2019年09月

2019年09月28日

『グランパス』VS 広島戦~妥当な引き分け……~

久しぶりに、心拍数が乱高下しない試合展開でした。
風間監督のサッカーはジェットコースター。
フィッカデンティは観覧車でしょうか?
リスクを取らないサッカーをしていたので、引き分けは妥当な結果だと思います。


グランパスのシステムは4-3-2-1のクリスマスツリー。
フィッカデンティは、まずは結果という堅実な選択をしました。
4-3-3や可変システムといった、リスクは取る采配を期待するのは早すぎたようです。


“ペップ後”の反動でバランス崩れた? いや、新監督は着実に footballistaの記事。


2シャドーは、DFラインと守備的MFの間のスペースを突くことが常道ですが、彼らの足元にパスをつけることができず、ロングボールが増えたことで、ポゼッションは下がり(39%)、相手に攻撃の機会を多く与えてしまいました。


宮原は風間流のSBで、リスクを持ってオーバーラップを繰り返しました。
フィッカデンティは、SBに片方が上がったら片方は下がる振り子の動きを要求するので、両SBが攻め上がった風間監督のやり方に慣れ過ぎた宮原は、戦術的な動きを覚えるまでベンチになると思います。
クロスの精度も高くないので、宮原はSBより3ボランチの一角を狙う方がいいような気がします。


3ボランチのスライドがスムーズではなく、広島のWBやシャドーをフリーにする場面が多く、守備を安定させるために、前半終了間際から4-4-2にシステムを変更していました。



失点は前半33分にCKから、広島のCB野上に決められてしまいました。
見た感じ、グランパスのセットプレーの守備は、太田がポストのノアサイドも守り、ヘディングの強いジョーがストーンを務めます。
(ストーンは、人のマークではなくゾーンで危険なエリアを守り、ヘディングで跳ね返す役割)
ヘディングの強い丸山とシミッチがゾーンを担当。
人に強い米本、吉田、中谷が、相手のヘディングの強い選手をケアする形でした。


このやり方に慣れていない影響か、スクリーンしてくる広島の選手を掴み切れず、野上をフリーにしてヘディングシュートを決められます。
選手がやり方に慣れていなかった部分はありますが、堅守で勝ちたかったら、セットプレーからの失点は厳禁です。




前半43分に、シミッチの縦パスを受けた米本がジョーへ縦パス。
縦方向のパスが2本続いたことで攻撃はスピードアップ。
パスを受けたジョーは半身になって前田にパス。
前田はトラップでDFをかわし、右足で冷静にコースを狙い同点ゴールを奪います。




後半は広島が主導権を握り、グランパスは自陣に引いて守りを固める展開でした。
広島のペースが落ちて来た後半32分に前田に代わり赤崎を投入。
システムを4-4-2から4-3-2-1に戻し、若干、攻勢に出ますが得点は奪えず。
膠着状態のまま、試合終了のホイッスルが吹かれ、1-1のドローで勝ち点1を持ちかえる試合になりました。





風間八宏というスパイスの利いた激辛カレーに慣れてしまうと、フィッカデンティのサッカーは刺激が不足しているように感じてしまいますね。
私は攻撃的サッカーの信奉者なので、この試合については筆が進まない進まない。
攻撃にせよ、守備にせよ、選手が新監督のやり方を習得するまでは、地味~な試合展開が続いていくと思います。


交代カードを1枚しか切らなかったというより、1枚しか切れなかった選手層の薄さは問題。
赤崎も、このサッカー向きの選手ではないだけに、得点力不足を打開するにはセットプレーは重要になりそうです。



GK:ミッチ
ゴール前に人数がいるので、前のような決定的ピンチが少なかったので、ビックセーブを披露する機会は訪れなかった。


SB:吉田
球際に激しく行き、カウンターのケアも怠らなかった。
攻撃面は……


CB:中谷&丸山
ビルドアップ、スペースのケアなどCBの仕事を忠実にこなしていた。
セットプレーからの得点に期待したい。

SB:太田
不思議な話、風間監督時代よりプレーの内容が平凡になった。
ロングキックの半分は精度のないもの。
セットプレーも違いを作れなかった。


ボランチ:米本
守備的なサッカーになると、攻撃の貢献度の低さが気になる不思議。
何度か挑戦的な縦パスを見せ、1本は得点につながった


ボランチ:シミッチ
左右をケアする味方がいたことで、読み予測が利いて堅実な守備は復活。
飛び込んで、簡単にかわされた場面が2回あり反省点。
攻撃ではタッチダウンパスで、得点を生む起点になってほしい。


