私の好きな本、おすすめ本H.P.作者のつれづれ日記

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私の読んだ本で、心にグット来た本を紹介する、読書日記のブログです

プロフィール:始めまして、50代の男の会社員です。
理系で、電子機器メーカで、長らくエンジニアをしていました。
しかし学生時代の得意科目は、数学と現国と古文と漢文と世界史でした。
なぜ理系に行ったんだ(笑)
今は品質管理の仕事をしています。
小説が好きで、すぐれた小説を見つける眼力には自信を持っています。
本ブログは、読んだ本で、面白かったと思った本、心にグットきた本のみ
紹介しているので、ブログの更新頻度は、多くないです。
読んでも、つまらなくて紹介しない本は多いです。
でも、紹介している本は、面白いと思います、よろしければ、ご覧ください。

時間をやりくりして、本ブログと、好きな本紹介のホームページ作成と
好きな本を紹介するメルマガを発行しています。
私の好きな本おすすめ本のホームページよろしければこちらもご覧ください。
子供の頃から、本を読むのが好きです。
小学校の時に読んだ、「飛ぶ教室」「くまのプーさん」「三銃士」等、
本当に面白かったです。
私が自信をもっておすすめする小学生へのおすすめ本はこちらです。
高校生に自信を持っておすすめする海外の名作はこちらです。
観劇も好きです。おすすめの観劇会はこちらです。
今でも本中毒で、3冊ぐらいの本を並行して読んでいます。
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つまをめとらば
青山 文平
文藝春秋
2015-07-08



[つまをめとらば:青山文平:文芸春秋]

武士が主人公の短編が6編入っています。
どれも面白いです。

つまをめとらばを紹介します。

[つまをめとらば]
主人公は深堀省吾です。56才です。
もとは作事下奉行の役の武士でしたが、
今は家督を息子にゆずり、
隠居してますが、戯作を書いています。

幼馴染の山脇貞次郎が屋敷の庭にある
家作を貸してほしいと言います。
貞次郎も56才、隠居しながら貸本屋を
しているとの事です。

貞次郎は貸してもらった家で所帯を持つつもりだと
言いますが、女性が来る気配は有りません。

省吾は3回結婚しました。
最初の妻は子供が病死したショックから浪費する
ようになって、病死しました。
後に借金が残りました。
2番目の妻は結婚して1週間で実家に帰り、
そして離婚することになりました。
3番目の妻は不義密通をしたので、
離縁しました。
今は一人です。
戯作を書いて、借金を返しています。

以前、省吾の屋敷に佐世という20才の娘が
下女奉公に来ていました。
罪のない童女のような顔を、
罪ではちきれそうな躰の上に乗せている
女性でした。
佐世と中間の弥吉が心中をしました。
弥吉は死にましたが、佐世はほとんど
無傷でした。
省吾は佐世を罪に問わず、奉公を解いて、
在方に返しました。

佐世が江戸にいて、貞次郎と心中を図ったという
噂を聞きます。
屋敷内の出来事だったので、
なかったものとして始末されたという
噂です。
省吾は噂の真偽を確かめませんでした。

屋敷と離れに暮らす省吾と貞次郎の暮らしは
心を平和な幸せに満たすものでした。

貞次郎の結婚相手は来るのでしょうか。
省吾はもしかするとその相手は佐世ではないかと
思っています。

貞次郎が省吾に言います。
「お前は諦めがよい、というよりも、
揉め事がいやなのかもしれん。
というよりも、穏やかなのが好きなのだろう」
「言われてみれば、たしかにそのようだ。
事なかれ、ということだな」

省吾は思った。
穏やかな晩年を過ごすのに、女の助けを
借りなければならない、ということも
なさそうだった。
それに貞次郎との二人暮らしの日が重なるに
つれて、省吾も、自分がなにを一番欲して
いたのかに気づいていった。
それは、つまり貞次郎が言った、平穏だった。

三人の妻といるときは、平穏とは無縁だった。
常に、彼女たちなりの正しさに、
付き合わなければならなかった。
なにしろ彼女たちは、まちがっていないのであう。

爺二人の平穏な暮らしが描かれていますが、
女性はいつも自分が正しいと思っているとも
描かれています。
妻と暮らすときは、平穏とは無縁なのです。
女に苦労した省吾と、女と心中したという噂のある
貞次郎の平穏な暮らしが描かれています。
貞次郎の結婚相手は来るのでしょうか?
それは佐世なのでしょうか?


