「女から告白されたら引くわ!」と彼女は笑った。

職場の同性同僚をほんきで好きになってしまった、子持ちママです。 罪悪感と、しあわせと。

「泣くなー。大丈夫?」

「泣いてませんよー」

笑って答えるしかなくて。
今ここで泣き真似でもしたら、せんぱいを
繋ぎとめることができるかな、なんて
無理もいいとこ。
演技できる程器用じゃない。


「さっきの喫茶店、詳しいこと聞いてみたら?」

「せんぱい、ついて着てくれますか?」

「いいよ。外で待っててあげるー。」


ビルの角っこで
ちょこんと立って、待っててくれた、せんぱい。
勇気をもらって、店の人と話しに行けて
残念ながら募集対象外だったけど。
じんわりした。


「バイト見つかるよ、大丈夫だよ。
何でもやれば出来るって!」

一生懸命励ましてくれるせんぱい。

何気なく顔をのぞきこんだら

あ。

表情が、やわらかい。
私が一番好きな、せんぱいの顔だ。
緊張がほぐれてきてる。

二人きりになれたから、
きっと私もそんな顔に、なってるんだね。


それから少しだけ立ち話をして
私がなんの脈絡もなく
「二人で写真、撮りましょう!」って言っちゃったら
吃驚しつつ、はにかみ顔で写って、くれた。


せんぱい。ありがとうね。


もう少しだけ、
宙ぶらりんで、
いてもいい?

優しくできないかもしれないけど。


「そっか。。じゃあ、帰るね。
ほしぴーちゃん、ばいばい。」


空気を察したかはわからないけど
気まずそうに回れ右をして、横断歩道に入る、声の大きい同僚。
せんぱいも、あとに続くように自転車をこいで。

私さいていだなー。
勝手に職場辞めて、仕事決まらないって
関係ないひとを巻きこんで。追い返して。


二人の姿が見えないように、背をむけて
ほぉーっと、息を、吐く。
どうしよう。。これから。
ぼんやりした視界を、どうにかしようと
左腕で目を、ごしごし掻いた。

すると。


「泣いてんじゃ、ねーよ。」

背後から、せんぱいの、声。

引き返してきてくれたんだ。


どうしよう。
涙を流すことはおろか、
人としてNGでしょ。。なことで
頭いっぱいになってた、私のこと
心配して
引き返してきてくれたんだ。




駅前の喫茶店に、着いた。



夕方の街は
せわしなく歩く人でいっぱい。
スタッフ募集の張り紙を、チェックはしたけれど
頭に血がのぼっていた、私は
正直バイトさがしどころじゃなくって。

少しすると二人が追いついて、きて
「よさそうじゃない」「電話してみる?」「他の所もみる?」とか
口々に言った。

もう、煩いよ。
さっきから何なの。
私に命令しないでよ!

自分で自分をもて余す程の
"怒り"が沸きおこった。
だめだよ、こんなの。
せんぱいと、せんぱいの友達。
嫌われたくないよ。


鎮めて、鎮めて
おそるおそる出した、言葉は
「一人で、考えてみます。
ありがとうございました」

もう、ひとりにして欲しい。
こんな私、見ないで下さい。



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