ボランチ:和泉
激しい守備で再三、ハイネルを削っていた。
攻撃面で、2シャドーに縦パスを通す役割を期待。
4-4-2のシステム変更では右サイドに配置されましたが、左サイドの方がいいのでは?


シャドー:前田
ロングボールを処理できず、ボールロストを繰り返していた。
フィッカデンティのサッカーで得点を取るためには、前線がルーズなボールを収めて、推進力を持ってゴールに迫らないと厳しい。
できれば、ロングボールでも、前田、シャビエル、ジョーの胸から下で処理できる質が必要。
この試合の得点のように、カットインからのドリブル以外の得点パターンを見せてほしい。
4-4-2のときは、右サイドの方がいいのでは?


シャドー:シャビエル
攻撃時は自由に動き回り、ボールを収めて、アイディアのあるパスを見せていた。
風間監督時代より、やりやすそうに動いていた印象。


FW:ジョー
組み立てに参加すると、ゴール前が薄くなり、ゴール前にいると攻撃の組み立てができないジレンマ。
サポート体制を充実させないと、宝に持ち腐れに。
ロングボールは、胸より下に向けてコントロールできる質のものをお願いします。


FW:赤崎
独力で状況を打開できるタイプではないので、前線に厚みがないと厳しい。
攻撃の交代カードの一枚だが、カウンターを完結させる能力がないので、ポジションはシャドーが妥当か?



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hototogisuguradora at 22:56|PermalinkComments(29)グランパス 2019 

2019年09月27日

グランパス短信~個人的注目ポイント~

時間の関係で、コメントの返しは後日にします。
それと、私自身への批判はともかく、コメントに対して、否定だけするようなレスは、コメントをしてくださった方が嫌な思いをするので、今後は削除していく方向がいいかなと検討しています。




監督交代に賛否はありますが、試合はまってくれません。
メディアに出ている監督のコメントをみて、おっ!と思ったことがありました。


J1名古屋「今後の運命を左右する」フィッカ体制初戦は4バックが基本「いろいろ準備した」 
中日新聞の記事


風間監督はシステムに固執しない監督でした。
フィッカデンティも違う意味でシステムに固執しない監督で、対戦相手に応じて、柔軟にシステムを変化させる監督だという印象があります(システム変更がハマらなかった試合もありますが……)。


記事の中にありますが、4-3-3から前田、シャビエルらWGのポジションを下げて、4-4-2で守りを固めるシーンも想定されているそうです。


優れた手腕でレアル・マドリードを頂点へ…アンチェロッティの“銀河系操縦術”とは 
サッカーキングの記事




かつて、アンチェロッティがレアル・マドリードを率いていたときの話です。
4-3-3システムで、ポジショナルプレーのバルセロナ。
4-4-2の強固な守備ブロックから、カウンターを繰り出すアトレティコマドリーに苦戦していました。


3トップはカウンター向きの、C・ロナウド、ベンゼマ、ベイル。
アンチェロッティの取った策は、攻撃のポゼッション時は4-3-3。
相手がボールを保持しているときは、4-4-2でブロックを作りカウンターを狙う。
右WGのベイルが右サイドハーフにポジションを下げ、左インサイドハーフのディ・マリアが左サイドハーフにポジションを移します。
ライバルの戦術をいいとこ取りした、可変システムでチャンピオンリーグを制しました。



