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441fc5f3.jpg「秘密」

著者:東野 圭吾

文春文庫


杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人暮らし。

ある日、直子の実家に行く為に直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落する。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、直子は死去し、藻奈美は奇跡的に助かる。しかし、助かった藻奈美には直子の魂が宿っていた。


面白い、けどエラかったです。
エラいのは、多くの人の評判であった、切なくてどうしようもない、やりきれない気持ちでエラくなるんじゃなく、人を信じられずに疑う気持ちがどんどんと大きくなっていくのを見て、自分と同じだなって思えたからです。
読んでいる途中で、何度も目を逸らしたくなりました。
っていうか、あまりにも自分の評価と他の人の評価が違うんだけど、僕が変なのかな?

正直、序盤は面白くありませんでした。
交通事故で娘の体に妻の魂が宿るというありきたりの設定は好き嫌いだけど、そうなった状態を簡単に受け入れてるし、早い時期から面白おかしく生活しだしてるのを見て、そんな軽いの?って思ったからです。
もっと、こう、狂いそうになったり、気が触れたと思われたり、疑われたり、バカにされたり、なんかあるだろうって思った。
以前読んで好きになれなかった「夜明けの街で」が頭のどこかにあって、また・・・っていう先入観があったのかもしれない。
それが、夫の男の部分が出てきたり妻を疑い出すところから面白くなった。
ごめんなさい、やらしー性格なんです・・・。

なんとか本心を知りたくてこそこそと内緒で行動する夫と”強くてニューゲーム”を手に入れた妻。
普通の家庭では良くないとされるようなことも、普通でない家庭では、どれもが仕方がないって思えるし、そうしていかなければ本当に狂ってしまうんじゃないかって思える。
そうやってギクシャクが大きくなっていき、それぞれが互いに言えない秘密がどんどん増えていって「秘密」なのかと思った。
でも、「秘密」はそれでは終わらなかった。

終盤、妻と娘の人格が交代に現れるようになった頃、なんとなく予想通りの結末に落ち着くのかなあって思ったが、違った。
予想外だった。
僕はきれいな終わり方を期待していたんだろう。

最後、妻は夫に対して、死ぬまで二人の秘密っていうのを、言葉ではなく指輪を通して伝えた。
しかも、直接伝えるのではなく、夫の行動を読んで、間接的に知るように仕掛けて。
恐らく、クリスマスイブの出来事が妻の中にずっとあったんじゃないかな?
あのことが妻の二度目の人生の中で唯一、上手くいかなかったことなんじゃないだろうか。
だから、指輪を利用し、遠いとは言え加害者の関係者と結婚し、夫以外の誰にも分からないように仕返しをしたんだと思う。
仕返し、は変かな。
いや・・・全部変かな・・・。
でも、本当にきれいに終わらせようとするのなら、妻は絶対に指輪には触れないだろう。

もっすごやらしー解釈だけど、やっぱり強くてニューゲームを選んだんだと思う。
でも、それは仕方がない。
結局はどういう状況であっても生きていかなければならないのだから、どこかで吹っ切って新しい人生を歩まなければいけない。
中身はどうであろうが、世間が見たら、どうやっても親子な二人だ。
いつまでもその場から動けない夫と違って、見た目は娘な妻は、この状況を利用して、後悔のない人生を送ろうとしたんだと思う。
物凄く男と女の違いを感じさせる小説だった。

もし、実際にこういうことがあったら、この終わり方が理想的だとは思わない。
ミステリーだから良いと思えるエンディング。
(僕は恋愛小説だとは思ってません、ミステリーです。)
傑作だとは思わないけど、読む人の心によって全く解釈が異なり、あれこれと考えさせれる良い小説だと思います。
んで、僕は、やっぱり自分ってやらしー心の持ち主だなって、改めて思いました。

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