お久しぶりです。相変わらずブログ作りに費やす余裕がなく更新が滞ってしまっていますが書きたい内容の方はむしろ溢れております。
前置きはあっさり済ませて中身に移りましょう。

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今月は現実とリンクしたあのイベントのお話!
チョコと女の子はどうして親和性が高いのでしょう。

ここから先は最新話ネタバレを含みますので閲覧の際はご注意下さい。

さて、先に今月の感想を一言で述べれば「美しすぎる60コマ」です。今月59コマじゃんは言わないお約束

☆今月の内容
開幕からトーテムポールになって扉からチノちゃんにキッチンに入っちゃいけないよと忠告をする高校生組。しかしながら受験勉強中のチノちゃんがあっさり流してしまうので張り合いのないココアちゃんとむしろ火の点くリゼちゃん。誰が姉で誰が妹なんだか

で、そもそも高校生組は何を企んでいるのかと言えば、どうやら絶賛受験勉強奮闘中の妹たちにチョコを作ってあげようとしている模様。
脳の運動の助けに糖分の摂取が重要なことは有名ですね。その中でもチョコレートが好まれる理由は他にも様々あるようで。博学なお姉ちゃんたちのチョコレート講座が開かれます、多分入試には出ません

とは言えチョコレートな理由はそれだけではありません。そうです、作中でも季節はバレンタイン
因みにバレンタインとは本来親愛なる人への感謝の気持ちを伝える日なんです。って親父とお姉ちゃんが言ってた
親愛なる人…一体みんなは誰にチョコを作るのか?という作戦会議はチノちゃんに追い出されて終了。高校生組はキッチンに向かいます。

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「……困ったお姉ちゃんたちです」

さてさて、これまでパン作りにカレー作り、サバイバル等何度かみんなで料理をしてきましたが、ココアちゃんの言う通り高校生組の4人で料理をするのは初めてですね。この4人を指して「高校生組」と呼べる最後の共同作業かもしれないと考えれば少し感慨深いです。

作るチョコレートは女子高生らしく無難に生チョコトリュフにオペラ・ショコラグンデルパラチンタシュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ。はい、僕は全く知識がないので何言ってんのかさっぱりわかりません。みんなチマメ隊に頑張って欲しくて敢えて難易度の高いチョコに挑戦するそうです。
更に意識の高いみんなは舌の肥えてそうなリゼちゃんに味見係をお願いしますこれが地獄の始まりと知らず

試作品第一号は千夜ちゃんのグンデルパラチンタ。
しかし甘いものにはちょっとうるさいと言うリゼちゃんからは怒涛のダメ出しが。果たしてこの鬼教官を納得させるチョコは出来るのか…。
その後も3人のリゼちゃんあーんリレーは続くもハーブが強すぎたり和風アレンジが尖り過ぎたり何かパンがヤバかったりとみんな自分の我が強すぎるようで、早くもリゼちゃん「もう素朴なチョコケーキが食べたい」と漏らしてしまう…

それから多くのチョコが生まれ消えた
友情 裏切り 葛藤 多くの感情とともに…
だが彼女たちは止まらない 大切な人たちの笑顔を見るために!(原文ママ)


キッチンも壊れそうな半ばチョコ作りとは思えない謎の轟音と共に続いた戦いも難航しつつあったそんな折、キッチンにチノちゃんが。
入って来ちゃダメと言われていたチノちゃんですが、高校生組の息抜きのためにとホットチョコレートを作って来てくれた様子
「それと…し…親愛なる人に感謝の日…ですし…」

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今月号を買った人は表紙も合わせて見てみて下さいね。

それで腰を抜かすようなチョコ作りは順調かと痛いとこを突かれてしまうお姉ちゃんs。
正直そこまでは…と言いかけたシャロちゃんを遮り問題ない!と声高に告げるリゼちゃん。
こうしている間も一生懸命頑張っているチマメ隊。先に渡されてしまった親愛のチョコレート。こうなったらもう最強のチョコレートを送るしかありません!