4-3-3の状態で引いて守ると、4-5-1になり、両WGは上下動をする距離が長くなる。
前線が薄くなって、カウンターの威力が減退するという問題が生じます。


可変システムにすれば、上下動する負担があるのは一人になり、2トップが前線に残るので、カウンターでの脅威を落とさず、FW(ジョー)を孤立させずにすみます。


ただ、インサイドハーフからサイドハーフにポジションを移動する選手は、移動距離と移動回数が多いので負担が大きくなります。
アンチェロッティの可変システムも、キーマンとなるディ・マリアが移籍(マンU)したことで破綻しました。


グランパスでは、ユーティリティーな和泉が、この役割を担うと思うので、彼が吐くまで走ることになるかもしれません。



あくまでも、記事を読んで感じたことなので、フィッカデンティ監督が可変システムにチャレンジするかは分かりません。
しかし、試合中に選手の配置が変わっている局面がありそうな気がします。
個人的には、アンチェロッティの可変システムのコンセプトが好きなので、グランパスでも実践してほしいな~と思っています。




システム的に、4-3-2-1になるか、4-3-3になるかで、フィッカデンティ監督の評価は変わってきます。
2シャドー、3トップの両WGで、起用されるのはシャビエルと前田になりそうです。
彼らのポジションが、中央か、ワイドかで、攻守一体のサッカーを継続させる意思が見て取れます。


フィッカデンティ監督も攻撃的に行きたい意欲はあれど、監督として結果を出さなければいけない環境で、フィロソフィーを曲げて3ボランチにしてきたのかもしれません。
シャビエル、前田がワイドのポジションを取ったら、鳥栖、FC東京時代とは違うサッカーになる可能性があります。




それと、気になるがボールを奪う位置。
ジョーはロングスプリントができるタイプではないので、彼を活かすなら、できるだけ高い位置でボールを奪って攻めるショートカウンター。
DFラインの高さは、風間監督時代ほど極端に高くはないと思います。
高い位置でボールを奪う守り方ができるか?
風間監督時代とは異なる、注目ポイントがある広島戦になりそうです。




前回のブログで書き忘れたことがあります。
大森SDは、山田康太と伊藤洋輝を期限付き移籍で獲得しました。
2人は年代別代表の中心選手になるポテンシャルを秘めた選手です。
大森SDとしては、準生え抜きとしてチームの主軸に育て上げる構想があったような気がします。
これは宮原で成功したやり方です。
大森SDとしては、山田康太、伊藤洋輝を、起用しなかった(未熟であることは承知で)ことも、風間監督との間に溝ができた要因ではないかと想像しています。




監督が誰であれ、グランパスの監督になったのなら、いい結果を残してくれることを望みます。
まずは直近の試合で勝利を掴むこと。
ファミリー全員で、チームを後押しする応援をしていきましょう。


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hototogisuguradora at 22:03|PermalinkComments(13)グランパス 2019 

2019年09月25日

グランパス短信~強化部の言い分~

相馬を筆頭に8人移籍…さらなる流出の可能性に求心力低下 激震グランパス、緊急連載(中)


新聞の記事は、記者が取材して書いたものです。
そこには、名前が載らない取材源がいる訳です。
2016年に紙面を賑わした保坂勝強化部長(当時)バッシングの記事は、久米社長(当時)に近い人物で、保坂氏と関係が良くなかった人物が取材源になっていたと考えています。


今回の緊急連載は、大森SD率いる強化部に近い人物が、強化部の本音、結果が出ない焦燥感を吐露していると思って読むと、得心がいくのではないでしょうか。




鹿島は相馬を完全移籍で獲得する意思があった(移籍金1億円を支払う用意があった)。
グランパス強化部は、本人の意思を尊重しながら、完全移籍で放出する考えはなく、体制が変わるかのしれないので、期限付き移籍の形で折り合ったことが読み取れます。


フィッカデンティが4-3-3(4-1-4-1)ではなく、4-3-1-2を採用すれば、相馬が得意とするサイドハーフのポジションはありません。
プレーするなら2トップの一角を争う形になるでしょう。


相馬の意思は分かりませんが、大森SDは相馬とマテウスを復帰させ、監督に4-3-3(4-1-4-1)でチームを作ることを話し合うかもしれないと、この記事を読んで感じました。
来シーズンも、フィッカデンティ監督が指揮を執るかは分かりませんが、監督のサイドプレーヤーに求める持久力とスピードのあるタイプである相馬は、是非とも復帰してほしいです。




