気になるニュース

以下が気になるニュースの概略です

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熊本県天草市の県営路木(ろぎ)ダム建設に反対する地元住民らが県知事に
事業費返還などを求めた訴訟で、報道番組を録画したDVDなどが無断で
証拠申請され、採用されたとして、RKK熊本放送(熊本市)は4日、
熊本地裁と原告団に抗議書を提出した。
同社によると、報道番組は2010年10月に放送された「ムーブ 路木ダ
ムから見える風景」(30分)。原告弁護団は、同社に無断で番組を録画し
たDVDと、音声を書き起こしたA4判5枚を証拠申請し、地裁が採用した。
2月28日に言い渡された判決では、ダムの早期建設を陳情していた地元首長
へのインタビューの一部が引用された。
同社は抗議書で、「放送した番組の一部が証拠として使用されることは報道
機関と情報提供者との間の信頼関係を損ない、取材・報道の自由に重大な
制約を招き、国民の知る権利を大きく侵害する恐れがある」と指摘した。
(2014年3月6日 読売新聞)

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まず、この記事で気になる部分が2点ありますので、上げておきます。
(1)放送局側の一方的な主張しかでていない記事である点です。

記事にするのであれば、ちゃんと双方の主張を載せるべきだと思います。
この記事には緊急性を感じさせるものがありません。例えば、緊急性が高く
早急に「ある事実」を市民に伝えなければならない、などの理由があれば
不完全な情報でも記事にして報道する必要性が高いと思います。
でも、この記事にはそのような緊急性は感じられません。
双方の主張を取材し、それをともに伝えてこそ「報道の中立性」が担保される
と思いますし、「報道の真実性」が担保されると思います。
しかし、この記事には一方的な内容しか記事にされていません。
確かに、良い悪いの判断はこの記事を書いた記者は文面には出していません。
でも、このように一方の主張のみを載せることで載せた側の主張を「正当なもの」
と誤解させる恐れがあると、私は考えます。

続いて、2点目の「気になる点」ですが、地裁側の主張が載っていないので、ここから
先は私の考えですが、
(2)仮に放送局側の主張が通る、とすると、おかしな事象が世の中に蔓延するおそれがある。
、と私は考えます。
どういうことかと言うと、仮に被疑者等が取材で述べたことが証拠採用できないとすると
放送で述べることは、勝手な主張がまかり通ることとなり、「本当の真実」が隠ぺいされる
可能性が出てくると思うのです。
仮に被疑者が放送局の取材に応えて、歪曲した事実(=ウソ)をぺらぺらとしゃべり、その点を
放送局が見抜けない場合、放送局は被疑者のウソを正当化するのに手を貸すことになります。
そして、その放送を「ウソつき」であるとの証拠につかうことができなくなれば放送局は
被疑者の手先と化してしまいます。
公共の電波を使って公共にニュースを流す以上、それはいかなる証拠として採用されても仕方がない
と考えなければ、放送局としての責任を果たすことにはならないと思います。
どんな放送をしても、「その内容そのものの真実性を疑われても裁判所でその内容を証拠として
使えない」となると、放送局はいい加減な取材でいい加減な内容を流しても無罪放免になってしまう
可能性があると思うのです。
ちょっとわかりにくいかも知れませんが、要は、「違法なものでない限り、真実を知るためには
その障害となるものは、取り除かれなければならない」と考えます。
従って、真実を示すために必要なら、放送のDVDなどを証拠として採用することに何ら問題は
ないと考えるわけです。
もちろん、その放送の内容が「違法な内容である場合」や「放送を証拠として採用すると第三者
に迷惑等が掛かる場合」はその都度検討が必要なことは言うまでもありませんが・・・。
今回の件は、「放送した番組の一部が証拠として使用されることは報道機関と情報提供者との
間の信頼関係を損ない、取材・報道の自由に重大な制約を招き、国民の知る権利を大きく侵害
する恐れがある」と指摘していますが、報道済みの内容、公開された公共電波に乗った内容で
あれば、この放送局の主張はまったくナンセンスな主張としか感じられません。
番組は当然、不特定多数の方々が視聴可能であり、あるいは視聴したはずなのですから、それを
あらためて裁判所に提出されると、情報提供者に迷惑がかかるという図式が理解できませんので。
でも、もしかしたら、この放送局は「無断で」というところだけが問題と言っているのかも
しれません。要は、「無断じゃなく、ちゃんと一言、言ってほしい」というのならわかるのですがね。