その昔、フィルムの一眼レフカメラで、作品を写す以外に街角の風景などを撮っていました。
36枚撮りのスライドフィルムを、ケチケチと節約しながら使って、
歩きながら見つけたアングルを、ほとんど立ち止まらずに写しました。
シャッタースピード優先の機種を使っていたので、後は手動でピントを合わせるだけ。
撮影技術はちっとも上達しませんでしたが、それなりに撮れていて、
瞬間にフィルムを巻き上げシャッターを押し、風景を四角く切り取る感覚が
なかなか好きでした。
それに、一瞬を留めようとするこの行為は、見た風景をより鮮明に脳裏に焼き付けました。
その頃は、寺院などの建造物全体が写せる広角レンズが欲しいと思ったものです。

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フィルムカメラがしだいに衰退していき、時代はデジタルカメラに移り、
写真店をやっていた友人が、現像設備のメンテナンス費用がどんどん赤字を生むのに
耐えかねてお店を閉じた頃、長年愛用した 私のキャノンAE-1 も、ついに壊れてしまいました。
ちょうどグループ展開催中で、やむを得ず慌ててデジタル一眼レフカメラを購入しました。
その頃、フィルム一眼レフの投げ売りもあったのですが、
バカにならないフィルム代、現像料や、撮った写真の管理の楽さも考えて、
デジタル移行を決断したのでした。

resize6695 それに先立つこと3年前から、
 コンパクトデジカメも一応使ってはいました。
 このフジの光学6倍(右)は、メモ代わりに役立ち、
 200万画素しかないものの、
 フジの自然な色合いに満足していて、
 気軽にパシャパシャとやっておりました。




さてこのキャノンの一眼レフ、上位機種ではないものの、それなりに撮れるはずなのに、
フィルム一眼レフに比べてピントが思うようにいかず、操作も何だか面倒。
今だに色んな機能を使いこなせてはいません。
それにシャッターを押した時のタイムラグが、それまでと全く別感覚で、
写真を撮った、という実感が今でも少ないのです。
そして、何よりも重い。腰や背骨を傷めてしまった私が、日常に持ち運ぶには重すぎる。
それで、作品の写真を撮る時のみに持ち出すものになってしまいました。
その時は、枚数だけはやたら撮り、1000枚ほどの中からやっと、数枚だけ使えそうな写真が
ピックアップできるという有様です。

日頃気軽に持ち歩くことができて、画素数もまあまあ、光学ズーム倍率もある程度あって、
手ブレ補正付きのデジカメがもう一つ必要と、2年半前にパナソニックDMC-TZ7を
型落ちで安く入手しました。

resize6697光学12倍、デジタルズームでも17倍くらいまでは
結構きれいに撮れて、
手ブレ・ピンボケをあまり気にせず撮れるすぐれもので、
作品撮影には役不足ですが、今も重宝しています。
圧縮がAVCHD Lit のハイビジョン動画も撮れます。
これでオオヨシキリやアオサギなど
身近な鳥のアップを撮っていましたが、
野鳥を撮るならもっと高倍率のカメラが欲しいと思い始め、
今年の冬、キャノンの光学35倍カメラを見つけました。


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 コンパクトデジカメにしては大きいけれど、
 割と軽くて持ち歩きやすく、
 最近のメインのカメラになりました。
 光学35倍は、説明書によると、
 35mmフィルム換算840mm。
 デジタルズームでも77倍くらいまでは
 まあまあ見られるので、1400mm相当の望遠が
 利いて、離れた所の鳥も写せるようになりました。


ところが、実は最初初期不良かと思ったくらい、望遠のピントがいたって合いにくく、
ファインダーは小さくて目が疲れるので、モニターを見ながらの撮影だと、更に手ブレしやすく、
手ブレとピンボケ写真の大量生産を始めることになってしまいました。
野鳥が不愉快な思いをするかもしれない操作音や補助光など、音や光は全てオフにして、
連写機能を使って、とにかく撮るだけ撮って、肉眼ではもちろん、双眼鏡でもよく見えない
遠くの鳥たちの細かな様子や表情は、帰ってパソコンに取り込んでから初めて識別する、
といったことを繰り返しています。
手ブレピンボケの画像も、見ようによっては面白いので削除できず、
パソコンのハードディスクはすぐ一杯になってしまいます。

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  例えば、
  夕暮れの河畔に佇む2羽のアオサギと
  1羽のアマサギ。
  ちょっと印象派の絵画みたいでしょう?





沢山写しても一向に写真の腕前は上達せず、カメラまかせにただ撮っているだけの日々。
一眼レフのようなクリアーで奥行きのある写真はなかなか撮れませんが、
重いカメラと望遠レンズを持ち歩くのが無理な以上、何とかこのネオ機をもっと
使いこなせるようになりたいものです。
後継機種に光学50倍のものが発売されたと聞き、また心動かされて困ります。