2017年05月19日
ギミー・ザ・ルート観ました
ツタヤの新作DVDのすみっこ~で見つけて、好きそうだったので半分ダメ元みたいな感じで観てみたら結構好きなやつでした。
新作なわりに公開は2012年ですけど。
なんか有名な監督が「これ良いよ~」って言ってたらしくて、そこそこ有名なのかなと思ってたんですけど、観終わった後検索してみたら全然ヒット無かったんでちょこっとでも書いておこうかなと。
どういう感じかというと
基本こういう感じの映画で、(このチャリはパクられる)

こういう感じで、

たまにこういう感じで、(スゲェいかついオッチャンだけど全然悪い人じゃない)

オチ的にはこういう感じです。(分からないからいいだろう)

なんとなく、僕は全然読んだことも観たこともないんですけど、本質的には「セトウツミ」って漫画(映画)に近いのかなと思います。
基本的にソフィアとマルコム2人のしゃべりとか距離感とかがメインの映画だろうなぁ、多分。
なんか、2人、全然映画映えしない顔なんですよね、笑っちゃうくらい。それこそその辺のチンピラ拾ってきましたばりの。なので始めは「大丈夫?この映画大丈夫?」って感じですけど、観終わったときには、好き。この2人。好き。ってなりました。バディ感とでも言いましょうか。この距離感が変化してんだかしてないんだか、いやしてるよなぁ多分。しっ、してねーし!全然してねぇし!って感じもありつつ、その辺がまぁ肝かと。(ラブストーリーではない)
ストーリーはですねえ、まぁこの辺はネタバレといえばネタバレな気がするのであんまあれなんですが、強調して言っておきたいのは、これ「NYの厳しい現実を生きるストリート系映画」ではないですよーってことです。全然嫌な感じになる映画じゃないから安心してねーってことです。(もしくはそこに期待しないでねーってことです。)
タイトルがGimme the Lootで、「金よこせ」なんですが、確かにお金が必要で、ちょっとあっ、大丈夫かこれ大丈夫か、ってなるところもあるんですけど、それは実は「はじめてのおつかい」程度のヒヤッで、刑務所ブチ込まれるみたいなことにはならないですよ。そういう系じゃないんですよ。
主人公達の生きがいは邦題サブタイトルにあるようにグラフィティアートで、いわゆるあの ”チンピラの落書き” なんですが、映画見る前はそれに命かけてスゲーがんばる系かなと思ってたんですけど、それも全然違いますよと。違うんかい。
開始早々スプレー缶を大量に万引きしてておいおいおいそういうやつね、やっぱそういうやつね、ってなるんですけど、見てるうちに別にその辺は普通になってきて、まぁこれぐらいやるっしょ、オレら、ってなってきて、終わり際にはまぁ花くらい取るっしょ、フツーに、結構楽しかったジャン、ってなってる。その辺は見てるうちに当たり前になってるんで全然大事なとこじゃないというかなんというか。でもいつのまにか当たり前になっちゃってるなー、すっかり浸かっちゃってるなーってことを楽しむという一面もあるにはあるのだろうけど。
プラス、ニューヨークの、下町?って言うんすかね。なんか、ニューヨークっていうとスゲービルってイメージですけど、

ギミザルートのニューヨークは全然ビルビルしてなくて、公園とかアパートとか道とかで、なんか「地元、ニューヨーク」って感じで、日本人的にはそれを目的で観てもそこそこ楽しいかもなと思います。NHKの道を撮るだけの番組(あるのか)みたいなそういう成分。なんか上の画像見てるとあれはホントにニューヨークだったのかなと疑問になってくるけど、そういうとこがおもしれーなーと。
ひたれる、ってのが重要なのかなと。
オマールの壁がストーリーとかと全然独立して、あの中東の感じ、あの町・人・顔・家・道の感じ、話・だべり、感じ、が成分的に楽しかったみたいに、ニューヨークの下町(なのか?)の成分を摂取できるだけでも楽しい、みたいな話です。
あの僕けっこうリスニング得意なんで()字幕には頼りつつも音だけで理解できる部分もあって、会話重視といえば重視なんで、楽しくない人には楽しくない可能性はありますよ、と言うだけは言っておいて。
あと「クソガキ共がグダグダしとるだけで全然クソつまらん映画やのお!」と言われれば、確かに「クソガキくんとクソガキちゃんがグダグダだべってるところが僕には面白かったんですぅ…」って感じです。期待しないで見ると楽しめるかもしれない。93分ですよ奥さん。
チェケチェケふー

