富士山麓の自然

富士山麓には、古くから「御厨(みくりや)」と呼ばれてきた地域があり、御殿場市、裾野市、小山町の一帯におよんでいます。そこには、日本の各地で絶滅危惧種に指定されている希少種が多数生息する貴重な自然が残されています。その一方で、気候変動の影響や開発、外来種の侵入などにより、年々変わりつつある「みくりや」の自然の現状も目にしています。この豊かな自然が長く保たれることを願いつつ、富士山麓の自然の生物多様性の一端をこのブログを通して記録していきます。

2014年03月

今年初めてツバメの飛来を確認しました。
昨年から日本野鳥の会が「消えゆくツバメをまもろうキャンペーン」を展開しています。環境の変化等によってツバメの数が減少している中で、早くも飛来を確認できたのはたいへん嬉しいことでした。
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327日に紹介したヒゲナガカワトビケラStenopsyche marmorata)が産卵しました。
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秋型の個体と比べて春型の個体が大きいことを327日の記事に書きましたが、その理由についてトビケラの専門家の野崎隆夫さんに尋ねたところ、次のような回答をいただきました。回答の文章を拝読してトビケラの生活史について非常に重要なことを学ぶことができました。


ヒゲナガカワトビケラのサイズはかなり個体差があり,季節による変動も大きいです.

また,年2化以上の水生昆虫の多くは春羽化する成虫は大きく,夏から秋にかけて羽化する成虫は小さくなります.

水生昆虫は冬でも零度以下にならない水中で成長を続けるのが普通です.しかし,温帯や亜寒帯では,冬に成虫になって陸上に出ると凍る恐れがあるため,蛹化や羽化など発育が抑制されます.そのため秋から冬にかけて長期間成長することになり,冬世代は大きくなると考えられています.

一方,夏は発育が制限されないうえ,高水温で短期間に成長するため夏世代の羽化サイズが小さくなります.

陸上昆虫の多くは冬に成長も発育もできませんが,水生昆虫の多くは冬にも成長できる(年1世代の種では秋から春に成長・発育する種も多い)ところが大きな違いでしょうか.



 

 


 

 

 

御殿場市二子の、富士山の湧水のすぐ近くで、この春初めてヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)を2個体確認しました。
10月にもヒゲナガカワトビケラを紹介しましたが、今回確認した個体は体長が3センチあり、10月に見られた複数の個体よりも明らかに大型の個体でした。
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裾野市では20度近くまで気温があがり、東京都心は初夏の陽気となりました。

御殿場市二子の湧水の近くでテングチョウを見つけました。テングチョウは成虫で越冬し、春先に再び活動を始めます。今年初めてテングチョウを目にし、しびれるような感動を覚えました。
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テングチョウを見つけた場所の近くではカゲロウが大量に発生していました。ターバン眼であることから、コカゲロウの仲間かもしれません。昨日は1匹も見られなかったカゲロウが今日は同じ木に何匹もとまっていました。季節が一歩確実に前進した感じがあります。
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たくさんのフキノトウも目にすることができました。
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昨日の静岡新聞の「サイちゃんの星空散歩」で「明けの明星」のことが取り上げられていました。その一部を引用します。


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日は、地球から金星を観察した時に、最も太陽から西側に離れ、とても観察しやすい日です(このことを「金星の西方最大離角」といいます)。もちろん一日限りではなく、しばらくは観察しやすい時期が続きます。


次の写真は23日の朝57分に撮ったものです。電線の近くに見える星が金星です。20143月のかけがえのない春の光です。

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