2011年03月

2011年03月27日

Anything helps

震災から2週間以上が経ちましたが、こちらでは報道番組もすっかりリビア情勢が中心になり、人々の興味が移るのは本当に早いものだと考えさせられます。

私は今週末NHLチームの練習リンクでゴーリークリニックを行っていたので、クリニック受付にて奥さんが震災義援金(赤十字)の募金を行いました。勝手にやるわけにもいかないのでリンクに訊いてみると、あっさり許可してくれたどころか宣伝まで協力を買って出てくれました。

アメリカではユースホッケーのチームやその他あらゆる団体で、子供の頃から積極的にチャリティやボランティアに参加するのが当たり前です。私が教えているホッケー団体でも、恵まれない子供達にクリスマスプレゼントを募るToy Driveに参加したり、様々な形で地域貢献やチャリティ活動に協力しています。また、そのようなチャリティ/ボランティア活動は学校の成績表や、ホッケー選手としての履歴書にも記され、社会的に評価されます。例えば私の行うゴーリークリニックのシューターとして手伝ってくれている高校生たちからも、ユースホッケー団体のボランティア活動実績として、学校に提出する書類にサインしてもらいたいと頼まれたことが何回かあります。

このように、この国では自分の所属するスポーツ団体その他の団体を通して社会貢献をすることは、若いうちから当たり前に行われることであり、新聞でよく目にする有名スポーツ選手やアーティストのチャリティ活動や多額の寄付も基本的にはその延長上にありますので、チャリティは特別なお金持ちがするもの、というわけではありません。

スポーツや音楽その他の芸能活動が、人々に夢や自尊心や喜びを与える活動になり得るのは確かですが、世の中には夢や喜びだけでは到底救われない悲劇や問題が数限りなく存在します。ですから子供のうちからより実質的な方法で社会貢献を学ぶことはとても尊いことだと感じます。個人的には過度にエンターテインメント化されたチャリティイベントや報道のされ方などに疑問を感じることもありますが、大きな収益のためには大勢の人々が集まるイベントとそのプロモーションが必要なのも事実ですから、収益という実を取るには避けられないことかもしれません。

そんなことを感じながら、リンクに来ていた多くの方から義援金をいただいてクリニックと募金活動が終了しました。この大災害を前にすると本当に微々たる金額ですが、遠くアメリカの人々からいただいた支援が少しでも復興の助けになることを願っています。

火曜日からはいよいよSmile & Dream Minnesota Hockey Camp 2011が始まります。日本の子供達に教えるのは数年ぶりですのでとても楽しみです。素晴らしい経験をしてもらえるように頑張ります!

それでは。
hockeylabjapan at 23:50|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)雑感 

2011年03月18日

privilege

早いもので北米で子供達にホッケーを教えるようになって通算8シーズンが過ぎようとしています。ホッケープレーヤーが「やんちゃ」なのは洋の東西を問わないことで、「ホッケー選手としてあるまじき行動」をしてしまった子供達が強力に焼きを入れられるシーンは幾度となく見てきました。そのなかでよく使われる言葉が、

"Playing hockey is a privilege!"

です。"privilege"は日本語では「特権」のように訳されてしまいますが、それは一般的にはドンペリで朝風呂に入ってしまうような「特権階級」のような意味ではなく、「当たり前ではない」、「感謝すべき」、「恵まれた」状態を意味します。つまり、

「お前ホッケーをやってるってことがどれだけ恵まれていることなのか分かって行動しているのか!!!」

と焼きを入れているわけです。

ホッケーの本場の国々でさえ、子供にホッケーをプレーさせるのは容易なことではありません。特に競技ホッケーの道を選んでしまうと、練習の行き帰りの送迎に始まり、リンク代、コーチ代、防具代、遠征費その他途方もないお金、時間と労力が費やされていきます。

そして、ホッケーは地域性の高いスポーツであり、競技できる環境が限られていますので、実はこの素晴らしいスポーツに巡り会い、プレーし続けるだけでもとても恵まれたことなのです。ましてやホッケーをしている姿を人に見てもらったりコーチしたりして、それでお金をもらって生活したり、一国の代表となってプレーすることは、この上ないprivilegeなのです。

我々ホッケー関係者の多くは、残念ながら日常ホッケーをできる(観られる)というprivilegeをあまり感じることなく、明日の朝起きたらまたまた練習が始まり週末には試合があると思いながら人生を送っています。

