2018年02月14日

バレンタインは無縁だけれど

ご無沙汰してます。

僕は今、バイト帰りになんとなく寄った喫茶店で、このブログを書き始めています。


そんな僕と少し離れた席には、若い女の子たちのグループがいて、
その中の一人が、
「明日が来てほしいけど来てほしくない…!」
と、少し震える声で叫んでいました。


明日なにか大事な予定でもあるのだろうかと思ったのち、どうやらバレンタインのことを言っているらしいことに気がつきました。
その後も同じトーンで「結果聞きたいけど聞きたくない…!」と言っていたので、明日なにかの行動を起こすつもりなのでしょう。その来てほしいけど来てほしくない明日とやらが眩しすぎて、バイトくらいしか予定のない僕は、明日がくすんで見えています。



しかしまあ、こういうイベントごとは悪く言われることも多いけど、なにか行動したいと思っている人の背中を押してくれるという意味では、すごく素敵なことのように思います。
余談ですが僕は30歳の誕生日、わざわざ単身ドバイまで飛びました。これも誕生日というイベントの為せる技です。






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(※ドバイで買ったチョコレート)











しかしふと思えば、バレンタインなどというものとは無縁の人生を送ってきました。


子供のころから、縁がなかった。
物心ついたときからそうだったので、なにか前世で悪いことでもしたのかもしれません。



あれは幼稚園のころ。自分のクラスのドアの近くで遊んでいると、
4~5人の女の子の集団がやってきて、
「よし君呼んで」
と、僕に向かって言いました。

「よし君」というのは、当然よしおである僕、のことではなく、頭もよくて運動もできて背も高く優しいという、ドラえもんでたとえるなら「出来杉君」のような存在の、僕の友人でした。

なのですぐに誰を呼べばいいかはわかったのですが、
よせばいいのに、僕はふざけて、
「俺も『よし君』だよ」
と、女の子たちに言いました。

すると女の子の集団は、みな一様に険しい顔で首を横に振り、
「違う。かっこいい方の、よし君。」
と言いました。

かっこいい方のよし君。当時幼稚園児であった僕にも、その言葉の意味は痛いほどわかりました。かっこいい方がいるということは、かっこよくない方がいるということ。それは僕。まだ5年そこそこしか生きていないのに突きつけられる、「じゃない方」のレッテル。
その瞬間は明らかにとんでもなく傷ついていましたが、「ああ、うん」などと半笑いで答えた後、走ってかっこいい方のよし君を呼びに行きました。パシリの職務を全うするかっこよくない方のよし君。僕がのび太だったら帰って猫型ロボットに泣きついているところですが、あいにく家にはそのようなものはいませんでした。
























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小学校に上がったあとも、似たようなことがありました。

それはある日の授業参観。
の、次の日。

朝登校して自分の席に座っていると、唐突に隣の席の女の子から、

「昨日うちのお母さんが、あんたのこと「かっこいいね」って言ってたから、「違う、全然かっこよくない」、って言っといたよ」

と、伝えられました。


いったいなにを伝えられたのか。瞬間的には、まったく理解が追いつきませんでした。


これが漫画やアニメの類いなら、「ア、アンタなんか全然かっこよくないんだからねっ!!」というような、いわゆる照れ隠しのあまり逆説的になってしまった好意の表明、俗称ツンデレととることもできましたが、
その子の冷静な口調からは、有無を言わせぬ結論めいたものが漂っていました。

すなわち「お前は全然かっこよくない。これは宇宙の真理であり、それを信じぬものは実の母といえども狂っている」というくらいの勢い。少しでも勘違いすることは許さないという強い意志。俺はこの子になにか悪いことでもしたのだろうか。そうでなければこわいから、むしろそうであってほしい。


そんな時を経て再び言われた「違う、かっこよくない」の言葉にすさまじいショックを受けつつも、「別にお母さんがそう思うんならそれでいいんじゃない…?」と、小さな声で言った気がします。いま再びの、半笑い、にて。顔で笑って心で泣いて。かっこよくない方のよし君は、その言葉を誰に教わらなくとも知っています。


















そんな幼稚園と小学校時代を過ごして、中学も2年になったときの話です。

「堀君のこと、好きって言ってる子がいるんだけど」

と、なぜかことあるごとに言ってくれるクラスメイトが現れました。ここで言う堀というのは僕のことです。


唐突に訪れた春の気配に、所詮中2ですから「誰のことや!」と気になってしょうがなかったのですが、仮に問い詰めた果てに、もしもその子本人だったら…などと情けないことを考え、今一歩踏み込むことのできぬままに日々は流れていきました。
その子と付き合うことは、おこがましいことに、当時の僕には考えられなかったのです。

