吉田食堂、ドラマ好きですがなにか

作家&プロデューサー・吉田食堂の…。 ドラマと映画に関する噺

永野芽郁、来春の朝ドラヒロインに決定!

来春の朝ドラヒロインが永野芽郁に決まった。
永野芽郁といえば、今急成長著しい若手女優の1人。
鈴木亮平主演の「俺物語!!」でほぼ無名の状態からヒロインに抜擢されて以降、破竹の勢いで映画やドラマに出演し続けている。今年に入ってからは「ひるなかの流星」で映画初主演、「帝一の國」では男たちに囲まれながら紅一点存在感を放ち、「ピーチガール」では主演の山本美月を罠に陥れる腹黒女と、正統派に見えながら悪役もこなす演技派として認知され始めてきた。秋に公開される「ミックス!」でも、新垣結衣のライバル役と、ヒロインを演じることもできる女優ながら、ヒロインと敵対する役もこなせるという、まさに天下無敵ではないだろうか。

そんな彼女が、誰もが羨むヒロインに抜擢されたのだ。2018年の春からスタートするNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い」。恋愛の神様と称された北川悦吏子が初の朝ドラを手掛けることでも話題となっている作品だ。北川悦吏子といえば「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」いずれも90年代後半〜2000年代初頭でヒット作を連発していた。現役女子高生で、現在17歳の永野はもちろん北川作品は初出演となる。北川の作品をリアルタイムで見たことはもしかしたらほとんどないかもしれない。北川の作品を彩ってきた木村拓哉や常盤貴子たちとは違い、リアルな10代の女の子が北川作品をどんな風に演じるのか。またラブストーリー作品がほとんどな北川が、朝ドラをどんな風に表現するのか。朝ドラといえば、コメディとヒューマンが絶妙な匙加減でバランスを取っている、唯一無二のドラマだ。そのどちらを書いた作品をこれまであまり見たことのない北川悦吏子が、果たしてどんな朝ドラを生み出すのか、それはそれで楽しみではある。もしかしたら、彼女が得意とするラブを大いに活かした朝ドラらしからぬ朝ドラが生まれるかもしれない。さすがにあまりラブ路線に走りすぎると、朝ドラ好きの視聴者は離れてしまうだろうけど。

いずれにせよ、永野芽郁は女優として順調に階段を上っている。7月からはフジ系の火曜21時「僕たちがやりました」で連ドラ初ヒロインが控えている。芯の強さを見せつつ、どこか天然さも兼ね備えた彼女。注目度はさらに高まるに違いない。

追悼・野際陽子さん

また1人の名優がこの世を去った。
野際陽子さん。
81歳。決して若くはなく、早い他界…というわけではないといえば語弊あるが、やはり現役で昨日今日までテレビで見ていただけに、視聴者の我々ですら死去の実感はまるでない。

野際陽子さんといえば、近年のイメージはやはり姑役や母親役だろう。特に姑役は彼女の右に出る者はいないというくらいの、ハマり役だった。今もいないのではないだろうか。まあ今は嫁姑を描いたホームコメディのような作品がめっきり少なくなってしまったこともあるが。

「ダブルキッチン」では山口智子さんと激しい嫁姑バトルを繰り広げ、鼓を叩いてストレスを発散する姿が印象的だった。「長男の嫁」では浅野ゆう子さんと嫁姑バトル。家出して次男の家に転がり込み、オートロックのマンションの入り方がわからず入口前で飛び跳ねたり、ウォーターベッドに右往左往するなど、かわいらしい姑姿を見せた。「スウィートホーム」では再び山口智子さんと共演し、姑役を離れ、お受験の先生として彼女を追い詰めつつ激励する熱血教師を熱演。「私の運命」では突然余命宣告された息子を溺愛するあまり、新興宗教に傾倒し、挙句主治医を刺殺しようとする母親役。「理想の結婚」では原点回帰とばかりに、常盤貴子さんと竹野内豊さんの結婚に対して反対を唱え続けた母親役。「トリック」シリーズでは仲間由紀恵さんの母親役をラストまで務め上げた。

