2010年10月

2010年10月30日

Most important question

アメリカはハロウィンの週末を迎えています、、、日本でも最近ボチボチ取り上げられるようになってきた(んですよね?)ハロウィンですが、こちらでは一大イベントで、デパートは定番のカボチャ、仮装用の服、子供達にあげるキャンディなどで大商戦繰り広げ、レストランその他のお店では仮装イベントが目白押しです。当日はリンクでもザンボニードライバーが仮装していたり、サービス精神旺盛なコーチは仮装して子供の練習を指導していたりでなかなか楽しめます。

ホッケーシーズンの方は序盤戦が終了し、本当のチーム力も見えてきました。私の指導するピーウィーチームは地域のAリーグには参戦せずAAチームとして戦うことにしたので、トーナメント以外は基本的に練習試合となり、勝ち負けで順位を争うことがなくなってしまいました。育成重視とはいえ、やはり勝ち負けの意味が薄まってしまう練習試合が続くと子供達のモチベーションが低下しますし、自分たちが成長している感覚をつかむのも難しくなってきます。

そこで私と共同コーチは、何試合かおきに子供達に「評価シート」を配り、試合でのパフォーマンスを自己評価させることにしました。日本のスポーツチームは試合や練習後に(長々と)その日の反省をすることは当たり前すぎますが、こちらではコーチから雷が落ちたりすることはあっても、選手たち自身が自分のプレーの反省をしたり、それこそ紙に書いて提出なんてことはほとんど行われません。反省会ばかりが長引くようでは、そもそも試合や練習に向けての準備不足を疑った方が良いと思いますが、かといって選手たちがまったく試合の反省をしないのも問題なので、子供のうちから良い習慣を付けて欲しいと思い導入しました。

そんなわけで私はゴーリー用の自己評価シートを担当しました。詳細は割愛しますが、「1本目のシュートに対して正しく正対していましたか?」に始まる十の質問の中で私が一番重要だと思っているのは、

"Did you give your team a chance to win?"
「あなたはチームに勝つチャンスを与えるようなプレーをしましたか?」

です。ゴーリーのパフォーマンスは試合の結果に直結すると誰もが承知しているはずですが、試合が終わってからゴーリーやゴーリーの親御さんから、

「自分(の子供)はすごく良いプレーをしていたけれど5点も取られた。そもそも相手が圧倒的に強くて、味方が全然守ってくれなくて、2失点はキルプレーだったし、1点はブレークアウェー(独走)で、もう1点はすごい良いシュートで、後1点は自殺点だったから仕方がない、、、」

というようなコメントをよく聞きます。特に北米では自分自身や、ましてや自分の子供のパフォーマンスをネガティブに評価するなんて人は少数派なので、彼らの話だけ聞いていると、毎試合良いプレーをしているのに、チームが良いプレーをしてくれないおかげで一向に結果がついてこないように聞こえることがあります。

しかし、競技者として、特にゴーリーとして真摯に試合の結果と自分のパフォーマンスの関係を振り返るのであれば、「自分のチームや相手チームのパフォーマンスがどうだったから失点した」ではなく、

「自分のチームメイトや相手チームのパフォーマンスに関わらず、自分がチームに勝つチャンスを与えるようなプレーをしたか?」

を考えるべきだと私は思います。ブレークアウェーは絶体絶命のピンチであり、キルプレーが5対5よりも失点率が高いことは誰でも知っています。そんな状況で1本でもピンチを防ぐのが、まさにゴーリーの最大の仕事の一つではないのでしょうか?たとえ味方が間違って方向を変えてしまったシュートでも、ゴールに向かって来たパックを止めるのがゴーリーの仕事ではないのでしょうか?

ホッケーでは、相手が圧倒的に強くても、ゴーリーが孤軍奮闘の活躍で勝利をもたらしたり、少なくとも実力差よりはるかに小さい点差で負ける試合は珍しいことではありません。

もちろんすべての試合を完封することはどう考えても不可能ですから、ゴーリーにとって失点することは仕事の一部です。そしてゴーリーは試合を決するほど攻撃に参加できるわけではありませんから、試合に勝つためにはチームが点を取ってくれることが必要であり、決して自分一人の力で勝つことが出来るポジションではありません。ですから、ゴーリーとしての仕事は

「試合の状況に関わらず、毎試合ベストを尽くして、自分のチームに勝つチャンスを与えること」

であり、たとえ負けたとしても、格上相手に数多くの決定的なピンチを防ぎ、試合終盤まで接戦に持ち込むことが出来ていれば自分の仕事を出来る限り果たしたと考えることが出来ます。

逆に、たとえ4-3で勝った試合であっても、失点は凡ミスばかりで、チームの得点力に助けられてかろうじて逃げ切った試合もあるはずです。

「チームに勝つチャンスを与えるプレーをしたかどうか?」

この答えは、周りの人達がどれだけ褒めてくれても慰めてくれても、自分自身でよく分かっているはずです。

自分自身のプレーに批判的になりすぎて1試合1失点毎に落ち込む必要はありませんが、勝敗、そして失点と自分自身のパフォーマンスの関係と真摯に向き合うのはゴーリーの仕事の一部です。

