2010年01月22日

インビクタス〜負けざる者たち〜

試写でクリント・イーストウッド最新監督作「インビクタス」を観た。

「映画はその国の父性の象徴である」
とは誰の言葉かは忘れたが、イーストウッドの前作「グラントリノ」は
まさにその言葉をそのまま当てはめたような
現代アメリカの凋落〜CHANGEに向けて何が必要かを説く良き父性の映画だった。
「グラントリノ」で「さあアメリカよ・・・」と語りかけたクリント・イーストウッドが今回は「さて世界よ・・・」と語りかける。
それが「インビクタス〜負けざる者たち」だ。
クリント・イーストウッドはもはやアメリカだけではなく世界の父親なのかもしれない。
そしてちょっと怖いクリントの横にはモーガン・フリーマンが優しい顔で微笑んでいる。
マット・デイモン率いるラグビーチームは俺たち観客代表だ。
そのあまりに理想に満ち過ぎた非現実的な机上の空論どころでない
言葉を、初めのうちは懐疑的に聴いているが
小さな行動を積み重ねてゆくことで小さな現実になってゆく。
そして繰り返される言葉「私が我が運命の支配者 我が魂の指揮官」
が、一人一人の魂に根付いたとき、奇跡が起こる。

と、書けば説教臭そうないかにも男目線の映画と思われそうだが
何よりこの映画が凄いのは↑のようなことが必要最低限の言葉と演出で
極上の大エンタテイメントになっていることだ。

壮大なテーマとドラマが序盤意外とサクサク進んでゆくので
クライマックスに感情移入できるか途中不安になったのだが
クライマックス直前のあまりにも見事なスパイス的な演出で心が鷲摑みにされ、
顔面が震えて涙が溢れ出て、それ以降はスクリーンの中の観客たちと同じ気持ちで座席から立ち上がって観たくなった。
ギャーギャー叫びながら観たくなった。
もちろん心の中では思いっきり叫んでいた。

試写だったので終わってからみんな静かに帰っていったが
おそらく全員が心の拍手を送っていたに違いない。

あとほんと普通に、映画ってすげえな!!!と思った。

あと、オレの前に辛口で評判の某批評家(但しものすごく正しい人)がいたのだが
エンディングの時にチラリと見るとものすごい勢いで涙を拭っていた。
それに釣られてオレもさらに泣いてしまった。

最近そこらじゅうで聞く「アバター観た?」は決して「観なきゃダメだよ!」にはならんが「インビクタス観た?」は必ず「ぜってえ観ろ!今すぐ観ろ!そんで絶対に映画館で観ろ!!」になる。

あ〜、幸せ。

Posted by hitoshione at 19:24