数え切れないくらいのコミカルでリアリティあふれる姑役や母親役を演じてきた野際さん。彼女が立て続けに連ドラに出演し続けてきた当時は、TBS系がほとんどだ。テレ朝系の「トリック」を除けば、先述したホームドラマはいずれもTBS系で、貴島誠一郎プロデューサーが手掛けた作品がほとんど。そして極め付けは「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんママと「誰にも言えない」の愛子さん。「誰にも言えない」では義理の息子役の佐野史郎さんとのキスが話題を呼んだ。90年代後半のドラマ界を彩ったキャスティングで彼女を一気にハマり役へと押し上げた貴島Pや制作陣の功績は高い。

現在放送中の「やすらぎの郷」に出演中の野際さん。この作品が遺作となったが、個人的には溌剌と嫁をイビり、コミカルなかわいらしさを持ち合わせた姑役がやはり心に残る。最期まで女優として生涯を全うされたその軌跡は、これからも語り継がれていくに違いない。

御冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌

「あなそれ」「カルテット」「逃げ恥」…TBS火曜22時枠の伝説は、その前から始まっていた。

いよいよ来週で最終回と思うと、少し寂しく感じるのは「あなそれ」こと「あなたのことはそれほど」だ。TBSの火曜22時枠は今回の「あなそれ」も含め、ここ1〜2年話題作が続いている。社会現象を巻き起こした「逃げるは恥だが役に立つ」や、毎週話題沸騰となった「カルテット」。そして回を重ねるごとにSNSが炎上するとともに視聴率がうなぎ登りの「あなそれ」。TBS火曜枠が定着しつつある。

この定着は深田恭子主演の「ダメな私に恋をしてください」通称"ダメ恋"から始まっている。当時、朝ドラ「あさが来た」でブレイク中だったディーンフジオカを相手役に起用し、さらに拍車をかけるかのように深田恭子のかわいさが話題となり、再ブレイクとの声も上がるほど。次作の「重版出来!」では、黒木華が民放連ドラ初主演を務め、オダギリジョーや坂口健太郎を筆頭に、安田顕、荒川良々、滝藤賢一、ムロツヨシ、小日向文世、松重豊を始めとする演技派役者陣が軒を連ね、漫画編集部を描いたお仕事ドラマがスポ根のようなさわやかな感動を呼んだ。

「重版出来!」を除けば、火曜枠はラブストーリーが中心に見せている。TBSは日曜がファミリー層・男ウケする仕事ドラマ志向、金曜はミステリー、サスペンス志向、そして火曜はラブ志向と住み分けが出来ている。昔は金曜日がラブ枠の看板を担っていたが、近年はその立場を火曜へとシフト転換しつつあり、結果を見せている。そして関テレ制作のフジ系が22時台から21時台へと移動したことも、視聴率に繋がっている要因だろう。TBSにとっては、これも非常に大きい。

今、最も話題性のある枠として次作が注目される火曜枠の夏ドラマは渡辺直美がゴールデン初主演を務める「カンナさーん!」だ。夏ドラマは比較的、若手の伸び盛りな俳優たちが初主演を務める傾向にあり、渡辺もその一つを担うことになる。話題作のバトンを受け取りつつも、気負わずに初主演作を思いっきり振り切って演じてもらいたい。

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「昼顔」の伊藤歩はある意味最強悪女

土曜日から「昼顔」が公開されている。
制作発表が解禁された当初は、なぜに今更⁉︎感が否めなかったが、公開直前ともなれば、連ドラ再放送をするなど、あの続編がどういう結末を迎えるのかという、連ドラを見ていた視聴者の熱を再び活気付かせている。