一国が未曾有の大災害に襲われ、数多くの命が奪われ、生き残った人達の日常生活すらままならなくなったとき、ホッケーをすることがどれほどのprivilegeであったかを考えさせられます。ホッケーを趣味として、もしくは私も含め、とても恵まれていれば仕事として関わっていたとしても、万が一の事故を除けば、ホッケーには生きるか死ぬかの戦いはありません。

私は今、とても幸運なことにホッケーを生業として生きていける環境にありますが、今のこの状態がとてつもないprivilegeであることを忘れないでいたいと思います。
生死をかけた状況の人々を前にして、ホッケーやその他のスポーツが元気や希望を与えるなんてことはとても簡単に言えませんが(多くの人々の関心を集めるため、チャリティーイベントとしての実効果はある程度あります)、ホッケーに関わることができるというprivilegeがあるならば、今こそその尊さを忘れないでプレーしたりコーチして恥じることはないと信じます。そしてもちろん、ホッケーというprivilegeを離れ、人として何が出来るかも考えていきたいなと思います。

それでは。
hockeylabjapan at 16:54|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)雑感 

2011年03月09日

Want instruction?

ご無沙汰しています、、、
こちらではユースホッケーシーズンも終盤となり、各年代の州大会、地域大会が行われています。

私が教えたピーウィーAAチームは残念ながら州大会で敗退となりましたが、クリスマストーナメントで指揮したU16AAチームは見事州大会で優勝を果たし4月に行われる全国大会に駒を進めました。

U16AAチームは、クリスマス大会で臨時ヘッドコーチを務めた他、ゴーリー2人を通年で指導しました。

どんな競技でも共通することですが、U14〜U16の数年間は、その先競技スポーツを続けるか続けないかの大きな分かれ目となります。神童に対して大器晩成という言葉があるように、頭角を現すのが遅くてもトップレベルに達するアスリートも数多く存在します。しかし、ある程度の年齢、、、日本で言うなら中2から高2の間に競技スポーツと呼べるレベルに残っていないと、その先どんなルートをたどったにしても、プロレベルに達することはとても困難になります。例えば、甲子園に出なくてもプロになった選手は大勢いますが、中学高校で草野球をしていてプロになった人はゼロに近い(であろう)はずです。(もちろん例外的に高校生や大学生で競技を始めてプロ並みの競技力に達する人達もいますし、大人から始める競技スポーツにも素晴らしい価値があります!)

また、いわゆる思春期の子供達は、スポーツ以外にも社会的に様々な可能性や楽しいことが見えてきますので、スポーツとの両立、もしくはスポーツへの専心が難しくなってくる年頃でもあります。そのような意味で、13-16歳で競技レベルとレクリエーションレベルの境目にいるアスリートを指導することはとてもデリケートで注意が必要です。神童とうたわれてきたスーパー小学生が、ある日音楽に目覚めてホッケーを止めてしまうこともありますし、逆に今まで友達と楽しくホッケーをしてきただけの子供が、ホッケーの魅力に気づき、プロを目指す決心をするかもしれません。

私がU16AAで教えたゴーリーの一人は、今期が始まる前のシーズン、競技ホッケーをする気持ちになれず、1年間レクリエーションのホッケーをプレーしていました。しかし今シーズン再び競技ホッケーの道に戻り、ひたむきな努力が実って全国大会出場を果たしました。この成功で、彼は競技ホッケーの道になんとか踏みとどまったのです。この先彼が競技ホッケーでどのくらい成功できるかは分かりませんが、今年踏みとどまることができなかったなら、おそらく今後競技ホッケーの道に帰ってくることはなかったでしょう。

競技ホッケーの「成功」は人生における数多い成功の一部に過ぎませんから、今後彼が競技ホッケーで成功する可能性よりも、そのほかの分野で素晴らしい成功を収める可能性の方がはるかに高いのですが、ホッケーのコーチングを生業にする身としては、思春期の人生の選択肢の一つとして、この一年競技ホッケーの道を選び、苦楽を経て人間的に成長していってくれた姿を見るのは嬉しいものです。今後とも彼の成長を応援していきたいです。

さて、私事ですが4/26-5/15まで一時帰国が決まりました。帰国中ホッケークリニックの開催などご希望の方は是非ご連絡ください。

それでは。