富士山麓の自然

富士山麓には、古くから「御厨(みくりや)」と呼ばれてきた地域があり、御殿場市、裾野市、小山町の一帯におよんでいます。そこには、日本の各地で絶滅危惧種に指定されている希少種が多数生息する貴重な自然が残されています。その一方で、気候変動の影響や開発、外来種の侵入などにより、年々変わりつつある「みくりや」の自然の現状も目にしています。この豊かな自然が長く保たれることを願いつつ、富士山麓の自然の生物多様性の一端をこのブログを通して記録していきます。

502日に富士山御殿場口の砂礫地でミヤマハタザオの写真を撮りました。専門家の知見によると、この約20年の間に御殿場口駐車場付近でミヤマハタザオが数を増やし続けているということです。ミヤマハタザオの低地型であるタチスズシロソウは、数十年に一度の洪水でできる砂地に暮らし、他の植物が移入する頃には次の洪水でできた砂地で育つという興味深い生活史を持っています。御殿場口のミヤマハタザオも遷移の過程の中で砂礫地に対する適応能力の高さを生かして、御殿場口付近への進出を続けているのかもしれません。


ミヤマハタザオP5020471

54日に80分ほどの時間をかけて、富士山登山道御殿場口新五合目から幕岩まで歩いてきました。

駐車場にはヤナギ類の花が咲き、たくさんのハナバチやハナアブが訪花していました。

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砂礫地のフデリンドウは一際美しく見えました。

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フタホシシロエダシャクが飛んでいるのを見つけました。ソメイヨシノ、カスミザクラ、マメザクラ、ウワミズザクラ、ナナカマド、モモを食べるとされている蛾ですが、専門家の方の話では比較的、一般的な種だということです。フタホシシロエダシャクが食草としている満開のマメザクラの花をたくさん見ることができました。

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楢枯れの被害にあっているミズナラの木を見つけました。

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オオカメノキと思われる樹木が蕾をつけていました。

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シロバナエンレイソウが一輪だけ咲いているのを見つけました。花が咲くまで約10年かかり寿命が15年ほどあることから延齢草(エンレイソウ)と名づけられました。全国12の府県で希少種の指定を受けていますが、富士山麓では南麓でも北麓でもこの可憐な花を目にすることができます。エンレイソウの仲間は、3枚の葉と花弁を持つ特徴がありますが、北海道大学の校章は、このシロバナノエンレイソウとよく似たオオバナノエンレイソウの3枚の葉と花弁をあしらっていて、寮歌にも延齢草が歌われています。

シロバナエンレイソウDSCN6482

80分の時間をかけてようやく幕岩に到着しました。説明板には次のように書かれていました。

幕岩は富士山の噴火で流れ出した溶岩やスコリアの積み重なりからできています。幕岩の最下部は約1万年前に遠く三島まで流れ下った溶岩、最上部は1707年に起きた宝永噴火のスコリアです。ここでは富士山の1万年に及ぶ生い立ちの一端を楽しむことができます。

マクイワP5040605


202153日にケブカトゲアシヒゲボソゾウムシの仲間の写真を撮りました。
リンゴコフキゾウムシP5030499

かつてリンゴコフキゾウムシという名で親しまれてたきたこのゾウムシは、改名されてケブカトゲアシヒゲボソゾウムシとトゲアシヒゲボソゾウムシに分けられました。この個体は沢の岩の上にいましたが、同じ岩で他に2個体、確認することができました。つまりこの甲虫たちは何らかの目的があって沢に集まってきている可能性があるということです。ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシは、一般的に脚が黒色か黄褐色ですが、画像の個体は緑がかった色をしています。地域変異の可能性があります。
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採集した個体には寄生蜂が付いていました。ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシをめぐる謎はますます深まっていきます。

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5月2日に富士山でコバネヒシバッタの写真を撮りました。専門家の方のご教示によると、この種は複合種の可能性があり、今後検討の必要があるとのことです。将来、もしかしたらコバネヒシバッタも改名されるかもしれません。

ヒシバッタP5022891

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