物語はドラマから3年後。不倫を通して家族、仕事、住むところ…全てを失った紗和(上戸彩)が海辺の街にやってくるところから始まる。新しい仕事も見つけ、穏やかな生活をスタートさせた矢先、北野(斎藤工)が近くのホールに講演会でやってくることを知る。会ってはいけない…。誓約書まで交わし、気持ちを抑える紗和だったが、北野の講演会へと足を運んだことで、2人の運命の歯車がゆっくりと動き始める。

ドラマ版の「昼顔」では、既婚者の紗和と北野が出会いから溺れていく不倫愛と危うさが描かれていたが、映画版はドラマ版でのバレるバレないのヒヤヒヤ感、ハラハラ感は少なめ。むしろ、再会し愛を確かめ合う純愛に近い描き方をしており、不倫という過ちはさほど感じさせない。そんな中でも、彼らに立ち塞がる敵役としてドラマ同様に存在感を放っていたのが、北野の妻・乃里子を演じていた伊藤歩。

伊藤歩は見た目で明らかに悪役という、意地悪な役の印象はない。むしろ清楚なイメージと言っていい。しかし「昼顔」を始め、昨年の連ドラ「営業部長 吉良奈津子」でも松嶋菜々子を追い詰めるベビーシッター役など、ドラマの開始当初は味方の顔をしていたが、実は悪役でした…みたいな飛び道具的立ち位置での地位を確立しつつある。悪女が板についている菜々緒とはまた対極の悪女といえよう。

あまり話すとネタバレになってしまうが、今回の映画版でもすんなりと引き下がらない。ゾッとする怖さを感じさせる。そして絶対に屈しない目力。これまで培われてきた演技力が存分に活かされている。今回の映画版「昼顔」でも、決して綺麗に収束させようとしないキーパーソン。紗和と北野の純愛に水を差す役目をきっちり果たしている。

そんな彼女が7月からの新ドラマ「セシルのもくろみ」では、崖っぷちのファッション編集者という悪女から一転した役でまた違う一面を見せてくれる。ただでは決して転ばない、ラスボス並の存在感を誇る伊藤歩にこれからも目が離せない。

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重たくて痛々しい、でも希望の光がある「ちょっと今から仕事やめてくる」

成島出監督の作品といえば、全体的に決して明るくはない。これまでに手掛けた「孤高のメス」や「八日目の蝉」など、重たい空気感を象徴するかのようなグレーな映像の色合い。それでも、最後には希望の光を照らすような締めくくりが特徴的だ。新作の「ちょっと今から仕事やめてくる」も同様のことが言える。

ブラック企業に勤める青山(工藤阿須加)は、毎日のように部長(吉田鋼太郎)に怒鳴られるパワハラを受け続け、辟易した毎日に嫌気がさし、無意識に電車へ飛び込もうとする。その瞬間、同級生と名乗るヤマモト(福士蒼汰)に助けられる。彼との出会いをきっかけに、青山の日常に変化が訪れる…。

福士蒼汰が主役で名前は一番になっているが、準主役の工藤阿須加が中心に物語が進んでいるので、工藤が主役と言ってもいいだろう。日常に疲れ果て、部屋もゴミ屋敷のような有様。心配する両親(森口瑤子・池田成志)の連絡にもキツく当たるほど心がささくれ立ち、日々の生活に余裕のなさ、切羽詰まった新米社員をリアリティーたっぷりに工藤が演じている。虚ろな表情、怒られすぎてつい反射的に謝ってしまう態度、苦しみや悲しみをも通り越して、忍び寄る"死"すら受け入れようとする、過労死する一歩手前の現代の若者の姿が痛々しい。それゆえに、福士演じるヤマモトとの出会いをきっかけに変化し、ラストには別人のように開放感にあふれた青山を表情豊かに演じる工藤に惹きつけられた。

