吉田食堂、ドラマ好きですがなにか

作家&プロデューサー・吉田食堂の…。 ドラマと映画に関する噺

「砂の塔〜知りすぎた隣人」は、最後に全てスッキリさせてもらえるのか?

「砂の塔〜知りすぎた隣人」の視聴率が上昇傾向にある。
菅野美穂主演、松嶋菜々子が悪役ということで話題性はあったものの蓋を開けてみれば、視聴率は10%以下。
TBS系列では最も低い数字を記録してしまった。
だが、リアル過ぎて怖いなどの理由が多く、それだけタワマン住人の格付けなどが実際に起こっているということもあり、それだけ他人事ではない内容に関しては、常に視聴率では測れない関心の高さを示している。

前半はタワマンに住むママ友たちとの足の引っ張り合いがメインだったが、後半に入ってからは松嶋菜々子扮する真上に住む住人・弓子との直接対決が軸になってきている。
監視を続けてきた弓子が、菅野美穂扮する亜紀に少しずつ牙を見せ始め、彼女の抱える秘密や過去などが回を追うごとに明らかになり、それに伴って視聴率も上昇。先週は初の10%超えを果たした。

健気でまっすぐに家族を守ろうとする菅野美穂の姿もさることながら、あの「家政婦のミタ」並みの怪演ぶりが話題となっているのが松嶋菜々子。
「ミタ」では感情を失ったロボットのような家政婦を演じていたが、今回はロボットのような無感情はなく、血の通った感情のある女性。誰にでも優しく、気さくで品のある一見見れば完璧な女性。だがその本当の姿は、子供を蔑ろにする母親を憎み、容赦なく間接的に罰を与えていく、底知れぬ悪女。
何を企み、そしてどんな過去が彼女に遭ったのか…。
そんな美しい悪女と、家族を守る母親。2人の対決の行く末が気になって仕方がないくらい、スピード感が増している。

だが一方で、「あれはどうなった?」的な内容もちらほら置いてけぼりだ。
タワマンのママ友たちは、途中から急にフェードアウト。
亜紀の旦那・健一(田中直樹)の取引先の相手で、亜紀と対立するママ友の旦那(津田寛治)の闇仕事の結末。
そして極めつけは、幼児誘拐のハーメルン事件。

ハーメルン事件は、亜紀と弓子の対決のB面で同時進行しているが、犯人が誰なのか…。というひきつける要素が前半よりも弱くなっている印象だ。むしろ今は、最凶の隣人・弓子に注目度がすべて持っていかれている。これで弓子が犯人…という線も、いまのところ考え辛い。

おまけに長男(佐野勇斗)が、実は弓子の子供で…という新事実まで発覚。
伏線がたくさんありすぎて、果たして最終回までにすべてがスッキリするのか…。
弓子の過去はいずれ全てわかるだろうけど、これまでに多く仕込んだ小ネタを回収できるのか。そっちの方が余計に不安だ。
モヤモヤしたまま終わってほしくもないし、散々ラストまで引っ張っておきながら拍子抜けなオチは勘弁してほしいのが本音だ。
ビックリするような展開が待っていると期待してみたい。

実は岩田剛典扮する生方コーチが最凶の悪役だったり…。
かつて「眠れる森」(中山美穂・木村拓哉主演)で、一番の味方だった婚約者役の仲村トオルが犯人だったように。
笑顔で一番の味方…とか言ってる奴ほど、怪しく思える。

いずれにせよ、松嶋菜々子扮する弓子。
今はハーメルン事件の犯人よりも、彼女の正体と過去が「砂の塔」では一番の見せ場だ。

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どうしてフジテレビは、来年の新ドラマをまだ発表しない?

TBSから来年1月のドラマが新たに発表された。
阿部サダヲ主演・深田恭子共演の「下剋上受験」
阿部扮する中卒の父親が、娘には自分と同じ道を歩ませたくないと、中学受験を決意し、家族で受験に挑む話。
阿部サダヲと深田恭子が夫婦役というところでも、何か期待してしまいそうな…。
ユーモラスなドラマを予感させる。
これでTBS系列は、2本目の発表となる。

