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 制作にかかっていました高縄奈々さんの新写真集『
Dear Dolphinディア ドルフィン』ができあがってきました。面白いもので、自分の本はできあがってきても、まずページをめくることはありませんが(自分の本は、印刷を終えた瞬間に意識のなかから消え去ってしまうもの)、人の本はしげしげと眺めてしまいます。出来は相当にいいと自慢できるものです。あくまで高縄さんの写真のクオリティと、デザイナーさん(絵本や写真集のデザインでは定評があり、私の写真集も数多く手がけてくれている椎名麻美さん)の力が有機的に結びついたから。一般の書店への配本は少し先ですが、明日からの銀座Sony Imaging Galleryでの高縄さんの写真展「Tokyo Dolphins—東京の島のイルカたち」の会場ではご覧になれるはずです。

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南極半島の東側ウェッデル海に浮かぶスノーヒル島は、コウテイペンギンの繁殖コロニーとしては最北の場所です。つまりは、もっとも短期間で行くことができるコロニーでもあります。今年
11/15ウシュアイア出港、11/25ウシュアイア帰港の予定で、スノーヒル島に向かうクルーズが計画されていますが、20%ディスカウントでの乗船料での席を確保しています。ご興味のかたはご連絡ください。ヘリコプターを搭載した砕氷船ですので、南極の風景を上空から観察することも可能です。ちなみに、南極観光で一般に訪ねるのは南極半島の西岸ですが、西岸は温暖化の影響をうけアデリーペンギンが激減(その代わりにジェンツーペンギンが激増)していますが、東岸(ウェッデル海側)にはまだ巨大なアデリーペンギンのコロニーがあり、コウテイペンギンと同時に巨大なアデリーペンギンのコロニーを観察する貴重な機会でもあります。

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 制作にかかっていた新刊の印刷を昨日終えて、ようやく急ぎの仕事から解放されたこともあって、今日は気になっていた『ミュシャ展』(国立新美術館)へ。ミュシャといえば、アールヌーヴォーの作品群があまりに有名で、三十数年前にヨーロッパにはじめて行ったときに現地の美術館でも相当数鑑賞していますが、今回の展覧会の目玉は「スラブ叙事詩」。彼が晩年にしあげた(一部未完成と思われるものもありますが)
20点の大作で、スラブ民族の歴史を、民族の団結や独立を謳ったもの。1点1点が、絵を見るというより、歴史本を読むような重さ。美術館に行く前に雑用に手間取り、美術館に着くことができたのが3時をまわっていたこともあって、結局閉館時間まで、何巡も鑑賞してしまいました。ちなみに、今年は仕事や取材のあいまに時間がとれれば、プラハあたりへプチ逃避しようと密かに画策していることもあり、いまの私には感じるところ大、そして1枚の(といっても相当に大きなものですが)絵画がもちえる、1冊の本にあたるほどの物語性のすごさに圧倒された「ミュシャ展」でした。(一部「写真撮影可」の展示がありました。)

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ただいま高縄奈々さんの新刊『Dear Dolphinディア ドルフィン』の印刷中。印刷機は、写真下部にあります各目盛りの幅で、それぞれのインク(黒、青、赤、黄)の出しかたを調節することで、できるだけ希望に近い色を求めながら印刷していきます。要するに、4色のインクをどれだけ紙の上にのせるかですから、途中の編集作業はあくまでデジタルですが、印刷は”超”アナログな作業。それに、インクはまだ湿っているときと乾いたときで、写真の色も変わりうる(厄介なことに、そのときの紙の種類でも変化の程度に違いがある)ために、乾いたときを思い浮かべながらの作業。頼りになるのは、何より自分の経験値のみ。とはいえ、原稿になる写真がしっかりしていれば、それに途中のデータ処理がしっかりしていればーーこの本がまさにそうですがーーいい作品になることは間違いありません。



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高縄奈々さんの新写真集『
Dear Dolphinディア ドルフィン』の印刷立ち会いのため、印刷所に向かっている途中。印刷立ち会いの日は(自分の写真集や本をつくる場合も同じですが)、直接印刷所に向かう気になれず、途中でカフェでゆっくり時間をとって校正刷を見直しながら、現場での指示のプランを最終的に整理するのが常。最近の印刷機は1時間で1万枚くらいは刷りますから(じっさいには1万部も刷ることはありませんので)、じっさいに印刷機がまわりはじめると、それぞれの台(16ページとか32ページにまとめられたものを「台」と呼びます)は数十分で終わり。写真家が10年以上かけて取材、撮影した成果がどう出るかが、わずか数十分で決まるのです。しかも現場は常に動いていますので、現場のオペレーターへの要望や指示も、できるだけ瞬時に判断しながら。だからこそ、印刷のプランを事前に頭のなかにまとめておく必要があるのですが、私のさまざまな仕事のなかでも、もっとも緊張する瞬間のひとつ。じつはこの緊張感がたまらなく好きなのですが、写真家の皆さんがもしご自分の写真が印刷される場合には、ぜひ印刷機の横に立ってその行程をご覧になる(場合によれば要望を出される)のは、この上なく勉強になる作業です。

 

 

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