『 仏説観無量寿経(観経) 』
2004年12月18日
｢もし念仏するものは、まさに知(し)るべし、この人はこれ人中(にんちゅう)の分陀利華(ふんだりけ)なり。(中略)なんぢよくこの語(ご)を持(たも)て。この語を持てといふは、すなはちこれ無量寿仏(むりょうじゅぶつ)の名(みな)を持(たも)てとなり｣(聖典p117)もし念仏すものがいるならば、その人は白く清らかな蓮の花とたたえられる尊い人であると知るがよい。(中略)あなたはそのことをしっかり心にとどめなさい。このことを心にとどめるということは、すなわち無量寿仏の名を心にとどめよということである。
『観経』さいごの流通分(るずうぶん)というところです。お念仏は泥の中に咲く白蓮華の花のように、苦悩の人生を尊いものに転じます。まわりのいのちを分け隔てて勝手に生きているわたくしの人生が、実はまわりに育てながら生かされている人生であったことに気づいていきたいものです。『大経』も『観経』の示すところの名号(南無阿弥陀仏)におさまります。そしてそれが、釈尊の本意だということが味わえます。(『観経』おわり)
(19:50)
2004年12月17日
｢この語(ご)を説きたまふ時、韋提希(いだいけ)、五百の侍女(じにょ)とともに仏(ぶつ)の所説(しょせつ)を聞き、時に応(おう)じてすなはち極楽世界(ごくらくせかい)の広長(こうじょう)の相(そう)を見たてまつる。｣(聖典p116)釈尊がこのようにお説きになると、イダイケは、五百人の侍女とともにその教えを聞いて、すぐに浄土の広大なすぐれた光景を見たのである。
●ここまでの散善の観法は、特別な道を示す定善の観法と違って、すべての人々に等しく阿弥陀如来の慈悲がかけられている法を説いています。その願いのうちに自己中心のわたくしの姿が照らしだされ、また、そのわたくしこそが如来の慈悲に摂取されている身であることに気づかせられることです。そのことが、イダイケだけではなく、まわりの侍女たちも共々浄土への道が開けたということでしょう。
(17:52)
2004年12月16日
｢下品下生(げぼんげしょう)といふは、あるいは衆生(しゅじょう)ありて、不善業(ふぜんごう)たる五逆・十悪(ごぎゃく・じゅうあく)を作り、もろもろの不善を具(ぐ)せん。かくのごときの愚人(ぐにん)、悪業(あくごう)をもつてのゆゑに悪道(あくどう)に堕(だ)し、多劫(たこう)を経歴(きょうりゃく)して苦を受くること窮(きわ)まりなかるべし。｣(聖典p115)下品下生の人々は、もっとも重い五逆や十悪の罪を犯し、その他さまざまな悪い行いをしている。このような愚かな人は、悪い行いの報いとして悪い世界に落ち、計り知れないほどの長い間、限りない苦しみを受けなければならない。
●ここに至って、いかに自力から離れられないわたくしの姿を底の底から知らされます。頭の下がる思いです。
(18:43)
2004年12月14日
｢下品中生(げぼんちゅうしょう)といふは、あるいは衆生(しゅじょう)ありて、五戒・八戒および具足戒(ぐそくかい)を毀犯(きぼん)せん。かくのごときの愚人(ぐにん)、僧祇物(そうぎもつ)を偸(ぬす)み、現前僧物(げんぜんそうもつ)を盗(ぬす)み、不浄説法(ふじょうせっぽう)して、慚愧(ざんぎ)あることなく、もろもろの悪業(あくごう)をもつてみづから荘厳(しょうごん)す。｣(聖典p114)下品中生の人々は、五戒(→前述)や八戒(→前述)や具足戒(いわゆる小乗仏教の戒律)を犯し破っている。このような愚かな人は、教団の共有物を奪い、僧侶に施されたものを盗み、さらに自分中心の教えを説いて恥ずかしく思うこともなく、いろいろな悪い行いを重ねてそれを自らほこってさえいる。
●大変厳しいお言葉に、すべて与えられ生かされていることを忘れているわたくしを、ただ思い知らされるばかりです。
(17:25)
2004年12月10日