テレビ朝日は、木曜は三浦友和主演のホームドラマで、金曜の夜ドラは倉科カナ主演の愛憎劇。
日本テレビは、土曜は堤真一と小泉今日子共演で福田雄一脚本ドラマ。
水曜は「花子とアン」以来のドラマ主演となる吉高由里子、日曜は松坂桃李の探偵モノ。
各局出揃ってきているが、フジ系はいまだ発表がない。
関テレ制作は草剛主演の「嘘の戦争」がすでに発表されているが、月9と木10はいまだ未定状態。

フジ系制作は、前々から発表が他局よりも遅い印象だ。
それだけもったいぶらせるほどの内容やキャスティングが、前のフジ系にはあったのだが…。
今はそこまでのワクワク感、興奮が起こらない。

かつて月9といえば、どのドラマ枠よりも看板だった。
だった…と過去形にするのは忍びないが、本年度の視聴率がどの作品も10%以下という状況ならばそう言われても仕方がない。
常時20%は当たり前。まあ時代は変わり、ドラマを見なくなった…とも言われてきた。
とはいえ、見ている人は見ている。何かしら。
秋ドラマなら新垣結衣主演の「逃げるは恥だが役に立つ」など、常に話題になるほどで、視聴率もうなぎ上り。
だからかつて「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「ロンバケ」「ラブジェネ」「HERO」など、名作を生み出してきた枠が、まさか年間通して10%以下っていうのは…。信じ難いし、信じたくないし、スポンサーが降板だの、ドラマ枠撤退の噂まで飛び出すとか、本当に残念すぎるわけだ。

なのに、まだ内容が決まっているのかいないのか知らないが。
いまだに来年のドラマの発表がどの局よりも遅いというのは、どういうことなのか。
他局以上に、これまで歴史を築いてきたと物語るフジテレビの妙なプライドを感じるのは筆者だけではないはずだ。
出し惜しみをしている場合だろうか。
週刊誌などでちらほらと情報のほころびは出ているのだ。
さっさと正式発表して、「あー待ち遠しい!」と言わせてほしい。
ただし、そんなキャスティングとドラマであってほしい。
でなきゃ待たせる意味はない。
「なーんだ…」と発表時点でガッカリしてしまうようなドラマなら、やらない方がマシ。

視聴率の厳しい時代だからこそ、ワクワクさせてほしい。切に願う。

色々あるだろうけど、やっぱり木村拓哉のドラマは見たい!「A LIFE〜愛しき人」

SMAP年内解散後初めて、木村拓哉が来年1月にTBS日曜劇場で主演を務める。
「A LIFE〜愛しき人」
主演を務める話は週刊誌やスポーツ紙が公式発表前から騒いでいたので、発表時のインパクトは半減以下。

ただやはり主演キムタク。
グループは解散でも、共演陣は大河ドラマ並みに豪華。
どの女優からもそっぽを向かれ、ヒロイン選びは難航したという報道がホンマかは嘘かはどうでもよくて、ヒロインは竹内結子。「プライド」以来15年ぶりだとか。この時は最終的に恋人になるが、今度は元カノで親友の嫁。
だけどキムタクにまたひかれていく…という設定だろう。
でなきゃ面白くない。

他にも民放ドラマで脇役として出演は初ではないだろうか、松山ケンイチ。
最近、結婚報道のあった木村文乃。
このところ女優としての地位を確立しつつある菜々緒。
「相棒」以降、出演作が絶えず、安定感のある及川光博。
そしてキムタク最大のライバル役には、浅野忠信。
民放ドラマ初出演と言われているが、実は昔、渡哲也主演の「麻酔」というドラマに息子役で出演していた。
もちろん全然無名の頃だ。その後、映画界ではなくてはならないう存在となった彼が、ドラマに凱旋というわけだ。
これは見ものである。
出演者だけで、実に骨太なドラマを期待できる。

意外にも外科医役は初めてで、数々の職業を演じてきたキムタクが医者を演じることで、職業は20種目になるそうだ。
彼が演じる役柄は、普通の人々というよりも、スーパースター傾向が強い。
「ビューティフルライフ」のカリスマ美容師、「プライド」のホッケー選手、「エンジン」のF1ドライバー。
挙句「CHANGE」では総理大臣にまで上り詰めた。
今回もスーパードクターの役というわけだ。
米倉涼子の「ドクターX」とは違い、単なる医療モノにとどまらず、ヒューマンラブストーリーになるのも見どころだろう。
「…いたしません」「失敗しないので」…とはいかないスーパードクターだろうから、大門未知子よりは、血の通った人間だろうか。

