大藪崇
June 12, 2015
【 怒らない経営 】大藪 崇著 /【書評】怒らず、臆せず、淡々と。
In dreams begin the responsibilities. *1*2
「 夢の中でさえ,責任は生まれている。」
*1 William Butler Yeats (1865 -1939)
アイルランドの劇作家/ノーベル賞文学者
*2 第一文型の倒置構文MVS:Mは修飾句
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
“ うまくいくときも、そうでないときも
すべて自分の責任だ。 ”
『 怒らない経営 』 冒頭第一文
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
◇ 新刊の書評 ◇
● 書名: 『 怒らない経営 』
〜 しがらみを超え、地元を盛り上げる! 〜
● 著者名:大藪 崇
(おおやぶ たかし)
● 出版社名:日経BP社
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
◇ 書評タイトル:
怒らず,臆せず,「 淡々と 」。
Weaving his life story into everything
he manages ...
◇ レビュー本文:
異色の経歴を持ち,愛媛で活躍する
30代の若手経営者の回想録。
今治タオルの専門店「伊織」で知られる経営者が展望も織り交ぜながら色鮮やかに半生を綴る。
この著書でのキーワードは,「怒らず」とも,【 淡々】と物事に向き合う気概。
― 怒ってしまうのは,未熟さゆえとある ―
進学を機に四国,松山へ。半年遅れた後,
大学を卒業し,ある道を歩むことに…。
「淡々と」課題をこなし,20代半ばで貯金15億円へ。
しかし,ある時,心の中に何らかの
虚無感と葛藤を徐々に抱き始める。
本当の幸せや成功とは,お金を増やすことではなく,地域や社会への貢献にあるとの
「 気づき 」へと辿り着く。
人生とは自分を取り巻く身近な人の「幸せ」や「喜び」に数多く出逢い,共感し,生きる価値を見つけることにあるという「気づき」へ。
そして,自分を成長させてくれた地元への
恩返しをすべく,地元の将来を危惧し,盛り上げるべく企業家に転身する。
悩みや幾多の困難に直面し,苦悩しながらも,臆することなく「 淡々と 」課題をこなし,人間的に成長していく点に深く共感させられた。
人生を紡ぐ1本の糸から始まり「個」が輝いているからこそ全体としての,さらに美しい「個」が織り成される。「 怒らない 」というのは,著者が貫徹する1つの美徳であると思う。
世界に1つしかない精緻な美しいタオルが
淡々と織り成されるように,著者の人生も
輝きを放つように淡々と織り成されてゆく。
特筆すべきは,既存価値を応用し,高付加価値への転換により新たなマーケットを開拓している点も注目に値する。
186 ページには,著者の名言が至る所に
散りばめられているような気がして非常に感銘を受けた。
「 ・・・人間はぎりぎりまで追い込まれると自分でも考えられなかった力を発揮することがある。」
経営者の本というと文字だけの堅苦しい類書が多い中,写真が随所に挿入され,非常に読みやすい1冊だと思う。
和家 裕樹
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
『 怒らない経営 』
〜 しがらみを超え、地元を盛り上げる! 〜
大藪 崇(おおやぶ たかし) / 日経BP社