東京よいとこ一度はおいで

戦略的上京論 (星海社新書)


 星海社新書から出ている本は、読みやすくて好きです。
 行間がだいぶとられているので、内容量的にはきつきつにくまれている本より薄くなってしまうのでしょうが、その分読みやすさという武器を手に入れていると思います。

 新書の戦略は置いておいて内容について。

 本書の主眼を一言で言うと、「東京に来るなら、最大限にそのチャンスを生かせ」ということだと思います。
 せっかく高い家賃を払って東京にいるのに、ずっと家にいてはもったいない。
 自分がどうなりたいのかをしっかり考えて、家の場所から吟味すべし、とのこと。
 著者は、家賃が高いからといって、都心を避けてちょっといい家に住むよりも、自分が勝手に設定した東京の中の聖地から1駅圏内でぼろくてもいいから家を探すことを推奨しています。

 言われてみれば確かに。
 暮したことはないので詳しくは分かりませんが、東京というと駅ごとの特徴がハッキリしているイメージがあります。
 芸能界入りしたいなら港区、出版関係の仕事につきたいなら神保町など、大学に入ってから10年以上宮城に住んでいる私でもなんとなく理由が分かるくらいです。
 どこに住んでもそれなりの家賃がかかるのだから、ギャンブルのようにえいっと家を決めるのではなく、戦略的に家を決めるのがよさそう。

 ただ、本書で一番印象に残ったのは、リスクについての話でした。
 釜石の奇跡という、東日本大震災の津波に襲われた岩手県の釜石市の児童が、ほぼ全員助かったエピソードに触れていました。
 釜石市では、群馬大学の教授から徹底的に防災教育を受けていました。
 小中学校の生徒に、「逃げとけばよかったという状況に陥ったとき、それは死を意味する」と強い言葉で危険性を伝え続けていたそうです。
 最悪の事態を想定して、日頃から対処法を考えておくことの重要性を再認識しました。

 人生を変えるかもしれない一行
逃げ切った子供達は「実力を発揮して逃げたので奇跡ではない!」とも言っています。

 頼もしい限りです。

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