ただ残念なのが、ドラマ始まるずっと前から止まらない外野の雑音だ。
木村拓哉の人気に陰りが…とか、SMAP解散騒動の中心人物で裏切り者…とか。
とにかく解散報道以降、ほぼバッシングが聞こえない日のないキムタク。
だが、そうは言いつつも、世間はこのドラマに注目していることも確か。皆、必ず一度は見るはずなのだ。
そのくらい、木村拓哉には注目さえるだけのオーラを兼ね備えている。
「今度はどんなドラマだろうか?」と。
視聴率は昔みたいに20%や30%を常時取れるわけでもないが、今はどのドラマでも10%以上なら合格点という及第点ですら低く見積もられている時代。そんな時に、15%以上を平均で稼ぐ俳優は貴重ではないだろうか。実際、前回彼が主演を務めた「アイムホーム」は最高で19%を記録したこともある。

今回の「A LIFE」で視聴率が取れるかは、まだ不明。
物語次第なところでもある。
脚本は人間ドラマを書かせたら右に出る者はいない、「僕の道シリーズ」の橋部敦子。
プロデューサーは「花より男子」や「華麗なる一族」など、ヒット作連発経験のある瀬戸口克陽。
木村拓哉に実績があるからこそ、共演陣もスタッフも最強の布陣を用意するわけだ。

世間のバッシングをはねのけるキムタクらしい勢いを、新ドラマで見せてほしい。

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「ぼくのおじさん」は、間違いなく松田龍平の代表作になった。

特に前評判とかも知らず、何気なく見に行ったん映画だったが…。これが大当たりだった。
映画「ぼくのおじさん」
北杜夫原作、松田龍平主演、監督は山下敦弘。
ヒロインは真木よう子、他にも宮藤官九郎に寺島しのぶ、戸田恵梨香、戸次重幸、キムラ緑子など。
役者陣とスタッフを聞けば、豪華な顔ぶれだ。

「ぼくのおじさん」がどういう物語か。簡単にいえば…。
松田龍平扮する自称哲学者の”おじさん”が、一目惚れしたエリー(真木よう子)を追っかけて、甥っ子の雪男(大西利空)とハワイで繰り広げるコメディ。

何が面白いかっていうと、松田龍平扮するおじさんのキャラクター勝ち。
大学講師の仕事をしつつも、半分ニートみたいなもので、とにかくぐうたらしていてほぼ引きこもり。
兄夫婦(宮藤官九郎・寺島しのぶ)の家に居候している身にもかかわらず、態度が家で一番デカい。
甥っ子と姪っ子にも呆れられながらも、本人はどこ吹く風。
むしろ小学生の甥っ子に、漫画を読みたいからお金をせびるというセコさ。
でもどこか”おじさん”の憎めないゆるさを、松田龍平がいい味で醸し出している。
あーだこーだ言いつつも、周りの人たちは皆、おじさんのペースに巻き込まれている…という世界観。

そんなぐうたらなおじさんを見兼ねて、将来の結婚相手に…と兄嫁の姉(キムラ緑子)に紹介されたのがエリー(真木よう子)。
その場で一目惚れし、写真家をやめて祖母の農場を継ぐためハワイへ帰るという。
おじさんは一念発起し、エリーを追っかけてハワイへ行くことを決意する。

この松田龍平演じるおじさんが、どこかおかしい。
ハワイに行くために、働いてお金を貯めるのではなく、応募抽選シールをためて行こうとしたり…。当たるかどうかも分からないのに、だ。働くのが嫌いだから。
(※ 結局、甥っ子の作文コンクールの副賞でハワイへ行けることになる…)
タバコが欲しくて買いに行ったら、なぜかマリファナを手に入れて、警察に逮捕される始末。
つい、何かやらかしちゃうおじさん。
でも、どこか憎めない。
「仕方ないなぁ…」と呟いて、許してしまうような愛されキャラ。
そんなキャラを創り上げた松田龍平に拍手!

