私の好きな本、おすすめ本H.P.作者のつれづれ日記

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私の読んだ本で、心にグット来た本を紹介する、読書日記のブログです

プロフィール:始めまして、50代の男の会社員です。
理系で、電子機器メーカで、長らくエンジニアをしていました。
しかし学生時代の得意科目は、数学と現国と古文と漢文と世界史でした。
なぜ理系に行ったんだ(笑)
今は品質管理の仕事をしています。
小説が好きで、すぐれた小説を見つける眼力には自信を持っています。
本ブログは、読んだ本で、面白かったと思った本、心にグットきた本のみ
紹介しているので、ブログの更新頻度は、多くないです。
読んでも、つまらなくて紹介しない本は多いです。
でも、紹介している本は、面白いと思います、よろしければ、ご覧ください。

時間をやりくりして、本ブログと、好きな本紹介のホームページ作成と
好きな本を紹介するメルマガを発行しています。
私の好きな本おすすめ本のホームページよろしければこちらもご覧ください。
子供の頃から、本を読むのが好きです。
小学校の時に読んだ、「飛ぶ教室」「くまのプーさん」「三銃士」等、
本当に面白かったです。
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高校生に自信を持っておすすめする海外の名作はこちらです。
観劇も好きです。おすすめの観劇会はこちらです。
今でも本中毒で、3冊ぐらいの本を並行して読んでいます。
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兄弟 (文春文庫)
なかにし 礼
文藝春秋
2001-03




[兄弟:なかにし礼:文春文庫]
作家で作詞家のなかにし礼の自伝的小説
だと思います。

主人公は中西礼三です。
礼三の父は戦争中にロシアに
抑留されて死亡しました。

母と礼三と兄と姉は満州から命からがら
日本に帰ってきました。

兄は空軍の兵隊でした。
特攻の生き残りだと兄は言っていました。

子どもの頃の礼三には、男らしい兄が誇りでした。

戦争が終わり、日本に帰って来てから
兄は無茶をしているように礼三には
思えました。

会社を作ってはうまくいかずに倒産して、
借金を作ってはまた会社を作る。
その繰り返しなのです。

礼三はシャンソンの歌の訳詩を
作ったりしていましたが、
やがて日本の歌謡曲の作詞家として
認められ、ヒットを連発するように
なります。
女優の卵だった石田百合子と結婚します。

兄は礼三から借金するだけでなく、
礼三の実印を持ち出して、
手形を連発したりします。
礼三のお金を自分のように
使うのでした。

礼三の弁護士は兄を訴えるように
言いますが、兄弟だからそれはできないと
礼三は言います。

兄夫婦が、脳溢血で倒れた母の面倒を
みているという負い目が礼三にはあるのです。

銀座のクラブで遊ぶ兄、妻子がいるのに
次々と女を作る兄、会社を作っては失敗して
借金を増やす兄。
礼三は困ります。

兄の借金を肩代わりする事になった礼三は
3億の借金を背負う事になります。

礼三はどうなるのでしょうか。

「兄さん、あんた、この仕事、本当に
成功させるつもりでやっていたの」礼三が聞きます。
「俺にはどうも墜落願望みたいなものがあるんだな。
心のどこかだ感じてるんだな。きっと墜落するに
違いないとね」兄が言います。
「じゃ、よせばいいじゃないか」
「よしたら墜落ができない」
「墜落したいわけ」
「墜落しないと意味がないような、うん、そんな
感じかな」

兄の墜落願望に付き合わされる
礼三はいい迷惑です。


菅原洋一と中西礼三が出合うシーンも
描いてあります。
「知りたくないの」誕生のエピソードが
興味深いです。

兄が作ったすごい金額の借金を
働いて返したなかにし礼の執念と
才能と根性はすごいと思いました。
なかにし礼に石田百合子は寄り添っていました。

なかにし礼は兄を憎みながらも、愛しても
いたのです。
だから訴えたりはできないのでした。
兄の作った苦労に耐えたのでした。



     

オセロー (新潮文庫)
シェイクスピア
新潮社
1951-08-01



[オセロー:シェイクスピア:新潮文庫]

若く美しい女性のデスデモーナは、父親の反対を
押し切って、黒人の将軍オセローと結婚します。


オセロの部下のイアーゴーは、オセロから旗手に降格されて、
オセロに恨みを抱き、復讐しようと思っています。
オセロはイアーゴーを誠実な人間だと思っています。
ロダリーゴーは、デスデモーナに恋していて、
イアーゴーに仲介を頼みます。

イアーゴーは、オセロに作り話を話します。
デスデモーナが、副将のキャシオーと不義密通を
している疑いがあるという話です。

オセロは始めはその話を信じませんでしたが、
段々と疑心暗鬼になっていきます。

オセロがデスデモーナに贈ったハンカチを
デスデモーナが落とします。
それを入手したイアーゴーが、そのハンカチを
キャシオーの部屋に置きます。
そして、ハンカチをデスデモーナがキャシオーに
贈ったという話をでっちあげます。

イアーゴーの陰謀が成功していきます。
オセロの怒りは増幅していき、悲劇が進行していきます。
デスデモーナ、オセロ、キャシオーはどうなるのでしょうか?