小林はボランチの4番手。
タイミングはあったと思いますが、風間監督は頑なに見えるほど、小林を起用しませんでした。
スタメン出場は無し、途中出場で5試合。
J1で好成績を残している大分からオファーが届けば、小林が完全移籍を決断するのも当然の話。


サイドハーフで起用される試合もあり、ルヴァン杯では相馬がSBで起用されて、金井が何も感じない訳がありません。



ただ、AZに移籍した菅原は、風間監督関係なく、海外からオファーが来たら、移籍を決断していたと思うので、同列で語ることには違和感があります。



強化部の立場を代弁すれば、小林、相馬、マテウス、金井は実力がある。
監督のフィロソフィーがあったとしても、戦力に組み入れて、柔軟な采配をしてほしいと思うのは、当然のことです。


風間監督は、枠に入らない選手は、枠に入るまで起用しない頑なさがあります。
小林と金井は対人守備力の不足。
相馬、マテウスはプレービジョンの未熟さ。
起用しない理由はありますが、突き放すのではなく、導いてほしかった。
そんな風に、大森SDが考えても不思議ではありません。



記事には、夏だけでなく、冬の選手流出が懸念されています。
これは完全に憶測ですが、おそらく退団する可能性が高かった選手の筆頭はジョーだと思います。
ブラジルのメディアの、真偽は不明ですが、ジョーがグランパス退団を望んでいる記事が出ました。


ベンゲル監督は、チームで一番力がある選手と監督がいい関係にあるチームは強いといった趣旨の発言をしていたそうです。


川崎では、中村憲剛と大久保嘉人が、風間監督のサッカーに共感して、チームは強くなりました。
ジョーはよりリアリストで、勝利を追求していたと思います。
風間監督のぶっ飛んだサッカーに適応しようとしていましたが、結果が出なくなると、2人のサッカー観に、小さくない齟齬が生まれても不思議ではありません。


最近のジョーのイライラは、こうした背景があったのではと想像します。



ジョーには影響力があり、ネットを除く外国籍選手と風間監督を慕う選手たちに、温度差が生じていたのかもしれません。
チームで一番力のある選手と監督の間に亀裂が発生すれな、強化部はどちらかを選ばなくてはいけない状況になっていたのかもしれません。




大森SDは、風間監督を擁護する小西社長に決断を迫るため、関係のあった親会社側の人物の力を借りて、風間監督退任を推し進めた。


この記事を読んで、監督解任の背景を想像すると、こんな感じだったのではないでしょうか。
(後任がフィッカデンティ監督だったことは、議論が起こってしかるべきですが……)
ゲームモデルとして、風間監督の理論と、フィッカデンティの守備理論を合わせることで、大森SDの理想とする形に近づけるのかもしれません。




風間監督には、風間監督の。
小西社長には、小西社長の。
そして当然、大森SDには、大森SDの正義があります。


その正義の正しさは、結果という形で、ファミリーから評価されるものになるでしょう。



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hototogisuguradora at 20:55|PermalinkComments(13)グランパス 2019 

2019年09月24日

プレースタイルは監督だけのものじゃない。

180度スタイルの異なる監督交代を断行したグランパス。
ポジショナルプレーと、カウンターを攻撃の軸に据えた堅守速攻への転換は成功するか?
この成否を分けるのは、結局のところ選手のタイプと、戦術への適応能力にかかっています。


失敗例として挙げられるのが浦和。
ミシャ・ペトロビッチ監督が率いた独特の攻撃的なスタイルで一世を風靡しました。
5年過ぎたころから、主力選手が固定されたことによるマンネリ化と、対戦相手の研究も進んだこともあり、成績が下がり始めたところで解任。
後任の堀監督は、守備を整備し、ラファエル・シルバの能力を活かしたカウンターで、ACLを勝ち取りました。


攻撃のキーマン、ラファエル・シルバが中国に引き抜かれ、カウンターの威力は半減。
堀監督は、ミシャのサイドアタックは引き継ぎましたが、中央突破のコンビネーションは再現できず、リーグ戦で苦戦して解任となりました。