彼がかつて演じた「舟を編む」の馬締光也も、辞書作りに情熱を傾ける以外は、どこか飄々として、ふわっとした、掴みどころのない役柄だった。「ぼくのおじさん」のおじさんでは、「舟を編む」の馬締と通ずるところがあったようにも思える。
人間ドラマを中心に、彼が演じるキャラクターの滑稽さやおかしみで、ふっと笑いがこぼれてくる。

独特の飄々とした空気感をまとった俳優・松田龍平。
「ぼくのおじさん」は、「舟を編む」同様、彼の代表作になったといっていい作品だ。

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松山ケンイチの役者魂、そして実はコミカルさが光る「聖の青春」

松山ケンイチ、最近激太りしてないか?
テレビで見ると、ふとスマートな体型がいつのまにか増量し、ふっくらを通り越して、おデブちゃんになっていたのにビックリしたのは、つい半年くらい前だろうか。
彼に一体何があったのか…。
まあ大体予想はついたが、やはり映画の役作りだった。
主演映画「聖の青春」。
昨日から公開されている。

今回、彼が演じた実在の人物・村山聖。
残念ながらもうこの世にはいないが、あの羽生善治と肩を並べるほどの棋士だったという、通称・怪童と呼ばれた男。
村山氏はネフローゼという難病を抱え、ふっくらした見た目をしていた。
松山は演じるにあたり、まずは見た目で彼の体型に似せるため、変化を遂げていった。
実際、炭水化物を多めに摂取し、食べて食べて食べて…。
挙句、ドクターストップがかかるほどにまで危険だと言われたものの、それを無視して、さらに追い込むストイックさ。
まさに命懸けと言っていい。

実際、松山ケンイチは命を懸けなければ、亡き村山聖に顔向けできない…という覚悟で挑んでいたのだろう。
実在の人物を演じるということは、そのくらいのプレッシャーがのしかかってる。

…と、ここまでの話をまとめれば、「聖の青春」は難病に冒された天才棋士の感動ヒューマンドラマ…のように一見思えるが、それだけにとどまらないのがこの映画の意外性だ。もちろん村山を中心とした棋士たちの青春群像で、生涯将棋に懸ける人々を男臭く描いた作品ではある。
一方で、そんな彼らとの日常のふれあいがコミカルに描かれており、笑いどころも随所に散りばめられている。
ネタ振りがあって、きちんとオチがある。
そんな小ネタチックな掛け合い漫才のような、コントのような場面がいくつも出てきて、和ませてくれる。

予告だけを見ると、少し構えてしまうようなお堅い映画のような印象を受けかねないが、いざ本編を見ると、そんなコミカルさが相まって、ちょうどいい爽やかな作品へと仕上がっている。
エンディングに流れる主題歌は、秦基博。バラードイメージのある彼もまた、今回はミディアムテンポなナンバーで締めくくり、映画をより爽やかに盛りたてている。

将棋モノ、難病モノ、青春群像…このキーワードを羅列すれば、女子が敬遠しそうだろう。
一緒にデートで見よう…とは言い出しにくいと迷っている男子たちよ。
それは間違っている。
この映画、女子が見ても、きっと楽しめるはずだ。

最後に、20キロの増量で挑んだ主演の松山ケンイチ。
今はおデブちゃんの頃の見る影もなく、元のスマートな体型に…。
やはりすごいな、役者ってのは。
でも妻の小雪から「増量時の体型の方がかわいかった」と言われ、落ち込み気味だというのは、また別の話。

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テレ東的サブカルドラマの真骨頂!「吉祥寺だけが住みたい街ですか」

秋ドラマは豊作揃いと言われている。
期待度通りの20%超えを連発している「ドクターX」
新垣結衣と星野源のカップルが見せる新しいラブコメに加え、エンディングの恋ダンスで話題沸騰の「逃げるは恥だが役に立つ」
石原さとみのド派手なファッションが注目を浴びている「地味にスゴイ!校閲ガール河野悦子」
菅野美穂の復帰作で、松嶋菜々子の悪役が回を追うごとに怖さを増している「砂の塔〜知りすぎた隣人」
続編も好評を博している深夜枠の「勇者ヨシヒコと導かれし七人」
そしてバカリズムの大胆な脚本でアレンジされた「黒い十人の女」など。

そこそこの視聴率を獲得しつつ、世間的な話題にもなり、視聴率が壊滅的だった夏ドラマに比べると明るい兆しだ。
そんな豊作揃いの中でも、異彩を放っているのが間違いなくテレビ東京。
先述した「勇者ヨシヒコ」では続編でも福田雄一ワールド全開で、山田孝之をはじめとした俳優陣が演技とは思えないほどの自由さがウリとなっている。おまけに毎回登場するサプライズゲストも豪華。これまでに菅田将暉や片岡愛之助、城田優などが出演していることも話題だ。テレ東らしい枠にはまらないクリエイティブ的なドラマの可能性を感じる。

