風を見る鳥

" L'oiseau regardant le vent " 野鳥の写真、動画館です。

2015年12月

      塒が移動する前から、既に多くのサギが渡って行きました。
      6月末~7初めにカウントした時は1400羽前後いましたから、
      (6/28のカウント調査は雨で正確に数えられなかったため、個人的に
       カウントし直した数です。)半分以下になっています。

      9月後半になると、サギたちはまるで以前からずっとそうしていたように
      夕方迷わず新しい塒に次々戻って来て、それからその中の渡りに入る群が
      空を覆うように飛び回る光景が多く見られるようになりました。

      塒の木立に帰って来て、のびのびと過ごすサギたち。
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      シラサギ類が渡るのは、時には雨の晴れ間を縫うこともありますが、
      大抵は穏やかな天候で程好い風がある日です。
      夕方餌取りから帰って来て、そのまま塒の周囲を飛び回って渡りに入ったり、
      一旦木に降りてすぐに飛び立つ群もあります。
      木立にすっかり落ち着いたように思われるサギたちが、渡りの群に誘発されて
      飛び立って合流することもあります。
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      これから渡ろうという群は、自分たちが過ごした場所の地形や位置を
      もう一度確認し、しっかり脳裏に刻み込もうとするように、塒やコロニーの上空を
      長い間旋回し続けます。
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      今年は異常気象が多かったせいか、夏頃からしばしば異様に美しい
      空模様が見られました。
      9月初めの夜明け前、雲が渦巻いています。
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      この世のものとは思えない夕雲にも遭遇しました。
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      沈む日の残照が一日の終わりの最後の光を投げかけて、
      次第に色あせていく夕映えの空に、まるで太陽を追うように、旋回しながら
      サギの群が小さく遠ざかり、ついには見えなくなるその光景は、
      幾たび見ても感動します。
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      9月12日、塒が本当に移動したのか確認するため、
      早朝にコロニーと新しい塒の場所に行ってみました。
      日の出30分前のサギコロニーの中州。
      昨夜より数は若干増えていますが、やはりとまるサギは少なくなりました。
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      (この頃から、超望遠になるコンデジに加え、望遠は効かないけれど
      かなり暗くても写せるミラーレスカメラも持ち出すようになりました。)
      夜明け前の塒。(木立の背後の建物は消去しています。)
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      ほぼ日の出時刻に一斉に南西に飛び立って行きました。
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      コロニーにも塒にも、まだ十分飛べない幼鳥と親鳥が若干残りました。
      その日の夕方、コロニーに残るサギは更に減り、15日の日没後には
      ゴイサギの声が少しだけ。シラサギ類は完全に新しい塒の方に移動したようです。
      とはいえ、しばらくは塒からコロニーの元いた場所まで飛んで、
      日中を過ごすサギもいました。
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      中州で遅く生まれたアマサギのヒナ。
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      子への給餌で、嘴が傷だらけになった親鳥。
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      アマサギは19日まで、新しい塒でヒナに給餌をしていました。
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      左岸上流のコサギのヒナ。例の寝坊すけの子です。
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      塒は移動しても、朝はちゃんと元の木立に飛んで来ていました。
      しかし次第に、ここには戻らなくなり、新しい塒の木立で過ごし、 
      給餌もそちらで受けるようになりました。
      コサギの親鳥が餌で誘って2羽のヒナの飛行訓練をするのが、
      24日まで見られました。
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      このコサギ2兄弟が、今年のコロニー全体で一番遅い生まれです。
      左岸上流の寝坊すけのチビがいた場所に、オオタカがとまっていたことがあり、
      チビたちはやられてしまったかもしれないと心配していましたが、
      2羽とも無事に育ちました。






      日中コロニーに残るサギが少なくなるにつれ、夕方戻る群も増え、
      その飛翔は見ごたえがあります。
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      今年生まれの子たちも混じり、これだけ飛べるよ、と誇るように
      急降下してみせたりもします。
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      中州で生まれ育ったチュウサギの兄弟。少数になった昼間居残り組です。
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      親鳥が餌を持って帰って来ると、大騒ぎ。
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      日中ガランとしていたコロニーも、サギがひしめき合うようになります。
      そんな戻って来たサギたちが、木立にとまった直後、すぐ一斉に
      飛び立つ事が、何度もありました。
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      渡りに入る群が、よくそのような行動を取りますが、
      それだけではなく、慌てた様子で飛び立ったサギたちが、
      3つの木立(中州、左岸下流、左岸上流)間を飛び回ったり、
      時には上空を軽いパニック状態のような感じで旋回し続ける、
      ということもありました。

