2010年01月26日

その街のこども、秀吾岡宗のすべらない阪神淡路大震災話。

昨日家に帰って日曜日に録画しておいた
NHK「阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ〜その街のこども〜」
を観た。
放送日時が微妙だったのでそれほど多くの人に観られていないドラマかもしれないが
これが素晴らしい出来だった。
とかく悲劇や感動で語りがちな題材だし、実際今年は区切りの良い(区切りもなにも
あったものではないが)あれから15年ということもあってか
例年より色んなメディアで阪神淡路大震災のことが語られたりドラマになったりしたがやはりどれもステレオタイプな悲劇・感動エピソードで括られたものが多かったと思う。
そんな中、このドラマはおそらく主役・森山未来君の実体験に基づいていると
思うのだが「そら傷ついたり死んだり生きる希望をなくした人たちはたくさんいたけれども、実際の現場はそればっかりではなかったよ、むしろ俺、楽しんでたもん、楽しんでたって言うとみんな不謹慎に思うかもしれないけどほんとそうだったんだよ、メッチャ面白いこともたくさんあったよ」という目線で語られていて(そればかりではもちろんないが)新鮮だった。新鮮だったというか、むしろ僕らが長年知らずにいたあの震災の真実=人の数だけある物語、だった。
【2010年1月16日、「明日は震災の日か……」と脳裏をかすめる中田勇治(森山未來)。出張のために新幹線で広島へ向かう途中、新神戸へ下車してしまう。そんな時、偶然ホームで知り合ったのが大村美夏(佐藤江梨子)だった。
美夏は東遊園地で行われる追悼のつどいに行きたいが、「決心が付かず、怖い」と勇治に打ち明ける。今は東京に暮らす二人には誰にも言えず、抱え続けてきた震災の記憶があった。】

こんなカンジで始まったドラマだが、震災をテーマにしていてなおかつ実際のリアルな映像も膨大にあるのにも関わらずそれらは最低限以下しか出さずひたすらに二人の若者が語る震災の思い出〜そしてそれが今の自分にどう影響しているか〜を通じて15年前の出来事を炙り出してゆく。駅で出会い、歩き、居酒屋で酒を飲み、ケンカをし、歩き、泣き、笑い、思い出し、分かり合い、そして別れる。素晴らしいのはその過程をロードムービー&セミドキュメンタリーで見せてゆく演出及び撮影の妙。役者がカメラの前でセリフを喋ってはいるのだが、その見せ方があまりにも生々しく、かといってドキュメンタリーではなく絶妙なカメラワークや照明や録音で作りこんでいるので途中からテレビの電波を通じて何を見せられているのかわからなくなる。
その典型的なシーン。

一応仕事でもあるのでドラマでも映画でも「どうやって撮ったか」というクエッションは大抵その答えが出るのだが(ここからここまではセリフであとはアドリブとか、何度か長廻ししてあとは編集と音処理とか)↑のシーンは演出と撮影技術と演者がそれぞれ何をどう狙ってこういう結果が出たのかわからない。大雑把にはもちろんわかるのだが、細かい、本当に細かい部分の奇跡が多すぎるのだ。普通に観ているぶんには分からないかもしれないがこのシーンは本当に手が込んでいる。
ユーチューブには↑のシーンしかなかったので説明が乏しくなるが、このドラマはファーストシーンからラストシーンまでの全てのシーンがこのような奇跡の積み重ねでできていた。
阪神淡路大震災という大きなテーマを扱っていながら、ドラマとしてこのような、人に伝わりづらい切り口で攻めたNHKはやはりすごいと思う。
居酒屋で二人で酒飲んで煙草を吸いながら
「地震で学校なくなってラッキーやな、みたいな、ハハハ」「アハハハ」
森山君もサトエリも震災体験者。
ものすごく強いドラマだった。
たぶん近々再放送もあると思うので見逃した方は是非!!

