福島原発事故による放射能の拡散は止まる所を知らない。屋外放置の稲わらを食べた食用牛の精肉の放射性セシウム濃度が暫定基準値を大幅にオーバーした。この牛肉は全国の市場に広がった。幸いなことに消費者のもとに届く前に回収できたものも多かった。

 ところが、今度はシイタケである。シイタケも屋内での栽培はありえない。当然、空中に放散された放射性物質が降下し、シイタケに沈積することが想像される。
福島家の農家の原木シイタケから、暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された。
 そして東京太田市場に今月2日から15日にかけて合わせて129キロを出荷されていたことが分かった。

 この調子では、次は何が暫定基準値オーバーとなるか分からない。屋外での食品と言えば、野菜類、果実類、米ばく、また鶏、豚などに類が及ぶ恐れは大きい。
 早くこれらの検査を進めて、放射性セシウム他の濃度測定をして、その結果を公表すべきであろう。

 そうしないと、福島の食品はすべて危険であると思われてしまう。恐ろしいのは風評被害であるというが、風評被害の前に食品の信頼度が落ちたことに対する緊急の対策が大切なのではないか。
 それには測定値の細かな結果公表をするしかあるまい。いまさら数値がオーバーすることを恐れて、公表をためらうなどあってはなるまい。

 それでも、野生のキノコ類、野生獣の肉は用心せざるを得ない。とすれば、福島県産の農産物食品はかなり敬遠されざるを得ない。
 被災地応援という食品販売などがあるが、提供されている食品の検査は厳重にされているのだろうか、心配になってくる。

 もうここまで来ると、福島県も次に来る風評被害を心配する等とのんきなことをいってはおれまい。
 消費者は自衛上福島の農産物は買わなくなってしまうだろう。消費者の心配を払拭する手段を具体的に提示しなくてはなるまい。

 一部の報道にあるように、「少しくらい食べても大丈夫」という学者先生の解説は、消費者の不安解消にはなるだろうが、それはあくまで言い訳であって、必要以上に強調すると消費者の心を踏みにじりこそすれ、不安解消にはならないとおもう。
 消費者は、むしろ生産者の反省を薄めてしまうのではないか、と恐れるだろう。

 安全性を大きく取った暫定基準値だから、少しくらいは大丈夫、というのはどうかと思う。決めた以上は守ってもらわなくてはならない。
 現在の暫定基準は、福島原発事故以前の数値を大きく緩めた値であって、決して安全性が大きく取られているとは言えないのである。

 最近は、食品の生産地表示が多くなってきたが、せめて福島産の各食品に放射性セシウム他の濃度測定結果を表示するようにすれば消費者は安心するだろうと思うが、そういう声は聞かれない。
食品の暫定基準値 基準値でいう放射性セシウムとは、放射性セシウム134と137の合計値であって、単体の137の値と混同される場合が多い。137だけの値であれば、これを倍にすると合計暫定基準値に近くなる。
 県や農協の指導によって、福島県産の農産物の信用を早く回復すべきである。

 左に現在の暫定基準値の表をつけますが、ここに示す放射性セシウムの基準値も134と137の合計値です。134と137の違いは半減期が134が2年、137が30年というだけで普通の含有量は50%、50%くらいです。その放射線の威力も同じくらいと考えられます。したがって、報道では、137がよく取り上げられがちですが、134必ずしも軽視されるべきではない、と思います。

 そして、放射性物質というものは除染ということをよく言われますが、いかに除染しても、消毒のように、消えてなくなるものではありません。
 その品物からある程度洗い流されても、その流された先に放射性物質は貯まって、放射線を出します。

 したがって、水で野菜などを洗えば、ある程度減少しますが、その洗浄水が放射能汚染されるのですから要注意です。オーバーに言えば、行く先の海が汚染されます。
 そこまで、だれも言わないのは、「やぶにらみ」の論が間違っているからか、政府方針でそこまでは触れたくないからなのかわかりません。しかし、自衛上、注意は必要でしょう。