バレンタイン当日。
スペシャルチョコレートを頬張る青山さんと感動に浸る凛ちゃんさん。因みにこの2人、今月はなんとチノちゃんと一緒に表紙にも。凛さんは初表紙!このお姉さんたちめっちゃかわいいんでマジで買って
大口で頬張る翠ちゃんや語彙力を失う凛ちゃんを見てお姉ちゃんs思わず号泣。物凄い頑張ったようです。

そしてお嬢様学校を目指して努力中のマヤメグの2人は真剣な顔で夢中にチョコレートを口に運びます
なりたい未来像の道標をくれたり、勉強を教えてくれたり、躓いた時は息抜きの大切さも教えてくれたり…そんなお姉さんたちからの精一杯のエール。きっと2人の背中を強く押してくれたことでしょう。

ところでバレンタインデーと言えば2/14なわけですけれど、皆さんごちうさにとってこの日って他に何の日か知ってますか?
はい。2/14はリゼちゃんの誕生日なんです。丁度今回のお話は発売時期がバレンタインシーズンだったのでタイムリーですね。リゼちゃんおめでとう!
しかしながらみんなバレンタインデーに気を取られ過ぎていてその事を忘れていた様子
それでいいんだよと遠慮するリゼちゃんにプレゼントの代わりにと次々差し出されるチョコレート。耐えかねて遂に逃げ出してしまうリゼちゃん!

実は冒頭でシャロちゃんが2/14のバレンタイン以外のもう一つのイベントについて口にしかけた時リゼちゃんはそれを遮りました
リゼちゃんは必死に話題を逸らしていたんです。みんなが忙しい時に自分の誕生日にまで気を使わせられないからと。リゼちゃんらしいですね。
でもリゼちゃんがそんな子だってことはもうみんな知ってるんですよね。先に仕事をあがろうと自分のロッカーを開けたリゼちゃんの前に飛び込んできたのは「Happy Birthday!」の文字と共に用意された♡ケーキ
それは味見中にリゼちゃんが食べたいと漏らした「素朴なチョコケーキ」
…やられた。と腰を抜かすリゼちゃんをパシャリ。本当に腰を抜かしたのはリゼちゃんでしたというお話。


☆今月の感想
上でも書いた通り僕は今回のお話の4コマ漫画としての洗練された姿に圧倒されました。本当に8ページにたくさんの内容が綺麗に詰め込まれています。そこについても細かく説明しながら感想を書いて行きましょう。

・拡張されたカフェ
今回のお話は1ページ1コマ目からいきなり場所はチノちゃんの部屋、メンバーは既にいつもの5人揃ってるんです。
そして高校生組はエプロン姿。更にチノちゃんは冒頭でキッチンに入るなと言われて初めて5人がこれからすることを知った様子
まぁそれが何だと言われれば確かに些細な話かもしれませんが、みんなが揃った状態でお店までならともかく家の中にまで入っててエプロンまで付けててこれからキッチンを使うよって場面からこれといった導入も断りも、或いは回想もナシにお話が始まるのって凄いと思うんです。何せごちうさはキャラクターの所属等がバラバラなことが一つの特徴ですから。

これは特に6巻を経て7巻範囲に入ってからのごちうさに強く見られる特徴ですが、キャラクターたちが最初から家族なんです。
6巻ではクリスマスを中心にみんなの絆が更に深まりました。その過程では凛さんが本格的にメンバーに加わったり、ハロウィンではとある女性とも繋がったり、また青山さんのシークレットサンタの提案を始め凛さんの雑誌記事やリゼちゃんのお父さんの援軍などクリスマスをきっかけにラビットハウスを動かす歯車となる人の数はたくさん増えました
そして何といってもラビットハウスの制服が3着から一気に7着まで増えました。これまで所属が違うという前提を持っていたごちうさにとって、遂にあの場にいる全員が「ラビットハウス」の一員になったことをハッキリ示された瞬間でした。更にココアちゃんの完成させた制服は元々誰がどういう思いで作っていたものかや、この制服の写真が生んだもう一つのアフターストーリーを知ればその「ラビットハウス」に含まれるメンバーはもっと増えて来ます。

僕は今ごちうさが起こしているこの現象を「カフェの拡張」と呼んでいます。
あえて『カフェ』という単語を使っているのはOVA主題歌のセカイがカフェになっちゃった!2017年12月号に影響を受けてのものなんですが、それらの中身について話をすると逸れてしまうので必要な部分以外は割愛します。
が、ざっくり言うと『セカイ』とは彼女たちにとって未知の領域、『カフェ』とは彼女たちの領域です。これらは可変性を持っており、「カフェの拡張」というのは文字通りこの『カフェ』の範囲が大きくなるということ。

元々出身、学校、学年、職場、あらゆるものがバラバラなごちうさにとってそれぞれのカフェのスタートは殆どがみんな1人からでした。中には千夜シャロのような「幼馴染」もいましたが。
そこからチノ・マヤ・メグの3人を指して「チマメ隊」と命名されたり、同じようにチノ・リゼ・シャロは「振り回され隊」と名付けられたり。
4巻終わり頃にはココアちゃんとチノちゃんは本当の意味で「姉妹」と呼べるような関係にまでなりました。
5巻に入って来るとチマメ隊と「高校生組」との対応図が顕著になって来ました。

