2014年03月
春のヒゲナガカワトビケラはなぜ大きいか
3月27日に紹介したヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)が産卵しました。 秋型の個体と比べて春型の個体が大きいことを3月27日の記事に書きましたが、その理由についてトビケラの専門家の野崎隆夫さんに尋ねたところ、次のような回答をいただきました。回答の文章を拝読してトビケラの生活史について非常に重要なことを学ぶことができました。 ヒゲナガカワトビケラのサイズはかなり個体差があり,季節による変動も大きいです. また,年2化以上の水生昆虫の多くは春羽化する成虫は大きく,夏から秋にかけて羽化する成虫は小さくなります. 水生昆虫は冬でも零度以下にならない水中で成長を続けるのが普通です.しかし,温帯や亜寒帯では,冬に成虫になって陸上に出ると凍る恐れがあるため,蛹化や羽化など発育が抑制されます.そのため秋から冬にかけて長期間成長することになり,冬世代は大きくなると考えられています. 一方,夏は発育が制限されないうえ,高水温で短期間に成長するため夏世代の羽化サイズが小さくなります. 陸上昆虫の多くは冬に成長も発育もできませんが,水生昆虫の多くは冬にも成長できる(年1世代の種では秋から春に成長・発育する種も多い)ところが大きな違いでしょうか.
春のヒゲナガカワトビケラ
10月にもヒゲナガカワトビケラを紹介しましたが、今回確認した個体は体長が3センチあり、10月に見られた複数の個体よりも明らかに大型の個体でした。