吉田食堂、ドラマ好きですがなにか?

作家&プロデューサー・吉田食堂の…。 ドラマと映画に関する噺

丁寧だけど地味な「海よりもまだ深く」

子供の取り違え問題に翻弄された二組の家族を描いた「そして父になる」。
三姉妹と、腹違いの妹。"四姉妹"が本当の家族になるまでを描いた「海街diary」
ここ数年、国内外で話題作となったこれらの作品を創り、ヒットを飛ばしているのが是枝裕和監督だ。

そんな是枝監督の最新作が「海よりもまだ深く」
阿部寛主演、真木よう子、樹木希林、小林聡美、リリーフランキー。是枝作品の常連たちが軒を連ねた、元家族の人間模様を描いた作品である。

内容を一言でいえば、地味。
特に何か事件が起こるわけでもなく、誰かが死ぬわけでもない。

小説家としてリベンジを果たそうとする中年ダメ男。
そんな男に愛想を尽かし、別の男との人生を歩みだそうとする元妻。
離婚した両親を精一杯気遣う息子。
彼ら"元家族"の行く末を案じる母。
そんな人々のありふれた日常が、丁寧に描かれている。

お金に困ってる割に、ギャンブルに手を出すは、母や姉のお金を頼りにするは…。情けなくてダメな男を阿部寛がチャーミングに好演している。「下町ロケット」で演じた夢を追いつつ会社を守る、男気溢れた社長とは真逆の役柄だが、"ダメ男"を演じてもなぜかハマっている。

そんなダメ男に対して風当たりの強い元妻を演じた真木よう子は十八番の役柄だろう。気が強く、男顔負けで仕事もバリバリ。クールビューティな表情ゆえに、ピッタリだ。ゆえに、ほんわかした天然さ全開な役も個人的には見てみたい。恋愛にどぎまぎする「脳内ポイズンベリー」の彼女はとてつもなくかわいくて、面白かったから。

近年の是枝作品らしさが出ていた「海よりもまだ深く」
「そして父になる」「海街diary」を含め、三部作と言っていい。
とはいえ、見る者によってはどこか物足りなさもある。
ドキドキ感や切羽詰まったハラハラ感は期待できない。
一方で、どこにでもいるような、もしかしたら自分の家族のようなリアリティにあふれていることは確かだ。

しかし次回作も「彼の作品は、また同じような空気感だろうか…」と見る側にそう思われたら、飽きられている証だ。そろそろエンターテイメント性のある、挑戦的な作品を見せる時なのかもしれない。

最後に「海よりもまだ深く」
見せ場はどこ?と聞かれたら…。
樹木希林と小林聡美の、母娘の掛け合いだ。
間合いと作り出す空気感が絶妙。是非見てほしい。

春は火曜が熱い‼︎〜「重版出来‼︎」と「僕のヤバい妻」

春ドラマで1番熱い枠は、火曜日22時だろう。
視聴率はさておき、フジもTBSも放送されるたびに話題になっている。

フジ系の「僕のヤバい妻」はサスペンスタッチ。
一方の「重版出来‼︎」は職業系群像ドラマ。
全く異なるテーマで、毎週ガチンコ対決し、「今週は○○が視聴率に軍配‼︎」と芸能ニュースで取り沙汰されるくらい、注目度の高い二作品ということだろう。

「僕のヤバい妻」は何度も話しているが、登場キャラ全員が"ヤバい"。
木村佳乃の突き抜けた悪女のインパクトもさることながら、愛人役の相武紗季も引けをとらない。
まだまだ謎だらけな隣人役の高橋一生とキムラ緑子、出番が少なすぎることが絶対怪しい佐々木蔵之介、娘を利用されて窮地に陥ったものの、このままじゃ終わらないはずの宮迫博之。

そしてあれだけ酷い目に遭っておきながら、全く懲りていないクズに近い最低な旦那役の伊藤英明。キャラが際立った面々だけに、今後の展開が楽しみで、毎週ドキドキ感もハンパない。火曜日が待ち遠しいと思える。さらに安室奈美恵の主題歌「Mint」もドラマにスパイスを加え、激しいダンスナンバーが花を添えている。ヤバいヤバい。