僕の言う『カフェ』とはここまでで述べた「幼馴染」「チマメ隊」「振り回され隊」「姉妹」「高校生組」といったあらゆるフレームのことを漏れなく指しています。
最初はチノちゃんだけが座っていた「香風智乃」というカフェにマヤメグが座るようになればカフェの名前は「チマメ隊」に、リゼシャロが座れば「振り回され隊」に、そしてココアちゃんが座れば「姉妹」に。といった風に自分の領域を様々に広げていくことが「カフェの拡張」ということです。

更に注目してもらいたいのが「チマメ隊」「振り回され隊」という名前。この辺は彼女たち(てか両方リゼちゃんだけど)が独自に命名した名前です。
命名された時にはどちらも変な名前と散々な言われっぷりでしたが、変な名前というのはユニークな名前という事になります。「チマメ隊」なんて名前はきっと世界中探してもごちうさのこの3人の呼び名以外見つからないんじゃないでしょうか。
「幼馴染」のような既知のフレームはもちろん、「姉妹」という既知ながらも本来なら先天的なフレームを一から築き上げたり、果ては「チマメ隊」や「振り回され隊」のように存在しないフレームをゼロから生み出したり出来るのがごちうさであり、「カフェの拡張」とはこの様な境界線を動かす力です。

しかしそんなごちうさでも6巻に至っても尚大きな境界線となっていたのが「職場の違い」でした。
何せチノちゃん、千夜ちゃん、加えてシャロちゃんの3人に関してはそれぞれの大切なお店の「看板娘」という肩書がありましたから、これまで築き上げて来た強い絆を以ってしても超えるのが困難な境界線だったわけです。
ですがご存知の通りラビットハウスの繁忙期とココアちゃん、リゼちゃんの不在をきっかけに3人の絆とチノちゃんの勇気、そしてココアちゃんが完成させていたお母さんの制服の後押しによってその境界線さえも超えてしまったのが6巻のクリスマス編。それどころか6巻おまけページでは彼女たちを隔てていた「看板娘」という肩書を逆手に取って「看板娘隊」というカフェまでも新たに生み出してしまいました。

そして上述した通りここにリゼちゃんが新たに作った制服2着を着たマヤメグも加わり生まれた「ラビレンジャー」というカフェ、延いてはそこに大人やうさぎたちを含めて「ラビットハウス」という既存のカフェをごちうさ史上最大規模のカフェにまで拡張させたのが6巻でした。

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7色合わせて焙煎戦隊ラビレンジャー!

ですから7巻範囲に入った今現在のごちうさはもういつものメンバー全員が同じカフェの一員という前提で繰り広げられています。これまでもみんなの絆の強さについては言うまでもありませんでしたが、それでも6巻までと7巻範囲とのこの違いは重要なものだと思っています。

話を戻して、その7巻範囲の中でも特に開幕からもう家族同然のシチュエーションで始まる今月のお話には驚かされました。チノちゃんの「……困ったお姉ちゃんたちです」に思わず目を潤ませた人も少なくないのではないでしょうか。


・ごちうさ式サプライズ
さて今回のお話のメインとなる高校生組クッキングですが、やはりこのシーンの中にも彼女たちの侮れない部分が垣間見えます。
今回チョコを作るにあたって高校生組はリゼちゃんを味見役にしました。何ででしょう?
何でも何も「お嬢様だし舌が肥えてそう」とハッキリ言ってますし実際マジでチョコレートマイスタだったんですけども、実際それだけの理由だったんでしょうか

ハッキリと言及はされてないのでぶっちゃけ僕の想像でしかありませんが、今回このチョコレート作りの中でココアちゃんたちはリゼちゃんに送るバースデー用のチョコも同時に模索していたんじゃないでしょうか。その為の味見役
まぁ結局奇抜なチョコを作り過ぎて最後は素朴なチョコケーキをご所望になったリゼちゃんでしたが、ちゃんとそれが用意されましたね。

もう皆さん知っての通りリゼちゃんはこういった好意に対してやや頑固な子です。
自分のためにみんなに気を遣わせられない。言い方を変えれば甘え下手な女の子。そりゃ最年長ですものね、難しいはずです。
とはいえ当然みんなもそんなことは分かり切ってることでしょう。リゼちゃんが必死に話題を逸らそうとしていたのもバレバレだったでしょうね。
そこでごちうさのサプライズ精神が活きるわけです。

