2006年06月08日

湯けむりスナイパー〜リバーエッジ大川端探偵事務所

dc6c6d9d.jpgえー、どうでもいい話です。
湯けむりスナイパー」という漫画が好きです。
ってのは何回か書いてますが、5年前くらいに友人のHPにヒマつぶしに
↓、こんなのも書いてました。

【面白え漫画見っけ!!
漫画サンデー連載の「湯けむりスナイパ―」(作・ひじかた憂峰 画・松森正)。
とある秘境の温泉宿で働く中年男・源さんの目を通して描かれる様々な出来事や人間模様。しかしこの源さんはかつて凄腕のスナイパ―(殺し屋)だったのだ。
と、これだけの説明では「なんじゃ、そりゃ?」であろう。ところがどっこい実際読んでも「なんじゃ、こりゃ?」なのである。しかし読後感にただよう妙な胸騒ぎ、懐かしい思い、癒された感じがこの漫画の魔力である。
いや、俺も毎週欠かさず読んでたわけじゃないのよ。
五年前くらいから連載してたと思うんだけど「漫サン」なんてコンビニにもあんまり置いてないじゃない。雀荘とかショボい喫茶店とかに置いてあると思い出したように読んでたわけ。野田と飲んだときによくする漫画談義にも登場しないくらいだったの。
で、この間ある漫画家のホームページにこの漫画を絶賛するコメントが載っていて、思いきって全6巻買ったの。近所の本屋に注文して。
で、一気に読破。読んでる途中でわかりました。
原作の「ひじかた憂峰」なる人物は「狩撫麻礼」です。確信して言えます。
たしかあの、いましろたかしとの「タコポン」を最後に引退宣言したはずでしたが絶対に絶対に狩撫です。画を描いてる松森正とは20年前に「ライブマシーン」で組んでるし。6巻にこんな話があるのよ。ある芸者の若いコとカラオケに行くはめになってしまった源さん。源さんは人前では歌は歌えない(これでもう充分狩撫ワールド)。だがそのコが歌う椎名林檎の歌に感動してしまう。「これは、女の殺し屋の歌だ!」。そして帰り道すがら一人源さんは思う。「俺もいつか人前であんな歌を歌いたい」
ね!狩撫でしょ。狩撫テイストの漫画ってたまにあるんだけどどれもこれも詰めが甘いっちゅーか、なんかズレててさあ、ダメダメなんだよね。でもさすが本家は違うよ。椎名林檎に「女の殺し屋」って言えるセンス。脱帽です。】

でまあ↑の漫画家ってのはあの江口寿史さんで、このあと江口さんと仕事を通じて知り合い、何度か飲んだ時も必ずこの「湯けむり〜」の話になるほど江口さんも俺もこの漫画にはまってました。実際江口さんは狩撫さんと組んでアクションで連載を始めるのですが、単行本になる前にオチました。ま、それは別のお話です。
「湯けむり〜」はその後16巻まで出て、PART2が2巻出て一応完結しました。
韓国で映画化されてカンヌで賞を取った「オールドボーイ」で一時再評価された狩撫さんでしたが、「ボーダー」以降の最高傑作はやはりこの「湯けむりスナイパー」です。

でまあなんでこんなとこを書いてるかといいますと
なんと今週の「やりすぎコージー」がこの「湯けむりスナイパー」を取り上げるらしいのですよ。
東野は漫画評の連載持ってたり、NHKのマンガ夜話にゲストで呼ばれるくらいのマンガ通なので、この傑作に注目していてもなんの不思議も無いのですが、しかし番組でがっつり取り上げるとはなあ。やっぱりすげえよ「やりすぎコージー」。

んー、でもちょっと不安でもあるのです。
ひょっとしたら東野がこの「湯けむりスナイパー」を揚げ足取りのスタンスで語ってしまうのではないかと。確かに俺も前に書いたようにこのマンガは「なんじゃそりゃ!」要素で溢れかえっている。が、その奥にあるなんともいえぬ魅力、それはマンガ読みとして「狩撫ワールド」を 通じて読めばその魅力はますます深みを増すものなのです。東野は知っているだろうか?
●主人公源さん、謎の人物Qはかつて狩撫が松森正と組んだ「ライブマシーン」で登場していたサブキャラの焼き直しである。「ライブマシーン」内での源さんは原典明という名の殺し屋で、Qは謎の華僑。物語は終盤崩壊し、殺し屋・原は理不尽な死を遂げる。いや、当時の狩撫の中では理不尽ではなかったのだろう。この頃の狩撫は物語を終結できない原作者であった。当時谷口ジローと組んだ’70後半〜’80年代初頭の狩撫の代表作「青の戦士」「ナックルウォーズ」「ライブ!オデッセイ」は勢いやテンション、無理やりな説得力で一見壮大なカタルシスの中で物語を終結させているように見えるがいかんせん自分(狩撫)のメッセージが前に出過ぎている。いやまあそれこそが狩撫最大の魅力でもあるのだが。で、想像するに狩撫は「ライブマシーン」における原(湯けむりでは源さん)の「終わらせ方」に後悔をしていたのではないだろうか?「ライブマシーン」内では主人公・礼二よりもよほど魅力的に描かれていた原に対して狩撫は「産みの親」としての申し訳ない気持ちがずーっとあったのではないだろうか?だからこそ「湯けむりスナイパー」で、原を源さんとして復活させたのではないだろうか?●とまあこれは俺の勝手な気狂い妄想であるが、「湯けむり〜」を語るならば最低限「ライブマシーン」の話から初めてもらいたいのだよ!俺は!!
長えぞ!俺に「湯けむりスナイパー」を語らせると。


まだ書くぞ。
この「湯けむりスナイパー」は先ごろパート2の花鳥風月篇をもって終了したのだが
(またしても狩撫は源さんを終わらせることはできなかった、個人的にはそう思う。ラストエピソードはまたしても不完全燃焼であった)なんと驚いたことに狩撫・松森コンビは、源さん・番頭さん・君ちゃんのキャラクターをそのままでまったく別作品を作り始めた。「漫画ゴラク」で始まった「リバーエッジ・大川端探偵事務所」である。おそらく不定期連載で、まだ一回しか掲載されてないが、狩撫お得意の探偵モノで主人公が源さんとくれば面白くないはずがない。狩撫’80年代後期の傑作「ハード&ルーズ」の熟成版と言えば伝わるだろうか?伝わらねえよ。
漫画におけるスターシステムといえば手塚作品が有名であるが、あれはあくまでも脇役に限ったことであって、狩撫−源さんのスターシステムは漫画史上でも相当珍しいことなのではないでしょうか?

とにかく東野!頼むぞ!このくらいは語ってくれ!!
ってか、俺にも語らせろ!「湯けむりスナイパー」を!!
ってかみんな読め!俺に映像化させろ!!

えー、ここまで読んでいただいた方々、おつかれさまでした。
キチガイの独り言と思ってすっぱり忘れてください。
でもヒマがあったら読んでみてください。
ウィッス!!

Posted by hitoshione at 13:42