デスデモーナはオセロに言います。
「お願い、あなたのお慈悲も。あなたを裏切るような
ことをした覚えは今日まで一度もない、キャシオーに
心を寄せたことなどと、そんな覚えは一度もございません。
ただ友達の間に許されて当たり前の好意だけ、贈り物
など一度もしたことはございません」

オセロは言います。
「出まかせを言うおれと思うか。あの男が
ハンカチーフを持っているのを、現におれは
見ている。ああ、そうしてあくまで白を切ろうと
いうのか」

オセローは、よく作られた劇です。
物語に破綻が有りません。
昔に作られた物語なのに、今読んでも
新しさを感じます。
女を愛する男が、女の不義を疑いだし、
疑心暗鬼になり、怒りが段々増幅してくる。
古くて新しいテーマです。
セリフもよくできていて、登場人物達が
劇の中で、いきいきと動いています。

今の日本は、不倫のハードルが低くなっているようですね。
不倫している女性は、夫をうまくだますようですね。
夫の不倫の方が、ばれる事が多いようですね。
男の方が嘘をつくのが下手なのですね。

それにしても、オセロー程の人間が、イアーゴーに
だまされ、間違った方向に行ってしまうとは。
激情にかられて、真実が見えなくなってしまったのですね。

一人の人間の言う事を盲信する事の怖さが描かれています。
嘘を信じて相手を疑いだすと、疑いが段々と増幅していき、
歯止めがきかなくなるのですね。


     

肉体の悪魔 (新潮文庫)
ラディゲ
新潮社
1954-12-14


[肉体の悪魔:ラディゲ:新潮文庫]
主人公の僕は16才の学生です。
18才の人妻のマルトと恋仲になります。
マルトの夫のジャックは兵士で、戦争のために
戦地に行っています。

僕とマルトは肉体関係を持つようになります。
そして僕は嫉妬を覚えます。

僕の子供をマルトは妊娠します。
マルトは自分の両親やジャックには、
この子供はジャックの子供だと言います。
ジャックが休暇で帰っていた時にできた
子供だと言います。

僕とマルトはどうなるのでしょうか?

僕の両親は、僕とマルトの関係に気がついたようで、
別れるように意見してきます。

ストーリーだけ追うと、単純な話のようですが、
人物描写や心理描写がすごいのです。

「肉体の悪魔」は、ラディゲが16才から18才の間に書いた
小説です。
こんな心理描写ができるとはすごいです。
深く人生を洞察しています。

マルトは僕に言います。
「わたしがジャックを愛していないことを
わたしに教えたのは、実はあんたなのよ。
わたしの義務は、あんたをうらぎらないことよ」

僕はマルトを恨んだ。なぜなら、感謝に輝いた彼女の顔で、
肉体の関係がどれほどの価値を持つものであるかが
僕にもわかったからだった。
僕は自分より前に彼女の肉体を目覚めさせた男を呪った。

嘘をつけない瞬間こそ、まさしく一番嘘をつく、とりわけ自分
自身に嘘をつく瞬間なのだ。

もしも心が理性の知らない道理を持っているとすれば、
理性が心よりも道理にかなっていないからだと認めねば
ならない。

この小説は天才が書いた小説です。
じっくりと味わってください。
年を取って、精力が衰えてくると、
肉体の悪魔の誘惑も無くなってきますね。
という事は、愛もひからびてしまうという事ですね。
年をとるという事は、さえない事ですね。
バイアグラで愛は復活するのでしょうか?




     

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)
浅田 次郎
集英社
2000-03-17







[鉄道員:浅田次郎:集英社文庫]
短編が8編入っています。
鉄道員と悪魔が特に面白いです。
鉄道員を紹介します。

(鉄道員)
幌舞駅の駅長の乙松が主人公です。
乙松は今年で定年を迎えます。
幌舞駅は、昔は炭鉱の村として栄えましたが、
今は炭鉱は閉じられ、さびれた所です。
駅員も乙松一人です。

乙松の妻は2年前に死にました。
乙松の娘の雪子は、生まれて
二か月で死にました。
医者さえいないこの村に生まれて、
すきま風の吹く事務所続きの部屋に
寝かせていたからだと、乙松は
自責の念を持っています。

美寄中央駅の駅長の仙次から美寄の
デパート勤務をすすめられますが、
乙松はとてもつとまらないと、断ります。

乙松は言います。
「つらかった事は、ちっちぇえ子供らが、
集団就職で、泣きながら村を出ていくのさ。
そったらとき、まさか俺が泣くわけにも
いかんべや。気張ってけや、って子供らの
肩たたいて笑わんならんのが辛くってなあ」

鉄道員として、雨の日も風の日も
辛い事が有った日も、黙々と
鉄道員の仕事を乙松はしてきました。

幌舞駅に小学校に入学する年齢の
女の子がやって来ます。
次の日は、中学校に入学する年齢の女の子が
やって来ます。

少女達は、何か様子が変です。
どうしたのでしょうか?
こんな雪の時期に女の子が
一人で駅に来るのでしょうか?

17年前の吹雪の朝に、女房の腕に
抱かれたユッコをあのホームから送り出した。
いつに変わらず指差喚呼して、気動車を見送った。
そしてその晩の気動車で、ユッコは同じ毛布に
くるまれ、ひゃっこくなって帰ってきたのだった。
(あんた、死んだ子供まで旗降って迎えるんかい)
雪のホームにうずくまって、妻はユッコを
かき抱きながらそう言った。
そのとき、自分は何と言ったのだろう。
(したってよ、俺はポッポヤだから、どうする
こともできんしょ。俺がホームで旗振らねば、
こんなもふぶいているなか、誰がキハを
誘導するの。転轍機も回さねばならんし、
子供らも学校終えて、みんな帰って
くるべや)
押しつけられたなきがらのよろめくような
重さを、乙松は忘れない。

鉄道員一筋で働いてきた乙松の
仕事への矜持、孤独、悲しみや喜びが
深く伝わってくる小説です。
不器用でひたむきな乙松の姿に
共感を覚えます。


     

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