河田一臼先生が「基本八十一本」を創りだされた経緯を、ご自身記述されているので次に抜粋します。
◎元来、日本の習字教育は臨書に偏していた。それ以後の書道教育もまたそうである。だから、私も生徒達へ手本を書いて与え、又古典も臨書させた。それしか出来なかった私であった。手本に依らないで、上達の方法はないものかと、常に暗中模索の長い年月が続いた。
 昭和二十四年秋、上京して東京芸術大学に聴講することになった私は、上田桑鳩先生宅でお世話になり、昼は上野の芸大に学ぶこと数ヶ月、夜は毎日十二時過ぎまで先生の墨すりをやるのが日課であった。
反面、書論を東京に求めたが、無駄であった。具体的系統的書論は当時の日本にはなかった。自分はさびしく東京を去った。それから書論を創るべく暗中模索の数年が流れた。
 そしてやっと、昭和二十九年に「基本八十一本」を確立した。
昭和三十年正月には『手本なき自由表現』の可能に確信が得られた。後に「起筆、送筆、終筆、速度の結合方式」を創始、それ以後これを書表現に適用させることに成功した。
 反面、無意識による書の自由表現をも可能にすることが出来た。ここ何年間というものは、書道部員はもとより、書道選択生が楽々と自由にして個性ある表現をしている。思えば遠い道であったが一重に感謝している。意義のあったことを。

 今日の書道教育は一流一派の押し付けではだめである。書風の狭場ではいけない。書風の広場をまず作ることだ。それはあらゆるものへの調和へと進展する。その間に個性が浮き彫りにされてくる。生命の表現となる。即ち書芸術である。そこで目出度く完結というわけ。
 理論は科学であって道ではない。方便としての理論を否定しきれない故に、私は系統的理論を私なりに創っただけだ。そしてこれを利用した上で否定してもよい。そう思う。

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 河田一臼先生の作り出された「基本八十一本」は、口述して説明すればある程度わかりやすいものの、記述して説明するには極めて難解であります。
 一臼先生の書論書「人生と書道」のなかで、かなり詳しく説明されていますが、ここでは「朝日高書道部20年」記念誌の中で久松俊昭氏が解説している文を写真にて紹介します。
 「基本八十一本」を創出された河田先生の論拠を簡単に言うなれば、筆法・用筆などの固定概念を打破したかったものと思われます。それも東洋芸術の真髄をもつ書道(墨象)のよき面を大切にしながら〜 

人生と書道、81本久松ー81本=1







































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人生と書道、81本久松実演81本        人生と書道、81本昔の81本説明図 







基本八十一本を実演する久松俊昭氏(昭和40年)



●基本八十一本=関連作品

V42-53=基本81本  人生と書道、81本あたま白黒・81本  人生と書道、81本構成と追求








 

 
       人生と書道、81本「理」   V21-41=人体〜頒



 



 



 




八十一本