吉田食堂、ドラマ好きですがなにか

作家&プロデューサー・吉田食堂の…。 ドラマと映画に関する噺

「ひよっこ」を通して、また見たいと思える朝ドラの定義を考えてみた。

朝ドラ「ひよっこ」が20%超の視聴率を維持し続けている。NHKの会長が話していたように、ふつふつと湧き上がっていた盛り上がりがついに噴火したのだろう。有村架純と竹内涼真の恋模様、そしてドラマの鍵を握っていた父・沢村一樹が記憶喪失ながらも見つかるという急展開が弾みをつけたといえる。とはいえ、ジェットコースターのようなスリリングな展開で畳み掛けるわけではないのが「ひよっこ」らしいというか、岡田惠和の脚本らしさ。きちんと従来のほのぼの感を取り戻している。

これまで何度も言い続けてきているが、「ひよっこ」はここ数年の朝ドラの中でも秀作だろう。何年か経ってついまた見たくなるような…。そんなドラマだ。今もたくさんのドラマが過去の作品を再放送されているが、その作品が必ずしも見たい作品とは限らない。むしろそういう作品に再び出会えることは少ない。「ひよっこ」が再放送される時は、きっと視聴者は再び釘付けになるだろう。むしろ前半が今より視聴率が低かったこともあり、前半戦がどんな内容だったか改めて見てみたいと思う人も多いに違いない。

「ひよっこ」のように、近年の朝ドラの中でしばらく時を経て、また見てみたい…そう思える作品を考えてみた。

国仲涼子主演の「ちゅらさん」
堀北真希主演の「梅ちゃん先生」
能年玲奈主演の「あまちゃん」
波瑠主演の「あさが来た」

この4作品、いずれも高視聴率を叩き出し、話題になった作品ばかりだ。「ひよっこ」を含めて、この5作品はほのぼのとした作風を表現しており、朝ドラ向きな雰囲気を醸し出している。トーンが暗いのは朝向きではない。笑いが多くて、ちょっと泣けて…。家族や仲間との語り合い、和気藹々とした様子が描かれている。ヒロインが孤独でぽっつーん…みたいなことは、絶対にない。
そして「あさが来た」以外で「ひよっこ」と共通しているのは、原作がなくオリジナル作品ということ。つまり原作のように結末が見えていないので、どういう筋書きになり、どういう展開を見せ、最終回はどう締めくくられるのか。誰も予想できないのだ。生み出す脚本家ですら、もしかしたら書き始めた時とは違う予想外の展開に驚いてしまうのかもしれない。

何かを成し遂げる女の一代記という定番作品が朝ドラの鉄則…みたいに視聴率が取れるからといってスタンプを押したような感じだと、今後は飽きられてしまう。「ゲゲゲの女房」以降、掴んだ朝ドラファンを飽きさせないためにも、原作ありきのヒロイン一代記ではない「ひよっこ」は改めて朝ドラらしい朝ドラを創り出したことは非常に大きい。そして何より、笑って泣けて、また明日も見てみよう、見てみたいと思える。ヒロインを応援したくなる。日本中よ視聴者がヒロインの家族のような気持ちになれる…そんなドラマが今後も生まれてほしい。

最後に…。
岡田惠和のように、3度朝ドラに登板して、朝ドラらしい「いいなぁ、このドラマ」と思える作品を生み出す脚本家はもちろんだが、この人が朝ドラを書いたらどんな作品が出来るのだろうか…というのも興味はある。例えば、野島伸司。作風は重ためな印象があるものの、かつては賛否両論を巻き起こすほど強烈なインパクトある作品の数々で人々を魅了してきた。そんな彼が朝ドラを書いたら…という期待感はあるが。まあ、NHKがオファーしないだろうな。野島伸司は朝向きじゃない。でも北川悦吏子が朝ドラを書く時代なんだから、野島伸司だって書いてもいいのでは?と個人的には思ったりもする。NHKで「プラトニック」を書いたわけだし、今後NHKでも脚本を手がける可能性があるわけだし。まあこれはあくまで個人的興味の話。そうなったら面白いなという話。

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「カンナさーん!」の後は、クドカンが待っている!

