姉歯元建築士の耐震偽装設計によるマンションが、震度5の地震で倒壊の恐れありという事で物議をかもしている。
 そこに、さらに施工主ヒューザー、施工業者木村建設で姉歯による設計の「グランドステージ藤沢」というマンションで、施工中のコンクリートに水を追加して水で薄めたコンクリートを打設したという疑いが出てきた。
 そのため、コンクリートの強度が設計強度の15%にしか達していないというのである。

 それに輪をかけて、今度は同じヒューザーの販売した「グランドステージ川崎大使」というマンションで梁の太さから、細部にまで設計図より手抜きをされた部分が多く発見され、之も姉歯設計の木村建設施工で倒壊の危険性ありということで、すでに退去勧告がされていた物件であった。

 こうなると、設計だけでなく施工上も全く信用できない建物が出来ていたわけである。之では、完全な設計をしていても意味がないのである。
 施工した梁などが、手抜きのために無かったり、寸法が小さかったりする例は過去にもあったが、これほど激しい手抜きは例を見ないと識者の意見である。

 手抜きは兎も角として、「ジャブコン」といってコンクリートに設計水量以上の水を入れるということは、木村建設も絶対にしないと抗弁している。しかし、之だけ偽装や手抜きをやる建設会社である、信用せよ、というほうが無理というものだ。
 ただ、コンクリートの強度は、マンション完成後でも外部から振動を与える器具で、簡単に測定することが出来る。

 しかし、私はコンクリートに水を過剰に加えるということは、何の意味があるのだろうかと思う。単位量のコンクリートを作るのにセメント量を減らして強度減少をごまかすというのなら、経済効果があるのでわかるが。
 単位量のコンクリートを作るのに、砂利、砂、セメントの量を変えずに水の量だけ増やしてもコンクリート量は増えない(厳密にはミクロ単位で増えるかもしれないが、私にはわからない)。
 メリットは、打設前のコンクリートの流動性が良くなって、作業がしやすくなるくらいであるが、それも限度がある。あまり水を沢山加えると打設前に分離を起こして却って始末が悪くなる。
 資料によれば工事指定スランプは20センチ程度となっていたというが、20センチもスランプがあれば、かなり打設しやすい流動性のいいコンクリートのほうに属すると私は思う。
 したがって、取り扱いやすいようにするために、水を加える必要はまず無いと思う。

 大体、コンクリートに必要量以上の水を加えて工事をするなんて馬鹿げている。施工主にも施工業者にも、メリットがほとんど無いごまかしの仕方である。
 しかも工事中に、一番目に付き易いごまかしであるといえる。私なら、こんなごまかしは絶対にやらない。もっと上手な手抜き法は、他にいくらでもあるのだから。
 それでも、もしこんなことが実際に行われたのなら、それは施工業者の全責任者が命じた以外に方法は無いと思う。一作業員やコンクリート打設責任者だけでできることではない。
 之が議員さんの話として、新聞に取り上げられたこと自体、私は不思議で仕様が無い。

 話が変わるが、土木工事、建築工事というものは、立派な建造物を後世まで残すすばらしい仕事であると私は思っていた。
 私達は、世界中で、先人の残した偉大な建設物に、今でもお目にかかることが出来る。
 東京駅だって丹下さんの設計で、今の形を関東大震災にも壊れることなく残している。
 設計、施工に当たる人は、自分の存在を建物の形で後世に残そうと全身全霊で頑張るのである。それが建設に携わるものの誇りであると私は思っていた。

 私は、昔、記録的な建造物(残念ながら、地下構造物なので人の目には触れないが、今でも記録は破られてないと自負している)を設計施工したことがある。
 人跡未踏の分野とは難しいもので、私は大学の恩師を何度も訪問してご教授を受けて、寝食を忘れて頑張った。
 数年かけて工事完成のとき、私は、今後各地に散らばってゆく作業の人たちを集めて
 「君達は自分の手でこの大工事を成し遂げたのだ。今後日本各地の工事現場に行かれても、その自負心を胸に、自信を持って仕事に当たってもらいたい」
 と挨拶したら、涙が流れて止まらなかったのを覚えている。
 建設工事というものはそういうものだ、と思っている私は旧い人間なのかなぁ。

 しかし、お金のためにのみ、こんなインチキ建設工事をする人は、またそれを許容している官僚は日本の恥である。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜新聞の引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

姉歯偽装」のGS藤沢、水分多いコンクリ使う?(読売新聞12月23日)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)によって耐震強度が偽装された建物のうち、強度が基準の15%しかなく、最も危険性が高いと診断された「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)について、建築の施工段階で、コンクリートに不適切に水が加えられた、いわゆる「シャブコン」が使用されていた疑いが22日、浮上した。
 シャブコン使用は建物の強度に大きな影響を及ぼすことから、同マンションの耐震強度はさらに低下する可能性もある。
 シャブコンが使用されていた疑惑は、民主党の下条みつ衆院議員が明らかにした。
 同マンションは、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)が販売し、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が施工を請け負っていた。
 コンクリートに加えられた水の量が適切かどうかは、固まる前のコンクリートを計測用の筒にいったん流し込み、この筒を取った後に、コンクリートがどれだけ崩れるかを測定することでチェックする。
 グランドステージ藤沢については、建設中の写真70枚以上が残されていた。藤沢市に提出された写真の複写を入手した下条議員によると、本来、コンクリートが崩れる最大許容量は、このマンションの場合20・5センチにもかかわらず、許容量を超えて崩れているとしており、「水量が多すぎるのは一見して明らか」としている。
(2005年12月23日3時3分 読売新聞)

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「手抜き工事断じてない」 偽装マンションで木村建設(共同通信12月24日)

 耐震強度偽装問題で、強度が基準の15%しかないとされる神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」をめぐり、施工時にも問題があったとの指摘について、施工した木村建設(熊本県八代市、破産)の現場の元所長が24日、共同通信の取材に応じ「施工図に記載ミスがあったのは事実だが、断じて手抜き工事はしていない」と反論した。
 元所長は「鉄筋の数が少ないとは分からなかった」と発言。「生コンクリートが水増しされたのでは」との疑惑についても「品質管理業者が作業のたびに検査し、写真も撮影している。われわれに水で薄めるメリットは何もない」と否定した。