そんなヤバいドラマの裏で、TBSの「重版出来‼︎」のストーリー展開は、スピーディーさはないものの、丁寧かつリアリティを特に重点的にしている。
ドラマで紹介される漫画は実際の漫画家たちが描いた作品だったり、編集者たちと漫画家たちの悲喜こもごも、そして彼らの漫画に対する溢れんばかりの愛情が伝わってくる。

今週は"新人潰し"の異名を持つ安井役の安田顕がフューチャーされた話で、なぜ"新人潰し"と呼ばれるような編集者に変貌したか。その悲しい過去に涙した。毎回、必ず泣かせてくれるドラマに出会えたのも久しぶりだ。泣いた後、なぜか清々しく見る前よりも前を向いている自分がいる…。そんなドラマが「重版出来‼︎」だろうか。で、こちらの主題歌もまたいい味出してるんだ。ユニコーンの「エコー」。奥田民生の何とも言えない、味わい深い哀愁漂わせる声が響く。

二作品、同時に見ることはできない。
どちらかをリアルタイムで見て、どちらかを録画で後で見る。
CM中にチャンネルを変えたりするが、大概CM中は裏番組もCM。うまいことやってくれる。

吉田食堂は、リアルタイムで見ても後からまた見直したくなるから、二作品とも録画は欠かさない。どのクールでも、こういった同日二作品にハマる傾向は少なくない。
忙しないが、ある意味、幸せと言っていい。
おもしろい作品だからこそ、1週間後を楽しみにできるわけなのだから。
でも待つのは苦手だけど。関西人だから。

菅野美穂、「べっぴんさん」で母になる

「とと姉ちゃん」が好評と呼び声の高い朝ドラ。
「あさが来た」のプレッシャーもなんのその。高視聴率を維持し続けている。だが維持し続ければ続けるほど、後番組のプレッシャーは計り知れない。むしろ責任は重くのしかかる。
次の朝ドラ「べっぴんさん」がそうだ。

先日ヒロインに芳根京子が選ばれたことはすでに周知の事実だが、さらに注目なのは共演陣が発表されたことだ。

まず両親が、生瀬勝久と菅野美穂。
特に菅野美穂は結婚と出産後、ある程度仕事をセーブしている。最近はゲスト出演といった1話のみの出演が多く、主演作でガッツリと連ドラ参加という上での復帰はまだ見られない。子育て優先はもちろんのこと、夫の堺雅人が大河ドラマの主演を務めているわけだし、家庭中心の生活なのだろう。

そんな菅野美穂が朝ドラ出演。しかも母親役。これは本格復帰か⁉︎…と少し期待したが、どうやら母親は主人公が少女時代の時にこの世を去る設定。出番は少なめだ。だがドラマの語りとして半年間参加する。本格復帰の第一歩に近い形だろうか。

実際、菅野美穂は朝ドラヒロイン経験者だ。
20年前「走らんか!」という、博多を舞台にした朝ドラで男性が主人公という珍しいケースで、中江有里とのWヒロインだった。その後、「イグアナの娘」で地上波ゴールデン初主演。イグアナ役の女子高生という衝撃的な役柄でインパクトを世に放ち、その後の活躍は御存知の通り。正統派から悪役までこなす演技派女優としてその名を轟かせてきた。

朝ドラは「ちゅらさん」以来3度目となる。
菅野自身も話していたが、「20年の月日が流れ、まさか母親役をやることになるとは…」と。かつての無名ヒロインが、日本を代表する女優となって、朝ドラというホームに帰ってくる。そんな例も少なくはない。今後もありえるだろう。

他にも、高良健吾が幼なじみ役。高良も「おひさま」以来の朝ドラ出演となる。高良の父親役をネプチューンの名倉潤、ももクロのリーダー・百田夏菜子が女学校の友人役、祖母に中村玉緒と共演者がこれまた個性派ぞろいで、秋のスタートが楽しみだ。