TBSの火曜10時枠の調子がいい。
「逃げるは恥だが役に立つ」以降、看板としての定着率を格段に上げ、現在放送中の渡辺直美主演の「カンナさーん!」も初回視聴率は夏ドラマで堂々の3位、そして昨日放送の第2回はその初回を上回る数字を叩き出している。渡辺直美主演という未知数にあふれた作品という印象が放送前にはあったが、パワフルでプラスのエネルギーに満ち溢れたカンナを演じる渡辺がハマっていることも功を奏しているようだ。そして姑役の斉藤由貴が、これまたハマリ役。斉藤にとって初の姑役らしいが、斉藤の持ち味でもあるトボけた天然のかわいらしさがネチネチした嫌味に輪をかけており、渡辺との元嫁姑バトルが見どころの一つといえる。そして旦那の不倫相手役に抜擢されたのがシシドカフカ。朝ドラ「ひよっこ」でも注目が集まっているだけに、渡辺の最大の敵役として立ちはだかるヒール役もまたハマっている。出演者たちの注目度はハマリ役なども含め、「カンナさーん!」への好影響に繋がっているようだ。

そんな「カンナさーん!」の後に始まるドラマが、より一層秋ドラマの中でも脚光を浴びそうだ。宮藤官九郎脚本の「監獄のお姫さま」。再来年の大河ドラマ脚本を控えているクドカンだけに、今回は大河前最後の連ドラ作品の可能性が高い。大河にかかりっきりになるため、今後1年以上は民法で彼の作品をお目にかかることはできなくなるかもしれないだけに、今回の新作は特に期待が高まる。主演は「あまちゃん」以来のクドカン作品となる小泉今日子。共演に満島ひかり、菅野美穂、夏帆、坂井真紀、森下愛子と超豪華な顔ぶれ。クドカン作品でおなじみの役者陣のみならず、初挑戦の役者陣もいる。特に注目はクドカン作品初挑戦となる菅野。シリアスからコメディまで、デビュー当時はイグアナまで演じた彼女。もはやどんな役でも対応可能。「砂の塔」で復帰後、映像の世界に完全復活を遂げたとばかりに、朝ドラ「べっぴんさん」と「ひよっこ」にも連続して出演中。最新作となるこのドラマで、菅野はどんな顔を見せてくれるのだろうか。

とにかくキャストが個性的だ。主演の小泉を始め、演技派女優陣がズラリ。おまけに内容は女囚たちの復讐劇。クドカンが描く復讐劇だから、決して重たい感じではないはずだ。"おばちゃん犯罪エンターテイメント"とテーマを打ち出しているところが、クドカンらしい遊び心で復讐劇をも楽しませてくれるに違いない。タイトルの「監獄のお姫さま」からも、ポップな雰囲気が受け取れる。

「逃げ恥」ブームから1年。
クドカンが火曜10時枠で「逃げ恥」を上回る話題を呼び、TBSの看板枠としてさらに上昇気流に乗ることを期待している。

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今日の「ひよっこ」を見たら、書かずにはいられなかった…。

「ひよっこ」のことを書くのは、何度目だろうか。
スタートしたばかりの夏ドラマのことや、先週金曜日に放送された「ぼくらの勇気 未満都市2017」のことなど、先に書くべきこともあるが、やはり今日の放送を見てしまうと書かずにはいられない。偶然か、今書いてる最中、ヘッドホンから桑田佳祐の「若い広場」が流れている。それも「ひよっこ」のことを書けという神様からのお告げなのかもしれない。

視聴率19%台をウロウロしていた「ひよっこ」だが、ここ2週間前あたりから、20%超えを連発しており、最高視聴率も更新している。スタート当初から良質な朝ドラとして評価は高かったものの、前作の「べっぴんさん」失速の煽りを受けたこともあってか、これまでの中でも数字は振るわなかった。とはいえ19%台なので、全然及第点なのだが。しかし岡田惠和が描く愛と優しさにあふれた登場人物たちと、ヒロイン・みね子を演じる有村架純を始め、彼女を取り巻く役者陣たちがそれぞれに持ち味を活かし、数字に揺さぶられることなく、その優しいタッチを貫いた結果がようやく功を奏し、実を結び始めてきたといえる。

特に東京編のすずふり亭へと場面を移してからは、個性的なキャラクターが登場しているのもいい結果に繋がっている。中でも有村の相手役として抜擢されたのが、竹内涼真。「仮面ライダードライブ」でデビューし、その後は「青空エール」で土屋太鳳の相手役、「下町ロケット」ではエンジニア、「帝一の國」では菅田将暉のライバル役と、続けざまに出演作品に恵まれ、朝ドラ「ひよっこ」で不動のポジションを築きつつある。そんな「ひよっこ」と掛け持ちで、現在は高畑充希主演の「過保護のカホコ」にも相手役として出演中と、破竹の勢いとはこのことだろう。

