孤独な娘 (岩波文庫)
ナサニエル・ウェスト
岩波書店
2013-05-17



[孤独な娘:ナサニエル・ウェスト:岩波文庫]

主人公の孤独な娘は、新聞社の記者の、
独身の男です。

新聞社に来る、人生相談の回答を担当しています。

編集主幹のシュライクは、新聞の発行部数を増やすような
回答をしろと、孤独な娘に言います。
人生相談の内容はまじめで深刻なものが多いです。
孤独な娘は、回答を書くのが苦痛になってきました。

孤独な娘は、ベティという女性と付き合っています。
孤独な娘はベティに求婚して、ベティは承諾しました。
しかし、孤独な娘の精神状態が悪いために、二人の
関係はぎくしゃくしています。

孤独な娘は女が必要だと思います。
シュライクの妻のメアリを誘います。
浮気が成功するかと思われましたが、
失敗に終わります。

人生相談をしてきたドイル夫人と孤独な娘は
会います。
ドイル夫人の夫は、びっこで年上の小男です。
夫にすごく不満が有ります。
ドイル夫人の方から誘ってきて、二人は関係します。
二人の関係はどうなるのでしょうか?

孤独な娘の根源的な悩みは、キリストを信じたいが、
信じることができないと言うことです。
キリストを信じることができれば、聖書に書いてある、
清い行いを読者に進めることができるのですが。

孤独な娘はどこに向かって進んで行くのでしょうか?

孤独な娘様。
ぼくは15、グレシーは13です。
妹のグレシーはおしでつんぼです。
妹が屋上で遊んでいると、ある男が
屋上にやってきて、妹にきたならしいことをしました。
妹からその話をきいたのですが、
どうしたらよいかわからないのです。
妹がぶたれるのじゃないかと思うと、
ママにも打ち明けられません。
グレシーがにんしんするのじゃないか、心配なので、
ゆうべ、赤ん坊の音が聞こえるかどうかをさぐろうと
妹のおなかに耳をあててたのですが、
聞こえませんでした。
ぼくがママに話をすれば、妹はひどくぶたれるでしょう。
グレシーを愛しているのは、僕だけなのです。
どうすればよいか、教えてください。


孤独な娘は、さまざまのものが形づくっているこの黒い世界を
魚のようだと考える。
そして彼は正しかったのだ。
なぜなら、黒い世界はとつぜん飛びあがって、
壁の上のきらきら輝く餌に向かうのだから。
水音のような音楽とともに、それは飛びあがる。
そして彼は黒い世界の、銀色に光る腹を見る。
キリストはいのちであり、光である。
「キリスト、キリスト」この叫びは彼の肉体の、内奥の
小部屋にこだまする。
彼の心は一つの薔薇である。
そして彼の脳のなかにもう一つの
薔薇が花ひらく。

人生相談にまじめに回答しようとして、
行き詰まっていく、孤独な娘。
浮気をしても、心は晴れません。
キリストを信じることさえできれば、
救われるのですが、それが難しい。
彼はどこに行くのでしょうか?

とても面白い小説です。
1930年代のアメリカの小説ですが、
内容は古びていません。
現代の問題を描いています。
宗教と生活が密着していない日本人には、
少しわかりにくいところが有るとは思いますが。

シュライクは言います。
慰めのない砂漠のような人生を人はさまよう。
すべては荒廃と魂の苦悩である。
神こそは、われわれの唯一の逃避の場所なのだ。
ぼくたちの希望は教会だけ。
ぼくたちはそこで、神を、堕落から守ってくれる者として
あがめたてまつる。
どうすれば信仰を持てるのでしょう?
面白い小説です。良ければ読んでみてください。