hollowed at 05:30|Permalink│Comments(0)
2016年01月01日
「屍者の帝国」観てきました
このルックを観たときには「おっ、これイケるんと違う?」と思いました ↓

確か文庫の表紙がこれだったと思います。
でも実際出てきたのはこれでしたって感じです ↓

まぁ、ハーモニーの予告を見た時点で「あぁやっぱこうなるよね…」と思ってましたし、原作も読んでないしでそこまで憤慨するって感じじゃなかったのでいいんですけどね。
良かったところを挙げておきたいと思います。
まず、「伊藤計劃の作品を映画化してくれた」ってことですよね…
当たり前で忘れそうになってましたけどまずそこには感謝しておきたいです。
伊藤計劃のことはゲームクリエイターの小島秀夫さん経由で知ったんですけど、
まず「こんな文章を書ける日本人がいるんだ」ってことですよね。(ろくに本も読まない素人が)
そして「生まれてきてくれてありがとう」という圧倒的感謝。
そしてその感想を、この日本で多くの人が感じて、「これすごいじゃん!!」って映画にしようと思う人がいたってことですよね。
(もしかしたら「これは金になる」ってだけの発想なのかもという思いも払拭できないのであれですが)
日本終わってなかったなって思えたわけです。
第一報を見たときの「おぉっ!!」感といったらね。
(形が見えてくるにしたがってやがて冷え込んでいく熱)
次に、「すでに死者となった伊藤計劃の作品を映画化している」という文脈・メタ視点を入れ込んでいる(ように感じた)というところにグッと来ました。
そもそも元の小説が、ガンで亡くなった伊藤計劃が円城塔に続きを託した作品であるわけで、
失われるはずだったものを半ば無理やり形にしたものなんですよね。
そして物語の主人公も、亡くなった者に疑似人格、さらに魂を入れ込んで元の人間を取り戻そうとしているというわけです。
そこを映画・小説の成り立ちと重ねるのはうがった見方でもないような気がします。
「君の言葉を紡いでくれ」みたいな感じの、唐突に感じるあの流れは、そういうことなのではないかと。
途中「既に死んだ者に人格を流し込んで取り戻そうとすることは正しいことなのか」みたいな、セリフだったか葛藤だったかが入るんですよ。
伊藤計劃が亡くなった時点で屍者の帝国も終わりにすべきなんじゃないかという葛藤が、円城塔の執筆過程も含めて、どこかにあったのではないかと。
そういったもろもろと(あいまい)映画を重ねて、なんだか感ずるところがありました。(あいまい)
でもそこと重ねて悪い点もありまして。
映画も終盤に差し掛かったころでしょうか、「屍者の脳髄に手を突っ込んでぐちゃぐちゃにしたのはお前じゃないか」みたいなセリフか何かがあるんですよ。
終盤に差し掛かると、もうこの映画ももう無茶苦茶になっておりまして、「もう魔法じゃん」ってなるアレな感じになってしまっているわけですよ。(めっちゃゼルダの伝説みたいなものが2つ出てきました)(あとフォース)(あとFF13とダークソウル)
そこにきてこのセリフ。
「伊藤計劃と円城塔が作り上げた世界をめちゃくちゃにしてるのは、お前らだろうが~~!!」って話ですわね。
(そういえば主人公二人とこの二人を重ねればとてもすんなりしっくりと来ますね)
(というよりそこメインのような気がするので原作読んだ方がいいような)
ま、原作読んでないし、意外と原作もこんな魔法チックだったのかもなという気持ちもあるので、そこまで怒ってたわけでもないですけど。よかった読んでなくてと強く思いました。
ただまぁ終盤はもう、目を閉じて「早く終わってくれ… これ以上メチャクチャにならないでくれ…」って祈ってましたけど。
あと良かったところを挙げると、屍者の描写ですかね。
僕は別にゾンビ好きとかじゃないんで 思い入れはないんですけど、いいなと思うゾンビの描き方もありまして。ショーンオブザデッドだったと思いますけど、いわゆる「ゾンビと仲良く共生エンド」ってやつですよね。あれは好きです。あとアニメ のスペースダンディのゾンビ回、「全員ゾンビエンド」と近いところがあって。(というよりこれも映画のパロディだから元の作品があるわけでしょうけど。)
そこにいるみんながゾンビになって穏やかな日常を演じているような場面。
ベタといえばベタなんですけど、やっぱいいなぁ…ってなりました。
総括としては、「やっぱ無理だったな!!」のひとことです。
伊藤計劃の小説の魅力って、「こんな技術ありえない… いや… ありえるかも…」ってとこだと思うんですよ。実在感というか、「いや、ありえる」感というか。「全て本当のこと」感というか。
そこが映画では全く失われているということですよね。
ストーリーの表面だけなでて、なぜそうなるのかを全く考えようともしていないというか。
伊藤計劃の小説には「なぜそうなるのかの理論」が絶対あるんですよ。文の中でも当然説明されるし、彼の中に絶対に理論があるんだと信じれるんです。
この映画ではそういったものが全く感じられず、考えよう説明しようという意欲も感じませんでした。
ただのファンタジーです。
根本となる魅力を欠いている時点で、この映画はもうただの動く絵であって、情景の綺麗さとかしか評価しようが無いんですよね。前半期待させられた分余計ひどいですし。
そういえば前半は良かったところがたくさんあった気もしますが、今となってはもうどうでもいいとしか…
もう一回観てまたあの終盤のダメージを受けるかと思うと、とても手を出す気にはなれません…
観る価値ゼロとはいいませんが、これは伊藤計劃の小説の映画化というにはあまりに理論を欠いていたのではないかと
2015年01月03日
「マルコビッチの穴」観ました
原題は"Being John Malkovich"

