2012年05月

2012年05月30日

アイスタイムの話:その3

香港→日本を経て、5日前にアメリカに帰ってまいりました。時差ぼけがひどくて疲れます、、、
そんな中やっと香港のホッケーアカデミーへのレポートを書き終えました。ホッケー指導をしに行ってレポートを書くのは初めてのことですが、実はレポートの話は指導を引き受ける時点で依頼されていました。そして、レポートは指導の話ではなく、香港のホッケーをこの先どのように導いていくかについて、そのために現行のプログラムをどのように改善していくべきかという内容を求められました。
私はたしかにアジアと北米両地域のさまざまなレベルで指導経験がありますが、一介のコーチに香港ホッケーの未来について一言どうぞと言われても、私の器に合わない話です。それにしても彼らの積極性には頭が下がる思いでしたので、一応私の感じたことと今後必要と思われることをまとめてレポートしました。

詳しい内容はもちろんここで明かすことはできませんが、私が提案したのは「外国人コーチをどんどん呼んできて指導法を学ぼう」とか「ショーアップした演出でホッケーをメジャーにしよう」(いやアマチュアですが、スポンサリングや演出面では香港はすでにアジアリーグを超えてます)ということではなく、限られたホッケー資源の中で、いかに効率的に選手育成ができる組織を作っていくべきか?という組織運営論でした。その中には当然これから取り上げるリンクの有効利用も含まれています。

というわけでアイスタイムの話です。まずはいただいたコメントについて、、、

icemanさん>
私は日本を離れて久しいので、結果を聞いた感じの話ですが、北海道と本州の差は以前より縮まってきているように思えます。おそらく競技人口で北海道と本州に圧倒的な差がつかなくなったからではないでしょうか?効果的トレーニングと優秀なコーチの存在は強化に欠かせません。が、その前にコーチが優秀であることが求められる環境が必要だと感じます。全国大会で何十点差がつくようなレベル分けで、しかも一度負けたら終わりのトーナメントで、コーチングにあまり重要性はありません。たとえスキルレベルが低くても、接戦が続き、コーチもプレーヤーも毎試合必死になれるような試合を多く提供する、適切なレベル分けが行われなければ、結局は競技人口が少し多くて、少しアイスタイムに恵まれた地域で、優秀な子供を集めたチームが勝つだけです。

34917さん>
私もIIHFの統計は基本的に施設数であり、リンクの面はもっとあると思います。というかIIHFの統計は非常にざっくりしていますよね、、、アメリカの屋内リンク数が1,800って、、、キリが良過ぎるし(笑)
そして北米のリンク事情は日本よりもはるかに恵まれていることも実感しています。だからといってたとえば日本の子供の二倍練習をしているわけでは決してありませんし、小さい子供たちは朝6時からの練習も普通なので、活動時間的に夜中よりはましって程度だと思います。そもそも我々が知る「外国のホッケー」である北米は非常に特殊な環境で、全世界の競技人口(約150万人)の3分の2、リンクの数も約3分の2が北米に集中しています。
ですから「カナダやアメリカのような環境」とその他の国を比較するのは少し無理があります。むしろ日本よりも競技人口や競技施設が少ないながら、日本と同等もしくはそれ以上の成功を収めている国々を研究すべきなのではないかと私は思い始めています。
例えばハンガリーや韓国の競技人口は日本の10分の1以下ですが、日本のよきライバルです。スロベニアはさらに少なく20分の1ですが、NHLスター選手がいる上に、一足先にトップデヴィジョンに昇格しています、、、
ということで、日本はいろいろ言っても世界的に見ればそれなりに恵まれた条件で競技を行っていると考えてもよいと思います。問題はおそらく、そのチーム選択の幅等も含めた競技構造や競技資源利用の効率にあると思います。

