北朝鮮は日本の拉致問題に絡めて、日本が主張する徹底的な核検証を強く非難した。米国が核検証を骨抜きにした案でテロ支援国家指定解除をしたことを日本だけが不満としていることから、日本の6ヶ国協議から外すべきとの主張をしている。
珍しく北朝鮮の報道を取り上げた。

 これは、すでに米国が北朝鮮の核兵器保有を黙認したという前提での北朝鮮の発言である。これに対して米国は沈黙を守る。
 中国、ロシア、米国は拉致と言っても自国では何もない問題だから、内心は日本の立場を理解できているとは言い難い。

 一方、金正日の病状については、金正男(キム・ジョンナム)氏が先週フランスのパリを訪問し、ある脳神経外科医に会っており、その後、その医師が平壌(ピョンヤン)へ向かったと言う情報があり、北朝鮮はナーバスになっている。

 ワシントンで16日に開かれた第30回韓米軍事委員会(MCM)会議で、米国は北朝鮮の急変時に実行する計画を具体化することを提案していたようだ。
 政府消息筋が29日、「米国はMCM会議で、北朝鮮の急変に備えた『概念計画5029』を(作戦計画に)具体化することを提議したと承知している」と明らかにした。

 米国も金政権の終末を予感するのか、なんだかキナ臭い話が持ち上がってきている。
 6ヶ国協議から日本を外そうとしている北朝鮮の謀略に乗る国はないと思うが、しばらくは、日本も具体的行動を控えて静観したほうがいいだろう。
 
         〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜新聞記事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

現実味を帯びてきた日本「排除」論 (朝鮮新報10・29)