      初めは、対岸の観察場所から見えない場所で人が何かしたのか
      とも思いましたが、そんな気配も無く、天敵の動物か何かが木立の下に
      入り込んだ、あるいは、猛禽が近くにやって来たのかもしれません。
      下の写真は7月のものですが、何かを警戒するようにサギが一斉に
      首を伸ばしています。
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      人の目には見えませんが、遥か上空に猛禽がいるのかもしれません。
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      9月9日、台風が近くを通過中の雨雲から青空がのぞく様になった夕方。
      流れの早い川の水量は多く、風も次第に強まってきました。
      5時40分頃から戻りの群も増え、方々で給餌が見られるようになったのですが、
      6時過ぎ、何があったのかサギがまた一斉に飛び立ちました。
      上空に飛んだサギたちが木立に戻ろうとしても、風が強くてなかなか戻れません。
      およそ15分旋回してやっとみな木立にとまれたその直後、
      対岸の堤防から駆け下りた男児4人が、サギにかんしゃく玉を投げつけました。
      せっかくとまったサギは、また驚いて飛び立ち、長く飛び回っていました。
      こういう事をさせないために、夏の間ずっと見張りをしていたのですが、
      またこの夕方の時間帯の左岸は、いつも近所の散歩の常連さんが多く、
      サギへの悪戯の抑止にもなっていたので、私は安心していられたのですが、
      台風のせいで人が丁度いない時を突かれたのでした。

      翌日は雨。夕方いったん戻ったサギは、また一斉飛び立ちをし、
      一部は渡りに入ったよう。その他はコロニーより上流に飛んで行って、
      暗くなっても中州にはあまり戻って来ませんでした。
      翌11日、夕方次々と戻った群の大半は、コロニーを通過してやはり上流へ。
      そちらを見に行こうかと思っていたら、よくサギの観察を一緒にしている仲間が、
      上流の木にサギが沢山いると、私を呼びに来ました。
      なるほどコロニーの上流の橋より更に上流にある、広い河川敷の木立に
      サギがいっぱいいました。ここは以前も時々サギの休憩所になっていましたが、
      一週間ほど前から、木立にとまるサギが次第に増えてきたらしいのです。
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      その後、夕方コロニーの木立に戻るサギは次第に減ってゆき、
      飛べるようになったヒナたちもみんな、新しい塒に移動しました。
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      左岸から見た塒。ここは川幅が広く岸からの距離がかなりあります。
      塒の背後にも木が茂り、近くの右岸遊歩道は人が頻繁に通り、
      天敵も近づきにくそうで、より安全な場所のように思われました。
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      9月5日は、コロニーの下流に架かる橋の上から早朝の飛び立ちを見ました。
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      日の出時刻の少し後、紙吹雪が舞うようにぱらぱらと飛び立つサギたち。
      先日のオオタカのこともあり、一斉にどっといなくなるより、この方が
      安心して見ていられました。
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      雲の切れ間から朝日が昇ると、川面も淡い朱に染まりました。
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      樹上に残ったサギは、まるで金粉に包まれたように輝いています。
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      朝日を浴びる岸辺のアオサギ。
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      とりあえず中州から一番遠いコロニーの端まで飛んでみたチュウサギの幼鳥。
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      中州に残ったアマサギのヒナは、隣の木まで飛んでみたり羽ばたいたり
      思い思いに過ごしています。
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      この子は成長して嘴がオレンジ色がかってきました。
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      朝日が昇った直後、植物は蒸気を吐き出して、葉に露を宿します。
      じきに乾いてしまうので、束の間の叢の輝きです。
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      川沿いを自転車で帰ると、あちらこちらで飛び立ったコサギやダイサギが
      朝の食事のために奮闘中。
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      田んぼに行かずに河岸に下りたアマサギの若鳥もいました。
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      左岸下流のヒナたちが皆、川を横断できるくらい飛べるようになったので
      9月3日早朝の飛び立ちを見に行きました。
      日の出前の中州。びっしりとまっています。
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      日の出時刻になってもまだ、数羽が木立の周囲をゆっくり飛び回るだけ。
      去年のように、のんびりぽつぽつと飛び立つのかと見ていたら、
      その数分後、雪崩を打ったように一斉に飛び立ちました。
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      ひしめいていた白い点があっという間に消えて、がらんとした木立。
      左岸下流で遅く生まれたヒナたちは、まだ一緒に餌取りに行くほど
      飛べないので、とりあえず川を渡って自分たちの元の巣の辺りへ。
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      中州にも、ここで生まれたまだ幼いヒナが少数残っています。
      見渡していると、その近くの木の茂みに何かボロ雑巾のようなものが・・。
      カメラでズームしてみると、何とオオタカでした!
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      ボロ雑巾なんて言ってごめんなさい。
      曇天の早朝、薄暗い木陰で、本当に布切れのように見えたのです。