 政府が言うように、この程度なら心配ないというものの、牛肉だけの問題ではないのだから、ほかの食品からも心配のない量がどんどん貯まってゆくと、累積する放射性物質の量は馬鹿にならなくなります。もちろん、半分くらいは体外に排出されますが、すべてが出てゆくことはありません。
 特に、将来がある子供には、細心の注意が必要だと思います。政府の言っていることはこの辺はどうも信用が置けません。          

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 福島県浅川町の肉用牛農家が餌として与えた稲わらから高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、この農家から出荷された42頭の流通先のうち、18府県で消費者に販売されるなどして既に消費されたとみられることが16日、各自治体などの調査で明らかになった。
 流通先は少なくとも30都府県に拡大しており、各自治体は流通ルートの解明を急いでいる。

 埼玉県によると、東京都などの食肉処理場を経て埼玉県越谷市の卸業者に入った肉用牛5頭のうち1頭の肉は、新潟県、福井市、長野県中野市、津市、京都市に出荷された。越谷市の業者には同じ牛の肉約84キロが在庫として残っており、県は汚染の有無の確認を急ぐ。
 広島県は、肉用牛のうち35.7キロが埼玉県の業者などを通じて広島県内の業者に販売されたと発表した。消費者には流通していないとみられる。
 愛知県によると、流通が判明した29都府県とは別に、滋賀県の焼肉店にも出荷された可能性があるといい、確認中。
 流通先のうち、秋田、茨城、栃木、神奈川、新潟、石川、長野、岐阜、静岡、愛知、京都、香川、愛媛の13府県ではスーパーや精肉店で販売されたり、飲食店で提供されたりして既に消費されたとみられる。

 また、福島県は16日までに、同県伊達市と本宮市の農家2戸のビニールハウスで栽培された原木シイタケから、それぞれ暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える1770ベクレルと560ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。

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「食べても人体に影響出るレベルではない」厚労省 (日経新聞7・17)
セシウム含む稲わら餌にした牛流通
2011/7/17 1:09

 相次ぐ高濃度の放射性セシウムを含む稲わらを餌とした肉用牛の流通が発覚しているが、放射性セシウムの暫定規制値は1キログラム当たり500ベクレル。内閣府の食品安全委員会によると、1キログラム食べたとしても人体への影響は0.008ミリシーベルト。
 これまで出荷された問題の牛では、最大で暫定規制値の約8倍の放射性セシウムが牛肉から検出されたが、1キログラム食べたとしても東京からニューヨークに航空機で片道移動した際に浴びる放射線量(約0.1ミリシーベルト)に満たない。
 こうしたことから厚生労働省は「暫定規制値は安全のために低いレベルに設定している。現在判明している放射線量では、仮に食べたとしても人体に影響が出るレベルではない」としている。

42頭 30都府県で流通確認(NHKニュース7・16)

福島県浅川町の農家から出荷された42頭の牛の肉について、関係する自治体が流通経路を調べたところ、これまでに東北から九州まで30の都府県の卸売業者やスーパーなどに販売され、少なくとも1700キロ余りの肉が消費されたとみられることが分かりました。
問題の稲わらを餌として与えられていた肉牛42頭は、4月8日から今月6日までの間に東京都、横浜市、千葉県、それに仙台市の4か所の食肉処理場に出荷されました。関係する自治体が、その後の流通経路を調べたところ、これまでに、東京、千葉、神奈川、埼玉、群馬、栃木、茨城、山梨、新潟、長野、宮城、山形、岩手、秋田、福島、青森、愛知、岐阜、三重、石川、福井、静岡、大阪、京都、兵庫、和歌山、広島、愛媛、香川、福岡の合わせて30の都府県の卸売業者やスーパーマーケットに販売されていたことが確認されました。このうち大手スーパーの「イオン」の東京や神奈川・千葉などに14の店舗で、319キロが消費者に販売されていたことが分かりました。また、愛知県など、東海地方の焼き肉チェーンで26.5キロが消費されたとみられるほか、三重県でも焼き肉店などで22.1キロが販売されるなど、これまでに合わせて18都道府県で1700キロ余りの肉がすでに消費されたとみられています。