最初はナンセンスコメディのようなものです。
それからSF映画のような、サスペンスのようなホラーのようなものになります。
「アメリカ版 世にも奇妙な物語」というとしっくり来るような気がします。
観終わって思うことは「なんだったのこの映画?」 です。
でも僕は見てる最中はもの凄く楽しかったですね。
クリストファーノーランのメメントを初めて見たときぐらい引き込まれました。
※字幕ありません。雰囲気で。
監督は「Her/世界でひとつの彼女」でアカデミー脚本賞を獲ったスパイクジョーンズです。
彼の長編初監督作品であったこの作品、脚本は別の人がやってますが、
そのディレクションの腕は既に評価に値するものだと思います。
112分なのでまぁそこそこあります。
90分とかがザラなコメディ映画として観るのはやっぱり無理がある気がします。
先に"Her"を観てスパイクジョーンズに惚れてからこっちを観た方が楽しめるかもしれません。
「なんかよく分からない映画が観たい」「コメディが観たいような気がするけど、ガチガチのコメディって気分ではない」「スパイクジョーンズは神」という状態の人にオススメします。
ジョンマルコビッチさんって実在の俳優さんだったんですね。
僕は知らないで観てたんですけど普通に楽しめました。
他の作品で知ってたらもっと面白かったでしょうね。

