obliterate the weak berzerker legion
BERZERKER LEGION / Obliterate The Weak (2020)

1. Rise Of The Berzerkers
2. A World In Despair
3. I Am The Legion
4. Of Blood And Ash
5. Obliterate The Weak
6. The Falling Dawn
7. The King Of All Masters
8. Upon The Throne Of Mortem
9. A Lurking Evil
10. In The Name Of The Father
11. Death Euphoria *

BERZERKER LEGIONの1stアルバム。
Listenable Recordsからのリリース。

スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンドです。
WOMBBATHのJonny Pettersson(Vo)にASPHYXのAlwin Zuur(Gt)、HYPOCRISYのライヴメンバーであるTomas Elofsson(Gt)、DARK FUNERALのFrederik Isaksson(Ba)、VADERのJames Stewart(Ds)という欧州エクストリームメタル界隈のメンバーが新たに立ち上げたサイドプロジェクト的なバンドであります。
サウンドは愚直にオールドスクールなメロディックデスメタル。
もうメンバーからも大体想像できるかもしれませんが、AT THE GATESを思わせるテンポの良い単音リフやAMON AMARTHやA CANOROUS QUINTETなどを思わせる雄々しさや暗さがない交ぜになった抒情トレモロなどなど、メロデスらしいリフワークを武骨なミドルテンポに乗せてお送りする燻し銀なスタイルです。
クリーンVoやKeyおよびシンフォといったナウい要素は「けしからん!!」とばかりに一切使わずに「よう見とけ若いの!!デスメタルにはこうやってメロディを入れてくんじゃ!!」とツインギターメロディだけで勝負している点は職人肌で潔いものの、テンポが遅めであるのと暗さや湿っぽい抒情性の強いメロディを多用することからどうしても格好良さより地味さが先行してしまい、マニア向けなサウンドになってしまっている点は否めません。
でもだからこそEVOCATIONやHYPOCRISY、再結成後のDESULTORYなどのちょこっと王道を外したメロデス/欧州デスが好きな人にはドンピシャで刺さるのではないかと思います。

#1は暗い抒情が漂うツインギターハーモニーによるイントロ。
続く#2は北欧らしいバタ臭い単音リフやトレモロがもったりした2ビートに乗っかる疾走メロデスナンバー。
#3はバスドラ連打のミドルテンポにじんわりと抒情が滲む分厚いギターを被せた、地味だけど格好良いメロデスナンバー。
#4は冷たいリフが重々しく行進するスロー/ミドルテンポに絡むAMON AMARTHとHYPOCRISYの中間みたいな地味メロデスナンバー。
メロディ量は少なめにザクザクと攻撃的に刻むスロー/ミドルテンポの#5。メロデスというよりは欧州デスメタル感の強いヴァースからコーラスはトレモロでちょっぴり甘めに味付けされていてその対比が良い感じ。
ドラムロールと湿っぽいギターで幕を開ける#6はバスドラや手数の多いミドル/アップテンポにデスメタルらしい邪悪リフを組み込んでいく曲。この曲のトレモロはメロデスというよりもデスメタル的で、時折挿入される冷たいメロディとのコンビネーションでスウェディッシュデスらしいバランスを演出しています。
どっしりしたスローテンポの中をジメジメしたギターメロディとグロウルが交錯して内省的なメロデスを鳴らしている#7。
#8は力強いツーバス疾走に粘っこく掻き鳴らされるグルーヴィーな抒情トレモロを組み込んだメロデスナンバー。コーラスのトレモロのセンスにWITHOUT GRIEFを感じた、と言ったら褒め過ぎだろうか?いやそもそも比較対象にWITHOUT GRIEFを出すのって誉め言葉になっているのだろうか?
分厚いトレモロがバスドラ連打のスローテンポに合わさって超分厚い音の壁になっている#9。コーラスのゆったりと揺蕩うトレモロのメロディに優雅な抒情があって良い。
本編ラストの#10はドゥルドゥルと低音を徘徊するグルーヴリフと2ビートで重たく疾走し、単音リフを組み込んだコーラスでデスラッシュ的なキレをちょっぴり付加する曲。
#11はCDのみに収録されているボートラ。バスドラ連打のスローテンポにデスメタリックなトレモロと悲しげなリードを編み込んでいくメロデスナンバーで本編と同じく地味系です。

おじさんたちによる地味格好良いメロデスです。
派手なのより渋いのを好む人にオススメです。

評価:★★★