伊達市の施設栽培シイタケ、規制値超すセシウム(読売新聞7・16)

 厚生労働省は15日、福島県伊達市の施設栽培シイタケで暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る同1770ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。 本宮市でも560ベクレルを検出した。露地栽培シイタケではすでに同県内の16市町村で出荷が制限されているが、施設栽培シイタケで規制値を上回ったのは初めて。政府は出荷制限を検討する。
 また、南相馬市でとれたビワからも規制値を超える同セシウムが検出された。ビワで規制値を超えたのは初めて。
(2011年7月16日10時08分 読売新聞)

【原発】福島・汚染シイタケ大田市場に流通(テレビ朝日7・16)

福島県の伊達市と本宮市で施設栽培された原木シイタケから国の基準を上回る放射性セシウムが検出され、福島県は農家などに対し、2つの市で施設栽培の原木シイタケの出荷の自粛を要請しました。

 福島県が施設栽培の原木シイタケを対象に行った調査で、伊達市では1770ベクレル、本宮市では560ベクレルと1キロあたりに含まれる放射性物質が国の基準の500ベクレルを上回りました。そのため、福島県は伊達市と本宮市の農家などに対して、施設栽培された原木シイタケの出荷の自粛を要請しました。また、調査を行った農家に対しては、今月に入ってから出荷した合わせて157キロの自主回収を求めています。このうち、本宮市の農家は東京の大田市場に今月2日から15日にかけて合わせて129キロを出荷しています。

牛42頭、23都府県で流通 エサわら汚染(朝日新聞7・16)

 福島県浅川町の畜産農家が出荷した牛の肉から国の基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、出荷された42頭の流通先が23都府県に広がることが、朝日新聞が各自治体に取材した16日午前1時現在のまとめでわかった。
 基準値を超えるセシウムも、東京都に続いて山形県で検出された。同県によると、この農家が仙台市に出荷した10頭のうちの1頭の肉から、基準値(1キロあたり500ベクレル)を上回る694ベクレルを検出。この肉は同県酒田市の卸業者が購入し、保管しているという。
 42頭はまず、4都県の食肉処理場に出荷された。東京都に13頭、千葉県に5頭、仙台市に10頭、横浜市に14頭。ここで処理された肉は東京都、仙台市、横浜市の3カ所の中央卸売市場食肉市場に運ばれ、そこから卸売業者を経るなどして全国のスーパーや精肉店などに販売された。

肉牛出荷前の検査徹底せよ(日経新聞7・16)
2011/7/16付

 福島県から出荷された牛の肉から基準を上回る放射性物質が相次いで見つかった。
 検出された放射性セシウムの量は、その肉を長期間にわたって、毎日食べ続けない限りは健康に悪影響をもたらす水準ではない。過度な心配は無用だ。
 しかし、基準を上回る汚染を受けた食品が検査をすり抜け消費者の手にまで届いた事実は、深刻に受け止めねばならない。消費者に与えた不信感は大きく、容易にぬぐい去ることはできない。政府と関係自治体は出荷前の検査を徹底し、同じ事態が繰り返されることを避けなければならない。
 今月上旬に福島県南相馬市の農家が出荷した肉用牛から、国が定めた基準値を超える放射性セシウムが見つかったのに続き、福島第1原子力発電所から60キロ以上離れた同県浅川町の農家の牛の肉からも基準値を超える放射性セシウムが検出された。
 ともに、原発事故後、屋外に保管してあった稲わらを飼料に使っていたことが原因だ。稲わらが高い濃度の放射性セシウムを含んでいた。
 農林水産省は屋外保管していた飼料を家畜に与えないよう3月19日に通知していた。南相馬の農家は通知を知りつつ屋外にあった稲わらを使い、県の聞き取り調査に対し正直に申告しなかった。浅川町の農家は通知自体を知らなかったという。福島県のチェック体制に抜かりがあった。農家には生産者として強い自覚をもってほしい。
 福島県はすでに計画的避難区域などの家畜を対象に全頭検査を決めた。浅川町の事例を受けて、細川律夫厚生労働相が15日、検査対象地域を拡大する必要があるとした。
 消費者に不安を抱かせる食品を市場に出さないよう徹底した検査が要る。全頭検査は効果的な手段だが、検査能力に限りがあり費用もかかる。実施するなら、放射性物質の飛散状況をみて、いつまで続けるのが妥当かを考えて始めてほしい。
 政府は放射性物質の拡散について事故後すぐに情報を公開しなかった。それが稲わらの汚染に思いが至らない農家が存在する一因だ。農地などの汚染を詳しく調べ、状況を農家に知らせることも必要だろう。