後任に就いたのは”オズの魔法使い”こと、オズワルド・オリベイラでした。
堅実な手腕を見せる実績のある監督でしたが、結果を残せずに5/29日に解任されました。


オリベイラ監督が浦和を立て直せなかった理由は複数あります。
①4バックを基本戦術にする監督に対して、チームは3バック向きの選手編成だった。
②主力選手の高齢化
③チームは3バックを基本戦術にするが、WB向きでない山中を補強。
④FWの軸はポジショナルプレー向きの興梠でありながら、補強では連携の難しいカウンター向きの杉本を補強。


オリベイラ監督は、チーム事情に合わせながらシステムを組みましたが、自分がもっとも結果を残してきた4-4-2をベースにする堅実なサッカーを実践することはできませでした。


堀監督にはラファエル・シルバが必要だったし、オリベイラ監督には、4バックに移行するために選手を入れ替える時間が足りなかった。





J2に降格した柏。
下平監督は、横浜FCを自動昇格圏内争いするところまで押し上げるなど、一定の手腕を持っています。


柏の失敗は、ポジショナルプレー向きの選手が多い選手層であるにも関わらず、カウンター向きの選手をドンドン補強。
下平監督が、異なるプレースタイルを得意とする選手を、上手く組み合わせようと試行錯誤する間に、成績は低迷。
柏の降格は、強化部がゲームモデルに無自覚で、プレースタイルの異なる選手を組み合わせを、監督に強いたことが原因だと思っています。





風間監督と、フィッカデンティ監督への移行が成功するかは、監督の戦術のキーマンになる選手が成否を握っています。
風間監督の川崎での成功は、中村憲剛と大久保嘉人が監督のやり方を理解し体現したことで、後に続く小林悠と大島僚太の成長を促した部分がありました。


グランパスでは、その役割を担うべき田口が退団し、玉田は年齢を重ね過ぎていた。
現時点でチームの中心はジョーであり、シャビエルですが、彼らは中村憲剛らのように、監督のサッカーを体現するまでは、風間監督に心酔していなかった。
キーマン不在が、最後まで貫き切れなかった要因のひとつだと思います。





フィッカデンティ監督になって、失点は減ると思いますが、得点力不足に陥る可能性もあります。
FC東京時代は武藤、鳥栖時代は鎌田というキーマンが抜けたことで失速しました。


180度異なるサッカーへの転換が成功するか、失敗するか以前に、監督が結果を残してきたプレースタイルを成立されるキーマンがいるか?いないか?の方が大きな問題です。



カウンターを完結させるには、FWの打開力が必要です。
なので、鳥栖はビクトール・イバルボ、チョ・ドンゴン、金崎夢生、フェルナンド・トーレスと、たくさんのFWを補強しました。
ただ、彼らにラストパスを提供する選手、鎌田の後釜を確保しなかった。
鳥栖がFWを補強するたびに、誰がパス出すねん?と個人的には思っていました。




風間監督下のチームは、最後までキーマンが生まれなかったな~という印象が今もあります。
個人的には、プレースタイルの違う監督交代ですが、成功する可能性はあると思っています。
ポイントとなるのは、カウンターを完結させるFWと、チャンスを創造するトップ下に適任者が現れるかにかかっています。


練習では4バック、トレスボランチ、2シャドー、ワントップの、クリスマスツリーと呼ばれる4-3-2-1システムを試しているやの情報も漏れ出ています(選手の質もあるので、4-3-1-2の可能性もあり)。



トップ下にシャビエル(青木)がハマり、前田が得意なドリブルでカウンターの威力を増すことができれば、いい成績を残せるのではと予想します。


監督のスタイルより重要なのは、それを実行する選手がチーム内に存在するかです。
フィッカデンティといえど、自分の戦術を実行するために必要なキーマンがいなければ、力を発揮できません。
強化部のバックアップ失くしては、強いチームは作れません。
監督一人の力でできることは限られています。
監督の実践するための戦力、キーマンがチームに在籍するか。
プレースタイルは、監督だけのものではなく、選手の色が強くかかわってきます。