      オオタカのいる木立にも、つい先ほどまでサギが沢山とまっていました。
      オオタカに気付いたので、サギは慌てて一斉に飛んだのでしょうか?
      それにしては、中州に残ったヒナたちとその親鳥は、あまり気にしていない
      様子でした。
      オオタカの方も、のんびり羽づくろいしたりくつろいでいる感じ。
      でもさすが猛禽類、時々キッと鋭い表情を見せます。
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      オオタカがサギを襲いそうな気配も無いので、今度は飛び立った後の
      左岸上流の木立を見に行きました。
      ここにもまだ飛べないヒナが少し残っています。
      ぐったりと木に潜り込むようにしているコサギのヒナがいました。
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      具合でも悪いのかしら?と心配していると、
      兄弟らしいもう1羽のヒナが近寄って何か話している様子。
      そのうち親鳥が戻って来ると、2羽は元気いっぱい餌をねだり始めました。
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      単に寝坊すけな子だったのでした。
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      コロニーで一番営巣数が多かった左岸下流の木立。
      私はここを主に対岸から、1700㎜以上にズームしたビデオカメラのモニターで
      観察し、3つのエリアに分けて記録していました。
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      右岸から見て左のエリア、色々問題が多かったここのヒナが全て、8月25日に
      中州まで飛べるようになって、日没後に他のエリアにも残っているヒナも
      みんないなくなった、と見えたのですが・・・。

      7月末の右のエリア。やはりゴイサギ、コサギ、チュウサギのヒナは
      アマサギより早めに巣立ちました。
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      8月後半、日中ここにいるのは、まだ餌取りに行くほど飛べないヒナたち。
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      遅く生まれたアマサギのヒナが主ですが、出かけていたサギが夕方戻って来ると、
      一緒に中州や左岸上流の木立に次々飛んで、そちらで夜を過ごします。
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      給餌する親鳥も中州に行ってしまい、右エリアに少数いるアマサギのヒナも、
      暗くなる頃、中州まで何とか飛んで、このエリアに残るヒナも25日には
      すっかりいなくなったと思っていたのですが、その後、暗くなった木立に白い点が
      ひとつ、時々見えるようなのです。
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      右エリアのアマサギの巣が密集していた場所。
      昼間ここで過ごすヒナの中に、夕方になると決まって、巣のある高所から、
      ぽろりと斜め下に降りて、少しづつ低い位置に移動を始める1羽がいる
      ことに気付きました。
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      右と中エリアの間にある葛の茂みに降りて行きます。
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      深く茂った葛の葉に足を取られそうになりながら、一生懸命進みます。
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      目指すは、中エリアの右端にある三角状の茂み。
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      小さな身体が大きな葉邑に沈み込んで姿が見えないこともしばしば。
      それで、最後に残ったこの1羽を見逃していたのでした。

      中エリアで遅くに生まれたアマサギのヒナも、ここまで移動して来ていました。
      この場所は川に若干迫出していて、その分左岸の遊歩道からも遠く、
      残った僅かなヒナが夜を過ごすのに、比較的安全だったのかもしれません。
      その仲間もそのうちみな、中州まで飛んでいなくなりました。
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      やっと到達。
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      暗くなったら、なるべく目立たないように木に潜り込むのです。
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      8月29日、夜左岸下流の木立に留まるのは、
      ついにこのチビ1羽のみになりました。
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      9月1日、なかなか降り止まぬ激しい風雨に霞む中州。
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      こんな日はアマサギのチビも飛びたくても飛べないだろうと、
      水の滴る合羽を着直して帰り支度をしていたら、
      ふと、雨も風も止んだ一瞬、小さな白い点が暗い宙を横切りました。
      左岸下流に最後に残ったヒナが飛んだ瞬間でした!


      
      


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