その子は、男性の好みのタイプを聞かれ、周りがジャニーズだGLAYだラルクだと騒いでいても「ウッチャンナンチャンのウッチャンが一番好き!」とまっすぐに答える子でした。
付き合うことは考えられないけど、その姿勢はとてもかっこいいなあと思っていたことを、しみじみ思い出します。


そうして結局、僕を好きと言っていたのは誰なのか知れないまま中学も卒業し、その後その子に会うこともありませんでした。


























そして成人もしてしばらく経った数年前。風の噂でその子が、「おなべになった」という話を聞きました。
今はどうやら、男性として生きているそうです。


その話に関して言える言葉を、僕は持っていません。人が選んだ生き方になにか言えるはずなどないし、噂が本当かどうかもわからないし。
ただ本当なら、「ちょっとだけ複雑になったなー…」という感想だけが、あります。

僕は中学時代に僕のことを好きと言ってくれてた人を知りたかっただけなのに。その子か別の人かくらいの疑問だったものが、今やその子が当時は女性として異性の僕を好きでいてくれたのか、
それとも当時すでに男性として同性の僕を好きでいてくれたのか、
はたまた別に誰かいて、実はその人を男性として異性として好きだったけどむしろ応援しようと僕に伝えてきたのか。
膨らむ選択肢にエントロピーの増大という宇宙の法則を思わずにはいられません。っていうか本当に誰かいたんだろうか。今となっては、それすらもわかりません。




まあ、おかげさまで結構楽しい。




結局この先、あの子が言っていたのが誰なのかを知れることはないだろうし、冒頭の「明日が来てほしいけど来てほしくない」女の子が明日どうなるのかも知る由がないけれど、その分想像して楽しめる。
複雑な方がおもしろいのは、宇宙と一緒なのです。


ただ、勇気を持って行動した人たちが、なんにせいい方向に行ってくれるといいなあと、
そんなことだけ、祈っています。


hr440 at 01:06|PermalinkComments(1)日常 

2017年12月31日

独善コミック大賞2017

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さあさあやってまいりました。
年末いつもの風物詩、独善コミック大賞2017のお時間です。


これは、私「善雄」が「今年読んだ漫画単行本」で「おもしろかったもの」を、独断と偏見で無理やりランキングにしてご紹介する、独り善がりかつなんの権威も存在しない、ごくごく個人的な賞レースです。

しかしなんだかんだですでに閉鎖した昔のブログにまでさかのぼると、今年で開催7回目を数えることとなりました。だからこの賞の存在を知らなかった者は、己の無知を恥じ入るべきです。さあ恥ずかしがれ。赤面しろ。ごめんなさい、怒りで顔を赤くするのをやめてください。





では、さっそくランキングの発表に移りましょう。

さらば酉年、こんにちは戌年!
一番好きな犬種は柴犬です。


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第10位
古見さんはコミュ障です/オダトモヒト
(既刊7巻、以下続刊)

ヒロインは超のつく美人で、ただ人と話すことがすごく苦手。そのことを見抜いてしまった只野君という男の子が気持ちをくみ取ってあげたりしながら、古見さんがいろんな人とのコミュニケーションを頑張っていくストーリー。交流を諦めない、優しいお話です。そしてこの只野君が、目立った特徴はないけれど、察する能力と優しさに溢れててかっこいいんだ。今の時代のかっこいいって、こういうことなのかもしれませんな!










第9位




セトウツミ/此元和津也
(全8巻完結)

男子高校生2人がずっと喋っているだけの漫画と聞いたとき、ゆるくだらだらした日常系かなと思いましたが、どっこい。とんでもなく高度な掛け合いの応酬でかなり笑わされ、話の端々に出てくる考え方などには感服すらさせられます。キャラクターの高校生たちも、家庭環境や価値観がものすごい複雑なやつらばかりで、高校生なのに言葉に重みがある。作者の知性とセンスを、感じざるを得ません。










第8位

不滅のあなたへ/大今良時
(既刊5巻、以下続刊)

いろんな姿に変化することのできる「球体」が、出会ったものに姿を変え、いろんなことを学んでいくストーリー。少しずつ人間らしくなっていく主人公の成長物語としても素敵なだけでなく、バトルシーンもド派手でとても引き込まれます。そして旅の中で繰り返される出会いと別れ。好きなキャラがどんどん死んでいくのが辛い。しかし生きるってそういう孤独と隣り合わせなのかもしれないなと、涙なしには読めねえよ。










第7位

鬼滅の刃/吾峠呼世晴
(既刊8巻、以下続刊)

家族が「鬼」という存在に殺された少年が、復讐を誓って修行したり闘ったりするお話。設定にこそ目新しさはないものの、展開のスピード感、時代のディティールの美しさ、闘いのかっこよさなど、いちいち良いです。特にスピード感が最高で、どんな作品にもありがちな「殺すべきか、否か…」みたいな葛藤が最小限で、誰かが葛藤しようものなら「遅い!」って怒られるんですよ。即。次のコマとかで。人の時間は限られている、ってことすら教えてくれる漫画です。