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hototogisuguradora at 21:02|PermalinkComments(22)グランパス 2019 

2019年09月23日

『グランパス』新監督フィッカデンティについて。

風間監督の解約解除と、フィッカデンティ監督の就任が正式に発表されました。
風間監督については、後日、ブログで書こうと思います。


意外かもしれませんが、私はフィッカデンティ監督を一定の評価はしていますし、悪い監督ではないと思っています。
カリアリ時代に、乏しい戦力と、難しい会長の下で残留を勝ち取った手腕は、ポジティブに捉えられるものだったからです。


フィッカデンティ監督についてブログを書こうと決め、改めて資料を漁ると、意外と忘れていたことが多かったので、再発見ではありませんが、ちょっと驚いてしまいました。
2010~2011年シーズン、サッカーダイジェストの選手名鑑の、チェゼーナ時代のフィッカデンティ監督の紹介には、4-3-3の攻撃サッカーを掲げると書いてありました(驚愕!!!)。
ちょうど、長友佑都がイタリアに渡った年でしたね。


カリアリ、FC東京、鳥栖では、4-3-1-2が基本システムで、4-3-3の使い手だった時代があったことにびっくりしました。
それと、FC東京に入団した2014年のサッカーダイジェストの選手名鑑には、名古屋(グランパス)のオファーをきっかけに日本に興味を深め、と書いてありました。
おそらく、ピクシー政権の後期(2012年~2013年)あたりに、声をかけた候補に再度アプローチした格好の、2019年の監督招聘になりました。



中盤に戦術眼と展開量に優れた選手、両サイドにはスピードと持久力がある選手、最前線には基準点となって周囲と絡むフィジカルの強いFWを置くことを好むそうです。




日本に来日してからは、基本システムは4-3-1-2。
4-3-3(4-1-4-1)、中盤がフラットな4-4-2、3-5-2と、相手と状況に応じてシステムを変更する監督でもあります。
選手の絡みもありますが、グランパスのサイドにはスピードがあっても持久力があるタイプの選手が少ないので基本のシステムは4-3-1-2になるのではと予想します。




SBは、風間監督のようにボランチ的な働きは期待されないと思うので、宮原は序列を下げるような気がします。
必要なポジショニングを理解する、かつての教え子である太田が左SB、吉田が右SBのファーストチョイスになるのではないでしょうか。


CBは、丸山と中谷がファーストチョイス。
千葉と藤井の3番手を争いは、経験値で上回る千葉が序列を回復するかもしれません。


トレスボランチの真ん中は、戦術眼と展開力に優れたシミッチ。
運動量が要求される左右のインサイドハーフの一角は米本が務めるでしょう。
宮原はSBとしてより、こちらに編入される可能性があるような気がします。

風間監督下では戦力外だった、山田康太は得意なインサイドハーフのポジションが生まれ、序列を上げることも考えられます。
伊藤洋輝も、フィッカデンティにポジショニングを教えられ、守備の戦術眼が向上すれば、出場機会が増えることもありえます。


ポリバレントな和泉は、試合途中でシステムを変えるフィッカデンティ監督のサッカーでも重宝されそうで、インサイドハーフの一角を務めるだけでなく、複数のポジションでの起用がなされるのではないでしょうか。





問題点、不安点があるとすれば、トップ下とFW。
仮に、フィッカデンティ監督が堅守速攻のスタイルを維持するなら、カウンターを成立させる決定力と推進力のあるFWは必要です。
それと、攻撃の意外性、アイディアはトップ下のイマジネーションとファンタージーに依存する傾向があるので、ここがハマらないと、得点力不足に陥る危険性があります。


FC東京時代は、カウンターを完結させる推進力のあるエース武藤嘉紀が移籍して失速。
鳥栖時代は、攻撃を牽引したトップ下の鎌田大地が移籍すると、補強で穴埋めができず、得点が奪えなくなり閉塞感にチームが包まれ、監督退任に追い込まれました。




