ハイレゾに関わり、改めて「良い音楽」、「良い音」とは何かを考える機会ができました。
 

良い音=良い音楽では無いと私は考えます。
 

良い音楽を考える上で音楽とは人間にとってどういう存在なのかと言うことも重要だと思いますが、これはかなり長くなりそうなので、改めて書きます。
 

まずは、「良い音楽」とは何なのか考えてみました。
 

分かりやすいのは、ヒットした曲が「良い音楽」という考え方です。しかし、ヒットするというのはどういうことなのでしょう?いろんなチャートで上位に入った音楽ということですよね。すなわち、大衆音楽として多くの人に支持された音楽ということですね。
 

多くの人に支持されるためには、その音楽を唄っているミュージシャンのファンの母数に左右されます。その他、テレビやラジオで何度も聴くことで好きになる人が増えるということもあるます。
 

曲をヒットさせるためにCMやドラマのタイアップやラジオなどでのヘビー・ローテーションで顧客に刷りこんでヒットさせる手法がこれまで行われていました。
 

ヒットは、アーティストや楽曲だけでなく、マーケティング、プロモーションとタイミングによる賜物だと思います。でも、ヒットした曲が何年もの間人々の心に残っているかと言うと、必ずしもそうでは無いのではないでしょうか?
 

「良い音楽」の定義としていつまでも親しまれる名曲というものもあります。例えば200411月ローリング・ストーン誌特別版で同誌が選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500を見ると必ずしもチャート上位にある曲ばかりではありません。例えば、9位に入ったニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は全米で6位だった曲だったりします。
 

多くの曲が全米1位に輝いたにも関わらず、全米6位だった曲がオールタイム・グレイテスト・ソング500に選ばれるということは、ヒット曲=良い曲ばかりではないということですね。
 

絵画でも絵を描いたときには評価されていなくても、死後評価されたゴッホなどもいるわけですから、音楽でも同様のことがあってもおかしくないでしょう。
 

ごく一部のファンに支持され、そのファンがミュージシャンになり、リスペクトしたアーティストの曲をカヴァーしてアルバムに入っていることもあります。
 

その音楽は、そのミュージシャンを生みだした影響のある音楽として「良い音楽」として評価されることもあるでしょう。
 

一方、個人個人の趣味趣向の違いもあります。いくらクラシックが好きな方にロックの名曲を「良い音楽」と言っても聴くことはないでしょうね。
 

一言で「良い音楽」と言えてもいろいろな状況によって意味合いが違うということが分かります。

「良い音楽」というのは主観性の強い表現だと言うことですね。
 

今回「ON the ROAD」では、私たちが許諾を得られた楽曲から、それぞれのジャンル、その分野を専門に研究されている評論家の方に、それぞれの視点で選曲して頂きました。ジャズ、ソウル、ブルースという3つのジャンルで、評論家の方がその音楽シーンを振り返り、次の世代に残して聴いてもらいたい曲をカテゴリー別でお願いしました。

これは次の世代にこのような曲があったことを伝えたいというメッセージでもあります。
 

さらに全てのアーティストと楽曲に解説を書いたものを読みながら、皆さんには聴いて頂ければと思っています。
 

評論家の先生方が選んだ曲を「良い音楽」表現するのは適切ではないと思いました。「良い」という言葉には主観的な言い方ですし、趣味趣向のある音楽という分野で全ての人に「良い音楽」と思われるものは存在しないと思いました。
 

ON the ROAD」は、『音楽評論家が次世代に残したい、聴いてもらいたい曲として選曲した音楽を収録した作品』という言い方が今後良いかなと思いました。


選曲された音楽を解説書を見ながら、楽しんで聴いて頂ければと思います。