そんな工藤演じる青山を、徹底的にシゴいて追い詰めていく部長を演じているのが吉田鋼太郎。ブラック企業にありがちな、弱者をいじめ抜く典型的な上に弱く、下に強い上司。辛辣な言葉で傷つけ、時には物に当たり、手も出す粗暴な男を演じる吉田のインパクトは非常に大きく、とてつもない存在感を示している。よくありがちな、最後には"いいひと"になることもなく、最後まで敵役として対峙したことも作品の中にスパイスを与え続けていた。「ギルティ」や「MOZU」でも見せた吉田の十八番とする悪人芸が炸裂している様子にも注目してほしい。

「ちょっと今から仕事やめてくる」というタイトルのように、映画の中身は軽いノリで済ませられるほど甘くない社会の現実を冒頭から直視させられる。グレーな色合いが続き、重たい雰囲気に包まれる作風ではあるが、工藤演じる青山が帰省し、優しく迎え入れた両親の懐の深さ、「いつでも帰ってきていいんだよ」という言葉には涙する。砂漠の中のオアシスでひと休みし、再び社会と向き合い立ち向かっていく青山の姿は、実に勇ましい。この作品でもまた、監督・成島出の真骨頂とも言うべき、リアリティたっぷりな濃密な人間ドラマが描かれている。

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「帰ってきた家売るオンナ」は、北川景子も含め、出演者全員の代表作!

改めて、北川景子の代表作だと再確認した。
昨年の夏にヒットを飛ばした「家売るオンナ」がスペシャルとなり、「帰ってきた家売るオンナ」としてカムバックしたのだ。

北川演じるサンチーこと三軒家万智は、とにかく家を売るためなら手段を選ばない。一芝居打つのも当たり前、家を売るため、自分の売り上げを上げるためなら、同じ営業所の担当していた客の物件も紹介しては売り込むストイックさ。時に軋轢を生むこともしばしばあるものの、そんなの御構い無し。家を売ることにしか一切興味がない、まるでサイボーグのような女。決め台詞の「Go!!」を始め、迫力のある掛け声で圧倒するサンチーを、北川が昨年同様のハマり役を見せていた。家を売ることにしか興味がないと先述したが、実は婚活や結婚にも興味津々という可愛らしい女性っぽい一面をちょいちょい覗かせるのが、また面白い。とかくやることなすことが、いち不動産屋以上で規格外。相変わらず痛快でスカッとさせてくれる。

そんなサンチーに振り回されるのが、工藤阿須加演じる庭野と、サンチーと共に独立した仲村トオル演じる屋代。仕事はイマイチながらも純粋で誠実な庭野を工藤が今回も等身大の青年像を見せていた。まっすぐで疑うことを知らないような青年を演じる工藤はこれまたハマり役。澄んだ瞳がそれを物語っている。一方で、独立後もサンチーのほぼ言いなりのような立ち位置の屋代を、中年男性の情けなさを醸し出しながら演じている仲村がまたいい。かつてはそのルックスで二枚目の役柄が多かったが、最近は父親役や上司役など、年相応で尚且つどこか頼りなげな三枚目の役を多く演じるようになっており、それもまた意外にハマっているのだ。

彼ら以外にも、チームに昇格して腹黒さをさらに忍ばせた王子様・足立役の千葉雄大、結婚してもサボり癖は悪化の一途を辿り、清々しいほど反省の色一つ見せない白州役のイモトアヤコ、そんな白州に呆れつつも、尻に敷かれた状況をどこか楽しんで喜んでいる夫・宅間役の本多力など…。北川景子が演じたサンチーのみならず、脇役に至るまで個性的なキャラクターが揃っているからこそ、このドラマがヒットに繋がった要因といえよう。

また次に繋がる伏線をにおわせるラスト。
スペシャルも視聴率が良かったことで、続編が期待されている「家売るオンナ」。北川景子の痛快なサンチー節を、もう一度個人的には見てみたい。

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暴走する波瑠、東出昌大、そして不気味な山崎育三郎が見ものの「あなたのことはそれほど」

