富士山麓の自然

富士山麓には、古くから「御厨(みくりや)」と呼ばれてきた地域があり、御殿場市、裾野市、小山町の一帯におよんでいます。そこには、日本の各地で絶滅危惧種に指定されている希少種が多数生息する貴重な自然が残されています。その一方で、気候変動の影響や開発、外来種の侵入などにより、年々変わりつつある「みくりや」の自然の現状も目にしています。この豊かな自然が長く保たれることを願いつつ、富士山麓の自然の生物多様性の一端をこのブログを通して記録していきます。

富士山の標高1400メートル付近の自然を観察してきました。みくりやの自然の魅力は標高の低いところから富士山などの高標高のところまで、標高差のある自然環境のいろいろな生物相を観察できるところにあります。

今日も富士山ならではの生き物との出会いがありました。

先ずはヨツボシヒラタシデムシです。みくりや地方の平地では見たことがありません。

20045月に大阪市東大阪市で大発生したキアシドクガの幼虫をヨツボシヒラタシデムシが樹上で捕食していたという報告があります。富士山で見つけたヨツボシヒラタシデムシにカラマツの樹上を器用に歩行していました。ヨツボシヒラタシデムシは鱗翅目の幼虫の多い初夏に成虫が活動するという報告もあり、鱗翅目の幼虫の天敵としての役割を生態系の中で果している可能性があります。

DSCN0267

次はコムラサキです。これもみくりやの平地ではあまり見かけることがありません。静岡県全体でも個体数は減少しており、要注目種に指定されています。コムラサキの幼虫はヤナギ類の木の葉を食べることで知られていますが、コムラサキがとまっているのもヤナギ類の木です。
DSCN0331

既に咲き始めているヒヨドリバナの蜜をミドリヒョウモンが吸っていました。ミドリヒョウモンは、みくりやの平地より富士山で見かけることの多いヒョウモンチョウ類のチョウです。

DSCN0297

エゾアカヤマアリに巣を観察しました。茶色の部分はすべてカラマツの落葉です。カラマツの葉を塚づくりに利用することが多いエゾアカヤマアリは、カラマツが生えるような標高の高いところで見られるアリです。攻撃性が強く、同行者が巣の表面のカラマツの葉を木の枝で動かそうとしたところ、近くにいたアリが同行者の手に飛びついて噛みつきました。

DSCN0221DSCN0281


標高約1400メートルで見つけたもの、気づいたことはまだすべて紹介できていません。この続きは明日紹介したいと思います。

7月18日にギンナガゴミグモのメスの写真を撮りました。隠れ帯の描く模様が独特です。
ギンナガゴミグモは成虫が夏に出現しますので、季節を知らせるクモととらえることもできます。
DSCN0136

7月18日に裾野市でスミナガシを確認しました。スミナガシはみくりや地方でもそれほど個体数の多いチョウではなく、千葉県は絶滅危惧Ⅰ類に指定しています。個体との距離があり、渋い味わいを持った翅をカメラがとらえきれなかったのが、残念です。
DSCN0059

このページのトップヘ