｢下品上生(げぼんじょうしょう)といふは、あるいは衆生(しゅじょう)ありて、もろもろの悪業(あくごう)を作らん。方等経典(ほうどうきょうてん)を誹謗(ひぼう)せずといへども、かくのごときの愚人(ぐにん)、多く衆悪(しゅあく)を造(つく)りて慚愧(ざんぎ)あることなけん。｣(聖典p113)下品上生の人々は、さまざまな悪い行いをするものである。大乗の経典をけなすようなことはしないが、このようなおろかな人は、多くの悪い行いをしても恥じ入ることがない。
●上品や中品の人々は、少なからず仏法を求めていこうとしていたけれど、下品の人々は仏法から遠ざかろうとする人々です。この姿こそがわたくし自身の姿であることを、しっかり聞かせていただかなくてはならないと思います。
(19:34)
2004年12月09日
2004年12月08日
｢中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう)といふは、もし衆生(しゅじょう)ありて、もしは一日一夜に八戒斎(はっかいさい)を受持(じゅじ)し、もしは一日一夜に沙弥戒(しゃみかい)を持(たも)ち、もしは一日一夜に具足戒(ぐそくかい)を持ちて、威儀(いぎ)欠(か)くることなし。この功徳をもつて回向(えこう)して極楽国に生(しょう)ぜんと願求(がんぐ)す。｣(聖典p112)中品中生の人々は、一日一夜の間八戒を守り、また一日一夜の間沙弥戒(見習い僧侶が行う戒律)を守り、また一日一夜の間具足戒(出家僧侶が行う戒律)を守って、行いを正すのである。その功徳をもってお浄土に生まれたいと願い求めるのである。
●普通に生活する人々がもつ宗教的な欲求が中品中生です。私たち人間は心の奥底に、より良く生きたいという願いを常に持っていることが示されていると思います。
(17:37)
2004年12月06日
｢中品上生(ちゅうぼんじょうしょう)といふは、もし衆生(しゅじょう)ありて、五戒(ごかい)を受持(じゅじ)し、八戒斎(はっかいさい)を持(たも)ち、諸戒(しょかい)を修行して、五逆(ごぎゃく)を造らず、もろもろの過患(かげん)なからん。この善根(ぜんこん)をもつて回向(えこう)して西方極楽世界に生ぜんと願求(がんぐ)す。｣(聖典p111)中品上生の人々は、五戒(�〇Δ垢吻�盗むな��みだらな行為をするな�いΔ修鬚弔�な�ゼ鬚魄�むな)を受け、八戒(五戒に�γ緇�らない�Э俺颪覆匹墨家颪靴覆き�昼以降食事しないを加えたもの)を保ち、その他のさまざまな戒律を守って五逆の罪をつくらず、いろいろなあやまちを犯さないように努め、それらの功徳をもってお浄土に生まれたいと願い求める。
●五戒八戒は、在家者が出家者の行をすすんで努めようとする戒律です。中品上生の人々は在家者として理想的な人生のあり方なのです。しかし、いくら理想を描いても、五戒ほど困難・不可能な修行はないということが身にしみて理解されます。
(19:11)
2004年12月03日
2004年12月02日
｢上品中生(じょうぼんちゅうしょう)といふは、かならずしも方等経典(ほうどうきょうてん)を受持(じゅじ)し読誦(どくじゅ)せざれども、よく義趣(ぎしゅ)を解(さと)り、第一義(だいいちぎ)において心驚(しんきょう)動(どう)ぜず。深く因果(いんが)を信じて大乗を謗(そし)らず。この功徳をもつて回向(えこう)して極楽国に生(しょう)ぜんと願求(がんぐ)す。｣(聖典p109)上品中生の人々は、必ずしも大乗の経典に心を保って口にとなえるとは限らないが、その意味を理解し、真実を聞いても驚き戸惑うことはない。深く因果の道理を信じて大乗の教えをけなさない。この功徳をもってお浄土に生まれたいと願うのである。
●上品上生の人々のように理想的な宗教生活ではないにしても、仏教を知って身をつつしんでいこうとする人々を上品中生といいます。我が身を振り返ることによって、本当の自分の姿が明らかになっていくことが味わわれます。
(20:31)