これまで見てきた不倫ドラマで、最も清々しいのではないだろうか。"あなそれ"と称されるほど話題になっているTBSの火曜ドラマ「あなたのことはそれほど」だ。以前にもこのドラマのことは書き記したが、それから回を重ね、前回は波瑠演じる美都と鈴木伸之演じる有島の不倫が、東出昌大演じる美都の旦那・涼太にバレていたことが明るみになった。

とはいえ、主人公・美都。普通なら謝るところではあるが、謝る素振りも見せない。むしろ悪びれるどころか、有島の家に乗り込んでいく暴走ぶり。狂気を見せ始めた夫・涼太といい勝負ではないだろうか。有島に会えない寂しさから子供のように不貞腐れる美都よりも、意を決して家に乗り込んでいこうと決めた時の美都の方が、波瑠らしさが出ている印象だ。嫉妬を孕んだ不気味さを笑顔に込めた、怖い表情は鳥肌モノだった。世間にゲス不倫とまで言わしめるほど視聴者の関心を寄せる美都の行動と清々しさを、自身で全く共感できないものの体現している波瑠の女優魂には脱帽である。

不倫がバレてもちっとも反省の色を見せない妻に対して、怖いくらい笑顔を突きつけていくのが東出演じる夫・涼太。不倫関係のエスカレートと共に、涼太の狂気っぷりもエスカレート。ついには有島の前にまで姿を現し、存在感での宣戦布告。粘着質な笑顔と感情の抜け落ちた真顔をコロコロと繰り返す涼太は、東出が演じた中でも難易度の高い役だろう。傍から見れば理想の夫のように見えて、実は真面目故に一度壊れると修復困難。仏が敵に回れば手のつけようがない悪魔へと変貌を遂げる怖さを、東出が表情を活かし見せている。
物語の中で涼太は何にも悪くない。妻のように不倫などせず、ただ一途に妻を愛しているだけ。なのにその愛が狂気に変わり暴走することで、涼太の方が一見悪い奴と思われかねない。そんな悲しい涼太という男を演じる東出が、怖さと同時に今後悲哀を見せていくのかも注目だろう。怖さばかりに気を取られがちだが、ある意味被害者である涼太の悲しみを表す方が、元々備わっている素朴な東出の魅力には合っていると思う。

そして東出同様、いやそれ以上に怖そうなのが山崎育三郎演じる小田原。家の外では職場の同期ということもあり、常に涼太にピッタリくっついているまるで恋人のような存在。むしろ美都と涼太夫婦が早く別れればいいと思っているような、第三者としてどこか楽しんでいるような小田原の秘めた怖さを山崎がクールな表情を見せながら演じている。美都に対して嫉妬混じりのような言葉をグサッと投げかけてみたり…。ダブル不倫の修羅場で、彼が今後さらに引っ掻き回す存在になることは間違いない。「下町ロケット」以降、映像作品が後を絶たない山崎育三郎が今回のような"悪役"を演じるのも新鮮だ。まあ、物語の中で善悪を区別するなら、美都と有島が"悪"なのだが…。小田原も涼太同様、暴れてほしい。

「あなたのことはそれほど」
来週は修羅場に突入だとか。
しかしまたドラマは折り返し視点。これから2組の夫婦がどうなるのか。いずれにせよ、波瑠が反省しない限り、東出がますます壊れていくのは見えている。だけど急にしおらしくなるのも、それはそれで"あなそれ"らしくない。ここまで来たなら、波瑠演じる美都が堂々と不倫道を貫く姿勢を見せてもらいたい。もちろん、賛成はしませんが。

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「人は見た目が100パーセント」で発揮する、バイプレイヤー・鈴木浩介の巧さ