6者会談の妨害者に各国が警戒
 「われわれは、日本が参加する6者会談が必要かどうかについて思案中だ」(労働新聞22日付)。朝鮮の各メディアが日本の6者会談参加資格について問題視している。非核化プロセスに障害をもたらしている「孤独な不満者」(23日発朝鮮中央通信)を非難するその論調は、外交当局の意向を反映したものと思われる。
参加各国も非難
 「日本排除」論は朝鮮の主観的な要求ではなく、国際社会の現実を反映している。
 朝鮮半島非核化の第2段階で履行すべき義務を放棄したのは日本だけ。日本は「拉致問題」を口実にしているが、「行動対行動」の原則に沿って各国の義務履行が完結されてこそ次の段階へ移ることができるというのが6者の合意事項である。
 米国は重油100万トン分の経済・エネルギー支援問題で、日本の負担分を6者以外の国が「代納」する方式を模索していると報道されているが、そのような方法で支援が完了されたとしても朝鮮側が日本の公約違反を黙認するかどうかはわからない。
 核問題解決のために集まった各国の立場からすると、「拉致問題」で進展がないかぎり6者が何を合意したとしても履行はできないと主張すること自体、荒唐無稽な詭弁だ。しかし日本の身勝手な言動を予想できなかったわけではない。
 日本は6者会談に議題とはまったく関係のない「拉致問題」を持ち出した。非核化問題でも自分の主張を述べるだけで行動したことはない。「日本は6者会談の場にいるよりもいっそのこといないほうがましだという不便でやっかいな存在となっている」との指摘は、労働新聞に掲載されたものだが、各国の本音もある程度代弁している。
実際、過去には「日本をはずした核会談」が関係国の中で取りざたされたことがあるという。
 北京の外交筋によると、2006年10月の朝鮮の地下核実験以後、6者会談再開問題が朝、米、中の間で論議された際に日本の参加が憂慮されたという。日本は核実験を口実に朝鮮に対する「単独制裁」を強行。対話による問題解決を模索する国際社会の動きに逆行する「外交的無知と能力の欠如」を露呈した。それでも、その時「日本をかばう国」があったため、会談は6者という構図をなんとか維持したまま再開された。
「戦略不在の国」
 日本は、「テロ支援国」リストからの削除の前に朝米間で交わされた核検証合意に不満を示し、「徹底的な核検証」を主張している。そして非核化第2段階での義務を履行していないのにもかかわらず、次の段階での「核廃棄」プロセスに技術や資金を支援できると言っている。非核化プロセスに対するこのような恣意的な解釈は、他の参加国に原則を無視した的外れな発言としか受け止められないだろう。
 北京で核問題が討議されるたびに、他の参加国からは「戦略のない国」に対する嘲笑と批判が起こった。日本がなぜ6者会談に参加しているのかという疑問が常に生じた。
 米国の「テロ支援国」リスト削除に対して日本は「背信行為」だと不満をもらしたが、それは2.13合意に明記されている項目だ。
 日本が6者会談を尊重するなら、最初から米国の「テロ支援国」リスト削除を「既成事実」と受け止め、朝鮮との関係改善へ向かうべきであった。
 もちろん、この間に動きがまったくなかったわけではない。6者合意に沿って朝・日作業部会が開催され、6月と8月には朝・日政府間実務会談が行われた。
 ところが、日本は非核化第2段階が最終局面を迎える時点で、6者会談の進展と朝・日関係改善を同時進行させる路線を捨て、再び会談に障害をもたらそうとしている。
 国内の政争に追われ、朝・日間の懸案問題に取り組む準備が整っていない麻生政権が、「徹底的な核検証」論を掲げながら朝米合意を非難し、非核化プロセスを妨害しようとしている。これは、6者会談参加各国の警戒心を呼び起こしている。
「同盟国」の反発
 朝鮮メディアの論調を見ると、今後開催される6者会談で、朝鮮は日本の参加問題を提起するかもしれない。他の参加国は、排除の論理を公言しないかもしれないが、日本の孤立はよりはっきりするだろう。米国に対する日本の「期待」も、「テロ支援国」リスト削除が示したように、もはや自国の目的達成に有利な作用をするとは考えられない。
 10.3合意履行が完結した後の非核化の「次の段階」は、従来よりもさらに複雑な様相を帯びることが予想される。朝米が互いに銃口を突きつけている朝鮮半島で、全ての核の脅威を除去するプロセスには、さまざまな問題が存在する。双方は、それに対する理解に基づき、核検証の合意をした。しかし核問題の直接的な当事者でない日本はこれに反対している。
 今後も「徹底的な核検証」論に引き続き固執する場合、日本は米国にとっても目障りな存在になるだろう。非核化の論議に、「妨害者」を必ずしも参加させなければならないということはない。そうした動きが米国側から顕在化するかもしれない。(金志永記者)
[朝鮮新報 2008.10.29]

北朝鮮急変に備えた計画、米国が具体化を提案(聯合ニュース10・29)

【ソウル29日聯合】ワシントンで16日に開かれた第30回韓米軍事委員会(MCM)会議で、米国は北朝鮮の急変時に実行する計画を具体化することを提案していたようだ。政府消息筋が29日、「米国はMCM会議で、北朝鮮の急変に備えた『概念計画5029』を(作戦計画に)具体化することを提議したと承知している」と明らかにした。
 国防部の李相憙(イ・サンヒ)長官とゲーツ米国防長官は、MCM会議の翌日に開かれた第40回韓米安保協議会(SCM)で会議結果の報告を受け、北朝鮮の急変事態に備え両国が緊密に協議しあらゆる偶発事態を念頭に置き協力していくことで意見を同じくしたという。消息筋は、「北朝鮮の急変事態に備えた両国レベルの計画が必要だとの原則論に共感したものとみればよい」と伝えた。
 「概念計画5029」を「作戦計画5029」に発展させることについて、韓国政府は単に名称を変え「作戦計画」とすることには意味がなく、「概念計画5029」に局限せず包括的レベルで計画を発展させるべきとの立場だとされる。
 政府は2005年初め、「概念計画5029」を作戦計画化しようとする米国の計画に対し、韓国の主権を侵害する要素があるとして反対意見を表明、作戦計画化は中断された。その後、両国は概念計画だけを補完し、発展していくことで合意した。

米国防長官「北朝鮮の急変時に備えた対策作りを」(朝鮮日報10・29)