平易な文章に人生の深い味わいがある、
面白い小説です。
職人技の小説、そういう風に思いました。
女性と暮らすと、彼女なりの正しさに同意する
必要が有るので、疲れますよね。





     

孤独な娘 (岩波文庫)
ナサニエル・ウェスト
岩波書店
2013-05-17



[孤独な娘:ナサニエル・ウェスト:岩波文庫]

主人公の孤独な娘は、新聞社の記者の、
独身の男です。

新聞社に来る、人生相談の回答を担当しています。

編集主幹のシュライクは、新聞の発行部数を増やすような
回答をしろと、孤独な娘に言います。
人生相談の内容はまじめで深刻なものが多いです。
孤独な娘は、回答を書くのが苦痛になってきました。

孤独な娘は、ベティという女性と付き合っています。
孤独な娘はベティに求婚して、ベティは承諾しました。
しかし、孤独な娘の精神状態が悪いために、二人の
関係はぎくしゃくしています。

孤独な娘は女が必要だと思います。
シュライクの妻のメアリを誘います。
浮気が成功するかと思われましたが、
失敗に終わります。

人生相談をしてきたドイル夫人と孤独な娘は
会います。
ドイル夫人の夫は、びっこで年上の小男です。
夫にすごく不満が有ります。
ドイル夫人の方から誘ってきて、二人は関係します。
二人の関係はどうなるのでしょうか?

孤独な娘の根源的な悩みは、キリストを信じたいが、
信じることができないと言うことです。
キリストを信じることができれば、聖書に書いてある、
清い行いを読者に進めることができるのですが。

孤独な娘はどこに向かって進んで行くのでしょうか?

孤独な娘様。
ぼくは15、グレシーは13です。
妹のグレシーはおしでつんぼです。
妹が屋上で遊んでいると、ある男が
屋上にやってきて、妹にきたならしいことをしました。
妹からその話をきいたのですが、
どうしたらよいかわからないのです。
妹がぶたれるのじゃないかと思うと、
ママにも打ち明けられません。
グレシーがにんしんするのじゃないか、心配なので、
ゆうべ、赤ん坊の音が聞こえるかどうかをさぐろうと
妹のおなかに耳をあててたのですが、
聞こえませんでした。
ぼくがママに話をすれば、妹はひどくぶたれるでしょう。
グレシーを愛しているのは、僕だけなのです。
どうすればよいか、教えてください。


孤独な娘は、さまざまのものが形づくっているこの黒い世界を
魚のようだと考える。
そして彼は正しかったのだ。
なぜなら、黒い世界はとつぜん飛びあがって、
壁の上のきらきら輝く餌に向かうのだから。
水音のような音楽とともに、それは飛びあがる。
そして彼は黒い世界の、銀色に光る腹を見る。
キリストはいのちであり、光である。
「キリスト、キリスト」この叫びは彼の肉体の、内奥の
小部屋にこだまする。
彼の心は一つの薔薇である。
そして彼の脳のなかにもう一つの
薔薇が花ひらく。

人生相談にまじめに回答しようとして、
行き詰まっていく、孤独な娘。
浮気をしても、心は晴れません。
キリストを信じることさえできれば、
救われるのですが、それが難しい。
彼はどこに行くのでしょうか?

とても面白い小説です。
1930年代のアメリカの小説ですが、
内容は古びていません。
現代の問題を描いています。
宗教と生活が密着していない日本人には、
少しわかりにくいところが有るとは思いますが。

シュライクは言います。
慰めのない砂漠のような人生を人はさまよう。
すべては荒廃と魂の苦悩である。
神こそは、われわれの唯一の逃避の場所なのだ。
ぼくたちの希望は教会だけ。
ぼくたちはそこで、神を、堕落から守ってくれる者として
あがめたてまつる。
どうすれば信仰を持てるのでしょう?
面白い小説です。良ければ読んでみてください。



     

容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋
2008-08-05



[容疑者Xの献身:東野圭吾:文春文庫]

花岡靖子と娘の美里は、靖子が離婚した
元夫の富樫を首をしめて、殺害してしまう。
富樫がお金をせびりに来て、暴力をふるったので、
自衛のためにやったのだ。
隣室に住んでいる男の石神は、
その出来事に気がつき、やってくる。