しかも、ヒロインの旦那役がまだ発表されていない。一体誰が抜擢されるのか。他にも主題歌は誰なのかとか、色々と待ち遠しい。

濱田岳に泣かされた「世界から猫が消えたなら」

泣ける!感動する!…という事前情報があればあるほど冷静に客観視してしまい、泣けないのがこれまでの経験談だ。
観客の中には、まだ始まってもいないのに「もう泣きそう!ヤバいヤバい」とワーキャー騒いで、本編が始まってもワーワー言うから、注意されるくらい興奮していた女子がいたが、吉田食堂はそんな女子ほど若くもないので、いたって冷静だった。

「世界から猫が消えたなら」

佐藤健主演で、原作は100万部を超える川村元気氏のベストセラー小説。
脳腫瘍を患った主人公が、自分の命を1日延命するのと引き換えに、この世から大切なモノを1つ消していく…。
いわゆる、悪魔との取引なわけだ。

延命と引き換えに、大切な人との繋がりや思い出がどんどん消し去られていく展開は、切ない。とはいえ、それも何となく読める展開なわけだ。まだ泣くには至らない。

濱田岳が佐藤健の親友役で出ている。
映画マニアで、ツタヤというあだ名で呼ばれているタツヤ役。
主役の佐藤健は役名すら出てこない、一人称の"ボク"なのに、濱田岳にはタツヤという名前はもちろん、ツタヤというあだ名も存在する。不思議な映画だなと思った。

その濱田岳、やってくれました。
つい最近までテレ東ドラマの「釣りバカ日誌」で初々しいハマちゃんを熱演していたことが記憶に新しいだけに、いつも独りでキネマ旬報を読み漁るようなネクラっぽい役が、驚くほどハマちゃんとは極端なので印象的だ。

あまり表情には出さないが、死にゆく佐藤健のために、レンタルビデオ屋のDVDを片っ端から無我夢中で探したり、別れ際に溢れんばかりの涙を流したり…。実は友情に厚い親友を演じている。そんな彼の思いに触れると、泣けてくる。

ここ数年で個性派、演技派との呼び声の高い濱田岳。
今回の映画でも、特異的な役柄を演じていたわけではないが、どこにでもいるような、リアルな若者を演じて泣かせることのできる稀有な俳優と改めて感じた。

彼の存在感は大きい。
彼が世界から消えたら、なんか寂しい。
そんな気がする。

付記
本編前の予告「ヒメアノール」にも出演している濱田岳。こっちは感動とは皆無に近い、ホラーサスペンス。森田剛演じる殺人鬼に狙われる同級生の役。相変わらず、役の振り幅が大きい。感心する。

つい応援したくなる「世界一難しい恋」

応援したくなる。
つい笑っちゃうけど、この2人の恋の行方を願っている自分がいる。
2人というのは「世界一難しい恋」の、大野智と波留だ。
もちろん現実の話ではなく、ドラマの中での話。
社長と部下。

大野智演じる鮫島社長が、波留演じる美咲に初対面で一目惚れしたところからこの片思いは始まっている。社長なら恋の一つや二つ…と語れるほどの経験値もなく、前にいつ恋したことか、どんな風に相手を想えばいいのか…。それすらわからなくなるくらい、石化しつつあった恋心が目覚めたからさぁ大変だ。

仕事モードの時は社長として威厳を保つものの、恋愛モードになればまるで子供。恋の喜びと苦しみに四苦八苦しつつ、周囲の励ましや指南に後押しされ、少しずつ成長してはいるが、やはり恋愛に関しては経験値が浅いだけに、まだまだ純粋。だからこそ厄介。


「あいつはいつまで返事を待たせるんだ!」

「俺ばかりが努力するのは不公平だ!」

先週、一世一代の告白をしたものの、返事を保留にされたままの鮫島はやきもき。ワガママにダダをこねる子供のような様を、大野智が無邪気に演じている。ワガママな役といえば、ハマリ役だった「怪物くん」で経験済みだ。ピュアゆえにワガママな正確な役は、実は彼にピッタリなのかもしれない。それがドラマに功を奏していると言える。

