5/11-1595  ―絵画の探究から探究の絵画へ―

著者名:ベルナール・ジョルジュ  訳者:北山研二(解説)出版年月:20095月 出版社:未知谷 

ジョルジュ・ブラック略歴:18821963年、パリ郊外生まれ、画家、

著者略歴:1953年生まれ、近代芸術史家、オランジェリー美術館助手、ルーヴル美術学校講師、

訳者略歴:1949年生まれ、東京外大大学院修了、成城大教授、

 

いまパナソニック汐留ミュージアム(東京・新橋)で「ジョルジュ・ブラック展」(6/24まで)が開かれている。昨年ルーヴル美術館で天井画の鳥をみたり、ポンピドウセンターでブラックの作品に触れてからピカソ以上に興味を抱き、今回内覧会でじっくり観られて写真も撮れて、本書を手にしてハッピーな気分。

「ピカソと共にキュビスムを始めた男」よく知られたブラックの姿はその人生の序盤に過ぎなかった。キュビスム以降、セザンヌが切り開いた道に従って展開し続けた芸術活動――、それこそが美術史上注目されるべきジョルジュ・ブラックの仕事である。

アトリエの閉じた宇宙の中で作品を生み続け、「極端なものを追求しない」という「極端な方針」に身を捧げたジョルジュ・ブラックのあり方を、アルベルト・ジャコメッティは晩年、「今日の芸術とそのあらゆる葛藤の最先端部に位置する」ものと表現した。

室内装飾職人だった青年ブラックが時代の荒波に立ち向かいながら、フオーヴイスム、キュビスムを乗り切り、ブラックらしいブラックになる過程が、タブローー枚一枚、彫刻のひとつひとっの発展の解明と共に初めて明らかになる。新しいブラック像の発見。 などと裏表紙の紹介文。

 

本書の構成:

序文、セザンヌの影響を受けて、ザイルで体を結びつけられた登山者パーティー、ブラック=ピカソ、練り上げられる絵画、静かな生、意に反して、内部装置、消費される芸術、訳者あとがき、