第6位

ユートピアズ/うめざわしゅん
(全1巻完結)

うめざわしゅんさんの短編集は「パンティストッキングのような空の下」が去年発売でそれもとんでもなくおもしろかったですが、また別のこれなんかも強くおすすめしたい。お笑いコンビを組む行為をまるで恋愛に置き換えた世界、なんでも周りと話して共有するのが正しいとされてる世界など、SF風であり哲学的な設定がたくさんで、いろんなことを考えずにはいられません。また、常にどこか斜めから見たような、変な方向にまっすぐなキャラがたくさんでてきて、みんな愛おしいと思うやつばっかりです!










第5位
さよならガールフレンド/高野雀
(全1巻完結)

最初に読んだときはそこまでしたが、その後じわじわと心に効いてきて、いつの間にやら描かれたシーンを何度も反芻してしまう漫画になりました。ガールミーツガールを主題とした短編集で、台詞以外にもモノローグや詩がたくさん出てきて、その旋律がとても美しいです。あと余白というかがすごくて、「好き」という言葉が出てきても、それはどういうつもりで言ってんだよ!となり、そのはっきり決めつけない描き方がとても心に残り、叙情性にひたひたに浸れます。










第4位
レイリ/原作:岩明均,漫画:室井大資
(既刊4巻、以下続刊)

不朽の名作「寄生獣」などで知られる岩明均が原作の、戦国時代のお話。作画の方の岩明漫画に対してのリスペクトをすごく感じ、作画も岩明先生がやってると言われても信じてしまうほどクオリティが高いです。戦国の世という大きなものに巻き込まれ、自分の力ではどうすることもできない少年少女たちが時おり見せる切なげな表情がたまりません。










第3位
かぐや様は告らせたい/赤坂アカ
(既刊7巻、以下続刊)

こんな恋愛の描き方があったのか!と最初はただただ感嘆させられました。主人公たちはお互いを好きなのに、気持ちがバレたら負けと思っていて、手を尽くして相手に告白させようとするというお話。もう言っちゃえばいいのに!って思うけど、そんなことを真剣かつものすごい緊張感でやられる姿は、バカバカしくもあり愛おしいです。そしてときどき、そのまっすぐさに泣けます。










第2位


青野君に触りたいから死にたい/椎名うみ
(既刊2巻、以下続刊)

ヒロインに青野君という彼氏ができたのに、付き合ってすぐその彼氏が死んで、幽霊になって出てくるという、幽霊×少女のホラーラブストーリー。ほのぼのいちゃいちゃしてると思ったら、急にホラーになったりする落差にびっくりさせられます。そして幽霊との恋、というものの中に、男女の恋愛に通ずる本質的な部分が暗に描かれている気がして、すごいなあとしか思えませんでした。言ってもそんな怖くもないので、ぜひ!










第1位
BLUE GIANT/石塚真一
(全10巻完結。続編既刊3巻、以下続刊)

主人公の大(ダイ)という青年が、サックスで世界一のジャズプレイヤーになるまでの軌跡を描いていく物語。これがまたすごいんだ。漫画だから音は聞こえないけれど、響いてくる、伝わってくる熱量がとんでもないです。金がなかろうが飯が食えなかろうが極寒だろうがひたすらに練習を続ける主人公の姿に胸が熱くなり、その積み重ねの果てのライブシーンに没入せずにはいられない。読んだら眠れなくなる漫画でした。熱くなりたいときにぜひ!




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以上、今年の漫画でございました。

ほかにも泣く泣くランキングには入れられなかったけど、おもしろかった漫画はまだまだたくさんあって、今は入れられなかったことにただ泣いています。僕には泣くことしかできない。


そもそもランキングをつけるという行為自体もおこがましいですが、それでも無理に発表するのはなぜだろうかと考えてみると、好きは表明することでより好きになれるし、そこに責任感も生まれると思うようになってきたからです。その行為に誠実でありたい。告白ハラスメントなんていう言葉も生まれてしまった今年だからこそ、決して強要をしないのは当然として、表明することは諦めたくない。なんてことを今、思っています。




そうして感想を書いていくにあたり、今年Twitterでたまたま見かけたどなたかが書いていた「本当においしいコーヒーは、ただおいしい」みたいな言葉が、えらく腑に落ち、意識せざるを得ませんでした。

「酸味があっておいしい」などと表現する方もいるけれど、酸味が前に出る時点で本当においしいとは言えず、口に含んだ瞬間、純粋に「おいしい」とだけ思うものが一番おいしいのだ、と。

