私の好きな本、おすすめ本H.P.作者のつれづれ日記

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私の読んだ本で、心にグット来た本を紹介する、読書日記のブログです

2016年11月

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社
1972-05






燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社
1972-06


[燃えよ剣:司馬遼太郎:新潮文庫]
新選組副長の土方歳三の一代記です。
土方歳三は、武州の百姓のせがれです。
天然理心流の道場に行っていました。
その天然理心流の道場の師範が
近藤勇でした。

土方歳三と近藤勇と沖田総司は、
幕府の募集に応募して、新選組を
組織して、京都に行きます。
攘夷で、幕府を守る事が使命です。

新選組の規律は厳しいです。
士道が規律であり、士道にもとる者は
即、切腹です。

京都で、新選組の隊士は、土佐藩や
長州藩の勤王の志士達と戦います。

徳川慶喜が大政奉還をします。
薩摩と長州が、天皇を奉じて戦います。
薩摩と長州が、正規軍になってしまい、
新選組は逆賊になってしまいました。
薩摩と長州が官軍になってしまったのです。

頼みの徳川慶喜は逃げています。

歳三は、鳥羽伏見の戦いで
戦います。
勝ちまであと一歩でしたが、
負けてしまいます。

近藤勇は、逆賊として歴史に残るのは
いやだと言って、官軍(薩摩、長州)に
投降します。
近藤勇は斬首されます。

近藤勇が死に、沖田総司も病気で死にます。
土方歳三は、一人で戦います。
榎本武揚達と軍艦で、北海道に行き、
北海道で、新政府を樹立しようと
します。
北海道に官軍の軍隊が行きます。
最後の戦いが始まります。
歳三は鬼神のごとく強いです。
どうなるのでしょうか?

土方歳三には、高邁な理論等はありません。
お世話になった幕府のために、尊王攘夷の
武士を斬る、それだけです。

喧嘩屋としての意地、男としての
プライドを守る、士道を通す、それだけです。

しかし、歳三の強さは、勤王の志士達を
上回ります。
その強さはどこから来るのでしょう?
命はいらない、意地を通すというその心の
強さで、勤王の志士達に負けていないのです。
敵にまわすと、とんでもなく強い相手なのです。

「侍に怨霊なし」と古来、言われているそうです。
歳三が壬生にいた時に、切腹した隊士の亡霊が
出ると聞いたことがあります。
「その者、侍の性根がないにちがいない。
現世に怨恨を残すほど腐れはてた未練者なら、
わしが斬って捨てて、あらためてあの世へ
送ってやろう」歳三はそう言いました。

高邁な理論が無く、喧嘩屋の意地、男の意地、
士道の誇りだけで、何故、土方歳三があれほど
強かったのか、不思議です。
勤王の志士達も信念を持ち、命を
かけて戦っていた。
歳三は、彼らに剣の強さ、心の強さで
ひけをとらなかった、というよりも
勝っていたとも言えます。
士道を通すためなら、命はいらない、そう思って
いたから強かったのでしょう。
命を懸けて戦う仲間、近藤勇や沖田総司が
いたことも大きかったでしょう。
勤王の志士達も命を賭けて戦っていましたが、
新選組の隊員達も命を賭けて戦っていた。
士道に反するぐらいなら切腹するという
気合いと誇りを持っていた。
意地と意地の戦いですね。
歳三の剣の強さは、恐怖を克服した
ことによる、踏み込みの深さです。

歳三とお雪との切ない恋も描かれています。

司馬遼太郎の歴史小説は、抜群に面白いですよ。
「燃えよ剣」は、抜群に面白いです。
おすすめです。


自由の彼方で (講談社文芸文庫)
椎名 麟三
講談社
1996-02-09







[自由の彼方で:椎名麟三:講談社文芸文庫]
主人公は、20代の男の山田清作です。
山田清作は、母親の家を家出します。
出前持、コック見習い等をします。
そして不良と付き合うようになります。
清作は大洋軒というカフェで働くようになります。
清作はカフェの女給の美代子という女性が
好きになりますが、相手にしてもらえません。

清作は、神戸と姫路をつなぐ神姫電鉄の
車掌として働くようになります。
清作は、搾取される労働者に疑問を感じるようになり、
共産党に入党して、労働者の待遇改善を求めて
闘うようになります。

時代は太平洋戦争に突入していく時代です。
共産主義者は弾圧され、逮捕されるようになります。
山田清作は逃亡しますが、やがて警察に逮捕されて
留置所暮らしが始まります。
清作はどうなっていくのでしょうか?

清作は、行きつけの食堂で働いている
たか子という女性を下宿に連れ込み
関係を持ちます。
しかし1回関係を持つと、清作は
たか子への興味を失います。

清作のその少女への関心には、彼の
生活と同じように、未来が、
愛にとって本質的な共同の
未来が、欠けていたのだ。
そして彼は、共同の未来のかけている愛は、
どんなに切実なものであっても、
遊びにすぎないということを
知らなかったのである。

実存主義作家の椎名麟三が「自由とは何か」
について書いている小説です。
時代は太平洋戦争に突入していく時代です。
労働者の待遇を良くして、労働者を解放しようという
目的で山田清作は共産党に入党しますが、
警察から共産党は弾圧されます。
共産党員は逮捕され、留置され、拷問を受けます。
山田清作は自由を見つけることができるのでしょうか?

人間の運命には、時代が大きく寄与するという事も
書いてあります。


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