千マメ隊回の記事にも書いた通りごちうさの絆には「おせっかいのかけ合い」という側面があります。
リゼちゃんに限らずごちうさのキャラクターは誰かに何かをあげる時には全力なのに自分が貰うのは遠慮しがちなところがあります。奥ゆかしいというか何というか、貰ってばかりは悪いとか迷惑じゃないかとか色々考えちゃうんですよね。みんなのことが好きだからこそ。
そこで「おせっかい」なんですよ。相手が遠慮してようが強引に実行してしまえばいい。それがごちうさ流遠慮の壁の壊し方です。
勿論、おせっかいというのも一方的なままでは余計負い目とか感じそうですから大事なのは「お互い様」ってところですよ。おせっかいをされたらおせっかいをし返す。どうせ相手もおせっかいさんなんだからこちらも遠慮なくおせっかいしてやれますし、こちらも同じおせっかいさんなんだから相手からのおせっかいを拒めない
ただしこのようにお互いに相手の心の中に土足で上がり込み合うような関係前提として強い絆や信頼といった土台が築かれた間柄でしかできないことであることも念頭に置いておかなければなりません。逆に言えば今のごちうさにはこれらの土台がしっかりと築かれていることの裏付けでもあります。
次はリゼちゃんが誰かの攻撃側に回る日も来るでしょう。そういう絆だってあるんです。

とはいえもちろんおせっかいも別にしたくないことまでする必要なんてありませんよ。そこでごちうさのおせっかいについてもう一つ大切なのが6巻9話のココアちゃんのこの言葉。

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自分のために

「私がやりたいから勝手にやるの」とまで言われてしまえばもう手も足も出ませんよね。
相手を幸せにすることが自分の幸せになる子たち同士ならみんながみんなそのエゴを叶えるために奮闘するエゴイストであったとしても幸せの歯車は上手く噛み合い回り続けることが出来る。そんな幸せの永久機関を証明してくれているのもごちうさという作品です。
例え忙しい時期であったとしても、大切なリゼちゃんのお誕生日をお祝いすることが自分たちにとって負担だなんて決して言わせません。

あのチョコでチョコを洗う混沌のクッキングの中にこういう粋なサプライズが仕込まれてたんですね。しかもチノちゃんたちもグルで。


・みんなの妹
しかしながら僕が今回何より感動したのはチノちゃんです。
さっき僕は上でごちうさキャラは遠慮がちなところがあると書きましたしチノちゃんもその傾向の強いキャラだったと思うんですけど、僕が今回驚かされたのはそんなチノちゃんが高校生組のチョコ作りに対して一度も遠慮する素振りを見せなかったことです。
「バレンタインの準備ですか、後片付けしっかりしてくださいね」「崩れながらアピールされても」「あーもう作戦会議なら外でしてください」「困ったお姉ちゃんたちです」
この変化、お気付きでしょうか。

最初からチノちゃんはしょうがないから受け取ってあげますってな感じに高校生組の応援を拒むことなくちゃんと向き合ってるんです。その心の中には上で言ったようにおせっかいのかけ合いの精神や、チマメ隊の応援は高校生組自身がやりたいからやってることだと察してる部分もあるんでしょう。
まず第一にチノちゃんは素直に受け取るということを達成しています。

そして第二に、受け取りっぱなしじゃなくチノちゃんからのお返しもありました。
チノちゃんは高校生組の息抜きにとホットチョコレートを作って来ました。「バレンタインは親愛なる人への感謝の日」という彼女たち自身が言った言葉をオウム返しして。
相手に悪いからとプレゼントを拒み合う関係よりもくれるものは貰うけど貰いっぱなしじゃ気が済まないからとプレゼントを渡し合う関係の方があげた方も貰った方もきっと嬉しいですよね。
逆に言えば腰を抜かしてやると意気込んでいたリゼちゃんに向けての最後のサプライズカウンター、あれをお見舞いしてやる前提だったからこそ最初から遠慮もなかったのかも知れませんね

そんな一見細かいところにどうして僕がここまで感動しているのか。もちろんそれが出来て当たり前のことだったなら僕もここまで強調しません。しかし彼女にとってそれが6巻までは難しかったことだからです。
6巻半ばまでのチノちゃんは上述したリゼちゃんと同じように貰ってばかりは迷惑じゃないだろうか、と周囲から向けられる好意に控えめな姿勢でした。
しかし勇気を出して千夜シャロに送ったSOS、マヤメグからの思ってもみなかったアルバイトの話等たくさんの愛情を受ける内に考え方に変化が表れていました。
受け取ることを躊躇するんじゃなく、受け取ったものを返せるようになろうと。
正に今月のお話の中のチノちゃんのポーズは頭から終わりまでその願いを実行しようとしてるんです。

