富士山麓の自然

富士山麓には、古くから「御厨(みくりや)」と呼ばれてきた地域があり、御殿場市、裾野市、小山町の一帯におよんでいます。そこには、日本の各地で絶滅危惧種に指定されている希少種が多数生息する貴重な自然が残されています。その一方で、気候変動の影響や開発、外来種の侵入などにより、年々変わりつつある「みくりや」の自然の現状も目にしています。この豊かな自然が長く保たれることを願いつつ、富士山麓の自然の生物多様性の一端をこのブログを通して記録していきます。

箱根の外輪山を望む里山を歩いてみました。
ヤブツルアズキが咲き始めていました。秋の気配を感じさせる黄色です。
ヤブツルアズキDSCN0024
黄色い花と言えば、キツリフネの自生地を発見して感激しました。
キツリフネDSCN0059
その下にはイオウイロハシリグモのメスが卵を抱いて移動していました。
イオウイロハジリグモDSCN0066
すぐ近くにミズアブがいました。今日は数個体のミズアブを確認しました。今が発生の最盛期かもしれません。
ミズアブDSCN0081
ハネナガヒシバッタは何ともユニークな姿です。
ハネナガヒシバッタDSCN0045

トンボ相も豊かでした。いくつか紹介します。ハグロトンボはなかなか写真を撮らせてくれませんでした。
ハグロトンボDSCN0034
オオシオカラトンボは双翅目の昆虫を捕食していました。ミズアブかもしれません。
オオシオカラトンボDSCN0091

ツリガネニンジンはすでに萎れている花もありました。地域によっては、白いツリガネニンジンは珍しいようです。
ツリガネニンジンDSCN0079

ワレモコウはまだまだこれからです。若山牧水の「吾亦紅すすきかるかや秋草のさびしききわみ君に贈らむ」の歌を思い出しました。
ワレモコウDSCN0097

生態学者の鷲谷いづみの著書『さとやま』には「生物多様性と生態系模様」という副題がつけられています。里山と生物多様性が分かちがたく結びついていることを実感する今日の散歩でした。

2種のスズメガとの出会いがありました。
御殿場市で出会ったクルマスズメです。幼虫はブドウ、エビヅル、ツタなどの葉を食べます。
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次はエゾシモフリスズメです。裾野市で出会いました。ヒノキの木にとまっています。見事な擬態です。
幼虫はホオノキなどの葉を食べます。
DSCN1526

ススキ草原を歩いていたらイナゴモドキが足にとまりました。褐色型です。
DSCN1573

近くにも緑色型のイナゴモドキがいました。
DSCN1579

『減るバッタ 増えるバッタ』(内田正吉)には次のような記述があります。

二〇〇二年に、関東地方に見られるバッタ類の分布情報を集める目的で、博物館などの研究機関に保存されているバッタ類の標本調査をおこなった。(中略)戦前のバッタの記録は、文献にも少ないながらも見出すことができる。しかしながら、文字のみの記録では読み取ることのできる情報は限られている。一方、実物の標本から見出すことのできる情報は計り知れないだろう。たとえ普通種であっても、標本として残されていることの重要性を実感した。さて、そのような標本調査の過程で、一九三四年に東京の練馬で採集されたイナゴモドキの標本が国立科学博物館に収蔵されているのを知った。

イナゴモドキはススキ草原に生息するバッタです。『減るバッタ 増えるバッタ』の記述は、一九三四年当時、練馬にススキ野原が存在していたことを教えてくれます。

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