hollowed at 06:32|Permalink│Comments(0)
2014年07月13日
「エンドオブウォッチ」見ました
ふぅ…

最高でした…
が… やはりズッシリ来ますね…
が… 最高です。
うーん、警官モノって俺今まで見たことあったのかなぁ…
なぜか最初にTAXIが思い浮かびましたが、あれは厳密には刑事モノらしいですね。
ダイハードのマクレーン刑事も当然刑事ですし。
LAコンフィデンシャルもディパーテッドも刑事モノみたいです。
唯一、警官モノで思い浮かぶものといったらロボコップですが、見たことはありません。
てか毛色違い過ぎる。
警官と刑事の違いって何なんでしょう
調べたら、なぜか、ニコニコ大百科に答えが書いてありました。どうなってんだ。
一つの事件を継続して捜査する任務を課せられているのも、刑事の特徴と言えるだろう。
地域警察であれば、日々発生する事件や事故に対応することが求められており、初動後の調査は刑事に引き継ぐ。
警備警察であれば公安部門を除いては、騒擾やテロに警戒することが多く、刑事のように捜査することはない。
「初動後の調査は刑事に引き継ぐ」ということは、
初動は全部警察官がやるってことですね。
つまり、街で何かあったら全部警察官が駆けつけなければいけない。
それがご近所同士のケンカでも、乱痴気騒ぎの騒音トラブルでも、麻薬所持のタレコミでも、子供がいないと母親が騒いでいても、おばあさんの安否確認の依頼でも、集団による銃の乱射事件でも、
全て警察官が飛び回ることになるわけです。
刑事は、犯罪が起こった場合だけ連絡が来て、そしたら現場に出掛けていけばいいだけです。
だけではないですね。
彼らもよくやってくれていますね。よく見ますね、映画とかで。

あと警官の大事な仕事といったらパトロールですよね。
今作でも、パトロールはとっても重要な要素になってます。
最後まで見たら、とってもよく分かります。
なんてニクいラストだ!!!
てなります。
このラストは僕はなかなか忘れることはできないと思います。
ラストにここまでドカンと印象を、意味を残してくる映画、
僕は初めて見たかもしれません。
警官はとにかく「目立つ」んですよね。
パトロールも、制服も、パトカーも。
まぁ、目立つのも治安を守る上では大事なことだと思いますが、
「悪い人達」から見ればどうでしょうか。
ただの「的」でしかないじゃないですか。

僕は全て観終わった直後なのでこんなことを考えながら感想を書いていますが、
見てる途中ではこんなことは全然考えていませんでした。
なぜって、この映画「面白い」んですよね。
単純に。
パートナー2人が協力しながら、バカ話をしながら、事件を片付けていく。
普通の「映画」として楽しめるんですよ。
ニコニコ大百科に、またしてもこんな素晴らしいピッタリな表現を見つけてしまいました。
どうなってんだ。
刑事・警察官は、大衆の身近にいる人々の中でも最も強い権力者である。
彼らの仕事は、言わば人々の暴力や退廃を暴くことであり、それを取り締まる為に彼ら自身も威力を用い、時に彼ら自身が退廃した暴力や欲に塗れる。
こんなおもしろい素材を大衆が放っておくはずもない。
人々の関心はドキュメントや物語という形で提供され、まるでコロシアムで殺し合む
剣闘士を見るかのようにそれに食い入る。
なんなんだお前らは。文章上手か。
そうなのです、これ、「まるでコロシアムで殺し合む(やかましいわ)剣闘士を見ながら」、
「ひゅーひゅー!!やれやれー!!」
「おっ、大変だな!!頑張れよ!!」
てな感じで楽しめる映画なのです。
途中まではね?
てな感じの映画でした!
普通のお友達と見るのはオススメしませんし、
残虐描写がとっても苦手な人も見ない方がいいです。
が、とっても良い映画です。
ぜひ見てくださいちぇけら。

映画の中で見るとさらに50割増しでかわいいです。凶器です。ちぇけら。