竹内同様、かつて朝ドラにメイン出演しながら、民法と掛け持ちで出演していた俳優がいる。向井理だ。「ゲゲゲの女房」で準主役ながらも、春の同時期にスタートした「新参者」そして夏には綾瀬はるか主演の「ホタルノヒカリ2」でもメインとして出演していた。竹内は「ひよっこ」には後半からの出演ではあるものの、キーマンとしてほぼ出ずっぱり。加えて「過保護のカホコ」にも出ずっぱりなわけだから、彼を見ない日はないわけだ。俳優として大ブレイクと言われる日も近い。

そんな有村と竹内の初々しい恋物語が今日、終わりを迎えた。視聴者も、なんとなく予想はできただろう。しかし、予想できたとはいえ、やはり悲しい。好き同士ながらも、家の事情というハードルは超えられなかった。竹内扮する島谷が「家を捨てる」と告げるものの、有村扮するみね子は、敢えてキツい口調で彼の向こう見ずな覚悟を突っぱねる。もちろん彼を思ってのことだ。「親不孝な人、私は嫌いです」と。

涙をこらえる有村が、改めて凄いなと思った。見る側は、とめどなく涙があふれる。演じる側は尚更、涙が止まらないはずなのだ。なのに有村は涙をこぼさず、貯めて、流す時に一気に爆発させる…。これぞ役者なんだな。参りました、有村架純。

有村架純は本当にいい作品に出会えたと思う。間違いなく「ひよっこ」は彼女の代表作だ。代表作と呼ばれる作品に出会えるなんて、売れている役者たちですら滅多に出会えないはずだから。そして、その相手役に抜擢された竹内涼真もまた「ひよっこ」という、いい作品に出会えたに違いない。また今後、ひょっこり出てくれると、見る側は嬉しかったりする。そんなサプライズに期待したい。

いずれにせよ、「ひよっこ」はこれまでの朝ドラでよく描かれていた実在した誰かの一代記だったり、痛快サクセスストーリーではないが、谷田部みね子という女性を通して、家族や歩んでいく中で出会う仲間たちとのふれあいと成長を描いた、みずみずしい青春物語だろう。

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お仕事ドラマ以上に、ホームドラマな「ウチの夫は仕事ができない」

「ウチの夫は仕事ができない」は、新しいホームドラマである。ルックス、収入、学歴は申し分ないが、仕事が全く出来ない夫を錦戸亮、その妻を松岡茉優が演じるお仕事コメディだ。錦戸亮といえば、注目されるきっかけとなった「1リットルの涙」や「ジョーカー 許されざる捜査官」など、クールさや陰のある役柄を多く演じて存在感を残してきた。そんな彼だが、近年はクドカン作品の「ごめんね青春」などでも、三枚目の役で新たな一面を覗かせている。そんな彼が今回でも不器用ながら、心優しい男性・司を演じている。周囲から罵倒され、バカにされながらも、妻の妊娠が発覚し、守るべき家族がいると知ってからは、苦しみながらも仕事と真摯に向き合って、一歩ずつ前進していく司の姿は、さわやかな感動を与えている。

だからといって、このドラマが感動作なヒューマンドラマではない。あくまでコメディ。松岡茉優演じる妻・沙也加が膨らませる妄想が楽しい。仕事のできる夫への過剰な期待感を膨らませすぎてウキウキな気分をダンスで表現して見たり、一方で仕事の出来ない夫との未来に対する不安感を大げさに想像してしまうなど、漫画チックな演出がほどよいバランスを保っている。できない夫に対する複雑な心境を抱きつつも、心配かけまいと笑顔を絶やさない夫への揺るぎない愛情を抱く妻を、松岡が好演している。

「ウチの夫は仕事ができない」は一見すればお仕事ドラマではあるが、できない夫とその夫を少しでもできる夫にすべく支えていく妻。仕事と真正面から向き合う新しい夫婦のホームコメディと言っていいだろう。最後まで錦戸亮演じる司が、"仕事ができない夫"だったとしても、きっと何かを見つけて1話より成長している姿に期待したい。

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2017年度夏ドラマ・期待値発表!

