不動産登記

2019年10月15日

登記相談について

Q 私は、ある建物を所有していますが、この度、Bさんに売却することにしました。
法務局のホームページを見たところ、所有権移転の登記申請書の見本が掲示されていたので、ダウンロードしました。
売買契約書を作成するのは初めてなので、ダウンロードした見本を法務局に持って行って、登記相談を受けながら、相談コーナーで売買契約書を作成したいと思っていますが、予約して行ったらいいですか?


A 「登記相談」は、事前予約制で受け付けていますが、売買契約書の作成方法の相談は、「売買契約書の作成支援」に当たると考えられ、「登記相談」に該当しないので、相談を受けることができません。

法務局は、受付をした登記申請書を審査し、登録し、公証する機関です。
審査機関である法務局が、審査対象となる申請書の添付書類である売買契約書の作成支援を行うことはできません。
法務局の職員や登記相談員が、個別具体的な内容についての相談を受け、契約書に記載すべき内容を具体的に教示する行為については, 司法書士法第3条第1項第5号に該当する可能性もあります。
売買契約書の作成方法について、相談を受けている公的機関はないと考えられますので、資格者代理人に依頼しないのであれば、市販図書を購入するか、インターネットで検索するなどして、自力で調べる必要があります。



houmu4180 at 22:21|Permalink

2016年06月21日

登記相談の予約制導入後の主なトラブルについて

全国各地の法務局で登記相談の予約制が始まっています。

予約制の導入に伴い、新たに登記所で発生している問題について、簡単にまとめてみました。

1 提出できないレベルの申請書が窓口に提出されようとした場合の対応について
 従来、提出できないレベルの申請書、具体的には、印紙が貼付されていない、押印が全くない、バラバラ、申請書自体が作成されておらず添付書類しかない、明らかに添付書類が不足しているなどの事案について、甲号受付に申請書が提出されようとした場合、受付担当職員は見た瞬間に不備があるのがわかることから、補正のトラブルを回避するため、申請前に登記相談コーナーを案内していたところであるが、予約制の関係でこれができなくなったので、重大な補正があることを100パーセント承知で受けつけるか、やむを得ず職員が相談を受けるかの不本意な二者択一を迫られることとなった。

2 金融機関に対する周知が不十分
 「抵当権抹消の本人申請について」でも書いたところであるが、銀行は、「法務局に書類をもって行けば申請書を作ってもらえる」的なことを言っているようなので、これを真に受けて来庁した者とのトラブルが多い。
 以前は、前述のような対応で、補正のトラブルを回避していたが、これができなくなったので、押し問答的なトラブルに発展することがよくある。
 予約制を導入するのであれば、金融機関に対する情報提供と周知が必要不可欠であるが、これがなされていない。

3 電話相談の対応について
 従来、登記相談員が空いているときは、電話相談も登記相談員に任せていたところであるが、ほぼビッシリと相談予約が入っており、相談員に転送することができない。以前は、職員が電話相談を受けていたところであるが、幹部から「電話相談は受けるな、予約に回せ」と指示されているので、予約した上で来庁するよう促すが、「忙しい」とか、「1回で済ませたい」とか、自分勝手な理由で来庁を拒否する者が多く、その結果、無用なトラブルが発生し、登記相談を受けるのより長電話になったりする。

4 登記相談の予約の受付について
 予約の電話がひっきりなしにかかってくるので、職員が非常に手をとられる。総括係の仕事が増え、不本意な残業を余儀なくされる。総括係が不在の際は、調査・記入・校合に従事している職員が電話をとらざるを得ず、特に総括係が休暇・出張の際は、仕事にならない。必然的に事件処理に時間がかかる。



houmu4180 at 00:08|Permalink

2015年10月24日

登記相談の予約制について

大阪法務局でも登記相談の予約制が始まっていますね。

登記相談は、人権相談と異なり、法務局の本来業務ではないので、あくまで、行政サービスの一環として行っているものです。つまり、登記相談は、各登記所が、各登記所の実情に応じて、事情の許す範囲で行えばよい性質のものです。

ところで、近年、国民の権利意識の向上と、景気の悪化により、本人申請が増加する一方であり、各登記所が登記相談にかなりの時間と労力を割かれるようになりました。その解消策として、登記所側が相談者の来庁する時間をコントロール(交通整理)することを目的として、登記相談の予約制が導入されました。

しかし、登記相談の予約制を始めたことについて、各局が各局のホームページに掲示してはいますが、それだけでは周知が不十分であるのが明らかです。

例えば、3か月前に予約なしで来庁した人が、次回、窓口に再来した際、「先月から予約制が始まったので、今日は帰ってくれ。」と言われてそのまま帰ってくれるのでしょうか。到底そうは思えません。

また、土地柄、地域柄もあると思います。おとなしく帰ってくれる地域もあれば、高い確率でトラブルになる地域もあると思います。大阪は大丈夫なのでしょうか?現場の職員に十分な説明をすることも、理解を得ることもなく、トップダウンで予約制の導入を決めてしまったのではないでしょうか?

登記相談員が配置されている登記所については、来庁した順に待ってもらえばいいだけの話なので、登記相談の予約制を導入する必要性は全くないと思っています。来庁者・金融機関等への周知が不十分な状況にある中で、拙速な導入は、予約制を知らないで来庁した人とのトラブルが激増することが目にみえています。

houmu4180 at 12:00|Permalink

2012年01月29日

抵当権抹消の本人申請について

Q この度、住宅ローンを完済しました。銀行から抵当権弁済証書と抵当権設定したときの登記済証(抵当権設定証書)を手渡され、法務局に持っていくよう言われました。
銀行担当者によると、「簡単だからすぐできる」そうです。
法務局に何をしに行くのかよくわかりませんが、何か手続きがあるのですか。
また、すぐに終わるのですか。

A 住宅ローンを完済しても、「住宅ローンを完済した」という登記申請をしないと、登記簿上、抵当権が残ったままになってしまいます。
よって、「抵当権抹消の登記申請」が必要となります。
しかし、登記申請は、すぐにできるものではありません。

登記簿謄本(登記事項証明書)をとるのと違い、登記申請は「申請書に書き込んで窓口に出して終わり」というものではありません。
申請書自体を1から作成していただく必要があります(法務局ホームページから見本をダウンロードすることもできます。)。

登記申請には、簡単なものから複雑なものまでありますが、抵当権抹消は比較的簡単な部類になります。
しかし、簡単かどうかの判断は、個々人の能力によるので、一概に言えるものではありません。

住宅ローンを完済した場合、選択肢は2つあります。
1つは司法書士(行政書士ではありません。)に頼むこと。もう1つは自分で手続きすることです。

司法書士に依頼した場合、依頼料(報酬)を払えば後は全て任せることができるので、時間と労力をかけずにすみます。
自分でする場合、依頼料を払わなくてすむので、登録免許税だけ負担すればよく、安くあげることができますが、書類を作る手間と法務局まで赴く労力(普通、3回は来庁する必要があります。)がかかります。また、法務局は土日休みなので、会社を休まないといけない可能性もあります。

結局、お金を払って手間をかけないか、手間はかかってもいいので安くあげるか2つに1つです。

大規模な法務局には登記相談員が配置されているので、時間があれば、1度直接赴いて一通り説明を受け、司法書士に依頼するのか、自分で申請するのか判断してはどうでしょうか。

銀行担当者の「簡単だからすぐできる」という説明はウソです。
5分や10分でできるものではないです。
銀行担当者がウソをつくので、申請人・法務局とも大変迷惑しています。

houmu4180 at 00:23|Permalink