ターミナルケアは,末期医療のことであり,緩和ケアの重要な部分です。
また、「ターミナルケア」という言葉は、1950年代~60年代の欧米の文献に登場しました。
終末期医療を総称する一般的な言葉として使われています。
この時期の代表的人物は有名な『死ぬ瞬間』を著したキューブラー・ロスです。
死が間近な人に対する看護、終末期のケア一般のことを意味します。
ふつうは,患者さんの衰弱がはっきりした状態の時点から最後まで,
数日間あるいは数週間,数ヶ月にわたる患者さんへの対処のことをいいます。
 
「ホスピスケア」は、主としてイギリスで70年代に使われはじめ、
英語圏の文献では「ターミナルケア」に徐々にとってかわるようになっています。
そして、むしろ終末期医療一般を指すものというより、イギリスの聖クリストファー・ホスピスに始まり、
世界的に普及しつつある終末期医療への
新しい取り組みを象徴する言葉として使われるようになっています。
その中心的人物は聖クリストファー・ホスピスの創設者のシシリー・ソーンダースです。
死を見つめつつ死にゆく人に対して積極的に手を差しのべ、
肉体的、精神的苦しみを取り除くケア
をいいます。
「緩和ケア」(パリアティブケア)は、70年代後半からイギリスで使われはじめ、
80年代にカナダを中心に使用され、アメリカ、オーストラリアなどに伝わりました。
ホスピスケアとほぼ同義語として使われていますが、
ホスピスケアの考えを核として考え方を広げたもので、
がんのみならずエイズなどほかの不治の病気に対しても適用されています。
 
「日本ホスピス緩和ケア協会」によると、
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者と其の家族に対して、
痛みや其の他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、
的確なアセスメント対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、
クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである」と説明されています。
ホスピスは1967年、シシリー・ソンダース博士によって開設された
ロンドン郊外の聖クリストファー・ホスピスに始まります。
主にがんの末期患者の全人的苦痛を、チームを組んでケアしていこうというもので、
日本では1981年に浜松の「聖隷ホスピス」、1984年に「淀川キリスト病院ホスピス」が開設されました。
 
ホスピス・緩和ケアの特色としてチーム・アプローチがあります。
患者と家族を中心に、医師、看護師、
ソーシャルワーカーなどの専門職とボランティアとで構成するチームによるケアです。
 
現在、日本全国で213施設・4,230床(2011年4月1日現在)あるホスピス・
緩和ケア病棟(医療保険制度による承認施設)で提供されている緩和ケアの対象となるのは、
「主として末期の悪性腫瘍(がん)の患者または後天性免疫不全症候群(AIDS)に罹患している患者」
と定められています。
然し、ホスピス・緩和ケアは、此れ以外にも、訪問診療・訪問看護・訪問介護などによる在宅ケア、
一般病棟での緩和支援ケアチームによる緩和ケア、ホスピス・緩和ケア専門外来、
或いはまだあまり普及していませんがホスピス・緩和ケアのデイケアなどがあり、
必ずしも末期(治癒不可能)であることを前提としない場合もあります。
 
症状や環境(家族、地域の医療施設など)によってどのようなケアを選択するのがよいか、
医療者との充分な話し合いが重要です。