 米国のロバート・ゲイツ国防長官が最近、ワシントンで行われた韓米国防相会談で、北朝鮮の急変時に備えた韓米両国間の計画「概念計画(CONPLAN)5029」に関し、「直ちに実行に移すことができる状態にまで練り上げていくべきだ」と、事実上の作戦計画化を公式提案していたことが分かった。
 政府の消息筋は28日、「今月17日にワシントンで開かれた第40回韓米年次安全保障協議会(SCM)で、ゲイツ長官は李相喜(イ・サンヒ)国防長官に“概念計画5029”の作戦計画化をめぐって多くの提案をした」と話した。1999年に作成された同計画は、北朝鮮でクーデターなどが発生し、北側が無政府状態または内戦状態へと陥った場合など五つの急変事態に備えてまとめられた対策だ。
 しかし、兵士動員や部隊配置などの計画については一切言及されておらず、先月、金正日(キム・ジョンイル)総書記が病床に倒れたという説が広まって以来、同計画をさらに具体化していくべきではないかとする主張が高まりを見せていた。
 ゲイツ長官は当時、李長官に「現在の“概念計画5029”では(北朝鮮が急変の事態に陥っても)対応し切れない部分が多い。直ちに実行することができる計画として練り直していくべきだ。米国には(5029の実行に向け)必要な戦力を韓国に支援する用意がある」と話していたことが分かった。
 李明博(イ・ミョンバク)政権の発足以来、米軍の最高首脳が「概念計画5029」を作戦計画化していく必要性や、韓国を支援していく意向がある点に触れたのは、今回が初めて。
 しかし、これに対し、李長官がどのような反応を見せたかについては確認されていない。消息筋は、韓国政府が米国側の提案に原則的には共感しつつも、南北関係などのため、実際に同計画を進めていくには限界があると述べた。
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、韓米両国軍は「概念計画5029」を作戦計画として格上げしようとしたものの、大統領府が「北朝鮮の主権を侵害する可能性がある」と判断。これに歯止めを掛けたため、「5029」は具体化するものの、作戦計画化しないという点で一致していた。

金総書記重病説:麻生首相「入院中との情報あり」(朝鮮日報10・29)

 日本の麻生太郎首相は28日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康状態に関して、「あまり状態は良くない。ただ、判断がまったく不可能な状態ではないと思う」と述べた。
 麻生首相はこの日、参議院外交防衛委員会での答弁で、「金総書記が病院に入院したという情報がある」として、このように述べた。
 また、麻生首相は、金総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏とみられる人物がフランスを訪れ、脳神経系統の専門医を招請したとされる報道についても「情報機関から報告を受けている。フランスの医師が北京へ向かったという話も聞いている」と語った。
 麻生首相が金総書記の健康状態について見解を明らかにするのは初めてだ。これまでは中曽根弘文外相が「直接的な情報はない」とコメントしただけだった。

金正男氏、フランスの脳神経外科医を招く(中央日報10・28)

 金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮国防委員長の長男、金正男(キム・ジョンナム)氏が先週フランスのパリを訪問し、ある脳神経外科医に会っており、その後、その医師が平壌(ピョンヤン)へ向かったとフジテレビが27日、報じた。

フジテレビは暗いストライプの背広姿の金正男氏がパリで金委員長の重病説を尋ねる報道陣の質問に答えないまま病院を離れる姿を放送し、このように伝えた。また同テレビは、金正男氏と会ったとみられるフランス人の医師が会同から2日後にユネスコ(国連教育科学文化機関)北朝鮮代表部の車に乗って、シャルル・ド・ゴール空港に移動したと説明した。

同テレビによると、この医師は平壌へ向かうのかという質問に対し、否定しなかったもようだ。金委員長が先月北朝鮮政権樹立記念式典に姿を見せなかったのを受け、韓国と米政府の一部役人から「金委員長が脳血管関連の疾患を患っている」という見方が出ていた。北朝鮮は「金委員長の健康に問題がある」という見方について否認している。