また秘書役の小池栄子と、運転手役の杉本哲太の立ち位置がイイ。
いつ如何なる時も鮫島を励まし、時に諭し、誰よりも彼の恋愛成就を願い、陰ながら力を尽くす姿には、鮫島への愛情を感じる。もちろん恋愛という意味ではなく、家族愛に近い形だ。

だから昨日の"告白の返事"。
小池栄子が様子をそばで見守り、涙を浮かべていたのが、印象的だった。

しかし物語は、まだ6話。
折り返し地点。
これから鮫島と美咲にどんな展開が待っているのか。
まだまだ一悶着、ふた悶着ありそうな予感。
このままハッピーエンドに終わるはずもない。

そう、物語はまだ折り返しなのだ。
もしかしたら、ここからが本番なのかもしれない。

月9の看板が泣いている…。

昨日の月9「ラヴソング」が、またもや最低視聴率を更新したそうだ。
不名誉な結果ばかりが毎週ニュースとなってネットに拡散されてしまう惨状。ひと昔前に平均20%の視聴率を誇っていた枠とは思えない有様だろう。
もはや何をやっていいのか、局側もわからなくなっているのだろう。

何をやれば視聴率が取れるのか、誰をキャスティングすれば視聴率が取れるのか。
これで中身が良質な作品であれば、視聴率が悪いことも擁護されるのだが、中身もさほど伴っていないせいか、フォローに出るようなニュースはほとんど見ることがない。残念な現実である。

吉田食堂も、月9で育ったと言っても過言ではない。
小学生時代に見たのは「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」はよく覚えている。もちろん子供ゆえに、内容はちっとも共感できなかったが…。
他には中井貴一と観月ありさが親子役を演じた「じゃじゃ馬ならし」。これは内田有紀やいしだ壱成、武田真治など、この作品を皮切りにグンと知名度を伸ばして一流俳優の仲間入りをした若手俳優たちが軒を連ねていた。

やがて「あすなろ白書」で木村拓哉というスターが現れ、「ロングバケーション」で不動のポジションに。「ラブジェネレーション」「HERO」「空から降る一億の星」「エンジン」「プライド」「CHANGE」など。高視聴率を連発させ、今なおレジェンドとして語り継がれている。

木村拓哉同様、SMAPの面々も月9では高視聴率を叩き出していた。
中居正広は「ブラザーズ」。香取慎吾は「西遊記」「薔薇のない花屋」。稲垣吾郎は「二十歳の約束」と、それぞれ高視聴率のみならず、記憶に残るドラマに主演を務めてきた。まさにSMAPがスターの階段を上っていくと同じように、月9も同じように時代を駆け上がった。

だが時代は少しずつ変化し、興味の多様化やテレビ離れが徐々に浸透し、視聴率も低迷。もはや20%なんて夢のまた夢の話になりつつある。いまや15%取れれば花丸、10%以上で御の字と言われている。

近年は主演俳優も様々だ。
男性であれば小栗旬や松本潤、大野智、山下智久、福士蒼汰。女性だと石原さとみ、井上真央、堀北真希といった若手で知名度の高い俳優陣が主演を務めている。むしろ知名度がすでに定着しているというよりも、これから認知をさせていく…という具合に月9主演を材料にしている傾向に見える。これで視聴率も当たれば、オファーは増えるし、間違いなく俳優としての株も上がる。そのくらいフジテレビにとっても責任の大きな看板枠が、月9なのだ。

それがいまや、10%を割る始末。
前作・有村架純主演の「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」も、平均視聴率が月9最低視聴率を更新したが、今回の「ラヴソング」はこのペースだとそれを更新するとまで言われている。岐路にたたされている状態だ。

だが、視聴率が取れないからといってドラマ枠撤退は話が違う。
長い歴史を歩んできた月9枠。
ここ1年ほどの作品は、月9の原点とも言えるラブストーリーにこだわっているところを評価したい。そして次回作品も桐谷美玲主演でラブコメだ。あえてラブストーリーを貫くことが、月9復活の鍵となるかもしれない。
吉田食堂は、そう信じたい。