気付けば7月になり、今日から7月の新ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」が始まる。こうしちゃいられない。恒例の、新ドラマ期待値発表です。尚、期待値の対象はゴールデン枠放送のドラマ限定となっていますので、あしからず。

【月曜9時】
「コードブルー」(フジ系・山下智久主演)→◎

7年ぶりの続編のいうブランクはあるものの、主演の山下を始め、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介の主要5人が続投というのは嬉しい。また彼らが教える立場となり、新たなフェローとしてHey!Say!JUMPの有岡大貴、「逃げ恥」以降の出演作が続く成田凌、中島裕翔との映画共演や小栗旬主演の「CRISIS」などヒロイン役として存在感が増している新木優子と、話題性も豊富。「救命病棟24時」とはまた別でフジの医療系鉄板シリーズでもある安心感もありつつ、やはり注目は「逃げ恥」で新たなブレイクを果たした新垣結衣。

【火曜9時】
「僕たちがやりました」(フジ系・窪田正孝主演)→◯

演技派として名高い窪田正孝が民法ゴールデン単独初主演。ヒロインは朝ドラの主演も決まっている永野芽郁。共演には新田真剣佑、間宮祥太朗、葉山奨之、今野浩喜、川栄李奈とフレッシュな顔ぶれが揃っている。夏らしく高校生の青春モノではなく、逃亡サスペンスというハラハラ感に期待値高し。特に主演の窪田を始め、演技派の若手共演者たちの芝居合戦も見どころといえる。数字がついてくれば、窪田正孝の株はさらに上昇間違いなし。

【火曜10時】
「カンナさーん!」(TBS系・渡辺直美主演)→▲

今、TBSで最も注目度の高い枠と目されている火曜10時枠。前作も春ドラマの話題をかっさらった「あなたのことはそれほど」の後を継ぐのは、民法連ドラ初主演の渡辺直美。彼女がどこまで視聴者を惹きつけるのか、可能性が未知数。一方で夫役の要潤、姑役の斉藤由貴、保育士役の工藤阿須加、夫の不倫相手役に朝ドラ「ひよっこ」で注目度を上げているシシドカフカとブレイク中のバイプレーヤーがズラリ。渡辺を支える布陣は整った。あとは中身次第。注目枠のプレッシャーを跳ね除け、「あなそれ」を超える存在感を出してほしいのが本音。

【水曜10時】
「過保護のカホコ」(日テレ系・高畑充希主演)→◯

高畑充希が朝ドラ「とと姉ちゃん」以来、映像作品に挑む民法連ドラ初主演作は、鬼才・遊川和彦脚本。両親に過保護に育てられた世間知らずなお嬢様役に高畑、両親には黒木瞳と時任三郎。高畑の相手役には、今最ブレイクと目されている竹内涼真。作品に対する目新しさは欠ける一方で、個性的な作風の遊川脚本に高畑がどう見せていくか。それ以上に注目なのは毒舌男を演じる竹内。これまで好青年役を演じてきた竹内にとって新境地開拓となるか。

【木曜9時】
「黒革の手帖」(テレ朝系・武井咲主演)→▲

「黒革の手帖」といえば、やはり米倉涼子のイメージが強く、米倉が殻を破りイメージをガラリと変えたターニングポイント作品となっており、今も尚語り継がれているほど。そんな作品に挑むのは、同じオスカーの後輩・武井咲。米倉の二番煎じと見られるのは仕方がなく、存在感など比べればとにかくキリがない。演技力があるとも言えない武井の武器は、美貌。それを活かして数字に繋がるとは思えないが。ただ共演陣は江口洋介、仲里依紗、和田正人、真矢ミキ、高畑淳子、滝藤賢一、高嶋政伸、奥田瑛二、伊東四朗と米倉版と肩を並べるほど豪華で、おまけに主題歌は福山雅治。銀座を舞台にしたドラマらしく、絢爛豪華。これだけ揃えてコケると松本清張の名作に泥を塗ることになる。主演やヒロインを数多く務めながらいまだ代表作のない武井咲。さあ、この作品は?