同様に、テレ東の深夜枠で今放送されているのが「吉祥寺だけが住みたい街ですか」だ。
原作はヤングマガジンサードで連載中、マキヒロチ原作の漫画。
森三中の大島美幸と、メイプル超合金の安藤なつのW主演で、2人が不動産屋を営む双子の姉妹という設定。
毎回、吉祥寺に住みたいとやってくる客人から引越す理由を聞いて、2人は必ずこの言葉を口にする。

「じゃあ、吉祥寺やめよっか…」

お客が吉祥寺に住むためにやってきたにもかかわらず、敢えて吉祥寺を紹介しないという不思議な話。

テレ東は、「路線バスの旅」や「出没アド街ック天国」「モヤモヤさまぁーず」など、サブカル的街ブラ紹介番組が数多く放送されており、いわば得意分野。他局なら「タモリ倶楽部」のように深夜枠で放送するモノを、ゴールデンで勝負するというスタンス。ゴールデンでやりそうな内容を深夜に持っていくこともあり、真逆な手法が目立つ。
今回のドラマ「吉祥寺だけが住みたい街ですか」は、いわばテレ東の得意分野を活かした当たり作品だ。

昨日放送された回では、実家暮らしが原因で合コンに失敗したプログラマー(森永悠希)が一念発起し、一人暮らしを決意して、姉妹が営む不動産屋へ訪れる。「モテたい」という彼の一人暮らしの本当の理由を聞き、姉妹は吉祥寺ではなく、恵比寿を紹介する…。

街を散策しながら、実際にあるスイーツやバーなどを訪れるドラマ版街ブラといっていい。
リアルな街の良さがドラマを通して浮き彫りとなり、ここに住んでみたい!と誰もが思うはずだ。
実際、昨日紹介された恵比寿は本年度、”住みたい街ランキング”で吉祥寺を抜いて1位を獲得した街。
駄菓子が食べ放題の駄菓子バー、レモネードのリキュールで女子をくすぐるカウンターバー、良質な単館系映画館にガーデンプレイスのイルミネーション。そして極めつけは、エビスビール。恵比寿の魅力を余すところなく紹介した、まさに街にとっては打ってつけのドラマだ。
住んでみたくなるし、その街へブラーっと出かけてみたくなる。

もちろん、ドラマで紹介されたことはごく一部だろう。
自分の目で確かめ、散策し、紹介されていなかったところを発見する喜びもまた街ブラの魅力だ。
「吉祥寺だけが住みたい街ですか」
自分の知らない街に、背中を押してくれる。そんなドラマだ。

テレ東よ、この漫画をドラマしてくれてありがとう。
アッパレ!

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2019年大河ドラマ・クドカン脚本発表の光と影

先日、2019年の大河ドラマが発表された。
2019年!?
まだ2016年の「真田丸」は大坂冬の陣が終わったばかりで、最終回まで1ヶ月ほどある。
2017年の「おんな城主直虎」はおろか、2018年の「西郷どん」が先日発表されたばかりだ。
「西郷どん」の主演が鈴木亮平と発表されてから1ヶ月ほどで、2019年の大河ドラマ発表は超異例だろう。

脚本をクドカンこと、宮藤官九郎が手掛けるという。
しかも現代の物語。題材はオリンピック。
2020年に東京オリンピックを控えたこのタイミングで、大河ドラマで日本で初のオリンピックを開催した物語を描くというんだから…。
クドカンは本当に恵まれている。

一方でかわいそうなのが「西郷どん」だ。
どう考えても、2019年のクドカンが描く大河ドラマ発表で一気に霞んでしまった印象だ。
鈴木亮平は「花子とアン」で一気にブレイクし、知名度も人気も急上昇。
主役や脇役も幅広く、そして何より役柄における肉体改造などストイックさは並大抵ではない。
役者魂を感じる彼が西郷隆盛を演じるのは、すごくニンに合っているとは思える。
林真理子原作・中園ミホ脚本で、女性の視点から描く西郷隆盛と仲間たち、そして幕末。
これまでとは違う物語を見せてくれるだろう…と思えるが、やはりクドカンの大河ドラマに気を取られてしまう。