とにかく、月曜は週のスタート。
月曜を待ち遠しいと思わせれば勝ちなわけだ。
昨今の月9作品だと、「5→9」と「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」は、毎週楽しみだった。視聴率は、今は芳しくない。だけど中身が伝われば、きっと伝わるはず。また見たいっていう気持ちになるはず。

これからも、月9には歴史を彩ってほしい。
そう願う。

役者魂に惚れる映画「64(前編)」

まず内容とか見る以前に、よくまあここまでのキャストを集めたものだ…と感心したのが、率直な感想である。
映画「64」だ。
主演の佐藤浩市をはじめ、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、瑛太、吉岡秀隆、仲村トオル、滝藤賢一、窪田正孝、坂口健太郎、椎名桔平、永瀬正敏、三浦友和。
前編の主要キャストだけでも、大物がズラリ。
ベテラン俳優のみならず、綾野剛、榮倉奈々、坂口健太郎といった今が旬の若手俳優も起用している。
主要の陰に隠れているが、他にも赤井英和、鶴田真由、筒井道隆といった実力派が軒を連ね、大河ドラマ並みのキャスティングで話題をさらっているのは間違いない。

原作は、警察小説の金字塔を打ち立てている横山秀夫の同名小説。
「陰の季節」「半落ち」など、警察内部の対立や隠蔽を描いた作品が多い印象だ。
今回の「64」も、誘拐事件を軸に、警察内部の闇や現場との対立劇が描かれている。

主人公・広報官の三上を演じていた佐藤浩市は、中間管理職的な板挟みとなる役柄で、とにかく劇中苦悩する場面が多い。またこれまで見たことないくらい、涙を流す。
佐藤浩市といえば、部下から信頼を得て、立ち向かう上司…。そんな役柄が板についているイメージ。今回もそれに似ている役柄ではあるものの、過去の事件や娘の失踪、広報官としての立場、上司からの圧力、新聞社クラブのデモ抗議…。様々な困難に立ち向かいつつ、時に涙する。その様がこれまで以上に、実に人間臭く、またカッコいい。

そして誘拐事件で娘を殺害された被害者の父親を演じていた永瀬正敏。娘を亡くした後、まるで心を亡くしたような、感情を失ったような表情が、見るだけで痛々しい。誘拐事件の"64"以来、時が止まっているような…。そんな印象を表情だけで表現していたのは、圧巻だ。

前述したように、これだけ豪華俳優たちが出演しているだけに、出演シーンも1シーンのみしか出演していない俳優陣も少なくはない。
そんな中でも、佐藤浩市の娘役を演じている芳根京子が強烈だった。

「お前の娘をやめたいんだよ!この顔見たら、思い出すんだよ!」

父を嫌悪し、整形を望む娘・あゆみ役。
これまで経験してきた明るい天真爛漫な役とは一転し、コンプレックスを抱えた反抗期真っ只中の女子高生。
一見ぶっ飛んでそうにも見えるが、結構巷にいるような女子高生かもしれない…。そう思えるのは、芳根京子の演技力の高さだろう。
前編では1シーンの出演だったが、その1シーンに全エネルギーを放った様子がよくわかる。

豪華俳優たちが、それぞれエネルギーをぶつけ合っている「64」
ややこしく絡み合うストーリーと警察事情は少々難解だが、役者魂をひしひしと感じることのできる作品であることは間違いない。

後編からは緒形直人、柄本佑が出演する。
そして前編で謎の動きを見せていた吉岡秀隆と永瀬正敏。
6月の後編公開が待ち遠しい。

実は菅田将暉も出ていた、映画「陽だまりの彼女」

公開年度を見て驚いた。
2013年。
今からもう3年も経っていたのか…。
昨日地上波初放送だった「陽だまりの彼女」だ。
松本潤と上野樹里の初共演で話題になったラブストーリー。

当時の2人のイメージといえば…。
松本潤は「花より男子」
上野樹里は「のだめカンタービレ」
ラブストーリーではこの2作品の印象が強い。
どちらもラブコメだったことも共通項だが、「陽だまりの彼女」はファンタジー要素を含んだ、直球系なラブストーリーだった。