そしてオレがなぜこの切り口に同調できるかというと
それはテレビマンズの盟友・岡宗秀吾が震災体験者であり
当時のリアルな現場の話を何度も聞いているからだ。
それはもちろん悲惨な状況も多々あったがそれを超える楽しい出来事
笑えるエピソードに溢れており、むしろそれがあったからこそ
乗り越えられたという、一方通行のメディアに騙されていたオレにとっては
目から鱗が落ちまくりの話だ。
40年の人生で、仕事柄色んな人のすべらない話は聞いてきたが
岡宗くんの震災体験談はその中で珠玉の、ほんとうに人生で一番面白かった話だ。
すべらない話なんか目じゃない、笑いと涙と愛と間抜けとエロと生命に満ちている。
オレだけに留めておくにはもったいないほど面白いので
色んな場所で色んな人に岡宗くんに話してもらっているのだが何度聞いても面白い。
↓は2年前にやったイベントの時の録音CD−R。オレはこの話を都合10回くらい聞いてきたが大勢の人前ってこともあってかこの日が一番クオリティが高かった。
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物語としてもよくできていて
なにしろ震災が起こった朝5時46分、そのとき岡宗くんはラブホテルで3Pをしていたというところから始まるのだ。
以下「ラブホテルの金は払わなかった」「女の子を家に送り届け、さっきまで3Pセックスしていた子の両親と対面」「気分はAKIRA&マッドマックス」「山口組の炊き出しの美味さ」「震災カップル」「3日後には風俗店が営業再開」「ボーイスカウトの経験が初めて役に立った」「瓦礫の中、ジャイアント馬場が歩いてきた」「こんな状況でも女の子はオシャレを気にする」「この年の年末に産まれた子がメッチャ多い」などなど爆笑エピソードの連続。
不謹慎と思われても仕方がない。
が、実際に被災者の岡宗くんの口からこれらの話を聞くと
人間ってすげえな!!
とも思えるのだ。
いつもは笑いのトップ部分だけチョイスして話してくれるのだがこのイベントの時は
女の子のお客さんも多かったので、モテようとでもしたのか岡宗くんは最後にちょっとカッコ良いことを言っていた。以下、耳コピ。
「今日一番話したかったことなんですけど・・・大人になって、他人を見るときに年収とか見た目とか可愛いかとかそんなことが人の価値基準になったりしがちじゃないすか。それ全然関係ないからな!ってのがわかったんですよ、震災で。そんなん一発で崩れるしそうなったらみんな一緒に力合わせるしかないんですよ。震災の特番とか1月17日近辺になるとたくさんやるじゃないですか。そら悲惨な状況や死体も僕もたくさん見ました。でもテレビやメディアはね、そこ全部感動の話にもってくじゃないですか。でも現場で僕らが感じていたことっていうのは、笑い声があちこちでめちゃくちゃ起こるし、なんやそれ!みたいな爆笑エピソードが山ほど起きるんですよマジで。みんなゲラゲラ笑ってるんすよ、身内が死んだ人でも誰でも。そのこといわんかったらね、Xデーだなんだって東京に大地震来たら大変みたいなね、怖いだけやんと!どうしよう、なんとか自分や家族だけは生きたいみたいなことじゃなくてね、ドンマイ!と。悲惨なことになるよそれは。でもそれはしゃあないやん、天災なんだから誰も悪くねえし。それよりその悲惨を乗り越えるには笑うこと、笑える力ってメッチャ大事やぞ!と。それまで嫌ってた人とかまったく知らん人と笑いを共有するってすごいパワーになるんですよ。最後に勝つのは笑いとユーモアやぞ!ってね、そういうことをね、あの震災に関しては誰かそろそろちゃんと言わなあかんぞと思うんですよ」
ほんとそう思う。
どうすか?みなさん。
ちなみに「その街のこども」の視聴率は3.3%。
↑のイベントの客は100人くらい。
オレらの考え方ってマイノリティですかね?
オレたちテレビマンズはこの震災爆笑話の映像化をマジで狙ってますよ。
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こんなもん作る金あるんだったらオレたちにくれ!!

Posted by hitoshione at 19:46