「人は見た目が100パーセント」は人気漫画原作で、桐谷美玲主演、水川あさみと今ブレイク中のブルゾンちえみが共演という話題を呼んだものの、いまいち視聴率には繋がっていない。そのせいか評判もあまりいい声が聞こえてこないが、実際中身を見てみると、そこまで悪くはないと個人的には感じる。冬ドラマの「カルテット」や朝ドラ「ひよっこ」のように、秀逸な会話劇を求めると別な話だが、桐谷・水川・ブルゾンの3人扮するオシャレに無縁な理系女子たちが、モテるため、綺麗になりたいがために日夜ビューティー研究に勤しみつつ、慣れない美の追求に悪戦苦闘する様は愉快で面白い。単純に笑えて、同じフジ系の「貴族探偵」よりもツッコミながら笑えるドラマだ。
芸人のブルゾンが体当たりにビジュアル含めて笑いに走るのは想像つくが、桐谷や水川までオーバーに笑いを取ろうとするのもこれまた愉快。特にさすがの水川あさみ。関西育ちとあって、3人との掛け合いバランスでの間の取り方が絶妙なのだ。これまでのクールビューティーな水川のイメージを覆すコメディエンヌっぷりを発揮している。

しかし「人は見た目が100パーセント」で彼女たち3人以上に、インパクトを残しているのが間違いなく鈴木浩介だ。鈴木浩介はこれまでに数多くの作品で脇役として爪痕を残してきた、まさに日本を代表するバイプレイヤーの1人。春はこのドラマと天海祐希主演の「緊急取調室」の2本を掛け持ちしている。「緊急取調室」では速水もこみちを相棒に、直情型な刑事役だが、「人は見た目が100パーセント」では美意識の低い桐谷たち3人を罵りつつもビューティー研究に協力的な化粧品会社の社員・国木田役。言葉の端々でオネェっぽさを感じさせる美意識の高い男・国木田が、これまた鈴木にどハマリ役で見ているだけで面白い。桐谷たちに小姑のように口出ししては、アドバイスを投げかけ、協力を求められていない時は不貞腐れて拗ねてみたりと、見た目は完全に男だが、中身は女子寄りというかわいらしい国木田を鈴木が好演している。随所にアドリブでは?と思うような自然な台詞が飛び出していたりと、もはや鈴木なしにはこのドラマの面白さは引き出すことはできないと言えるほど、「人は見た目が100パーセント」は鈴木浩介がいるから成立していると言っていいだろう。そのくらい、国木田という女子力の高い中年男の立ち位置が、鈴木にピッタリなのだ。

草剛主演の「恋におちたら」で連ドラレギュラーとして注目され、戸田恵梨香主演の「ライアーゲーム」でブレイク。その後は「昼顔」「ドクターX」などシリーズモノや高視聴率ドラマでも数多く印象深い役を演じてきた鈴木浩介。間違いなく「人は見た目が100パーセント」の国木田役は、これまでで最も彼の魅力が最大限に発揮していると言っていい。だからこそ、視聴率が低迷しているのは残念である。俳優・鈴木浩介が生み出す面白さを、是非見てほしい。

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熱い窪田正孝とダサい北村一輝が好演光る「4号警備」

窪田正孝と北村一輝の凸凹コンビが、水と油な割に、徐々に相性が良くなっていく様が描かれているNHKの土曜ドラマ「4号警備」。民間の身辺警護を2人が務めている。

身辺警護といえば、やはり岡田准一の「SP」が代表格だろう。連ドラから映画に至るまでヒットを飛ばし、とにかく岡田の驚異的なアクション能力の高さには驚きの連続で、迫力満点だった。むしろ非凡すぎて、現実味がないエンターテイメント作品といえる。実際となると「4号警備」がリアルに近いのかもしれない。

だが窪田もアクションでは岡田に匹敵するほどの身体能力をドラマで数多く見せている。敵とのアクションシーンはもちろんだが、壁を伝ったり、あちこち飛び跳ねたりと、驚くほどの身のこなしを見せている。窪田のアクションが見せ場の一つでもあるが、「4号警備」では窪田と北村の軽妙な掛け合いや、彼ら2人が警護にあたる毎回出演するゲストが狙われる理由が焦点となっている。それに加え、主演の2人がひきずる過去を抱えたプライベート…。放送時間も民放の連ドラより短めということもあり、コンパクトでスピーディーな展開が功を奏している。

