2017年06月18日

〈不在のお知らせ・シンガポール出張〉

6月19日から6月23日まで、シンガポールに出張して、海上自衛隊のプログラムに参加するために、この間はメールやインターネットの利用ができなくなる見通しです。その間にメールなどを頂いた場合に、ご対応が以降となりますことを、あらかじめご了承くださいませ。

I will participate in an international exchange program organized by MSDF in Singapore from June 19 until 23.  In the meantime, I will be unable to respond to emails and SNS. I will reply to those messages after June 23.

hosoyayuichi at 09:50|Permalink

2017年06月17日

イギリス経済の不安な将来

イギリス経済の状況が、現在急速な悪化の傾向が見られるという報道が多く見られます。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルの記事の、「『欧州の病人』はフランスではなくイギリス」は、まさにそのような現実を描いたものです。

昨年のイギリスの国民投票のあとに、今後イギリス経済は悪化していくだろう、というようなお話しを私がすると、だいたいいつも反論を受けて、むしろEU離脱でイギリス経済はよくなるという批判を頂いていました。

理由はいくつかあって、日本人でロンドン在住の人などは、イギリスのメディアを通じて比較的EUに批判的な論調に慣れていることや、とりわけ保守系のテレグラフやタイムズなどの欧州懐疑派的な論調の影響が強かったことが指摘できます(タイムズは最後は、EU残留支持の主張となりました)。同時に、かなり強硬な離脱支持派のロジャー・ブートル『欧州解体』などの訳書の影響が強かったと思います。

私自身は、イギリス経済のファンダメンタルズが比較的悪くはなかったし、また緊縮政策の影響でかなり筋肉質な経済になっていたので、国民投票後も数年はイギリス経済は好調を続けると思っていたのですが、これほどまで早く、まだ実際には離脱をしていないのに、その影響がイギリスに悪い形で及ぼすとはちょっと想定していなかったです。

今回の総選挙の結果として、イギリス政治はかなりひどい事態になりますし、ましてやDUPの協力を得るならばかなりのていど社会保守の原理主義的な理念がイギリスの政治や経済、社会に悪影響を及ぼすはずです。

日本国内で、イギリスのEU離脱の国民投票の結果を賛美していた人たちは、最近は急に静かになってしまいました。どうしたのでしょう。

hosoyayuichi at 11:26|Permalink

2017年06月13日

「君の名は」は中年男性にはうけない?

昨晩の研究会の後の夕食の席で、同世代の国際政治学者や政府の方々と、映画「君の名は」が面白かったかどうか、という話題になりました。結論的には、圧倒的多数が「いまいち」という意見。以前に私もこちらの投稿で、この映画が面白かったと書いたのですが、「細谷さんのコメントを見て、気になって映画を見たんですけど、自分的にはちょっとだめかなという感じでした」という意見をかなり耳にしました。

これは結構面白い反応で、私の世代で「君の名は」を面白いと感じるか、あるいはそうではないかと感じるかで、きれいに二分されるような気がします。

私自身は、ほとんどアニメを見ませんし、テレビも見ませんし、映画もこてこてのハリウッド映画はなかなか見ていて疲れるのですが、なんだか不思議なところにツボがあって、はまってしまうことがあります。最近は、アマゾンプライムの「高い城の男」と、英国TVドラマの「ダウントンアビー」が、相当にツボにはまっています(こちらは標準的なツボ)。

ところで、「君の名は」でいったいどこがツボにはまったのか、というと、ちょっとした風景描写の繊細さです。通常の映画であれば「カメラワーク」ということになるのだと思いますが、アニメ映画でこのように繊細な風景描写を効果的に、しかも緻密なスケッチで実現しているのは見たことがありません。これは、新海誠監督映画の美徳の1つですよね。

たまたま最近、村上春樹さんと川上未映子さんの対談本を読んでいたら、村上さんにとっては小説とは文体が全て、と述べていたのが印象的でした。ちょっと分かる気がします。プロット自体は、うまくいけば面白く書けるけども、文体はかなりの程度、技術とトレーニングが必要ですよね。新海誠監督の繊細な風景描写も、同様です。

それで、風景描写同様に、新海誠監督の繊細な心情の描き方もまた、かなり拘りがあり、詳細で、見事だと思っています。そのような、恋愛について、登場人物の心情の細やかな襞を丁寧に描くということでは、ゲーテやハイネ、デュマフィスなんかもすごいな、と感じます。詩的な心情の繊細な描写は、これはかなり難しいですよね。雑に描くと、読んでいて恥ずかしくなりますので。

それで、「君の名は」は、ある程度売れるための、派手なプロットとなっていますが、新海誠監督の前作(「秒速5センチメートル」)は、そうではなくて徹底的に無駄を省いて、あまりにも繊細に恋愛についての心の揺れ動きを描くという点では、記念碑的な作品だと思っています。もちろん「君の名は」でけっこうくたびれたかたの9割は、こちらはさらに受け入れるのがちょっと難しいのかも知れませんが。なんだか、引き出しの中から、中学生の時に初恋の相手に書いたラブレターが出てきて、久しぶりに読んで赤面するような恥ずかしさがあります(私はそのようなラブレターは書いていませんので、見つかりようもないですが)。

申し訳ないと思うのですが、フェイスブックでこういった作品が良かった、と無邪気に書くと、これを見て頂いた結構多くの方がそれを参考に見て、「思ったほどでもなかった」という反応や、「どこが面白かったんですが?」という反応があります。一人ひとり、嗜好は異なるとはいえ、あらためて私の感性が結構ずれていることを自覚しました。中年男性には、「君の名は」はちょっとしんどいのかも知れません。今後も引き続き、好き勝手に自分の好みをとうとうと述べていくと思うのですが、どうかご注意を!

