エレベーターが開くと、独特の空気とにおい。

小学校の頃、足しげく通っていたことを思い出す。

その時の記憶なのかな。

 入院病棟って、なんか嫌い。

 

壁はこんなに白いのに。

床も手すりもこんなに綺麗なのに。

どうしてこんなに息が詰まるの。

 

部屋の入り口はこんなに開放的なのに。

窓から射す光はこんなに明るいのに。

どうしてこんなに気持ちが暗くなっていくの。

 

ベッドの上の貴方はこんなに笑っているのに。

無邪気すぎる程笑顔なのに。

どうして泣きたくなるの。

 

「あ!おはよう!はやりちゃん!」

子供のような元気な挨拶。

本当悔しいくらい、憎いくらい子供みたい。

 

「おはよう

私は「おねえさん」になって、それに答える。

もうそうしないと、その笑顔を許容できない。

皆を笑顔にするために目指した「牌のおねえさん」だったのにね。  


「ごめんなさい

 

その無邪気な笑顔に。

そして牌のおねえさんに。

その人の、私と同じ、大人の身体を抱きしめながら、

私は謝っていた。