「入眠障害」と、「レム睡眠毎の覚醒」というパターンで現れた。
人間は普通、約2時間ごとに、睡眠が浅くなるリズムを持っていて、この浅い眠りの時期(レム睡眠時)には、夢を見たりする。
 2時間毎、この睡眠が浅くなる時に、決まってホットフラッシュが発症し覚醒するという症状が続いた。現在は、コンスタンとレンドルミン、調子の良くない時は他の安定剤もプラスするか、若しくは、これらの薬に頼らない場合は、アルコールをちょっと摂取することで、睡眠が確保できるようになっている。
 学生時代以降、私は殆どアルコールを飲まなくなっていたので、最近試しに飲用していると、アルコールには、向精神薬以上の向精神作用があることが実感される。
私の場合は、缶ビールの135ミリリットルを飲むと、入眠障害に関しては、安定剤や睡眠薬が不要であることが判明したのだけど、入眠後4時間くらい経つと、レム睡眠時の覚醒が始まるので、アルコールより睡眠薬服用時の方が睡眠の質はよいと感じている。

 今思うと、入眠障害の発症機転は、自覚的には、ベッドに入ってリラックスしてネムネムモードに入った途端、巨大なホットフラッシュが襲ってくる・・・これが、とっても辛かったので、恐ろしくてなかなか入眠モードには入れない・・・という現実から始まったように感じていた。
 不思議なことに、私の入眠に襲い掛かる巨大なホットフラッシュやレム睡眠毎の覚醒は、入眠時間を遅らせ深夜から早朝に眠りにつくようにする程、症状が軽くなる。

 私の場合、病気の治療前の生活リズムは、長年、仕事の多忙もあって、午前2~3時頃に着床して、午前6時~8時に起床するというパターンであったのが、病院生活が中心となった約半年間は、午後10時頃に着床して午前7時頃に起床するという睡眠時間9時間のリズムに適応していた。
 その後、半年余りの寝たきり生活を経て、気がつくと、睡眠時間9時間を維持したまま、その時間帯の後退が確実に進んだ。放っておくと、午前5時~7時頃に入眠して、午後2~3時頃に起床するというパターンに。

 何故、このよう睡眠時間の後退が発症したのかを考えてみると、とても簡単な話になるのだけど、睡眠時間を後退させている方が、相対的に私の肉体にとって体調が楽だからだ。

 しかし、この昼夜逆転状態は、社会生活を営む上で、「健康マニア」の人達からの批判を買うこともある。
昼夜逆転は健康によくないと指摘されると、タイプCの私は真に受けるので、健康の維持に逆行しているのかしらと自省する所があって、これが悩みの種になった頃もあった。
 それに、現実的に、銀行の貸金庫が使える時間帯に起床時間が間に合わないという経済生活上致命的な問題を発生させたり、一般社会的な時間帯での仕事に甚だしい支障を来たしたり昼間にとらなければならない連絡に支障を来たす難儀も生じたので、病後1年くらいの時点から、何回か、恣意的に睡眠時間をもとに戻した時期もあった。
 だけど、7~8時起床に戻しても、結局、入眠できる時間が午前4時を過ぎる。早く入眠体制に入ると例のホットフラッシュに襲われるわ、レム睡眠毎の覚醒が顕著化するわで、気持ちのいい睡眠を取ることができず、ベッド上でもがく時間が増えることになる。
 おまけに、午前12時着床、8時起床のリズムに戻すと、私の体調は著しく阻害されて、所謂更年期障害で語られるところの頭痛・めまい・耳鳴り・ほてり・神経痛?・精神的不安的感まで伴ったフルコースの障害が発症する。これらの症状は、睡眠時間を後退させると明らかに軽度になる。

 睡眠時間の調整を何回か行ってみた結果の結論として、私の場合は、今までのところは、睡眠時間を後退させたリズムで生活する方が、卵巣欠落症状や様々な障害がかなり軽度に抑えられるというメリットがあることに気がついた。

 4年余り、この睡眠障害と付き合ってきた感想として、もしかしたら、この睡眠時間の後退は、一般的な健常者における睡眠障害の類ではなく、私自身が自分の新しい肉体環境に適応しての変化であるのかもしれないという実感がしている。

 卵巣欠落後、脳内には、エストロゲンやプロゲストロンの分泌を促進するゴナントロピンが急激に多く放出されるのだろう。その分泌を促すホルモンの分泌も促進される訳で、私の脳内では、ホルモンの大いなる霍乱状態が続いてきた。

 過日、それを抑制するホルモンがあることが近年明らかになった記事を読んだ。
http://www.waseda.jp/jp/opinion/2007/opinion256.html

 この論述を逆説的に読解することが間違いでないとすれば、私自身の肉体は、こうした脳内ホルモンの状態によって、昼間に活動するより、夜間に活動することが私という生命の一個体にとっては健康を維持する上で有効であるが故の適応なのではないだろうか?という発見に近い感銘を覚えた。

 同病で、私よりステージが1ランク高かった患者さんで、現在まで私と同様に完解状態を維持されている知人も、私と同様に、昼夜逆転が生じていると聞く。彼女の場合は、療養をサポートする家族がおられるので、この昼夜逆転によって被る社会的難儀はなく、深夜の時間帯を有効活用して芸術活動をされながら、悠々自適に暮らしておられる。

 もしかしたら、人間の肉体というものは、それぞれに異なる個体の状況に応じて、我知らずのうちにその個体と環境に適応して生命を維持するための様々な能力を働かせてくれているものなのかもしれないという不思議を感じる今日この頃。
春の訪れと一緒に、今年こそ、もうそろそろ私の脳内ホルモンの霍乱も小康状態になってくれることを祈ります。


 




 



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