そしてこれは、他のいろんなことにも言えるような気がしました。
誰かにとって本当におもしろいものというのは、ただ、おもしろい。きっと手放しで、おもしろい。

作り手の端くれとして、そういう感想を自分たちが作ったものにも思っていただけるよう頑張っていかねばならないなと、そんなことを考えています。
考えてるだけでもしょうがないので、来年はちょっといろいろ頑張ります。







それでは最後に、今年僕が一番聞いていたであろう曲でお別れです。






今年もありがとうございましたー!!!


hr440 at 20:00|PermalinkComments(2)漫画 

2017年12月28日

師走は人を焦らすけれどそう簡単には走れない

こんばんは、善雄です。


とうとう12月になったと思いきや、今年の残りもほんのわずかとなっていますが皆様いかがお過ごしですか。




僕は例年12月に入ると、急に気が狂ったように「今年中にやること」リストを作ります。
今年というものの終わりが見えてきたという焦りが、この不可解な行動を起こさせるのでしょう。そしてどう考えてもスケジュール的に無理のあることばかりを書き出しては、そこでなんとなく満足し、よし今日は寒いから明日やろうなどと毎日考えているうちにリストの半分も消化できぬまま気付くと年明けを迎えます。














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そんなわけで、過去の反省を生かし、今年のリストはこんな感じになりました。

結局半分も消化できないリストなど、作る意味がないのです。つまりなにもしない。なにもしないということを、やる。合理的にもほどがある。
そうしてなにかをやりきった気持ちになった次の瞬間には、「ビルゲイツは1分間で約300万を稼いでいた」という余計な情報が脳内でフラッシュバックし、目の前のWindowsを叩き割りたい衝動を抑えるばかりの12月です。
















ビルゲイツ







ゴジゲンの公演も終わって一か月以上。

公演中に全然バイトができなかったことによって、少し前までは極貧生活を送っていましたが、今はどうにか懐事情も落ち着いてまいりました。
一時は「健康保険料を払ったら飢え死にする」という大変な矛盾を孕んだ事態に直面し、「はたして健康とは…?」と思い悩んでいましたが、今はどうにかぎりぎり、健康で文化的な最低限度の生活を営めております。


いやしかし健康ではあるものの、約一か月前から腰は痛めています。はたして、健康とは。


こんなふうに腰を痛めるのも、23歳頃に椎間板ヘルニアを患って以来で、どうしたものかもわかりません。
先月までの舞台で飛んだり跳ねたりしても全然平気だったのに。バイトのデスクワークに戻ったところわずか一週間足らずで腰が爆発しました。
今や世界を爆弾で火の海にするのはほんの少しの火種で十分だそうですが、僕の腰を壊すにはほんの少しのデスクワーク。それですべては事足りる。











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そんなわけで、今月はほとんどなにもできませんでした。腰痛と金欠。逆になにかをしろというほうが酷というものです。
その中でもフルタイムでバイトには行っていたんだから褒めていただきたい。いったい誰に向かって言い訳しているのかもわからない。











せっかくなので、ここからは僕の2017年を振り返ってみましょう。









1月 記憶がない
2月 記憶がない
3月 記憶がない
4月 記憶がない
5月 左足首を捻挫

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6月 ゴジゲン番外編「なんかすごいSF的なやつ」稽古
7月 ゴジゲン番外編「なんかすごいSF的なやつ」本番。ゴジゲン加入
8月 改名。一人旅で北海道まで行き、遭難しかける


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9月 ゴジゲン「くれなずめ」稽古
10月 ゴジゲン「くれなずめ」東京本番
11月 ゴジゲン「くれなずめ」京都・北九州ツアー
12月 腰痛と金欠






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ふり返ってみるとは残酷なもので、ゴジゲンで2回ほど公演をしたことと、あとは怪我をしてる記憶しかありませんでした。
唯一の救いは、暇だったので怪我をしても特に誰にも迷惑を掛けずにすんだということです。本当によかった。怪我をしたのが今年でよかった。
とりあえず来年は、怪我してる暇がないくらいには、忙しくしてみようかなと思っています。
つまるところ、ちょっとだけ頑張ってみようかなと思います。







2018年は、ゴジゲンも10周年の記念すべき年です。加入して半年なので10周年とか言われても正直ピンとこないけど、さも10年頑張ってようやくここまで来たぜみたいな顔をして、来年に乗り込んでいこうと思います。


第一弾は、僕が作ったゲームをみんなでひたすら遊ぶだけという恒例イベント「ゲーム王は俺だ!!」。
もう本当に間もなくチケットなくなるみたいなので、迷われてる方はぜひお早めに。




詳細はこちら↓



ではでは、来年もどうぞよろしくお願いいたします!!


hr440 at 23:57|PermalinkComments(0)日常