ちなみに、下の動画は、上で書いている新海誠監督の「秒速5センチメートル」です。


https://www.youtube.com/watch?v=Qm7YCAEvQbk

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2017年05月30日

トークイベントのご案内

今月の6月16日の金曜日に、午後7時から、紀伊國屋書店新宿本店の8階のイベントスペースで、新潮選書50周年記念関連のトークショーを行います。トークをするお相手として、今最も活躍している国際政治学者の三浦瑠麗さんにいらして頂いて、「日本の安保・改憲論争には何が欠けているのか?」と題してさまざまな問題について論じる予定です。詳しくは、こちらのページをご覧下さいませ。

三浦さんとは、先週スタートしたニコニコ動画での「国際政治チャンネル(仮)」でもご一緒をしておりまして、完全に有名人の三浦さんに便乗する商業戦略をとっております。

対象とする本は、私の『歴史認識とは何か』(新潮選書)と、三浦さんの高村正彦自民党副総裁との共著『国家の矛盾』(新潮新書)の二冊となっています。トーク&サイン会となっておりますが、はたしてサインを求める方がおられるのか、いまから心配です。きっと三浦さんのファンは大量に来ると思いますので、三浦さんの横で本を開いて渡すアシスタントでもさせて頂こうと、密かに考えております。ほぼマネージャーとなりそうな気配がしております。

何しろ、お笑い芸人のジョイマンのサイン会で人が集まらない様子が、ネットなどでニュースとなっているぐらいですから、ジョイマンよりもはるかに無名な私となれば、誰も来ないのではないかと懸念しても自然ですよね。どうぞ、お時間に余裕のある方は、遊びに来て下さい。

紀伊國屋書店新宿本店といえば、今でもときどき本を買いに行ったり、本を立ち読みに行ったりします。今やアマゾンを利用して本を買う方も多いと思いますし、私も大量にアマゾンで本を購入していますが、それでもやはり、本屋に行って新刊本を眺めたり、ときどき国際政治や歴史の棚を眺めていると、予想外の「発見」や「出会い」があって、これは書店ならではの悦びであり、醍醐味です。



hosoyayuichi at 01:50|Permalink

2017年05月26日

リベラルな国際秩序の運命

最新号の『フォーリン・アフェアーズ』では、ジョン・アイケンベリー教授が、これからのリベラルな国際秩序の運命は、日本の安倍晋三首相と、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の指導力にかかっている、と書いていました。ちょうど今日のセミナーで、アーミテージ米元国務副長官が、まったく同じことを繰り返し述べていました。

ヒラリー・クリントン政権が誕生すれば政権入りの可能性も高かったアイケンベリー教授からすれば、トランプ政権があまりにもリベラルな国際秩序の維持に無関心であり、それを損なうような外交を行っていることに、悲観的なのかもしれません。事実、トランプ大統領の言葉からは、なかなか「法の支配」や「リベラルな国際秩序」あるいは「多国間主義」という言葉が出てきません。
さて、今回のサミットでは日本はどのような役割を担うのでしょうか。

7人中で4名が今回が初めてのサミット参加。安倍総理は、メルケル首相に次いで二番目に多い、6回目のサミットとなります。日本が果たせる役割は限られていると思いますが、その限られたなかでどのような役割を担うのかが重要になっていくのだろうと思います。参加回数からしても、過去のサミットに参加した経験からの知識の蓄積からしても、メルケル首相と安倍首相がG7首脳会議で議論を牽引することは自然なことです。

昨年の今頃にnippon.comのコラムで、これからは日本とドイツの役割、そして両国の協調が重要だと書いたときには、「日本にはそんな力はない」という批判を受けました。そのときには、「4番バッターや3番バッターが怪我で休んでいるのだから、代わりに4番を打たなければならなくなったら、それなりの役割を果たせているのではないか」と応えました。

トランプ大統領の誕生とイギリスのEU離脱を考えれば、リベラルな国際秩序の運命を考える上で、安倍首相とメルケル首相の役割は昨年よりもよりいっそう大きくなっていると思います。安倍総理のこの寄稿は、そのような使命感を示すものだろうと思います。

http://www.nippon.com/ja/currents/d00219/?pnum=1

http://www.huffingtonpost.jp/shinzo-abe/welcoming-new-friends-and-further-solidarity-to-the-g7_b_16791040.html

hosoyayuichi at 01:35|Permalink