【木曜10時】
「セシルのもくろみ」(フジ系・真木よう子主演)→◎

フジ系は月9もさることながら、伝統の木10枠もこのところ数字が芳しくない。今作はどうだろうか。平凡な主婦が読者モデルになって新しい世界へと導かれていく物語。主人公は真木よう子、トップモデルに吉瀬美智子、真木の相棒に伊藤歩、編集デスクに板谷由夏、元No.2モデルに長谷川京子と、美しさと濃さを併せ持った女優陣の群像劇が描かれそうな予感がする。中でも注目は伊藤歩。「昼顔」や「営業部長 吉良奈津子」などで内面の怖さで見せるニュータイプ悪女が板についているが、今回は真逆の役柄。どう立ち回るのか彼女から目が離せない。また作品自体、女たちの足の引っ張り合いを描いて話題となった沢尻エリカ主演の「ファーストクラス」に似たテイストを感じるが、いつの時代も生ぬるい友情モノ以上にライバル同士よ蹴落とし合いのような作品を見たいと世の中は思っているはず。そして木10では「昼顔」以降の話題作を生み出してもらいたい。

【金曜10時】
「ハロー張りネズミ」(TBS系・瑛太主演)→◯

瑛太が久々に連ドラ復帰し、TBS初主演。
かつてこの作品は月曜ゴールデンの枠で緒形直人と内藤剛志が探偵コンビを務めていたが、今回瑛太の相棒役になるのは、こちらも連ドラは「リスクの神様」以来の出演となる森田剛。舞台を主にしており、近年では映画「ヒメアノール」での殺人鬼などアイドルとはかけ離れた役柄を演じる個性派としての地位を確立しつつある森田がこの作品でどんなスパイスを与えるのか。また謎めいたヒロイン役には「ダメ恋」以降、再ブレイクして目覚ましい活躍を続ける深田恭子、探偵事務所所長役にはTBSの連ドラ当番は久しぶりとなる山口智子。贅沢なキャスティングを活かした物語に期待。

【土曜10時】
「ウチの夫は仕事ができない」(日テレ系・錦戸亮主演)→◯

土曜ドラマ枠が10時にお引越ししての2作目は、前作の「ボク運命の人です」で主演を務めた亀梨和也についで、錦戸亮。再びジャニーズ主演。しかも、秋は嵐の櫻井翔と3作連続でジャニーズ。もはやジャニーズ枠と思われてもおかしくない。まあ元々土曜9時の時代からジャニーズ主演も多いため、今に始まった話ではないが。話を元に戻すと、錦戸は妻から見れば理想的な夫だが、実は仕事ができないダメ男という設定。彼がドラマとして頭角を現した「1リットルの涙」などの頃はクールで陰のある役柄が多かったが、近年は三枚目で不器用な役柄を多く務めている。前の主演作「ごめんね青春」でも満島ひかりに振り回される気弱な高校教師役だった。そんな錦戸の妻役には、松岡茉優。若手きっての演技派女優が錦戸をリードするか、はたまた錦戸が松岡をリードしていくか。今日の放送を見て判断できる。脚本は渡辺千穂。ドロドロ路線が得意な彼女が、どんなコメディーを仕上げるのかにも注目。

【日曜9時】
「ごめん、愛してる」(TBS系・長瀬智也主演)→◯

フジ系の「DAYS」やTBS系の「ラブとエロス」など10代〜20代の頃に演じて以来、長瀬智也が久しぶりのラブストーリーに挑む話題作。相手役には初のヒロインとなる吉岡里帆、共演には坂口健太郎、大竹しのぶとフレッシュかつ演技力の高い役者陣を揃えている。「カルテット」での悪女が高評価だった吉岡、話題作に事欠かない存在となっている坂口と、今後のドラマ界で主役を担うであろう2人に注目。そして人間くさいキャラクターを演じることに定評のある長瀬、クセのある役柄を十八番とする大竹と4人でどんなラブストーリーを奏でていくのか。宇多田ヒカルの主題歌にも期待大。

【日曜10時】
「愛してるけど、秘密はある」(日テレ系・福士蒼汰主演)→◯

日テレ系で最も挑戦的な枠として話題なのがこの枠。クドカン作品の「ゆとりですがなにか」や、前作の「フランケンシュタインの恋」といったイメージに捉われない作風に次作への待ち遠しさが毎回高い。福士蒼汰が殺人という秘密を抱えた陰のある役という、これまでのフレッシュな青年以上にハードルの高い役柄にトライする。注目は降板した小出恵介に代わり、登板することになったの賀来賢人。朝ドラ「花子とアン」以降、ドラマ・映画・舞台と引っ張りだこで出演作が途切れない。「スーパーサラリーマン左江内氏」などスマートな風貌とは真逆な三枚目の役を演じつつ、「4号警備」で見せた狂気を孕んだストーカー殺人犯役など、幅広い演技力で魅了してきた。今作でも福士の前に立ちはだかる最大の壁となるに違いない。


以上が7月スタート夏ドラマの期待値です。
御参考にしてくださいませ。

永野芽郁、来春の朝ドラヒロインに決定!