2019年なんて、再来年の先。約2年後だ。どうして今発表したのだろうか。
やはり考えられるのは、「あまちゃん」を通してNHKで功績を残したクドカン。
彼の存在だろう。
そんな彼が大河ドラマを描く。
話題性は間違いなく大きい。当然ながら期待感も高まる。

だが一方で、その前に放映が決まっている2作品はどうだ?
来年の「おんな城主直虎」と、再来年の「西郷どん」
いわば大河ドラマの王道というか、戦国の世を描く2017年度の作品と、幕末を描く2018年。
もちろん脚本家にも実績がある。
2017年は朝ドラ「ごちそうさん」を手掛けた森下佳子。
2018年は前述したが、「花子とアン」や「ドクターX」の中園ミホ。
けれど、マルチな才能に富み、脚本家に留まらないクドカンに比べると、やはりインパクトに欠ける。
当然だ。脚本家は裏方、黒子なのだから。
クドカンのように、役者たち並みに表舞台に立つ脚本家はごく稀だ。
そういったところでも、NHKの力の入れようが、メディア発表を通して伝わってくる。

2019年の”大河ドラマ X クドカン"作品の前に放送される2作品が、2019年の前座扱いにならないようにしてほしいのが本音である。
1年を通して、豪華な役者たちが命懸けで取り組む作品だ。
来年の作品は今年好調の「真田丸」を凌ぐ勢いで、そして2018年の「西郷どん」は2019年の大河ドラマへの弾みとなるインパクトの大きい作品となってもらいたい。

寂しいんだけど、あったかい「ボクの妻と結婚してください」

織田裕二といえば、「踊る大捜査線」のイメージが今も尚、色濃く印象に残っている。
それ以前は「東京ラブストーリー」や「振り返れば奴がいる」だろうか。
いずれにせよ、トレンディ俳優のトップランナーの一人として牽引してきたに違いない。

彼の作品といえば、熱い魂を持ったヒーローに近い役柄が多かった。
やはりそれは「踊る大捜査線」の影響が大きい。
代表作があるということは、俳優として恵まれていることだ。
一方で、その役以降は、その役以上にインパクトのある作品に出会っていない…といっていいだろう。
悪く言えば。

ゆえに近年の織田裕二は、どうもピンとこない作品ばかり。
視聴率もかつてのように取れるわけでもなく、インパクトも薄れつつあった。
だが今回の作品で、彼は1つの転機を迎えたのではないかと思えた。
その作品とは、映画「ボクの妻と結婚してください」だ。

内村光良がNHKドラマでも演じた役柄を、映画版で演じたのが織田裕二である。
余命宣告を告げられた放送作家が、妻と息子のために、妻の結婚相手を探す…いう、人生最期の企画を企てる。
妻を演じるのが、今飛ぶ鳥を落とす勢いでブレイク真っ只中の吉田羊。

妻のために奔走する夫役の織田裕二の姿が、涙を誘う。
「妻にはずっと笑顔でいてほしい…」と刻一刻と迫る別れの寂しさを堪えつつ、人間味あふれる愛妻家を演じている。涙をたくさん流して、顔をぐじょぐじょにするような、そんな彼の姿は今までで初めて見たかもしれない。
だからこそ、彼の笑顔がまたまぶしく映る。

そんな彼を支える妻役の吉田羊もまたいい。
内助の功というポジションを理解し、わきまえながら、多忙な夫に代わって、家庭を守っている良妻賢母。
夫から離婚を突き付けられ、悲しみのどん底に落ちるものの、やがて彼の限られた命を知り、最期のその時まで寄り添っていく…。
吉田羊らしくクールに構えつつも、時に茶目っ気を覗かせるユーモラスな妻を演じ、見る側をも夫同様ひかれるような魅力にあふれた女性を創り上げている。

他にも、織田裕二の大胆な企画の”共犯者”として力を貸す高島礼子や、妻の再婚相手に選ばれ、同様に彼の企画のキーマンとして働きかけていく原田泰造など、出てくる人が皆とにかくいい人ばかり。だからこそ、観終わった後、涙を零しつつも、あったかい空気感に包まれるような感覚に陥る。
そんな映画が「ボクの妻と結婚してください」だ。

