ヴィーニョ・ヴェルデを飲んで夏とさよならしようとしたのだけど、9月というロスタイムに入ってなお残暑は攻勢を緩めることがない。ああもう勘弁してくださいよ。ちょっと先には秋刀魚やらマロングラッセやら甲州の新酒やらがお控えになっているのですから。
キンタ・ダ・リッシャ
テラス・ド・ミーニョ ヴィーニョ・ヴェルデ2009
トラジャデューラ+アリント+ロウレイロ
ポルトガル ヴィーニョ・ヴェルデ
輸入元:飯田
そうは言っても、暑いときに飲むヴィーニョ・ヴェルデはやっぱりいいものである。数ある夏の魅惑の中でも 「 ヴィーニョ・ヴェルデを飲むということ 」 はかなり上位にランクインしていてもいいはずだ。でも、そのおいしさを説明しようとすると難しくなる。それはなぜか。たぶんそのおいしさがつるんとシンプルなかたちをしたおいしさだからだ。この辺りにいまいち日本でヴィーニョ・ヴェルデが浸透していない理由があるような気がする。
微発泡で軽やかでさわやか。およそこれで説明がついてしまうのが悩ましいところだ。お手頃でシンプルないい奴だけど、代えの効かないような個性を携えているわけでもない。それでもこうして残暑の中で飲んでいると、不思議と心打つのだからどうしたものか。僕たちがヴィーニョ・ヴェルデについて語るべきことは多くないかもしれないが、ヴィーニョ・ヴェルデの方は僕たちのそういう意思を汲みとって、「 まあまあ。だんな。そんなの気にしないで飲んでくだせえ 」 と言っているみたいだ。
そんなわけで、残暑で疲れた身体をヴィーニョ・ヴェルデは気持ちよく受け入れてくれる。特になにかを言うこともなく。だったら僕たちも特になにかを語る必要はないんじゃないか。ヴィーニョ・ヴェルデを飲んで、空に表れるかすかな秋の気配を見上げて、夏とさよならすることを考えていれば、きっとそれでいいのだ。
Grant Green / I Wanna Be Loved