来春の朝ドラヒロインが永野芽郁に決まった。
永野芽郁といえば、今急成長著しい若手女優の1人。
鈴木亮平主演の「俺物語!!」でほぼ無名の状態からヒロインに抜擢されて以降、破竹の勢いで映画やドラマに出演し続けている。今年に入ってからは「ひるなかの流星」で映画初主演、「帝一の國」では男たちに囲まれながら紅一点存在感を放ち、「ピーチガール」では主演の山本美月を罠に陥れる腹黒女と、正統派に見えながら悪役もこなす演技派として認知され始めてきた。秋に公開される「ミックス!」でも、新垣結衣のライバル役と、ヒロインを演じることもできる女優ながら、ヒロインと敵対する役もこなせるという、まさに天下無敵ではないだろうか。

そんな彼女が、誰もが羨むヒロインに抜擢されたのだ。2018年の春からスタートするNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い」。恋愛の神様と称された北川悦吏子が初の朝ドラを手掛けることでも話題となっている作品だ。北川悦吏子といえば「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」いずれも90年代後半〜2000年代初頭でヒット作を連発していた。現役女子高生で、現在17歳の永野はもちろん北川作品は初出演となる。北川の作品をリアルタイムで見たことはもしかしたらほとんどないかもしれない。北川の作品を彩ってきた木村拓哉や常盤貴子たちとは違い、リアルな10代の女の子が北川作品をどんな風に演じるのか。またラブストーリー作品がほとんどな北川が、朝ドラをどんな風に表現するのか。朝ドラといえば、コメディとヒューマンが絶妙な匙加減でバランスを取っている、唯一無二のドラマだ。そのどちらを書いた作品をこれまであまり見たことのない北川悦吏子が、果たしてどんな朝ドラを生み出すのか、それはそれで楽しみではある。もしかしたら、彼女が得意とするラブを大いに活かした朝ドラらしからぬ朝ドラが生まれるかもしれない。さすがにあまりラブ路線に走りすぎると、朝ドラ好きの視聴者は離れてしまうだろうけど。

いずれにせよ、永野芽郁は女優として順調に階段を上っている。7月からはフジ系の火曜21時「僕たちがやりました」で連ドラ初ヒロインが控えている。芯の強さを見せつつ、どこか天然さも兼ね備えた彼女。注目度はさらに高まるに違いない。

追悼・野際陽子さん

また1人の名優がこの世を去った。
野際陽子さん。
81歳。決して若くはなく、早い他界…というわけではないといえば語弊あるが、やはり現役で昨日今日までテレビで見ていただけに、視聴者の我々ですら死去の実感はまるでない。

野際陽子さんといえば、近年のイメージはやはり姑役や母親役だろう。特に姑役は彼女の右に出る者はいないというくらいの、ハマり役だった。今もいないのではないだろうか。まあ今は嫁姑を描いたホームコメディのような作品がめっきり少なくなってしまったこともあるが。

「ダブルキッチン」では山口智子さんと激しい嫁姑バトルを繰り広げ、鼓を叩いてストレスを発散する姿が印象的だった。「長男の嫁」では浅野ゆう子さんと嫁姑バトル。家出して次男の家に転がり込み、オートロックのマンションの入り方がわからず入口前で飛び跳ねたり、ウォーターベッドに右往左往するなど、かわいらしい姑姿を見せた。「スウィートホーム」では再び山口智子さんと共演し、姑役を離れ、お受験の先生として彼女を追い詰めつつ激励する熱血教師を熱演。「私の運命」では突然余命宣告された息子を溺愛するあまり、新興宗教に傾倒し、挙句主治医を刺殺しようとする母親役。「理想の結婚」では原点回帰とばかりに、常盤貴子さんと竹野内豊さんの結婚に対して反対を唱え続けた母親役。「トリック」シリーズでは仲間由紀恵さんの母親役をラストまで務め上げた。