石神は高校の数学教師だ。
前から靖子に思いを寄せている。
靖子達に自首する気持ちが無いことを
知ると、靖子達のアリバイ工作を
かってでる。

江戸川の堤防で、顔をつぶされ、手を焼かれて
指紋が無い男の死体が発見された。
男は富樫であることがわかった。

刑事の草薙が捜査を開始する。
帝都大学の物理学の准教授の湯川は、
いつも草薙の捜査の相談にのっている。

容疑者の可能性が有る人物として
花岡靖子の名前があがる。
しかし靖子と美里にはありばいがある。

靖子の隣の部屋に住んでいる石神は、
帝都大学で湯川と同級だった男だという事がわかる。
湯川は物理学の天才、石神は数学の天才として、
お互いに認め合った仲だった。
その二人が再会したが、壮絶な頭脳戦が
展開される。

湯川は犯人を推理する事ができるのか、それとも
石神が靖子と美里を守りきるのか?
石神は考えられない行動を行う。

靖子に思いをよせる工藤という男も現れて、
事態は一層混沌としてくる。

石神は言った。
「以前おまえにこういう問題を出されたことがある。
人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのでは、
どちらが難しいかー覚えているか」
湯川が言った。
「覚えている。僕の答えは、問題を作るほうが
難しい、だ。解答者は、常に出題者に対して
経緯を払わねばと思っている」

私は純文学ファンで、純文学を中心に読んできました。
最近ミステリーを読んで、その面白さに気がつきました。
「容疑者Xの献身」は、おもしろいストーリーで
読みやすい文章、知恵くらべの面白さと
あっと驚くどんでん返しがあります。
本当に面白いミステリー小説です。おすすめです。

湯川は言います。
「凡人が隠蔽工作を複雑にやろうとすると、
その複雑さゆえに墓穴を掘る。
ところが天才はそんなことはしない。
極めて単純な、だけど常人には思いつかない
常人なら絶対に選ばない方法を選ぶことで、
問題を一気に複雑化させる」

あなたは見破れますか


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幽 花腐し (講談社文芸文庫)
松浦 寿輝
講談社
2017-01-11


[花腐し:松浦寿輝:講談社文芸文庫]
主人公は46才の男の栩谷です。
大学時代の友人とデザイン会社を作りましたが、
友人が借金を作り、夜逃げしたので、
会社は倒産して、破産しそうです。

古いアパートの立ち退きを伊関という男が
拒否して居座っています。
伊関は38才です。
伊関は多額の借金を抱えています。
栩谷は、ノンバンクの小さな会社の社長から
伊関を立ち退きさせてくれと依頼されました。
伊関は立ち退きを拒否します。

栩谷と伊関は一緒に酒を飲んで話します。
すべてのものはくずれて、腐っていくと、
伊関は言います。

伊関はマジックマッシュルームを育てて、ネットで
売っています。
合法ドラッグ、幸せきのこです。
アスカという20才のキャパ嬢が、
伊関の部屋でらりっています。

伊関が言います。
「ブラックホールね、俺はあれに東京も日本も
呑み込まれちまえばいいと思う。
ちっぽけなプラスを一生懸命かき集めたって
もう何にもならないんだから。
もう下手に足掻いたり頑張ったりしない方が
いいんだよ。
マッシュルームを食ってぽやっとしてるに
越したことないんじゃないか」

栩谷はひどく酔って、伊関の部屋で寝ています。
栩谷にマジックマッシュルームを食べてらりった
アスカがせまって来ます。
どうなるのでしょうか。

伊関が栩谷に言います。
「あんたにはまだわかっていない。
いろいろ不平をぶうたれながら、それでもまだぬるま湯に
漬かってるんだよ。
空っぽってどういうことだかわかっていやあしねえ。
ほんとに空っぽになっちまったとき初めて見えるのよ」
「何が」
「この世の花だろうなあ」

栩谷は、昔の恋人の祥子の事を思い出します。
同棲していましたが、祥子は事故死しました。
このくずれて、腐っていく世の中で、
栩谷は祥子とまた会いたいと思います。
会えるのでしょうか?

破滅しそうな栩谷と伊関。
どろどろにくずれて、腐っていきそうです。
しかしこの二人の会話は深みがあり、
ユーモラスでもあります。
伊関は言います。
「この世の花。それをいとおしむ気持ちって
ものがね。初めて湧くの。
空っぽをどう愉しむか、虚空を踏みながら
どうやって生きるのかっていう、せめてものケアーだよ」
「じゃあ、生きるのか、やっぱり」
「そう、生きる」

深みがあり、面白く、ユーモラスな小説です。


     

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