「花より男子」では粗暴だけど根は優しい道明寺司に代表されるように、どこか鋭さを感じさせる役柄の多かった松本潤が、今回は不器用だけど真っ直ぐ彼女と向き合う優しい男性・浩介を演じていた。

一方の上野樹里も、「のだめカンタービレ」でのぶっ飛んだ野田恵や「ラストフレンズ」で見せた苦悩する岸本瑠可など、クセのある個性派とは一線を画し、つかみどころのない不思議さとかわいらしさを持ち合わせた女性・真緒を演じ、また新たな一面を覗かせた。

主演2人の好演もさることながら、海を中心とした江の島というロケーションの美しさ、そして切ないラブストーリーを撮らせたら群を抜いて巧みな三木孝浩監督の演出もまた引き込まれる。

2人が距離を縮め、寄り添う度に心がじんわりあったまり、それゆえに2人が離れていくと、より悲しくせつない。

「俺の記憶は、全部真緒で埋め尽くされてる」

そんな愛情あふれる言葉も、どうしようもなくせつない。
2人が互いを想っていると素直に思える、そんな優しさで包まれた映画である。

あ、思い出した。
冒頭に言った驚いたことが、もう1つだけある。

菅田将暉が松本潤の弟役で出演していたこと。
映画館で見た時は、全然覚えていなかった。出ていたことすらわからなかった。そのくらい気にも留めていなかったのか、出番が少なかったのか、印象になかったのか。
3年経過して、それだけ菅田将暉が世間に印象付かせた証だろう。

2016年春に感じた、TBSドラマの本気度

4月ドラマもそろそろ折り返し地点。
視聴率も安定期に入り、評価も分かれてきた。
嵐の松本潤主演の「99.9%」が今期最も高視聴率で、大野智主演の「世界一難しい恋」が安定かつ視聴率も上昇志向にある。
嵐の2人が2016年の春ドラマを牽引していると言える。

そんな中でも、今期はTBSドラマがどの作品も好調で、個性がうまく分かれている。
先述した松本潤主演の「99.9%」は日曜21時の枠で、家族全員で見ることのできるエンターテイメント作品。また週明けに向けて、明日の活力になるような物語がこの枠にはピッタリだ。

金曜22時枠は中谷美紀主演の「私、結婚できないんじゃなくてしないんです」
「人間失格」「未成年」「聖者の行進」といった野島伸司作品で高視聴率で賛否を呼んだ作品もさることながら、かつて"金妻"や「ずっとあなたが好きだった」「誰にも言えない」「高校教師」といった今でも記憶に残るラブストーリーを打ち立ててきた。大人向けのラブストーリーという印象の強い枠だ。
最近は「黒の女教師」「夜行観覧車」「Nのために」といったサスペンスやミステリー系といったトーンを落とした作品も発表しているが、今回の「私、結婚できないんじゃなくてしないんです」のラブコメの好評ぶりを見れば、TBS金曜22時枠の良さであろう。

火曜22時は、黒木華主演の「重版出来!」
大人向けの群像劇がこの枠の持ち味のようにも見えるが、前作は深田恭子主演の「ダメな私に恋してください」というラブコメで高評価を得ている。まだ枠の個性は定まっていない印象だ。だがそれは逆手に取れば、TBSの中でも唯一の挑戦枠ともいえる。
この枠は開設以来、フジ系枠との番組交戦も踏まえて視聴率は苦戦を強いられているが、近頃は視聴率だけを見るとさほど相違はない。挑戦枠を活かした作風が、今後視聴者に受け入れられるかが課題だろう。

個性の分かれ方もさることながら、3作品とも本気度を感じさせる。
「99.9%」はエンターテイメント性も含め、松本潤1人に頼らず、香川照之や榮倉奈々に加え、片桐仁に岸部一徳といった個性派を配した役者陣。

「私、結婚できないんじゃなくてしないんです」は、結婚に焦りもがく中谷美紀が、とにかくかわいくて面白い。上品さをかなぐり捨てて、これまで見たことのない"中谷美紀"像が共感を呼んでいる。