数え切れないくらいのコミカルでリアリティあふれる姑役や母親役を演じてきた野際さん。彼女が立て続けに連ドラに出演し続けてきた当時は、TBS系がほとんどだ。テレ朝系の「トリック」を除けば、先述したホームドラマはいずれもTBS系で、貴島誠一郎プロデューサーが手掛けた作品がほとんど。そして極め付けは「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんママと「誰にも言えない」の愛子さん。「誰にも言えない」では義理の息子役の佐野史郎さんとのキスが話題を呼んだ。90年代後半のドラマ界を彩ったキャスティングで彼女を一気にハマり役へと押し上げた貴島Pや制作陣の功績は高い。

現在放送中の「やすらぎの郷」に出演中の野際さん。この作品が遺作となったが、個人的には溌剌と嫁をイビり、コミカルなかわいらしさを持ち合わせた姑役がやはり心に残る。最期まで女優として生涯を全うされたその軌跡は、これからも語り継がれていくに違いない。

御冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌

「あなそれ」「カルテット」「逃げ恥」…TBS火曜22時枠の伝説は、その前から始まっていた。

いよいよ来週で最終回と思うと、少し寂しく感じるのは「あなそれ」こと「あなたのことはそれほど」だ。TBSの火曜22時枠は今回の「あなそれ」も含め、ここ1〜2年話題作が続いている。社会現象を巻き起こした「逃げるは恥だが役に立つ」や、毎週話題沸騰となった「カルテット」。そして回を重ねるごとにSNSが炎上するとともに視聴率がうなぎ登りの「あなそれ」。TBS火曜枠が定着しつつある。

この定着は深田恭子主演の「ダメな私に恋をしてください」通称"ダメ恋"から始まっている。当時、朝ドラ「あさが来た」でブレイク中だったディーンフジオカを相手役に起用し、さらに拍車をかけるかのように深田恭子のかわいさが話題となり、再ブレイクとの声も上がるほど。次作の「重版出来!」では、黒木華が民放連ドラ初主演を務め、オダギリジョーや坂口健太郎を筆頭に、安田顕、荒川良々、滝藤賢一、ムロツヨシ、小日向文世、松重豊を始めとする演技派役者陣が軒を連ね、漫画編集部を描いたお仕事ドラマがスポ根のようなさわやかな感動を呼んだ。

「重版出来!」を除けば、火曜枠はラブストーリーが中心に見せている。TBSは日曜がファミリー層・男ウケする仕事ドラマ志向、金曜はミステリー、サスペンス志向、そして火曜はラブ志向と住み分けが出来ている。昔は金曜日がラブ枠の看板を担っていたが、近年はその立場を火曜へとシフト転換しつつあり、結果を見せている。そして関テレ制作のフジ系が22時台から21時台へと移動したことも、視聴率に繋がっている要因だろう。TBSにとっては、これも非常に大きい。

今、最も話題性のある枠として次作が注目される火曜枠の夏ドラマは渡辺直美がゴールデン初主演を務める「カンナさーん!」だ。夏ドラマは比較的、若手の伸び盛りな俳優たちが初主演を務める傾向にあり、渡辺もその一つを担うことになる。話題作のバトンを受け取りつつも、気負わずに初主演作を思いっきり振り切って演じてもらいたい。

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「昼顔」の伊藤歩はある意味最強悪女

土曜日から「昼顔」が公開されている。
制作発表が解禁された当初は、なぜに今更⁉︎感が否めなかったが、公開直前ともなれば、連ドラ再放送をするなど、あの続編がどういう結末を迎えるのかという、連ドラを見ていた視聴者の熱を再び活気付かせている。

物語はドラマから3年後。不倫を通して家族、仕事、住むところ…全てを失った紗和(上戸彩)が海辺の街にやってくるところから始まる。新しい仕事も見つけ、穏やかな生活をスタートさせた矢先、北野(斎藤工)が近くのホールに講演会でやってくることを知る。会ってはいけない…。誓約書まで交わし、気持ちを抑える紗和だったが、北野の講演会へと足を運んだことで、2人の運命の歯車がゆっくりと動き始める。

ドラマ版の「昼顔」では、既婚者の紗和と北野が出会いから溺れていく不倫愛と危うさが描かれていたが、映画版はドラマ版でのバレるバレないのヒヤヒヤ感、ハラハラ感は少なめ。むしろ、再会し愛を確かめ合う純愛に近い描き方をしており、不倫という過ちはさほど感じさせない。そんな中でも、彼らに立ち塞がる敵役としてドラマ同様に存在感を放っていたのが、北野の妻・乃里子を演じていた伊藤歩。