フィッカデンティ監督が成功したいなら、トップ下とFWの選手層が充実していることが重要です。



トップ下は、シャビエルが一番になります。
守備のタスクをこなしながら、攻撃面でも貢献できるかに、若干の不安があります。
2番手は和泉。
個人的に期待したいのが青木で、ここにハマったら、相当おもしろい存在になると思っています。



問題がFW。
基準点となり、周囲と連携できるフィジカルの強いFWとしては、ジョーがファーストチョイス。
ただ、ロングカウンターをするための、ロングスプリントができないので、守備ブロックに入らずに前残りしないと、カウンタースタイルでは活きない可能性があります。
フィッカデンティは、ジョーの守備を免除することはないと思うので、このあたりのバランスを、どのように取るのかが気になるところです。


赤崎、杉森、深堀らのFW陣が、カウンターを完結する能力があるかは疑問。
スピードのある深堀が序列を上げる可能性はありますが、期待される決定力を発揮できないと、チームは決定力不足に悩まされることになりそうです。


サイドハーフのポジションはなくなるので、前田が生き残るには2トップの一角で、武藤嘉紀ばりの推進力を発揮し、独力で状況を打開する働きが求められます。
それができないと、4-3-3を使用する際の、オプションという位置づけになるでしょう。


器用貧乏のアーリア、戦術的インテンシティーがないネットの起用法に興味はあります。
フィジカルが足りないテクニシャンの渡邉柊斗と、成瀬は序列が大きく下がることも考えられます。
ドリブル職人の榎本は、戦術眼に疑問があるので、新監督のフィロソフィーに染まれないと厳しいかな~とも想像します。



スタメン予想
GK:ミッチ
DF(左から):太田、丸山、中谷、吉田
トレスボランチ(左から):和泉、シミッチ、米本(宮原)
トップ下:シャビエル
FW:ジョー、前田


フィッカデンティの今までの、傾向からこうなるのではと予想します。






トリックも、犯人もネタバレされた推理小説。
フィッカデンティ監督就任については、こんな感想を持っています。


カウンターサッカーで重要なのが、少ないチャンスをモノにするFW。
ジョー以外のFWに、全幅の信頼が寄せられない編成。
ジョーにも守備のタスクが与えられるので、負担が軽かったときのように得点力を発揮できるか?


PA付近で違いを作り、自らもフィニッシの役割も担うトップ下。
シャビエルがフィットしないと、鎌田が抜けた鳥栖のように、攻撃に変化が生まれず、相手は守りやすくなります。


武藤が抜けたFC東京、鎌田が抜けた鳥栖。
FWとトップ下が機能しないと、フィッカデンティ監督の堅守速攻は行き詰まる未来が訪れます。


監督の志向数サッカーは180度転換します。
短期間なら、足りない部分を補う形で、好結果を迎える可能性はあります。
しかし、長期間になると、監督の戦術に必要な選手が足りない影響は、確実に結果に表れます。


フィッカデンティ監督のサッカーに必要なFW、トップ下、数が不足するインサイドハーフ。
このあたりの問題を解消しないと、遠くない未来に、風間監督に向けられた批判が、フィッカデンティに向けられても、私は驚かないです。





フィッカデンティが浪人時代に初心にかえって、4-3-3の攻撃的なサッカーを学び直して、風間監督に足りなかった守備面を補修できれば、意外と好成績を残すかもしれません。
山田康太と伊藤洋輝の成長にいい影響が出ることも期待しています。
(スピードと持久力のある選手が足りないので、4-3-3は現時点では難しいのですが……)



フィッカデンティ監督が変わっていなくて、強化部が彼に必要な選手を補強しなければ……
来年の今頃、生贄の祭壇に誰かが捧げられるのでしょう。
結果重視の監督で、結果が出なかったときの、悲惨さたるや。
おそらく、風間監督ほどの猶予は、フィッカデンティには与えられないでしょう。



新監督には、グランパスファミリーを幸せにする働きを期待しています。



フィッカデンティ監督に対しての、過去のメディアの記事

            ↓



J初の「カルチョ・スタイル」がFC東京を変える スポルティーバ

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FC東京のフィッカデンティ新監督は、 ザックによく似た“リアリスト”? ナンバー

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