そしてコーチも同様です。勝敗その他の記録、周囲からの賞賛や批判に一喜一憂するのは人間らしい当たり前の感情です。しかし、自分はコーチとしてチームやプレーヤーを成長させる役割を果たしているのか?聞かれることも少ない立場ですので、たまには自問自答してみると良いかもしれません。

それでは。

2010年10月26日

コメントありがとうございました

> ロッキーさん
お久しぶりです。
心肺機能強化に非常に効果的なプログラムだと思いますよ。私と奥さんは開始1週間後にははっきりと効果が分かりました。消費カロリーも半端じゃないのでビールを燃焼させるのにももってこいですよ(笑)
英語版買えば良いじゃあないですか!あ、でも日本語版には日本用に献立をアレンジし直した食事マニュアルがついているので良いかもしれませんね。

> kakuさん
子供達の指導お疲れ様です。国は違えど同業者になっちゃいましたね(笑)
実は去年からトレーニングにはまって週5回ジム行ってましたけど、それでもP90Xは相当きつく感じました。自重中心の筋トレなので、きついわりには怪我もしにくいと思いますのでアスリートには非常に効果的だと思います。是非自分で試してみて、生徒の子供達にもやらせてみては?中学生くらいじゃないととてもこなせないかもしれないですが、、、

> 通りすがりさん
そうなんです、コアトレーニングだけの巻もあってこれがまたきついんですよ!たしかに身体の各部を一日1-3カ所ずつ集中的に鍛えて、1週間でまんべんなく鍛えていくトレーニング法ですね。そもそも見せかけだけのゴツイ筋肉ではなく、柔軟性があり使える筋肉を作るために開発したらしく素晴らしいクオリティのプログラムだと思います。是非お試しください。

それでは。

2010年10月25日

P90X:その2

お待たせしていました、フィットネスプログラムP90Xの続編です。

単なる痩身用お手軽フィットネスプログラムと思って始めてみたP90X、実はかなり厳しくかつ本格的なアスリートトレーニングプログラムのヒントが満載されていました。

まず始めに体感したのはそのキツさです、、、とにかくウォームアップから55分付近までわずかな小休止を挟むだけで休むことなく運動が続けられます。各メニューは30秒から60秒の筋力トレーニングなのですが、これを60分間続ければ立派な心肺機能強化のメニューになり、1時間でヘトヘトになります。

「ホッケーはマラソンではないから長距離を走り込むのは無意味である」

と言ってしまうのは簡単ですが、競技ホッケーの試合は60分間を断続的に動き回る運動ですし、さらにそれ以上の時間の練習を毎日のように行うためには心肺機能の強化が不可欠です。実際あらゆる競技スポーツを上達できるかどうかは、毎日のように続く練習をヒタスラこなして技術・戦術習得をし続けることが出来るだけの体力があるかにかかっていると言っても過言ではないと思います。
だからといって60分間単調にバイクに乗って、それからベンチプレスを休み休み繰り返しても、試合の実情とはかけ離れたトレーニングになってしまいます。ですから、ボクシングのトレーニングのごとく、瞬発的な動きを休みなく繰り返し、技術練習を繰り返すうちに、厳しい練習や試合の続くシーズンに耐えられるような体力がついてしまうというP90Xのトレーニングパターンはまさに理想的だと思います。そしてまさにその格闘技系トレーニングもP90Xに組み込まれています。

さらに、一般的なウェイトトレーニングだけで鍛えることが困難な体幹バランス、柔軟性や集中力、呼吸法などを学ぶため、P90Xにはヨガの要素が積極的に取り入れられています。このプログラムで使用されているほとんどのストレッチはヨガ由来のようですし、Yoga XというDVDで、週1回90分間みっちりとヨガ系のトレーニングを行うように設定されています。

私はヨガ系のトレーニング初体験でしたが、さすが数千年の歴史を誇る心身調和の鍛錬法。始めはとんでもなく難しいように思えた姿勢も、基本姿勢から段階を踏みながら繰り返していくうちに(この段階の踏ませ方がこれまた上手いんですよ!)なんとか形にすることが出来るようになり、バランスと柔軟性の向上を実感することが出来ます。
おそらくこのようにトレーニング用に普及しているヨガは、アメリカナイズされたスシのごとくずいぶんと西欧化されたものに違いありませんが、部分的な筋力トレーニングに頼らず、バランスと柔軟性、そして呼吸と集中力によって身体の動きをコントロールするという概念が遙か昔に完成されていたということには驚かされます。ちなみにジム・レイヤー等メンタルタフネスの大家もメンタルコントロールの核心としてヨガを取り上げています。