僕は多分これがチノちゃんの中の「妹」像なんじゃないかと思っています。
「姉」「妹」というワードは共にごちうさのキーワードの一つですが、ごちうさで使われるこれらは単に辞書通りの意味ではなく、本来以上のもっと大きな意味を持つ概念なんじゃないかと僕は感じています。
ココア帰省編、つまりはDear My Sisterのお話でココアちゃんがモカさんに告げた「私ね、将来の夢はたくさんあるけど一番の憧れはやっぱりお姉ちゃん!」「お姉ちゃんみたいにみんなを楽しませられる人になりたいな」という言葉。恐らくこれがココアちゃんの「姉」像の根源なのでしょう。
ではチノちゃんの「妹」像とは。恐らくそれが6巻11話でティッピーに告げた「おじいちゃん、私たくさんの人に助けられてます」「この気持ちをいつか返せる人になりたいです」なんだと思います。
みんなが向けてくれる真っ直ぐな気持ちに遠慮せず、こちらも真っ直ぐ向き合い受け取れる、そしてお返しできる存在
。チノちゃんが高校生組を指して「お姉ちゃんたち」と呼ぶようになったのも彼女がそんな「妹」に近付きつつある証なのかも知れません。

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なりたい「姉妹」像

・3つの気持ちのチョコレート
さてここまでで挙げた「導入速度」「粋なサプライズ」「素直な受け取る姿勢」という3点は頭で述べた今回のお話の美しさを支えている要素でもあります。
元々今回のお話は一言で「チョコ作り」と言っても3つの意図が詰め込まれた欲張りセットなお話です。
それは「チマメ隊へのエール」「親愛なる人への感謝」「リゼちゃんへのサプライズ」です。
そんな詰め込みまくったお話でありながら見事綺麗に全て大成功させているのが今回のお話の美しさです。

いきなり本題から始まるこの導入のキレの良さがまず第一にこのボリュームを支えていますが、これは上で述べたように彼女たちが家族のように、同じ領域内に共存する今だからこそまるで自然体のように出来たことです。

第二にバレンタインのチョコ作りの裏でリゼちゃんへのサプライズを画策し、綺麗に同時進行させたことがチョコレート大作戦成功の大きな要因になりましたが、これはリゼちゃんがどういう子なのかちゃんと理解した上で、じゃあどうするのが彼女に一番効果的かまで分かってないと出来ません

そして最後に受け取り手のチノちゃんが素直に向き合ってくれたこと。それだけでなくチョコレート返しで高校生組を後押ししたこと。これもチョコレート大作戦の成功に欠かせない要因ですが、これだって前述した通り今のチノちゃんだからこそできたことです。

僕は特にその道の専門家でもないので漫画としての構成の上手さとかを評価しようというわけではないんですが、こんなにたくさんの思いが詰め込まれた2/14チョコレート大作戦が全て大成功したこと、何よりそれが「今のごちうさだからこそ」の賜物だというところにとても感動しました。
これまでたくさん日常を積み重ねて来て得た成長や知って来た相手の事、育んで来た絆がこういう風に大きな幸せを作り出す。それって凄く素敵な事じゃありませんか。


ここの更新をしていない間に劇場上映を始めごちうさの大きなムーブメントがたくさんあったので、その間にも色々気付かされたことがありますし、そういった価値観の変化を経て主に7巻範囲についてまだまだ書きたい事もいっぱいあるのが実際のところだったりします。
特に今回書いた『カフェ』『セカイ』という概念については今正に大きな変化の過渡期にあるごちうさにとってとても重要な部分だと思っているのでより詳しく書きたいのが本音ですが、今月号の記事に書いていては収拾がつかなくなりそうなので今回はこの辺りにしておきます。
次にいつ更新できるかは未定ですが、出来るだけ善処します。

雑記となりますが、物語は作り手だけでなく受け手によっても作られます。受け手がどのように受け取ったかというところで初めてその人それぞれが見た世界が瞼の裏に作られます。そしてこのブログもそうですが、受け手はそれを発信し、他の人が見る世界にも影響を与え合う力を持っています。
もちろん実際にどのような世界を見るかは人それぞれですが、そこにあるはずのものは出来るだけ見落とさないように、たくさんの人にこれからもしっかりと目を凝らしてごちうさという素敵な作品を見つめて貰いたいなと思っています。

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