伊藤歩は見た目で明らかに悪役という、意地悪な役の印象はない。むしろ清楚なイメージと言っていい。しかし「昼顔」を始め、昨年の連ドラ「営業部長 吉良奈津子」でも松嶋菜々子を追い詰めるベビーシッター役など、ドラマの開始当初は味方の顔をしていたが、実は悪役でした…みたいな飛び道具的立ち位置での地位を確立しつつある。悪女が板についている菜々緒とはまた対極の悪女といえよう。

あまり話すとネタバレになってしまうが、今回の映画版でもすんなりと引き下がらない。ゾッとする怖さを感じさせる。そして絶対に屈しない目力。これまで培われてきた演技力が存分に活かされている。今回の映画版「昼顔」でも、決して綺麗に収束させようとしないキーパーソン。紗和と北野の純愛に水を差す役目をきっちり果たしている。

そんな彼女が7月からの新ドラマ「セシルのもくろみ」では、崖っぷちのファッション編集者という悪女から一転した役でまた違う一面を見せてくれる。ただでは決して転ばない、ラスボス並の存在感を誇る伊藤歩にこれからも目が離せない。

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重たくて痛々しい、でも希望の光がある「ちょっと今から仕事やめてくる」

成島出監督の作品といえば、全体的に決して明るくはない。これまでに手掛けた「孤高のメス」や「八日目の蝉」など、重たい空気感を象徴するかのようなグレーな映像の色合い。それでも、最後には希望の光を照らすような締めくくりが特徴的だ。新作の「ちょっと今から仕事やめてくる」も同様のことが言える。

ブラック企業に勤める青山(工藤阿須加)は、毎日のように部長(吉田鋼太郎)に怒鳴られるパワハラを受け続け、辟易した毎日に嫌気がさし、無意識に電車へ飛び込もうとする。その瞬間、同級生と名乗るヤマモト(福士蒼汰)に助けられる。彼との出会いをきっかけに、青山の日常に変化が訪れる…。

福士蒼汰が主役で名前は一番になっているが、準主役の工藤阿須加が中心に物語が進んでいるので、工藤が主役と言ってもいいだろう。日常に疲れ果て、部屋もゴミ屋敷のような有様。心配する両親(森口瑤子・池田成志)の連絡にもキツく当たるほど心がささくれ立ち、日々の生活に余裕のなさ、切羽詰まった新米社員をリアリティーたっぷりに工藤が演じている。虚ろな表情、怒られすぎてつい反射的に謝ってしまう態度、苦しみや悲しみをも通り越して、忍び寄る"死"すら受け入れようとする、過労死する一歩手前の現代の若者の姿が痛々しい。それゆえに、福士演じるヤマモトとの出会いをきっかけに変化し、ラストには別人のように開放感にあふれた青山を表情豊かに演じる工藤に惹きつけられた。

そんな工藤演じる青山を、徹底的にシゴいて追い詰めていく部長を演じているのが吉田鋼太郎。ブラック企業にありがちな、弱者をいじめ抜く典型的な上に弱く、下に強い上司。辛辣な言葉で傷つけ、時には物に当たり、手も出す粗暴な男を演じる吉田のインパクトは非常に大きく、とてつもない存在感を示している。よくありがちな、最後には"いいひと"になることもなく、最後まで敵役として対峙したことも作品の中にスパイスを与え続けていた。「ギルティ」や「MOZU」でも見せた吉田の十八番とする悪人芸が炸裂している様子にも注目してほしい。

「ちょっと今から仕事やめてくる」というタイトルのように、映画の中身は軽いノリで済ませられるほど甘くない社会の現実を冒頭から直視させられる。グレーな色合いが続き、重たい雰囲気に包まれる作風ではあるが、工藤演じる青山が帰省し、優しく迎え入れた両親の懐の深さ、「いつでも帰ってきていいんだよ」という言葉には涙する。砂漠の中のオアシスでひと休みし、再び社会と向き合い立ち向かっていく青山の姿は、実に勇ましい。この作品でもまた、監督・成島出の真骨頂とも言うべき、リアリティたっぷりな濃密な人間ドラマが描かれている。

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