私はホッケー界でフランソワ・アレール、ショーン・スキナー、デレック・アイスラー、ゴルフ界でビル・フォレストなど、革新的なコーチング法を開拓した人々と仕事をさせてもらう機会に恵まれてきましたが、P90Xの創始者トニー・ホートンのプログラムの組み立て方、説得力ある語り口、カリスマ性にも同じ物を感じます。
例えば格闘技系トレーニングの巻では、まずパンチに必要な腰の回旋から始まり、そこにストレート、ジャブ、フック、アッパーとパンチの種類を加えていきます。そしてキックも同様にバリエーションを加えた後パンチとキックの組み合わせに移行します。負荷の高いメニューと低いメニューの組み合わせ方も絶妙で、「もーこれ以上無理じゃー、、、止めようかな、、、」と思わせるメニューの直後には癒し系のメニューが入って最後まで続ける希望を捨てさせません(笑)
複雑な動きも明快なキーワードを使って分かりやすく説明し、厳しく楽しく生徒を鼓舞する語り口も素晴らしく、フィットネストレーナーになる前には俳優を志し、コメディアンで生計を立てていたというのもうなずけます。とにかくこの人はただ者ではありません。

高価な機械に頼らず、ダンベルとヨガマットと懸垂バーくらいあれば自宅でじゅうぶん始められるこのP90Xは、単なるフィットネストレーニングの域を超えて、今や競技アスリートや軍隊にも採用されています。特にプライオメトリックスやコアトレーニングの巻はホッケーの陸上トレーニングとしても十分すぎる内容です。いやむしろ全巻通してトレーニングすることでホッケープレーヤーとして必要な身体能力が高まることは間違いないでしょう。

と思っていたら日本語版も出てるじゃあないですか!
ダイエットやトレーニングに興味のある人は是非お試しください。

ブルース・スプリングスティーンなど、スーパーセレブのパーソナルトレーナーも勤めるトニーさん、プライベートレッスンは1時間$500以上するんだとか、、、スゲー、、、あやかりたいですな。

それでは。

2010年10月09日

P90X:その1

COMMAND GRIP、おかげさまで好評いただいております、、、追加入荷しましたので、お試しになってない方はこの機会に是非!

さて、私の近況ですが、ついに奥さんも日本から合流してくれて新しい生活が始まっております。そして最近奥さんと共にはまっているのが、アメリカで大ブームになっているP90Xというフィットネスプログラムです。P90Xは極めて簡単な用具だけで行う12のフィットネスDVDセットで、知り合いがジムで行っているのを見たり聞いたりしていましたが、フィットネストレーニングといえばバイクをこいでハードに筋トレをやればいいと思っていた私には、ヒタスラ続く有酸素運動のようにしか見えず、試してみる気になりませんでした。

しかし、友達のコーチがこのプログラムを3ヶ月続けてなんと15キロも減量したのを目のあたりにしてちょっと興味が湧きました。肥満大国アメリカではこのようなフィットネストレーニングプログラムやフィットネス用具が山のように売られていますが、実際そこまで効果が上がったのを目撃したのは初めてだったからです。これはアメリカに来たらダイエットを始めると張り切っている奥さんに勧めてプログラムの全容を解明するべしとDVDを購入、、、私は横で普通の筋トレをしながら見ておくだけのつもりだったのですが、とりあえず自分でも試してみようと思って2週間前にプログラムを開始しました、、、

これは非常によく考えられたプログラムです。上半身、下半身(プライオメトリックス)、上半身、ヨガ、下半身、格闘技系のエクササイズと、日ごとに違う部位を1時間15-30分間鍛えていくのですが、プログラムの組み立て方が本当に絶妙です。各トレーニングメニューは30秒-1分と短時間ながら高負荷。バリエーションの付け方も上手く、

両肩→左右交互の上腕二頭筋→両方の上腕三頭筋

という組み合わせのメニューのあとは

左右交互の肩→両方の上腕二頭筋→左右交互の上腕三頭筋

のように組み合わせを逆にして筋肉が特定の刺激に慣れてしまわないように(muscle confusion理論と命名)しています。
さらに厳しいメニューのあとには少し軽めの負荷のメニューを入れたり、水分補給の時間を設けたりで、ヘロヘロになりながらもなんとかこなしていけるプログラム構成となっています。

そりゃこのプログラムを3ヶ月も続けて、健康的な食生活をしていれば(栄養ガイドも付属しています)痩せないわけがありません。そして、通常このようなフィットネスプログラムというと運動不足の人のためのものと思われがちで、本格的なアスリートはやっぱりガンガン筋トレしなきゃと思いがちですが、このプログラムは痩せたい人のためだけでなく、アスリートの身体能力向上にも大いに役立つと私は確信しています。さらにフィットネスに限らず、コーチングに関わる人々はこのプログラムから多くを学ぶことが出来ると思います、、、

それはなぜか、次回に続きます、、、

それでは。