普段はイマドキな軽いノリの若者だが、任務となれば警護対象者を守ることへの使命感に燃える朝比奈を窪田正孝が持ち前の演技力で、普段と任務中・オンオフの切り替えを巧みに見せている。恋人をストーカーに殺されるという心の傷を抱え、犯罪を人一倍憎み、犯罪者への憎悪を向ける鋭い目線は鳥肌モノ。「デスノート」でも見せた彼の眼力には毎回圧倒される。ゆえに彼がブレイクするきっかけとなった「花子とアン」の、どこまでも心優しい朝市が本当に懐かしい。

そんな朝比奈とは対照的に、4号警備任務には後ろ向きで、どこかおどおどしているダサい中年・石丸を演じている北村一輝もまた印象的だ。No. 1ホストや猟奇的な犯人役など、色気のある役を多く演じていた北村が、これまでとは全く真逆のどこにでもいそうなバツイチ中年男を演じており、離れて暮らす娘にも見放されそうになりつつも、不器用なりに愛情を持って接しようとする石丸を好演している。

朝比奈が石丸を"シシマル"とあだ名をつけられるなど、互いに反目してあっていたものの、警護を通して、お互いを相棒として認め、そして信頼しあっていく2人の姿。しょっちゅう喧嘩しつつも、素直になれない父と息子のような、年の離れた兄弟のような、まるで家族のような空気感を創り出している。

来週で最終回を迎える「4号警備」。これまでで最もハードな警護に挑む朝比奈と石丸の2人だが、最終回でも全シーンを任務オンリーにするだけじゃなく、2人の微笑ましい軽妙な掛け合いも忘れず見せてほしいのが本音だ。

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「小さな巨人」のキーマンは、市川実日子にあり⁉︎

とにかく顔面ドアップの多いドラマだ。
「小さな巨人」である。
「半沢直樹」以降、「ルーズヴェルトゲーム」「下町ロケット」など、伊與田英徳プロデューサー作品で福澤克雄ディレクターの特徴ともいえる。TBSのお家芸とも言えるだろう。今回は福澤ディレクターは参加していないが、監修という側に回り、演出陣にも福澤イズムが流れている。

ドアップといえばこの人!というくらいの印象が強い香川照之を始め、岡田将生、春風亭昇太らがこれでもかというくらい代わる代わる悪い顔をして、長谷川博己の前に立ちはだかる。特に香川の、目を見開きつつべっとりとした頭から離れない悪代官のような笑顔は強烈だ。長谷川と当初対立していた頃、悪役だった岡田の表情も新鮮だった。これまで善人で不器用な役が多かった岡田が切れ長の目線を活かし、何かを企み、長谷川と真っ向勝負を挑み対峙する姿には、怖さすら感じた。善人で不器用な岡田はこれまで通りもちろん見たいが、器用に立ち回る岡田らしくない悪人も見てみたいのが本音だ。

「小さな巨人」は警察組織の対立や、隠蔽工作などドス黒い闇に切り込んでいくストーリーが中心ではあるが、個人的には主演の長谷川博己と妻役の市川実日子が繰り広げる漫才のような夫婦のやりとりが、このドラマのバランスを保つ上で重要な役割を果たしていると感じる。警察組織では部下たちを守り、強いリーダーシップを発揮している長谷川演じる香坂だが、家に帰るとただの男、ただの夫。妻には全く頭が上がらない。これに三田佳子演じる香坂の母が加わり、構図としては二対一。女たちに振り回される香坂の姿は、どこかかわいらしくて一番人間味にあふれている。口ではチクチクとプレッシャーをかけつつも、夫を信じ、何があっても添い遂げる肝の座った妻・美沙を、市川が見事に演じている。毎回1シーン程度の出演ながら、ドラマの中で香坂の安らげる場面として重要な役割を担っているのだ。

「小さな巨人」はもしかすると、香坂ではなく、香坂の妻・美沙かもしれない。

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