「重版出来!」は、初主演の黒木華を始め、オダギリジョー、坂口健太郎、松重豊、荒川良々、安田顕、小日向文世、永山絢斗、ムロツヨシ、滝藤賢一…。これでもか!ってくらいの演技派を数多く揃え、骨太な職業ドラマを見せている。

視聴者は、手抜きか本気かすぐに見抜く。
目の肥えた視聴者を舐めていると、足元をすくわれかねない。
どれだけ放送前にキャストと内容で惹きつけ、放送後に飽きさせない展開をラストまで見せていくか。
視聴率が必ずしも結果として付いてくるとは限らないが、局の本気度をその都度感じなければ、作品を最後まで見ようとは思わないだろう。
その結果が、視聴率に繋がっていくはずだ。

ゆとりモンスター・太賀ですが、なにか〜「ゆとりですがなにか」

昨日話した「火の粉」のユースケサンタマリアも怖いが、怖いといえば、クドカンこと宮藤官九郎脚本で話題の「ゆとりですがなにか」。
このドラマに出演している、太賀。
彼の演技も、とてつもなく怖い。

岡田将生の部下役で、ゆとり世代の申し子的な山岸役。

「飲み会、それ強制っすか?」

「忙しくてメールチェックなんかしてないですよ。次からはLINEでお願いします」

「つーか泥仕事、したくないんで…」

ゆとり世代にありがちな珠玉の台詞オンパレード。
常に斜に構えながら、だらっとした態度で上司たちをどこかで見下した感じ。
キレた上司に、最初は謝罪するものの、挙句パワハラだと訴え裁判沙汰へ持ち込もうとする。
社会に出て間もないか弱そうな新入社員に見えて、突然狂気を見せる”ゆとりモンスター”を巧みに演じている。

「裁判、やりましょうよ。裁判。示談なんかゴメンだ。俺、傷ついてんだよ」

「どうしても和解したいんなら…示談金、これだな」
「10万?」
「100万だ、バカヤロー!なめてんのか、てめぇ!」

目をひんむいて、岡田将生や安藤サクラら上司たちを相手に臆することなく脅迫していく。
その様は、まさにモンスターだ。
実に恐ろしい。
表面的に穏やかな表情を見せつつ、二重人格!?と思わせるほどの変貌ぶりが脅威的だ。
メインキャストの柳樂優弥同様に、とてつもなくインパクトを放っている。
柳樂の「おっぱいいかがですか〜?」というセールストークも、忘れられない言葉だが。

太賀は最近、よくドラマでも重要な役割を担っている。
昨年の月9「恋仲」では、福士蒼太と本田翼の同郷の親友役。
彼らの仲を取り持つ、お調子者の公平。
バカまっしぐらで正直者だが、友達思いの熱い男を演じたことが話題に。
連ドラ当番は「恋仲」以来のため、今回が極端な役柄ゆえに、その振り幅の大きさも証明している。

そしてクドカンドラマは「あまちゃん」以来。
アキ(能年玲奈)と鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が初共演したドラマで、何度もNGを出すアキに振り回されるAD役。
「あまちゃん」ではわずか2話限定のチョイ役だったが、今回の「ゆとりですがなにか」はガッツリ1話からレギュラーメンバーだ。
しかもゆとり世代ど真ん中で、問題児の役。
ドラマのキーマンといっていいだろう。

岡田将生、松坂桃李、柳樂優弥、安藤サクラといった若手演技派がメインとヒロインを担い、AKBのぱるること島崎遥香、同じく「あまちゃん」にも出演したクドカンドラマの常連になりつつあるでんでん、「半沢直樹」でブレイクした手塚とおる、連ドラには滅多に出演しない中田喜子に、演技派で引く手あまたの吉田鋼太郎。
これでもかというくらいの個性派勢ぞろいの中でも、一際目立った役柄で世間の注目を浴びている太賀。

彼が今後も「ゆとりですがなにか」を、さらにどうかき乱していくのか。
ドラマのタイトルにあるような、象徴的な働きを見せてくれることを期待したい。

「ヤバいな、こいつ」
思わずそんな言葉が出るような…。
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