さてやっと本題です、、、前編では「慢性的にアイスタイム不足」であると思われがちな日本のホッケー界のアイスタイムは、実は世界的に見れば平均よりかなり上なのではないか?と書きました。もしあなたの小学校高学年チームで、1.5時間の練習もしくは試合が平均週3回あるとすれば、それは北米の多くのAAもしくはAAAホッケーチームのアイスタイムと大差ないか、多いくらいかもしれません。北米で数多くある1時間枠の練習しかしない地域のアイスタイムには確実に勝っているでしょう。ちなみに私がカナダ屈指のホッケータウン、ピーターボローでミジェットAAA(18才以下でかなり高いレベルです)教えていたときは、たしか50分の枠が週3回でした。こりゃ少ないですよね、、、そして日本のインターハイで上位に入るような高校の練習時間はすでに北米のジュニアホッケーや大学ホッケーと大差ないくらいかもしれません。

そうはいえども、日本の都市部で24時間営業しているようなリンクの混み具合はたしかに異常です。フィギュアにはガッツリ枠を押さえられちゃってるのが普通ですし、一般営業だってありますから、1.5時間の練習を週2回行うのが精一杯というチームも少なくないでしょう。限られたアイスタイムをなんとか有効利用する策、、、これにはリンクが協力してくれなければどうしようもないのですが、ホッケー用のリンクの貸し切り枠を1時間にしてもらうことで少なくとも一日に1-2枠増設することが可能です(製氷時間は10分で十分)。これで1週間に7-14枠利用できるチームが増えます。

練習時間が30分減ることには抵抗があるかもしれませんが、最初にスケーティング15分とか、一つのメニューを20分ダラダラ行なって時間を無駄にせず、テンポ良く練習すれば練習を効率化するコーチングの発展にもつながります。最後に楽しみにしていたマッチ(紅白戦、、、英語ではscrimmage)の時間がないとお嘆きの方がいるならば、週3回1時間の枠を取り(これでアイスタイムは以前と変わりません)、3回目はほかのチームとの練習試合にすればお互いのチームのアイスタイム確保になりますし、紅白戦よりも練習試合の方がはるかに意味があります。リンク代も折半になりますから節約できます。

さらに、週1回2チームでリンクをシェアして練習することでアイスタイムを確保することもできます。これは私の指導するクラブではすべてのハウスリーグチーム(レクリエーションホッケー)で行なわれており、トラベルホッケー(AA、AAAなどの競技ホッケー)でもピーウィー(11-12才)くらいまでは普通にシェアで練習します。半面のリンクを使って細かいスキル中心の練習をすることは練習内容的にも非常に意味があります。これで週4回アイスタイムを確保することも夢ではない、、、かもしれません。
もっと言えば、入部したての初心者は2-3チームくらい合同で3分の2面で練習して、残った3分の1面でその2-3チーム合同のゴーリー練習をすれば更なるアイスタイムの節約になります。

以上、1.5時間を1時間の枠にするだけで、週2回練習、練習試合1回、初心者&ゴーリー合同練習1回行なっても基本的なリンク代は据え置きになる、、、はずです。書いてて思いましたが、2チームだと試合料金を取るような悪質なリンクだとこの案はぶち壊しですね。

いやそれは理想であって実際には1時間の枠になんてならないというのであれば、、、例えば小学校チームと中学校チームの1.5時間枠を連結させて(製氷はあきらめましょう)、最初の1時間を小学生、次の1時間を小中学生合同でスキル練習&ゴーリー練習、最後の1時間を中学生の練習にすれば、3時間連結の枠2つで各チーム週4時間練習できます。

その他、初心者および幼稚園児は4チーム分集めてクロスアイスのゴーリーなしで2試合同時進行させるとか、限られたアイスタイムを有効活用する方法はいろいろあるはずです。

帰国した際、各地で競技人口低下の話を聞きましたが、それは逆に他のチームと連携して複数チームでリンクを確保して、お互いのアイスタイムを増やすチャンスでもあります。逆に例えば何かのブームで競技人口が二倍に増えたとしても、それを受け入れることができる施設が急速に不足するだけなので、やはり現場に関わる人々は現在の競技資源を有効に活用して競技力を上げるアイディアを全力で考えるべきだと私は思います。

さらに突っ込んだ競技構造、ルール運用、国際的競争力アップの話、、、なんかも書いていければ良いなと思います。
それでは。