「そう。院長、承知してくれましたよ。じゃあ、終わったら、もう一度私も呼んで下さい。これからは、もっと仲良くしましょ」

「そうか。それじゃあ、終わったら呼ぶから書斎にでも行っててくれ」
「はい、じゃあごゆっくり」
婦長は、居間を出て行った。

居間のドアが閉められると、院長は機嫌良さそうに、薫子に声をかけて来る。
「で、その本、気に入らなかったのか?」
「ええっ?私こういうの分からないですから」

「そうかー、今日は洋服だしな。和服は着ないのか?」
「成人式で着ただけです」

「成人式ねー、振袖も、いいかもなー」
「そんなの嫌です」

院長の顔から微笑が消えた。
「じゃあ、どんなのが良いんだ?」
「だから、こんなこと、したくないんです」

「残念だが仕方ないんだよ、病院、辞めたくないんだろう?すぐにしたいって言えるようになるから」

院長は、冷たい目で、もう一度薫子の全身をねめ回した。
「だから、わ か り ま し た」

「そうだね。いい判断だ」
「・・・」

「返事は?!」
突然の大きな声に、薫子はびっくりした。

「は、い」
「それでいい」

「まずは、その服を脱いでもらおうか」
「えっ、ここで、ですか?」

「ベッドへでも行きたいか?」
「いえ」

今日は、余りくだけた感じがしないように、薫子は、濃紺のワンピースを着て来ていた。
「そのスカートのシルエットが女らしい。楽しみだねー」

薫子は覚悟を決めて、背中のジッパーを下げた。
「うん、二の腕が覗くと、ぞくぞくする」

反対を向き、ワンピースを肩から抜き、足を抜いて、二つ折りにし、しゃがみながら横に置く。
「うん、いいね。さあ立って、こっち向いて」

薫子は、従うしかない。
「黒か、レースのショーツもいいもんだ。思った通り良いスタイルしてるじゃないか」
「・・・」

「返事は?!」
「あっ、はい」

「うん、じゃあ、ブラ取って」
戸惑いながらも、後ろに手を回してホックを外し、紐を肩から外して左腕で乳首を隠すようにして、ブラを外した。
それを、ワンピースの上にそっと置き、濃紺のワンピースの裾で、黒いブラを隠すように覆う。

「なかなかいい躾を受けてきたようだ。次はショーツだ。今度は、脱いだら私に手渡ししなさい」
「えっ、そんな・・・」

「いやか?婦長を呼ぼうか?」
「いえ、分かりました」

後ろを向いて、両手で、ゆっくりショーツを脱ぐと、左腕で乳首を隠し、右手にショーツを丸めて握って、恥ずかしいところを隠しながら、院長の方へ歩を進める。

院長の手の届く距離まで来て、薫子は、立ちすくんだ。

院長の目の前に、新たな餌食となる女体がある。
今取ったばかりのブラの跡が乳房の周りを囲んでいて、ヒップの辺りには、薄っすらパンティーのラインが残っている。
すらりとしている外見の割には、胸も尻もむっちりと大きく、縄映えがするだろうと院長なら想像しているに違いない。

院長は、間近で薫子の裸体を見つめてから、
「手渡すんだ」とだけ言った。

薫子は、どうしようかと迷った末に、後ろを向き右手のショーツを口に咥えて、向き直し、
そして、跪き、顎をあげて、院長の前に突き出した。

「その根性は認めるが、私は、手渡しなさいと言ったんだよ。手渡すって言うのはどういうことか分かるね?それも分からないようなおバカさんには、辞めてもらうしかないのかなー」
「・・・」

「さあ、さっさと言う通りにするんだ!」
きつい声が飛んだ。
近くにいるせいで、テーブルの向こうから、返事は?!と大きな声で言われた時よりも、数段恐ろしい気がした。

右手を上げて、口のショーツを取って院長に差し出す。
「目上の人に何かをお渡しするときに、君は片手で突き出すのか?やはりまだ躾ができてないというべきかな・・・、それとも、辞めさせるしかないのか・・・」

このいやらしい脅迫に、今は逆らう術がない。
口惜しい思いがムラムラと湧いて来るが、薫子はそれを抑えて、両手でショーツを差し出し、
「申し訳ありません、これでよろしいですか?」