はっきり言って自分には芸術的才能は無い。


すくなくとも自分ではそう思っている。


では何故そんな人がこういう仕事をできるようになったのか?


答えは簡単。

 

すきだったからである。

 

この仕事をやりたくて頑張ったからである。


以前書いた通り、自分が初期に作っていたものなんてホントひどい物である。


L.A.で10週間の学校に行き、仕事なんて無かった時、自分の作品をためるために19歳のころから真剣に彫刻の必要性を感じ、自分なりに作品を作り始めました。  


出来はもうホント最低。 


今自分がセミナーで教えてる生徒たちの方が、その時の自分よりいい物を作ってるってくらい。 


だけどもとにかく作った。毎日作った。 


何とかインターンで憧れの
SFXの仕事を手伝えるようになってからも、朝から晩まで仕事をし、他のみんなが帰った後に残って自分の作品を作っていた。  


とにかくその時は、映画の仕事が出来るのが嬉しくて楽しくて仕方がなく、家で寝ている以外は仕事をしていました。 

 


だからといって、それほどうまくなったかというとそうでもない。 



むしろこの努力の量の割には結果はよくなってない。 


多少の成長はあるものの、他のうまい人と比べたら足元にも及ばない。 


自分には才能が無いんだというコンプレックスがずーーーーっとあった。 




いや、むしろコンプレックスというよりも恐怖に近いものであった。

 


それから年月も立ち、それなりにアーティスティックな事も仕事でさせてもらえるようになったがレベルはまだ平均って感じで、周りには自分よりもっと上手い人が沢山いた。  


その人たちの初期の作品を見てもそれなりに上手なので、自分の過去を比べてやっぱり自分には才能が無いという不安がぬぐいきれずにいた。

 


27歳の頃である。 


この仕事を始めて8年目。 

仕事もそれなりの地位が出来、経済的にも多少豊かになってきたが、ふと気がつくと、お金のために仕事をしている自分に気づく。 


私生活の方でも色々と問題が起こり、自分の生きがいという物を見失ってしまった時期があった。 

振り返ると、この仕事を始めた頃はお金なんか無くたって楽しく、本当にこの仕事をする事に生きる喜びを感じていた。  


自分の生活のすべてをこの仕事にささげてきた。 


しかしそれだけの努力をしてきたにもかかわらず、周りを見ると、自分は何でこんなに出来ないんだと思わされるような上手い人が多く、本当に自信を無くし、落ち込み、今までの自分の人生はなんだったんだろうって、もの凄く悲しくなりこの仕事をやめて何か全然違う別の事をやろうと、他の仕事を探したくらいに自信を失ってしまったのであった。

 


考える事は後悔ばかり。



今までの人生がまったく無駄だった。


その間何か他に自分にあったことをやればよかったと。 



仕事を探してみても、やりたい事なんて見つからない。毎日怠惰にむなしく時は過ぎていった。

 


悩んでいてもむなしいだけなので、自分の気持ちをあれこれ整理してみる事にした。 


とにかく考えられる事は、自分には今は映画の
Special Make up Effectという分野の仕事しかない。  



まずその仕事はすきなのか?  

 


やはりすきである。  


ではこの漠然とした幅広い分野の中でも何をするのがすきか?  



それは彫刻であろう。  



では彫刻の中でも何を作りたいか? 



と、順を追って考えているうちにある重大な事に気づいた。

 


それは、ここ数年というか、この仕事をはじめた時から上手くなりたい上手くなりたいという頭ばかりで、何か誰かが凄い物を作れば自分も何かそういう似たような物をつくり、リアルな怪物を作るにはリアルな人間が出来なきゃいけないから、やらなきゃいけないという気持ちで人間を彫刻したりで、

やらなきゃやらなきゃという半分強迫観念というものに追われて何年も自分を押し殺して物を作っていた。  



人のまねをしても当然その人よりいい物ができるわけが無い。  



ここで初めて純粋に

 


自分が作りたいものは何かという根本的な課題に気づいたのである。

 


知らず知らずのうちに、精神が悲鳴をあげていたのである。


それに気づき、もう一度純粋に何を作ってみたいかを考えてみた。  


そして、実験してみた。 


ああしなきゃこうしなきゃという事を考えずに、ああしたいこうしたいという気持ちで一つキャラクターを彫刻してみた。  


すると驚くほどすんなり面白いものが出来てしまった。 
witch1
その時の記念すべき作品(もちろん今見たらまだまだである) 


そしてもう一つ違うキャラクターを同じように彫刻してみた。これまたいい感じに出来た。 

 


それからである。  


今までは周りを見て比べてその中の自分を気にしてしょうが無かったのが、視点を変え自分の内面を見つめることによって周りが気にならなくなってきた。 



うぬぼれとは違う自信というものが自分の中に芽生えてきた。  



それからである。急激なレベルアップを体験したのは。  



今までの7、
8年で例えばレベル3くらいまで上がったとしたら、それからの1年でレベル20くらいまですっ飛んでしまった。 


ホイミしか使えなかったのが一気にベホマズンを使えるようになった気分である。


もしくは村上ショージがさんまになったような気分。

それほどである。  


そして気が付けば今まで雲の上の存在だったようなこの業界のアーティストの作品も冷静に見れるようになり、また、真似もしなくなった。 


そして向こうも自分を認めてくれるようにもなった。

 


7-8年目で諦めていたら、自分は才能が無かったから、で終わっていたであろう。  


しかし、諦める直前にもうひとふんばりあったからもっと上まで行く事が出来た。 



今では人からは、当然才能があったんだねぇとか言われるが、その才能があるかないかを分けるポイントを乗り越える事ができた物は何か?  



それは好きだったからである。 




好きだったから続ける事が出来た。  

好きだったから諦められなかった。  

好きだったから努力が出来た。  



本当にただそれだけである。  

 


冒頭にも書いたように、自分には才能が無いと思う。 


本当に思う。  



しかし続ける事によってそのコンプレックスを乗り越えることが出来た。 


そして今は才能が無い事が自分の自慢でもある。

 


これから何か自分の腕一本で生きていこうとされてる人、才能が無いかと悩んでる人。  


そういう人たちに私は声を第二指定遺体。いや、大にして言いたい。 



10年続ける事をしないで自分には才能が無いなんて言うな。 



才能が無いなんてそんな基準はない。誰が計るでもない。 


自分で勝手に決め付けて自分で勝手に諦めているだけである。



すべての人はあらゆる可能性を持っている。  



できない人は自分でそう決め付けているだけだ。  


世の中の、才能無い人々よ。 


負けるな。がんばれ。