2009年11月02日

冬隣

★★★★★ちあき


昨日は、某ドラマの続編決定祝い的な飲み。
テレビ局のプロデューサー氏、主演俳優氏、マネージャー氏、クレッシェンド赤羽Pらと六本木の豚鍋屋で。
終わったのが23時頃で外に出ると土砂降りの雨。
みなさん三々五々帰ってゆく中で自転車で来てしまったオレだけ途方に暮れる。
赤羽Pも「自転車は置いてタクシー乗ってください、はいこれタクシー券です」
などと優しい言葉をかけてくれることもなく
「天気予報見てないからですよ、じゃ、気をつけて」
と、一人タクシーでさっさと帰ってしまった。
10分くらい店の軒下で雨宿りをしていたが一向に降り止む気配が無いので
思い切って走り出す。
が、走り出した途端坂道でスリップしそうになり、おまけに走ったら走ったで予想以上に雨量であっという間に全身ビチャビチャ。わずか1分。
こりゃいかんと六本木トンネルと星条旗通りを交差するガード下で雨宿り。
まいったなあと、携帯で雨雲レーダーなど調べるが1時過ぎまで降り止まないとのこと。しかも本気で寒い。
まあ家に帰るだけなのど思い切ってもう一度走り出そうとすると周囲に湯気が立ち込めた。
「ん?」と辺りを見るとガード下の隅っこの暗がりでホームレスさんが鍋を作っていた。携帯コンロに載せた小ぶりの鍋に具材をガシガシと入れてらっしゃる。
コンロの横にはまな板も包丁もあり、調味料もいくつか並んでいた。
暗くてよく見えなかったが、豆腐・白菜・葱・豚肉は確認できた。
ホームレス氏は鍋にお銚子も漬けてた。
しばらくそこで雨宿りをしつつ携帯メールしてるふりをしながら
ホームレス鍋を見物していたのだが、その鍋はなんだかとても美味しそうで
さっきまでヌクヌクとした店で「こちら○○産、こちらは○○産、こちらは○○産の豚でございます」なんてスカした店員の説明を受けながらオレが食べた鍋と比べてどっちが料理として豊かなんだろう?
ひょっとしたらあのホームレスは長年の流浪生活でオリジナルの料理術をマスターしていて、あの鍋もとんでもなく美味いんじゃ・・・と、初期「美味しんぼ」のエピソードみたいなことを考えてしまったがそんなわけねーよ。
湯気、変な匂いしてたもん。
まあそれにしても冷たい秋雨が降り灌ぐ夜、六本木トンネルガード下で、ホームレスが鍋&日本酒、漂う湯気の先に霞む六本木ヒルズ。
思わず一句詠みたくなるような味わい深いシチュエーションだった。
情報量が多過ぎてとても五七五には納まらんが。
ホームレス氏の厭世に至るまでにどんな出来事や物語があったのだろうと一瞬思いを馳せてみましたがホームレス氏、鍋食い終わったら汁をそのへんにジャバーっと捨ててお銚子をグイ飲みして毛布にくるまってさっさと寝てました。屁もこいてました。
【マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや】
とはどうやら違うみたいでした。

結局1時間ほどそこで雨宿りして小降りになったのでオレもさっさと帰りました。小降りとはいえグチャグチャのビチョビチョになりました。

家に帰ると体が芯から冷え切っていたので、いいちこのお湯割りをグイ飲みしまいた。

もうすぐ冬ですね。


「お湯割りの焼酎」から「地球の夜更け」へのジャンプにまったく無理がない
奇跡のように美しい歌。
あのホームレス氏にもこんな「冬隣」のような物語があったらいいな、と思った。
だからねーよ。



Posted by hitoshione at 17:45