寂しいんだけど、でも、心あたたあまる。
秋にふさわしい、秋らしい一作といえる。

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愛を知った後、もう遅い「永い言い訳」

本木雅弘と深津絵里。
この2人といえば、かつてフジテレビで「最高の片思い」というトレンディ全開なドラマで共演していた。
それから20年以上の時を経て、再共演を果たしたのが西川美和監督の「永い言い訳」である。
前者は恋人になるまでのラブストーリーだったが、今回は夫婦役。
しかも深津は、冒頭、事故で死ぬことになり、すぐ姿を消す。惜しいことに。
彼女の死から、物語は始まる。

本木扮する売れっ子作家・津村啓が、妻の死を通して、妻の親友家族とふれあい、再生していく様を描いている。
だが、ただ再生する話ではない。
妻の死の知らせを知った時、津村は自宅の部屋で不倫相手を招いて逢瀬を重ねていたのだ。
(※ その不倫相手を演じていたのが黒木華)
そんな彼がひょんなことから、妻と同じくバス事故で他界した妻の親友の子供たちの面倒をみることになり、少しずつ家族の”愛情”を知っていく…。
しかし、不倫という代償は、彼をそう簡単には許してはくれない。
まるで妻が最期に突き付けた”孤独”を、ツケとして彼につきまとわせていく…。

子供たちとふれあって知る愛情、一方で妻の死という出来事からひどく後悔にさいなまれる姿を本木が巧みに演じている。
ある種、これもラブストーリーなのだろう。

「愛していない、これっぽちも」
一瞬電源の入ったスマホが書きかけの下書きメールを映し、すぐ電源が落ちて消える。
これを見た瞬間、激昂し、スマホを投げつけて破壊する本木。
不倫で妻を裏切っていた自分を見透かすかのように、妻もまた、彼を見限っていた…。
改めて知ると、悲しい。
そんな男の物語。

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10年ぶりの続編をやる意味はあったのか?「DEATH NOTE〜Light up the New world」

10年ぶりの続編に発表当初は衝撃だったが、実際蓋を開けてみれば、当初の衝撃ほどではないのが印象だ。
「DEATH NOTE〜Light up the New world」である。
藤原竜也と松山ケンイチを一気にスターダムに押し上げた前作は、現在でもインパクトが大きい。
それゆえに続編は、そのプレッシャーもはねのけるほどのクオリティでなければならない。
その重圧を背負うことになったのが、東出昌大・池松壮亮・菅田将暉の3人だ。

東出扮する正義感あふれる捜査官・三島の捜査を、デスノートを手中に収めようとする菅田扮するサイバーテロリスト・紫苑があざ笑うかのように先回りして混乱させていく。三島と協力しつつ捜査をしつつも、自身もデスノート所有者という謎を抱えた探偵・竜崎を池松が演じている。
朴訥かつ素朴でまっすぐな役柄を得意とする東出、一方で腹に一物あるキャラを演じることに長けた池松と菅田。3人を配した役者バランスはうまくとれているように思えた。東出のポジションがクセのある役者だと、それはそれでまた濃い味つけになり、かえってお腹いっぱいになりかねない。

今回はデスノートが死神の気まぐれで6冊も落とされるという、より世界をパニックに陥れるという設定。
6冊って、もはや収拾がつかないだろう。
これでどうやって物語を結末させるのだろうか…。
しかも前作で死んだはずのキラ(藤原竜也)とL(松山ケンイチ)まで引っ張り出してくるはで、もはや話題を取り込むことに必死。前作から唯一続投の戸田恵梨香演じる弥海砂も登場し、再びデスノート争奪戦に翻弄されていく…。

もちろん、見ていてつまらなくはない。
ハラハラ感があり、どんでん返しの連続。
展開が進むにつれて、熱量が徐々に帯びてくる。

しかしラスト手前あたりから、これまでの頭脳戦の攻防から一転して、突然派手なバトルアクションへと急展開したことには少し興ざめ。
これまでの展開が台無しになったようにも思えて残念。
デスノートを通して東出・池松・菅田の3人が対峙し、頭脳戦でのフィニッシュを期待したかった。
おまけにラストは、続編をにおわせるような終わり方。
「もしかして、またやるの!?」と、見た者誰もがきっと思ったに違いない。
いや、もういいでしょう。だからこそ、きっちり終わりにしてほしかった。
10年ぶりの続編という話題性をかっさらった人気作の「デスノート」だけに、スッキリしない終わり方は残念なのが本音である。

#吉田食堂 #デスノート # 東出昌大 #池松壮亮 #菅田将暉 #戸田恵梨香 #藤原竜也 #松山ケンイチ
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