牛の出荷停止要請へ 厚労省、福島全域で(朝日新聞7・15)

 福島県浅川町から出荷された肉用牛の肉から基準超えの放射性セシウムが検出されたことから、厚生労働省は15日、福島県全域の牛の出荷停止を検討するよう原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)に要請する方針を決めた。汚染肉の流通で各地で混乱が生じているとして厚労省はいったん出荷を止めたうえで、福島県に検査態勢などを整えてもらいたい考えだ。
 福島県は緊急立ち入り検査が終わる18日ごろをめどに、県内すべての肉用牛の出荷や移動の自粛を農家などに要請している。ただ、厚労省は18日までに、出荷調整や検査態勢を整備するのは難しいとみている。
 出荷停止の対象範囲は南相馬市と浅川町という離れた場所で汚染した牛が見つかったことやわらの汚染も広い地域に及んでいる可能性があるため、福島県全域で検討してもらう予定だ。

汚染餌問題 福島県産の全牛肉検査(東京新聞7・15)
2011年7月15日 夕刊

 放射性セシウムに汚染された福島県産の牛肉が全国に流通した問題で、細川律夫厚生労働相は十五日、閣議後の記者会見で、同県産の牛肉すべてについての放射能汚染の検査を検討することを明らかにした。 
 細川厚労相は「肉がどういう流通に乗っているかを調べ、最終的には全頭的な調査をすることを農林水産省、同県と相談している。早急に決定しないといけない」と述べた。
 農水省や同県は、南相馬市の牛肉から、暫定規制値を超えるセシウムが検出されたことを受け、計画的避難区域と緊急時避難準備区域のすべての牛肉の検査を検討していた。しかし、両区域外の浅川町の肉牛も汚染されている疑いが出てきたことから、県全域的な検討が必要と判断した。
 同県全域の全頭検査には課題が多い。同県内の牛の食肉処理施設は一カ所だけで、年間九千頭の処理が限界。一昨年、県内の三万三千頭が食肉処理施設に出荷されたが、多くは東京都や神奈川県など他自治体内の処理施設に出荷された。

宮城県でも稲わらから放射性セシウム検出(読売新聞7・15)

 宮城県は15日、稲わらに含まれる放射性物質について、13日に県北部の3か所で調査した結果、福島第一原発から約140キロ離れた登米市の農家が保管していた稲わらから最高1キロ・グラム当たり3647ベクレルの放射性セシウムを検出していたことを、読売新聞の取材に対し明らかにした。
 稲わらを水分を含んだ状態にして換算すると、牧草の暫定規制値(1キロ・グラムあたり300ベクレル)の2・7倍に相当する。同県栗原市の稲わらからも2449ベクレルを、登米市の別の地点でも1632ベクレルのセシウムを検出したとしている。登米市の別の地点の数値は暫定規制値の1・2倍に相当するという。同県は、県内の農家に対し、屋外に保管していた稲わらについて、家畜に与えず、保管するように指導している。
(2011年7月15日14時30分 読売新聞)